異世界召喚された俺、魔王と共に元の世界へ戻る。 作:生焼け肉
橘side
橘「それでは八幡様、お手合わせお願い致します。」
八幡「いや、こちらこそよろしく頼む。」
ベル「………」
千葉県某道場にて私と八幡様はこれから槍術の手合わせをするところです。先日に八幡様にお願いしたところ承認していただきましたので、この道場をお借りして今に至ります。私は県内の道場で腕を試しましたが、八幡様はどうなのでしょうか?身体能力は引き継がれているみたいなのですが……
師範代「それでは、試合始めっ!」
橘「フッ!!」
八幡「っ!」
試しに八幡様へ単純な突きをしましたが、八幡様は難なく反応……身体能力だけでなく反射神経とうも引き継がれているみたいですね。
橘「少々安心しました、この程度の突きで反応出来たという事はそれなりに本気を出しても問題無いという事でしょうか?」
八幡「一応は、って答えておく。俺もどの程度出来るか分からないからな。」
橘「承知しました。では、参ります。」
ーーー数分後ーーー
「お、おいおい……あんな打ち合いしてるのにまだ1本も入ってないぞ。」
「お姉さんの実力は分かってたけど、アイツ一体何者だ?」
「互角以上っていうか渡り合ってる……」
ベル「………」
ベル(見た感じ、きっとこういうところも受け継がれているみたいね。橘の槍術について行けている時点でそれは確実。もし八幡が刀を持っていたら勝負はこんなに長引いていないわね。)
橘「………」
八幡「ふぅ……流石は得意武器なだけはあるな、付け入る隙が無い。」
橘「恐縮です。ですがもし八幡様が刀をお持ちになれば、私などとうに1本取られてしまっています。」
八幡「どうだろうな?俺だって今日初めて槍を持ったんだ、刀でどれだけ出来るのかは自分でも分からない。もしかしたら派手にずっこけるかもしれないし。」
橘「その時は鐘子様が手厚く治療してくださると思います。私が介入する余地は無いと思っておりますので。」
八幡「……うん、理由は納得した。じゃあそろそろ終わりにするか、お前もさっきのが本気ってわけじゃないんだろ?本気で来てもいいぞ。」
橘「ご慧眼お見事です。ではお言葉に甘えまして………」
その後、私はこの身体で出来る全力を持って八幡様に向かって行きましたが、1本取る事は出来ませんでした。なので実質、私の負けとなります。
橘「ありがとうございました。」
八幡「ありがとうございました。」
ベル「2人共お疲れ様、良い試合だったわ。はい、タオル。」
八幡「サンキュー。」
橘「ありがとうございます。」
道場主「お2人共本当に見事な腕前でした。弟子達にも良い刺激になったと思っています。」
橘「急なお願いを聞いてくださりありがとうございます、道場主様。」
道場主「いえいえ。ご連絡をいただいた時は驚きましたが、それも今となっては納得がいきました。あのレベルの打ち合い、全国でも殆ど見られない程の高いレベルでした。私もこの目で見る事が出来て嬉しく思います。」
橘「恐縮でございます。」
ベル「2人共、怪我は無い?掌とか擦り剥いてない?」
八幡「大丈夫だ。」
橘「私も大丈夫です。」
ベル「あら、それは残念。」
八幡「怪我してなくて残念がる彼女、これ如何に……」
ベル「だってやってみたかったんだもの、怪我の手当て。」
八幡「それはまた今度な。んで橘、他にやる事ってあるのか?」
橘「いえ、手合わせも終わりましたし鐘子様もきっとお話されたい事が多いと思いますので。」
八幡「そうか、じゃあこの辺でお暇するか。」
ベル「そうね、それじゃあ私達は帰るわ。長い時間お邪魔してごめんなさいね。」
道場主「いえ、いつでもお待ちしております。」
ーーー車内ーーー
八幡「まぁ途中から分かってはいたが、経験も引き継がれてるな。」
ベル「そうね。でもこれに関しては橘が槍術を扱えている時点でほぼ確定だったけれど、久しぶりにああいうのが見れて楽しかったわ。」
八幡「となると、俺は刀か……振る機会はこの世界では無さそうだが。」
ベル「趣味程度でいいと思うわ、だって私よりも刀を優先されたら困るもの。刀に嫉妬したくはないわ。」
橘「鐘子様も何かお試しなってみては?」
ベル「私?私も色々使えてはいたけど、殆ど魔法だったから2人みたいに得意な武器は特に無いのよね。」
八幡「確かに魔法バカスカ撃たれてた記憶あるわ。火、氷、雷、岩、風、光、闇、色んな魔法の弾撃ってきたよな。」
ベル「属性以外も合わせたらもっとあるわよ?毒とか麻痺とか呪いとか。八幡には麻痺と幻惑と誘惑しか使ってないけど。」
八幡「その3つしか使ってない理由は予想出来るから聞かないでおく。」
橘「八幡様、私もこの世界に転生しました。なのでご無礼を承知であえて言わせていただきます。ベルフィーノ様と早く結ばれてほしかったものです。」
ベル「橘の言う通りよ八幡、私と結婚していれば苦労なんて何も無かったのに。」
八幡「この世界では結婚前提に付き合ってんだからいいだろ、婚姻届けだって記入済の物をそっちが持ってんだから。どの道、俺には逃げ場無いしこの世界では結婚するって決めてんだから。」
ベル「仕方ないわね、まぁ元の世界でも約束してくれたし、許してあげるわ。」
橘「八幡様、約束を破らぬようくれぐれもお願い致します。」
八幡「破るつもりは無いから安心してくれ。」
このようなお話を新年に交わし、短くない時を過ごしました。そして、お2人は4月から2年生へと進級しました。