異世界召喚された俺、魔王と共に元の世界へ戻る。 作:生焼け肉
八幡side
八幡「中々に強烈だったな、お前の親族とやらは……まぁお前には全く関係の無い連中なんだろうが、元々の人格にとっては悩ましい存在だっただろうな。」
ベル「そうね、でも飛鳥が証拠を持って警察に行ったから少しは大人しくなると思うわ。もしこれでまだうるさくするようだったら、今度は裁判ね。」
八幡「最終手段ってヤツだろ?」
ベル「本当ならこの家に来るのも嫌になるくらい痛めつけてあげれば済む事だけれど、この世界はそういうのにうるさいでしょう?」
八幡「まぁな。俺もよくは知らないが、暴行罪とかがある。それは身内にも適応されるらしいから気を付けないとな。」
実際のところ、本当にそうした方が効果的なんだろうが口で言っても分からないような連中だ、暴力しようものなら『弱い者いじめ』だの『姪っ子が狂った』だの『躾がなってない』だのと騒ぎまくるだろうしな……
八幡「困ったもんだな、お前もこっちに転生してあんな連中が身内に居るなんて思わなかっただろう?」
ベル「本当よ。最後に会った勇者と会った事もそうだけど、それ以上に厄介な存在よ。あの勇者は前世の記憶が無いけど、それでも面倒なのは前と同じね。」
八幡「だろうな、俺も同じ感想だ。それと興味の無い話だが、元々の家って裕福なのか?」
橘「鐘子様の命で祖父母並びに伯母夫婦を調べましたが、至って普通の一般家庭のようです。どこからか鐘子様の事を聞きつけて今回の騒動に及んだのでしょう。」
八幡「成る程そういう事だったのか……親戚なんだから少しは分けろってのが向こうの言い分って事か。」
橘「はい。鐘子様を褒めに褒めた後に要求したのが金銭でした。分かりやすくおだてておられましたので、私も鐘子様もすぐに気付きましたが。」
ベル「あれは気持ち悪かったわね……思い出すだけでも鳥肌が立つわ。」
どんだけ気味の悪い顔をしていたんだ、あの2人は?
八幡「橘、ベルから指示が出ているのなら余計なお世話かもしれないが、この屋敷に監視カメラは設置した方が良いと思う。庭があるくらい広い屋敷だ、お前達なら何処に何があるのかくらい頭に入ってると思うが、何があるか分からない。念には念を入れておいた方が良い。」
橘「……鐘子様。」
ベル「八幡からの提案だもの、無碍にするつもりは無いわ。橘、お金に糸目にかけなくていいからこの屋敷に監視カメラを設置して。どの角度からでも見えて、死角を作らないようにね。」
橘「承知致しました。すぐに手配致しますので失礼致します。」
……途中までは楽しいお茶会だったんだけどなぁ。
ベル「はぁ……嫌になってくるわね、こういうのって。前の世界でもあったのよ、向こうから助けてとお願いしているのに高圧的な貴族とかが。」
八幡「あの2人もソイツ等と同じか?」
ベル「まだ貴族達の方がマシよ。こっちが助ける義理なんて無いって言ったら掌返しで頭を下げてお願いしてくるんだから。でもあの人達は親戚だから、家族だからって理由で引き下がらない……いい迷惑よ。」
俺は珍しく疲れている様子を隠さないベルの肩を掴んで自分に寄せた。
ベル「中々叶わないわね、平穏に暮らすって。」
八幡「今が特殊なだけだ、親族の問題が片付いたら少しは落ち着くって。」
ベル「でも新しい問題が出てこないとも限らないわよ。」
八幡「その時はその時だ、その問題がお前関連だって限らないだろ?今は目の前の事に集中しろよ。」
ベル「それもそうね、今は目の前の事に集中するわ。」
八幡「おう、そうしとけ。」
ベル「……ねぇ。」
八幡「ん?」
ベル「去年の事、覚えているかしら?」
八幡「どれの事だ?あり過ぎて分からないな。」
ベル「まだ耐性がついていないって言ったアレの事よ。」
八幡「……アレがどうかしたのか?」
ベル「私の耐性がどこまでついたのか試したくなってきたの、協力してくれるわよね?」
八幡「他の誰かにやらせるわけにはいかないからな、分かった。とりあえずお前の部屋に行くぞ。」
ベル「他の誰にも聞かせるわけにはいかないものね。」
完全に目の色が変わっていた。さっきまでの疲れていた表情とは打って変わって、今は生き生きとした、欲に満ちた顔になっていた。この顔を見るのは去年以来だろうか……けど、とりあえずはお試しだ。様子を見ながらベルの耐性を試してみるか。
ーーー数時間後・玄関ーーー
八幡「じゃあ、またウチの家でな。」
ベル「いいの?送って行くわよ?」
八幡「風に当たりながら帰りたい気分なんだよ。」
ベル「そう……分かったわ、じゃあまた貴方の家まで向かうから。」
八幡「あぁ、またな。」
ベルの奴、シャレにならないくらいがっついて来やがった……おかげで抑えるのも大変だった。前の世界の俺、よくアレに耐えていたもんだ。いや、年に1回は及んでいるから耐えられてはいないのか?よく分からんからもう考えない事にしよう。
とりあえず俺も家に帰ろう……寄り道とかしないで真っ直ぐ。
八幡「………でも、こっちの世界のベルはどのくらいヤレるんだ?」
………だから考えるなって俺、その内少ししたら嫌でも知る事になるんだから。