基本はそれぞれ独立した物語のつもりだけどもしかしたら補足とかは入るかも?
タグは割と適当、今後増えるかも
続きは誰かが書いてくれる
しらんけど
不老不死なだけの旅人が世界を記録するだけの物語
その旅人は、人の紡ぐ物語を愛していた
そしてそれ以上に人そのものを愛していた
旅人は、人々が紡ぐ物語をいつまでも見ていた
人の強さを、美しさを見た
行き倒れた旅人に、食料と水を分け与えてくれた村人たちがいた
身寄りのない旅人を受け入れ、職を斡旋してくれた街の人たちがいた
凄惨な戦場で、それでも国のため戦う兵士たちがいた
休息の合間に酒を飲み交わし、また飲もうと約束した
戦場を終わらせた、輝かしい英雄の誕生を見た
そして英雄は愛する人を守れたと笑って死んだ
人の弱さを、醜さを見た
続く戦争による貧困で、食料を奪い合う人々がいた
国の矜持のため、無為に散っていった兵士たちがいた
あのときの約束は、きっともう果たせないのだと知った
英雄の強さに恐れを抱き、陥れた人々がいた
街の人々は、なぜもっと早く戦争を終わらせなかったと英雄に石を投げた
英雄の愛した人は、その愛に報いる気はないのだと知った
あの村人たちの優しさは、貧しさの前には無力だったのだろうか
あの街の人たちの怒りは、なぜ英雄に向かったのだろうか
あの兵士たちの犠牲は、本当に必要だったのだろうか
あの英雄は、本当に幸せだったのだろうか
あぁきっと彼らは気づいていたのだろう
優しさは有限なのだと
自らの行いが八つ当たりに過ぎないのだと
自らの犠牲に意味などないのだと
愛が返ってくることなどないのだと
旅人は見ていた
見ていることしか、できなかった
ただ死なないだけ、老いないだけの旅人に戦う力などないのだ
貧困に喘ぐ村人たちに食料を分け与えることも、街の人たちの怒りや悲しみを慰めることも、兵士たちとの約束のため戦場で肩を並べることも、英雄を国の悪辣な謀略から守ることもできやしないのだ
……あの馬鹿な女を殴りつけることくらいはできるかもしれないが
旅人は見ていたはずなのだ
人は強くて美しくて、そのうえで弱く醜いことを、旅人は知っていたはずなのだ
それでも、旅人は人を愛していた
人の持つ二面性を、葛藤を、矛盾を、それでも旅人は愛していたのだ
彼らが持つ、己は失ってしまった命の輝きを、旅人は愛していたのだ
それから旅人は、物語を書いていた
これまで目にしてきたものをただ書き留めていた
死なないだけの自分が、見ているだけの自分ができる唯一のこと
それが彼らの生涯を物語として伝えることなのだと、旅人は自らの運命を定めたのだ
「さぁ、今日の物語はここまで。次は誰の物語にしようか。」