これは、幾星霜を超えた「私たち」の物語だ 作:もみじししゃも
「私、結構隠密行動してたつもりなんだけど」
「そこはもともと俺が個性訓練に使ってた場所だ、てめぇが勝手にそこにいたんだろうが」
両手から火花を散らしながら、流石に夜中だからか声のボリュームは下げ気味で怒鳴る爆豪
実際に使っていたようで、橋の下の柱の壁が一部黒くなっている
「一応言っておくけど、個性の無断使用はちょっとまずいよ?」
「じゃあどこで訓練すりゃいいんだ、あ?」
ごもっともなツッコミだ
白亜の横を通り過ぎ、橋の下に水筒だのタオルだの荷物をおいて準備運動を始める爆豪
地味に目障りになる距離でふわふわ飛びながら白亜は聞いた
「というか、この前の問いに対する答えは出たの?」
「うるせぇ、てめぇには言わねぇ」
「別にいいよ、自分の中で答えを得ることができたのならね。問題を先延ばしにしてるだけなら、相変わらず、君はヒーローになれないだろうけど」
ニコニコ笑顔で毒を吐く
気にせず準備運動を続ける爆豪
ヘドロ事件以降すこし落ち着いているのか、すぐに噛みつかない
「私、こう見えて忙しいんだけどなぁ」
「テロリストに忙しいもクソもあるか、つーかそもそも100年前の人間に今更忙しくなる要因があんのか?」
「あー、そっか、私教科書に載ってるんだった、、、ちょっと諸事情あってね、今はヒーローやってる」
マジか、といった顔で振り返ってくる爆豪
流石にテロリストがヒーローをやってるとなれば驚く以外の反応がないだろう
いや、プロヒーローなら即拘束しようとする
「てめぇが?戸籍とかどうしてんだ。役所の奴らの目は節穴か?」
「そのあたりに関しては、君がおとなになったら分かるよ」
「今教えやがれ」
「手合わせに勝ったら教えてあげなくもない。個性使用許可は下ろしてあげるから、、、まぁ確認するやつなんていないんだけどねぇ」
「るっせぇ構えやがれ!!」
〈手合わせで勝ったら教える〉の一言で一気に爆破で加速し白亜の懐に入ろうとする爆豪
先手必勝、のはずだった
爆破寸前の右手を、笑みを浮かべたままの白亜の顔に叩きつけようとしたその瞬間
黒い羽が舞い落ちて
胴を蹴り飛ばされた
(なんだ!?構えすらしてねぇっ)
「速度は申し分無し、仕掛け方もいいね。でもまだ読みやすい」
「るっせぇ!もう一回!!」
今度は動き出す前に白亜の正面に大規模な爆破を仕掛け、爆煙で目眩まし
その隙に上へ飛び上がり落下してるところでさらに上に向かって推進力として爆破
一気に白亜の頭上に迫るが
「クソがっ!!」
またしても、そこにいない
しっかり目で捉えているはずだというのに一瞬で消え
一瞬で背後に回られる
今度は背中を蹴り飛ばされた
地面に更に速度が上がった状態で激突、、、かと思いきや
「いやぁ、ちょっと蹴りすぎちゃった」
そう言って襟首を掴まれてギリギリ地面に激突はしなかった
プライドはギッタギタにされているが
「戦闘センスは申し分ない、頭に血が上りやすいけどよく考えてる」
「うるせぇ!!俺はいつだって冷静だ!!!」
「の割には目が血走ってる気がするけど〜」
ケラケラと笑いながら爆豪を優しく地面に下ろし、自分も地に足をつける白亜
ふらふら飛んでいる羽で近くのベンチにおいておいた水筒を引き寄せる
ついでに、橋の下に置かれている爆豪の水筒も羽で飛ばし、投げ渡す
「ま、私の異能がチートすぎるだけだよね確実に」
「どんな個性だ、答えなかったら爆破し殺す」
「教えな〜い!自分で考えて〜」
取り付く島もない返事にだまる爆豪
「特訓の相手ねぇ、、、週1ならいいよ?まぁ今週は先約があるから無理だけど」
「、、、先約?」
「ヒーロー活動だから詳細は伏せさせていただきまーす!というか、富士山よりも高いプライドを持ってそうな君が私に教えを請うなんて、どしたの?頭ぶつけた?」
わざと煽るように言葉を重ねると、更に黙り込む爆豪
(あちゃ、、、子供相手に煽りすぎたかも)
と、白亜が反省しかかってると
「No.1になるために、自分ねじ伏せてるだけだわわりぃか!?」
「あ、そう、うん、へぇ、、、」
急に大声出されてタジタジな白亜を見て
やっと一泡吹かせられたことにちょっと得意げになっている爆豪
唐突に白亜が尋ねる
「ねぇ爆豪くん、君の親戚に”駆藤”って苗字の人いる?」
「いねぇ」
「いないかぁ、、、」
(そこまで顔一緒なのにいないのかぁ、、、まぁAFOが親族殺して回ってたもんね、、、)
「それが特訓に関係すんのか?」
「いや、個人的な興味から聞いただけ。とりあえず私は今日はこれくらいでさよならするね。明日は早いから」
「はっ、勝手に消えてろ」
「んじゃ勝手に消えるね〜ばいばーい!!」
「少なくとも、今は敵じゃねぇ、、、のか?」
深夜、東京の高層ビル街のどっかのビルの屋上
「普通のヒーロー生活はうまく行ってるかい白亜ちゃん」
「平和すぎて逆にきつい」
「そんな社会を目指して戦ってたんじゃなかったっけ?」
「目覺めたら平和でした、は、普通に感覚狂うって、、、、」
異常なほどに静まり返ったビル街にて、コーヒー片手に談笑する翼持ちヒーローが二人
「君の個性って黎明期のものにしては規模がすごいよね〜」
「解釈の幅を広げてるだけだけど?」
「解釈の幅広げた結果、
「こうでもしなきゃAFOには勝てないよ」
「ねぇ、AFOって誰なの?」
「、、、速すぎる男すら知らないとか、、、あいつどんだけ隠密行動が好きなの」