所長が登場しますが、諸事情で変わり果ててしまいます。
「どうやら、藤丸達とマシュは気が緩んで眠ってしまったようだな」
「ほう、ここがカルデアとやらか…」
「フォウ!」
「フォウ…お前も単なる小動物では無いな?まぁマシュに懐いているのなら、悪いモノではないか…」
「フォ!?」
まだあちこちがボロボロになっている状況のレイシフト用コフィンの並ぶ部屋に降り立った宗治郎達、そこに駆けつけたのは…
「無事かい!?どこか不調は!?外傷はとくに無さそうだけど、とりあえず検査を…」
「はいはい、落ち着いてねロマン。君のほうが大丈夫じゃないから」
白衣に無造作に結んだ髪の医療部門の責任者のロマニ・アーキマンとスカサハに見劣りしない抜群のプロポーションと美貌を兼ね備えた、何処と無くルネサンスな雰囲気を漂わせる美女だった。
「すまない。貴女のような美しい成人の女性はそこに居るスカサハに続いて2人目だが…名前はなんという?私は笹木宗治郎。気安く宗治郎と呼んでくれ、特にこれといった自己アピールも無いのでね。」
宗治郎は真面目に、しかしながら相手に対する軽い世辞を入れた自己紹介をした。
「おやおや、随分と嬉しい事を言ってくれるじゃないか。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。“万能の人”なんて呼ばれてたりするキャスタークラスのサーヴァントさ。気軽にダヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ!」
「なるほど、これまた有名人だな。よろしく頼むぞダヴィンチちゃん」
宗治郎は特に驚いたりする素振りも見せずに返した。
「アレェ?ここは“な!?ダヴィンチは男ではなかったのか!?女性だと!?”とか…“え?ダヴィンチ!?なんでこんな絶世の美女に!?”とか…リアクションする所じゃない?」
「生憎だが、アーサー王が美少女だという今までの常識の埒外にある光景を目にしたばかりなのでな、その反応は藤丸君や立香君に期待してくれたまえ」
“それもそっか”と宗治郎の言葉に納得したダヴィンチちゃんは、藤丸達をとりあえず医務室に運ぶ事にした。
「外傷は無さそうだけど、何かあったらマズイからね。ロマン!お願いね!」
「分かったよ…全く、僕なんかよりよっぽど有能なのに人使い荒いんだから…」
「…そういえば、所長は」
「…彼女のことは私もロマンに言われて把握したよ。あの子は確かにあまりいい上司じゃ無かったかもしれないけど「いや、もしかしたら生きてるかも知れない」…は?」
「貴様!何故それを先に言わん!」
「ちょ!?スカサハさん!宗治郎さんに槍向けないで!?」
「フォ!?」
宗治郎はツカツカと瓦礫の一部に歩み寄り…
「そこに何があるんだい?言っておくけど万能の天才である私でも、バラバラ死体から…というか死者の蘇生なんて魔法でも無い限り、いや普通に不可能だし、そんな大きな瓦礫は重機でも無い…」
片手で持ち上げて軽々どかした。
鉄骨や鉄筋などが混在するコンクリートの塊を、発泡スチロールの舞台セットのようにである。
「とぉ…え?…ねぇ?キミほんとに人間?サーヴァントじゃ無くて?というか魔術すら使って無いよね?」
「その質問は兎も角、所長はこうして存在しているぞ」
そこにあったのは…壁に突き刺さるように突き出したオルガマリーの下半身である。
その光景は…
「…壁尻?」
「ロマニ仮にも上司にその言い方…やはりツームストンパイルドライバの方が良かったか?」
「えっと…コレ生きてるの?引き抜いたら上がアコーディオンみたいに潰れてるなんて事無いよね?」
「とりあえず引っこ抜けば良いだろう。死んでいたらその時はその時だ。」
スカサハは躊躇なく足首をつかんで大根のように引っこ抜いた。
「あ、上も無事だ。…脈も自発呼吸音もある。」
「しれっと胸を揉むなダヴィンチ。ロマニと一緒にパイルドライバーの刑にするぞ」
「おっと失礼、ついね」
「…とりあえず藤丸君達と一緒に医務室に運ぶぞ!」
藤丸が目を醒ますとそこはあの冬木の洞窟ではなく、清潔なシーツと消毒薬の匂いがする白い照明に照らされた部屋だった。
「…知らない天井だ。」
「お約束の反応だな、立香君も似たようなことを言っていた。」
ふと声の主を見ると、椅子に座って本を読んでいる宗治郎がいた。
「宗治郎さん!特異点は!?レフは!?というか此処…」
「やぁ!目覚めたようだね!元気なのはいい事だけど落ち着こうか?」
藤丸の目の前に現れたのは、スカサハ並みの美女だった。
「私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。まぁ、ダヴィンチちゃんと親しみを込めて呼んでくれると嬉しい。カルデアの技術局特別名誉顧問で、アイテムやらの事なら任せてくれたまえ!」
「え?ダヴィンチって男じゃ?」
「藤丸君、あの黒いアーサー王が美少女だったのだ。そういうモノだと思っておいたらいい。どうせ似たような境遇のサーヴァントは今後も出てくる筈だ。」
そしてマシュや立香も合流して、ロマニやダヴィンチとこれからの方針についての話し合いをする
「…という訳でカルデアはこれから『
「まぁ、やらなきゃこのままカルデアも消滅しちゃうから、半分強制みたいなモノなんだけどね。それで…やるかい?人類史に挑んで、人類を救う旅を!」
ダヴィンチちゃんはズビシ!と藤丸達や宗治郎に指を向けた。
「「やります!」」
「この身は非才な者なれど、できる事は果たすつもりだ。」
「いい返事だ!所長も喜ぶだろうね」
その言葉に疑問符を浮かべたのは、藤丸達とマシュだった。
「…それってどういう?」
「所長はさっき…」
「先輩達の言う通りです。カルデアスに呑み込まれて…」
「ところがどっこい!なんと宗治郎君のお陰で所長は生きていたんだよ!」
「「な、なんだってー!?」」
「本当ですか!」
鉄面皮であまり反応しない宗治郎と違い、ナイスな反応をしてくれる藤丸達やマシュに、笑みが深くなるダヴィンチちゃん。
「うんうん、ただちょっと問題が…」
「「「何があったんです!?」」」
「近いなぁ…それはね…」
しかし回答したのはロマニだった。
「幼児退行したんだよ。…しかも単なる幼児退行じゃ無くて、ダヴィンチちゃんや、スカサハさんの分析曰く
「ちょっとロマン!私のセリフなんだけど!?」
「「よ、幼児退行ぉ!?」」
「つまり今の所長は…」
「「ほぼ精神が4、5歳児だよ」」
「「「えぇー!?」」」
宗治郎はそんな光景を見ながら内心で…
(この子達がこうして居られる時間を私のような大人が
とOTONAの覚悟を決めていた。
宗治郎は大人だからね。
子供は守護らないと駄目なんだ…
OTONAの漢なら是非も無いヨネ!