木ノ葉崩しこと、大規模差し押さえが無事終了して、長老衆からそのリザルトを出せと仕事を投げられて。
それをこなしつつ、音の里まで大蛇丸にお詫びも入れに行って。
なんやかんやがあって、ようやく俺は落ち着くことが出来た。
まあ、落ち着いてもまだやるべき仕事はあるのだが。
まずは、宣言した事だしな。と、感情を激しく揺さぶって、万華鏡写輪眼に開眼させるための幻術作りに取り掛かった。
そうすると、まあ、参考にするわけだ。前世の名作の数々を。
とりあえず劔冑(つるぎ。特殊能力付きの鎧)を忍刀に置き換えるなど、小さな変化でNARUTO仕様にできそうなアレだ。
装甲悪鬼村正。
主人公の劔冑にとんでもないクソルールが付いているが、それがこの場合は逆に都合が良い。
悪人をひとり殺したら善人もひとり殺せ。という善悪相殺の縛り。
そのおかげで、斬らなくていい、斬りたくない人間を殺す機会には困らない!
癒しの力を持つ、冤罪で死刑判決を受けた死刑囚と、看守らの交流と、その穏やかで悲劇的な結末の「グリーンマイル」も一応作ってはみた。
だが名作過ぎていじれない。没入感が無く、ただ映画を見て泣くだけではさすがに万華鏡には届かない。
自分の事だという強烈な錯覚がなければ、届かない。
だから仕方が無いので、この世界の実話を採用した。本人も万華鏡写輪眼に届いてるから、実績もある。
うちはオビト。君に決めた。
ついでだからと、はたけカカシバージョンも作った。
双方共に『こうかは ばつぐん』だった。
作った本人の俺にすら、効果があったから大したものだ。
なお俺の万華鏡写輪眼は月読(強力な幻術)と神威(異空間との行き来)だった。
「幻術と移動。防御が強く、直接の攻撃力がないが、敵に充分に対処可能。お前らしいよ」
というのが、いつの間にか俺の担当になったらしいイタチの感想だった。
そんなあいつも、万華鏡写輪眼に目覚めてみれば、その片方は月読だったのは、原作知識で知っていたが笑った。
そうして力を手に入れたことで、国外への前線忍務も回ってくるようになった。
そしてある時、俺は水の国へと派遣されて。
そして、結婚した。
たまたま血継限界の女性を見つけてしまい、仏心から声をかけたのだ。
「このままここにいても、辛いだけだろう。国を出ないか。俺が連れて行ってやる。付いて来い」
それで連れて田の国に帰国したら、なぜか結婚式の段取りを組まれていた。
なぜだろう。いや、美人だし悪い気はしないのだが。
ただちょっと、中途半端に口説いていたシズネには悪いかなって。
まあ、まだ付き合うまでは行ってなかったから、何も言わんでええか……
そして後日。彼女と新居でまったり過ごしていた時のことだ。
いわゆるピロートークというやつだな。
「もし、俺たちの間に子供が出来たとしたら、名前はハクでいいか?」
軽い気持ちだった。ただの原作ファンとしての願望だった。
だがそれを口にすると、彼女の体が目に見えて跳ね上がり、こちらを怯えた目で見た。顔は青ざめ、滝のような汗を流している。
「え……? あ、あの…… なぜ…… なぜその名前を……!?」
あまりの取り乱し方に、脳内でセンサーが激しく警報を鳴らし始めた。
遅いわ。そういうのは事前に鳴らせ。地雷踏んでから警報が鳴っても手遅れだろうが。
しかし待てよ? ハクの名前でここまで取り乱すという事は……?
「……あの、失礼ですが。もしかして、もうお子さんとか……」
「申し訳ありません!!!」
彼女は畳に擦り付ける勢いで土下座した。
そっかー。もう生まれてたかー。というか、既婚者だったかー。
真相はこうだ。血継限界を隠して適当な男を捕まえて、田舎の村で生活していたが、いつバレるのか、ずっと怯えて暮らしていた。
忍術は使えるし、一般人に負ける事は無いが、食事や飲み物に毒を盛られたりすれば危うい。
子供も出来たが、その子も血継限界は受け継いでいた。
この子は隠し通せるだろうか。子供なのだ。いつバレてもおかしくはない。そうなれば芋づる式に自分の事も明るみに出てしまう。
愛しい我が子ながら、いっそ手にかけようかとすら思った事もあるという。
毎日ずっとジリジリと、追い詰められていっていたそんな時に、たまたま通りかかった俺に声をかけられて。
つい、すがり付いてしまい、そのまま付いてきた。
幼いハクくんの存在を咄嗟に黙ったまま。
(えっ、じゃあ俺、略奪婚しちゃった?)
まさかの人妻泥棒だった。
しかも、子供は連れ子にするのではなく、父親の方に放置とか。
少なからずショックを受けたが、これでも原作ファンだ。
あのサクラにベタボレだった頃のナルトをして「サクラちゃんよりかわいい」と言わしめたハクを見捨てる選択肢はない。
あれ、言ってなかったっけ? 言ってた気がするからいいや。
それに社会人たるもの、発生したインシデント(事故)には迅速に対応・リカバリーするのが鉄則だ。
でも無理そうなら責任回避も、時には大事だぞ。逃げ道はいつも残しておくものだ。
だが今回は、逃げるまでも無い。
ハクがまだ幼すぎるという事もある。早急に動かねば。
「大丈夫。すぐにハクくんを回収しに行ってきます。確認しなかったこちらの不手際でもありますから」
俺が微笑んで手を差し伸べると、彼女は俺の腕の中に飛び込み、涙を流しながら何度もありがとうと繰り返した。
いや結婚して間もなく「実は子供がいるの」と打ち明けられて「じゃあ迎えに行かなきゃ」と微笑んでみせた、一見完全なイケメンムーブだったかもしれない。
だがしかし、彼女が独り身だと勘違いして、そのまま連れてきちゃったの俺だからね。これ、マッチポンプみたいなものだからね。
でも嫁の好感度を稼げたなら、ええか……
内心としては『原作のネームドを未回収のまま放置するのは、なんか勿体無いし誤作動が怖い』というオタク心と勿体無い精神と、危機管理能力が働いただけである。
ともあれ、深夜ではあるが速やかに長老衆へ「新妻の連れ子の救出任務(プライベート案件)」として申請を出し、許可を得て水の国へ跳んだ。
だが、ハクがいたはずの村に到着すると、すでに家は焼け落ちていた。やはり血継限界がバレて悲劇が起きたらしい。
いや原作だと、ハクが「お父さんがお母さんを殺した」とか言っていた気がするので、父親が犠牲になってるっぽいあたり、なんか展開が変わっているらしいが。
だって父親の犯行だとしたら、自分の家は焼かないだろう。
正直嫁を寝取った側なので、どんな顔をして会えばいいのか分からなかったので、父親が亡くなったのは悪いが助かる。いや、本当に色々と悪いが。
いや待て。展開が変わったとしたら、ハクは無事だろうか?
少し村で聞いてみた所、父親の遺体はあったが、子供の遺体は見つかっていないそうだ。よしセーフ。
(子供の足だ、そう遠くへは行っていないはず)
俺はせめてバレにくいように、薄目で普通の写輪眼を起動し、チャクラの痕跡と足跡を追って雪道を捜索した。
え? 普通のじゃなくて、万華鏡写輪眼で全力で探せ?
いや、視力が落ちると辛いのは、前世の老眼でよく知ってるから…… 多分これでも見つけられるから。
早くクローン作成に成功してくださいよ、大蛇丸。永遠の万華鏡写輪眼になれば、使いたい放題なんだから。
そして捜索すること数時間。俺は2つ先の町で、薄汚れた服を着て町外れにぽつんと座り込んでいる少年――ハクを発見した。
「君がハクくんだね。お母さんが心配しているよ。一緒においで」
と、人通りの無い屋外で、知らないおじさんが言っていた。
俺だった。
話しかけた相手は、帰る所が無いように見える、幼い美少年だった。
思わずお巡りさんや世間の目を警戒して、素早くかつ目立たないように周囲を警戒した。
すると、なんかいた。
でかい何かが、いた。
それは、ハクくんの前にドッと立ちはだかった。
その大きな影は、背中に巨大な断刀『首斬り包丁』を背負っていて、口を布で覆っていて、雪の中なのに、やけに薄着の大男だった。
――鬼人・桃地再不斬だ。
(えっ、もう出会ってたの? 原作の補正力すごすぎない??)
一触即発の空気が漂う中、俺は慌てて両手を挙げて平和的解決を模索した。
ここで不審者同士で争っても、誰も幸せになれない。
「待ってください! 争うつもりはありません! 俺はハクくんのお母さんと最近結婚した者です。ハクくんを迎えに来ました」
再不斬がハクに「本当か?」と確認を取るが、ハクの母はハクには黙って消えたのだ。知っているわけが無い。
当然ひと悶着はあったが、町外れとは言え町の中。抜け忍の再不斬は目立つわけにもいかず、話し合いを続けてくれたおかげで誤解は解けた。
解けたところで、ついでにスカウトした。
「ついでに再不斬さん、貴方もウチの里でほとぼりを冷ましていきませんか?」
「……あぁ!?」
凶悪な目つきで睨みつけてくる再不斬に、俺は即座にプレゼンを開始した。
「あなたは追われる身。霧隠れの追忍が、うるさいでしょう? 我がうちはの里なら完璧な隠密性と高い給与、さらに福利厚生を約束します。ハクくんの成長環境としても最適です」
里の長、水影暗殺でクーデターを起こそうとして失敗。それが桃地再不斬の罪状だ。
我がうちは一族にとっては、本気で他人事には思えないので、保護は高い確率で通ると思う。
気持ちはわかるでしょう? と問えば、きっと一族みんなが否定できない。
再不斬はチラリとハクを見下ろした。
ハクは俺の「お母さん」という言葉に反応して、目に希望の光を宿して、再不斬の服の裾をキュッと掴んでいる。
計算ではなく天然でそれが出来るあたり、恐ろしい子。
俺がハクの将来性に恐れを抱いている間に、再不斬の心は決まったようだ。
再不斬は深いため息をつき、首斬り包丁を背中に戻した。
「……義理たぁ言え、ハクの親なら一応は信用してやる。乗ってやるよ、その誘い」
コイツ、出会ったばかりなのに、もうハクくんにほだされきっている……!?
ハクがやはり恐ろしい子なのか、それともコイツ、実はめちゃくちゃチョロいのでは……?
ちょっと味方にするのが怖くなってきたが、今更無かった事にもできない。
こうして俺は、ハクと鬼人・再不斬の同時回収(スカウト)に成功したのだった。
プライベートな旅行とは何だったのか。
急ぎうちはの里へ戻ると、ハクはお母さんと感動の再会を果たし、泣きながら抱き合っていた。
父親の訃報は、まあ、何日かあとに伝えればええか……
その傍らで、再不斬はなぜか我が一族の警務隊(兼・防衛事業部)の応接室で、長老たちと茶をしばいていた。
さっそく馴染んでいらっしゃる。
「お前さんが首斬り包丁の再不斬か。元霧の忍刀七人衆ならば、我が里の特別講師として申し分ないな」
早くない? 採用試験、無かったよね? 採用決定が早くない?
「フン…… 好きにしろ。ただしハクの教育環境と飯の保証はきっちりしてもらうぞ」
あっ、コイツまだハクの保護者を続けるつもりだ。手放す気とかサラサラ無いぞ。ホントにどこまでほだされてるんだ。
だがハクのお母さんの夫は俺なわけで。ハクの保護者は母親と俺じゃないかと思うんだが。
…………まあ、いいか。
親戚ですらない、近所のおじさんも保護者の一人でいいか。
保護者なんて、多分たくさんいてもいいものだろうから。
遠くからその光景を眺めていたイタチが、またしても万華鏡写輪眼をぐるぐるさせながら俺の隣に歩み寄ってきた。
それ無駄遣いしないほうがいいよ?
「あの男は、霧隠れの鬼人・桃地再不斬だな? なぜ一族の長老と、いきなり仲良くやれているんだ?」
クーデター失敗仲間だから…… かな……
だがそんな事実は辛いだけなので、置いておいて。
「ああ、イタチさん。再不斬は俺の連れ子を、一時期保護してくれていた人です。悪い人じゃありませんよ」
「連れ子? 一体いつの間に。というか、なぜお前が動くと、いつも危険人物が味方になって帰ってくるんだ……?」
頭を押さえて胃を痛めるイタチを横目に、俺はあえて気楽に言い切った。
「これでまた里の戦力は増えました。だから大丈夫。絶対大丈夫ですよ」
こうして桃地再不斬は「ハクくんの保護者(兼 戦術講師 兼 特別戦力)」として見事にうちはの里に定着した。
未払い残業代の回収で培った我が一族の略奪の手際、もとい治安維持ノウハウを熱心に学び、逆に里の者たちに無音殺人術を教えて、意外と充実した日々を送っているようだ。
そんな平和な日々が過ぎ、大蛇丸が無事クローン技術を確立して、うちは一族の写輪眼部隊が、永遠の閉じない万華鏡写輪眼部隊へとアップグレードして、各地の戦場で蹂躪を始めてしばらくした頃。
木ノ葉隠れの里で、中忍試験が開催される事になった。
そうだね。思いっきり原作イベントだね。
勿論気になるし行きたかったが、仕事があって、最初からは見られなかった。
「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ……! それがオレの忍道だ」とか見たかったんだけどなあ。
だが仕事があったから、仕方がないのだ。
やっと体が空いたのは、中忍試験の予選も終わり、本選までの1ヶ月間の準備期間の頃。
俺が里の業務の合間に、神威の応用で木ノ葉の演習場まで跳んだ時だ。
ちょうどそこでは三忍の自来也と、原作どおりのオレンジ色のジャージを着たうずまきナルトが特訓(?)の最中だった。
「おい、エロ仙人! 早くもっとすげぇ術教えろってばよ! ……アレ? アンタ誰?」
うん。ガムシャラで口の悪い、典型的な原作どおりのうずまきナルトだ。
突然現れた俺に、無頓着な態度で聞いてくるあたりも、実にらしい。
だが他里の人間で、大人でもある俺を相手に、それは無い。
綱手さまの同僚、ご同輩の自来也に対して、その口のきき方なのもいただけない。
「ドーモ、ナルトくん。うちはの特別上忍です。大人に対して、その態度はシツレイですよ」
「あぁ!? 誰だってばよオメーは! うちはの奴か!?」
突っかかるナルトくんに対し、俺は静かに万華鏡写輪眼を起動した。
アイサツにアイサツを返さないのは、スゴイ=シツレイなのだ。即座にスレイされても仕方が無い。ショッギョムッジョ。
あれ? これ別の世界の忍者の理論だったっけ?
まあ似たようなものだろう、たぶん。
「言葉で教えても時間がかかりますからね。手っ取り早く『新人研修』を行います。インストラクション=ワンです」
「え……? グワーーッ!?」
月読を発動すると、術者と被術者は精神世界へと移動する。
精神世界の中では、時間の流れを自在に操作できる。
そこで行われる、1秒間に24時間のビジネスマナー講座。
名刺の渡し方、お辞儀の角度、電話対応、敬語の使い方、報連相(報告・連絡・相談)の徹底、顧客への心理的アプローチetc etc……
社畜として培ったあらゆる社会人ノウハウを、脳内に直接叩き込む。
『はい! 相手の目を見てハキハキと! 名刺は胸より高い位置で両手で受け取る!』
「ハイヨロコンデー」
『「オレ」じゃなくて「私」! もしくは「弊社」!』
「ハイヨロコンデー」
『「~ってばよ」は語尾の口癖としてプレゼン時のキャッチコピー以外では封印!』
「もうカンベンしてくれってばよ!」
1秒後、現実世界に戻ったナルトくんはハァハァと息を荒らげ、膝をついた。
「ハァ……ハァ……! なん……だ、今のは…… 挨拶の仕方が、頭から離れねぇ……!」
ほう。まだまともに喋れますか。なら もう一回いけるな。
「おや、まだ意識がハッキリしているとは。さすがは素晴らしいド根性。では、第2セット」
「えっ、待っ――」
そしてまた1秒(24時間)が過ぎ。
また1秒(24時間)が過ぎて。
また1秒(24時間)が過ぎた。
横で見守っていた自来也が「おいおい、そいつの目がどんどん死んでいっとるぞ。何をしておるんだお前は」と引きつった顔で缶ビールを落としそうになっている。
たが、俺は止まらない。無視して続行した。だって思った以上に、いい感じに育ってきてたから。
計7セット。時間にしてわずか7秒。しかし、ナルトの精神の中では「7日間不休の地獄の社内研修」が経過していた。
その体感時間は168時間。
パチッと月読を解除すると、ナルトは雪崩のように倒れる……
……かと思いきや。
背筋をピンと伸ばし、すっと立ち上がった。
その眼差しからは、かつての青くささや無駄な反抗心が消え失せ、洗練されたビジネスパーソンの光が宿っていた。
それでいて意志の強さは消えていない。いい感じに仕上がっている。
「大変失礼いたしました。うちはの御使者様。先ほどは我が不徳の致すところ、非礼をお詫び申し上げます。あらためまして、ごアイサツを。ドーモ、うずまきナルトです」
深々と、正確に45度の角度で頭を下げるナルト。
「な、ナルト……!? お前に何があった? そこのお前は何をした!?」
狼狽する自来也。うん、はたから見てただけじゃわかんないよね。
でももう終わった話なんだ。
「自来也さま。例えばですが『~ってばよ』は、ビジネスの場では信頼感を損ねるリスクがございます。他にも修正すべき礼儀作法が多く、眼に余ったので、少々修正をさせていただきました」
「俺の口癖にまでダメ出ししてきたんだ」
完璧だ。実に呑み込みが早い。やはり四代目火影の血筋、ポテンシャルは極めて高い。
俺は満足して頷くと、あらかじめ用意しておいた「卒業の証」が入った大きな紙袋を彼に手渡した。
「素晴らしい成長です、ナルトくん。これは研修終了の記念と、我が『うちは派遣事業部』への出向準備としての支給品です」
袋の中身を取り出すナルト。そこにはシワひとつない、高級生地で仕立てられた黒のビジネススーツ、撥水加工の施された、しかし底は樹脂で野外活動も可能な革靴、分厚い書類や電卓、契約書を収納できる黒革のアタッシュケースが入っていた。
「これは……!」
いや、これはじゃないが。
自来也はそう思ったが、ツッコミは入れられなかった。なんかそういう空気ではない、と熟練の木ノ葉の忍びのカンが告げていたからだ。
「君の初陣(本選)に向けた『戦装束』です。スーツに袖を通し、そのアタッシュケースという名の武器を持って、日向の宗家・分家問題に風穴を開けてきなさい」
ナルトは感極まった表情でスーツを抱きしめ、少し涙ぐんだ、しかし強い目で俺を見つめた。
「ありがとうございます! うちは派遣事業部の名に恥じぬよう、本選では完璧なプレゼンテーションを披露し、日向ネジ殿との業務提携(勝利)を勝ち取って見せます!」
「よし、良い返事だ。ただうちの名前で仕事をする以上、チェックはするから、事前に資料は見せるように」
「ハイヨロコンデー」
ナルトはさっそく資料作りに入るのだろう。おそらくは自宅か、調査のために日向の屋敷か。ともあれこの場から、駆け出していった。
あっ、そうだ。
「あ、自来也様。彼の指導料ですが、後日木ノ葉の経理に請求書を送っておきますね」
「有料なのか!!!」
溜め込んでいたせいか、ツッコミは激しく大きかった。
そんな自来也の叫び声を背に受けながら、俺は満足の笑みを浮かべてその場を後にした。
思う存分、いい指導が出来た。うん、満足だ。
こうして後日、中忍試験本選の演習場に「スーツを着た営業マン人柱力」が降臨したのだった。
感想多いなあ、と思ったら日刊ランキング一桁(7位)…… だと……
ありがとうございます。