二番隊にて
「いやだいやだいやだいやだぁ!!!!!!!織姫ちゃんが帰るのはしょうがないけど夜一さんは残ったって良いじゃんかぁぁあ!!!!!」
「や、やめよ!榊花副隊長殿!!夜一様にも事情というものがあるのだ!だから!だから・・・・、うぅ・・・」
「おいおい砕蜂隊長まで・・・、まいったね、こりゃどうも・・・」
「いやだぁぁぁああ「双骨・・・!」ゲビャッ!!」
こうして、尸魂界を騒がせた旅禍達は現世へと帰っていった。裏切り者の、藍染達の問題は残ったままだけど、それは尸魂界の問題だ、彼等には関係ない。彼等は彼等の目的を果たしたのだから、朽木ルキアを助けるという目的を果たしたのだから。だから見送ろう、少年たちの帰還を、友達を助けた英雄たちの凱旋を。・・・・でも夜一さんは置いてけよ、あとやっぱり織姫ちゃんも。
「・・・知ってる天井だ・・・・・」
山爺の双骨で吹っ飛ばされた次の日、僕は自宅で目を覚ました。何か最近も似たようなことがあったような気がするぞ?・・・医学的に言うと気絶って死ぬ一歩前なんだけどね、僕は何時か味方のツッコミで命を落とす気がするよ。
「おっ仕事、おっ仕事、行っきたっくない!おっ仕事、おっ仕事、めんどっくさい!・・・よし!今日はサボろう!双骨で内臓がグチャグチャになったことにして休もう!!」
「ダメに決まってるじゃないですか!どれだけ仕事が溜まってると思ってるんですか!?早く準備してください!!」
仕事に行かなくても良い完璧な理由を見つけた僕の耳に聞きなれた声が届いた。あれ、ここ僕の家だよね?僕結婚した記憶ないんだけど。
「何故に君がここにいるんだい?勇音ちゃん。嫁入り希望なら、まずは卯の花隊長を倒すところからだよ?」
「ち、違いますよ!!?!総隊長の一撃で内臓がグチャグチャになっていた榊花副隊長をずっと治療してたんですよ!!命の恩人ですからね!私!」
「あはははは。そうなんだー、ありがとね!・・・・・・・・・・・・・ぇ?」
どうやら僕は本当に生死の境を彷徨っていたらしい、どおりでさっきまで寝てた布団が血塗れなわけだ。・・・・何してくれてんの?あのジジィ、ただのツッコミで尸魂界随一の治癒能力者を殺しかけてんじゃないよ、意識がなければ僕でも自己治癒できないの知ってるでしょうに。
「・・・なら余計休むべきなのでは?・・・そうだよ!瀕死の副隊長がやっと目を覚ましたんだ!これは念のために今日一日様子を見るべきだ!そうは思わないかい?勇音ちゃん!」
「思いません、ほら早く行きますよ」
にべもなく断られた。なんか勇音ちゃん最近卯の花隊長に似てきてない?寂しいよ僕は。
「おや、珍しく時間どおりですね。おはようございます、霊司。勇音も、お疲れ様です」
「おはようございます、卯の花隊長。何か勇音ちゃんが僕と結婚する為に卯の花隊長に決闘を申し込みたいらしいですよ?」
「どんな嘘ですか!?やめてください!!嘘ですからね!?卯の花隊長!!」
勇音ちゃんに引きずられ、嫌々、渋々、断腸の思いで四番隊舎に訪れた僕たちを卯の花隊長が美しい笑みで迎えてくれる。すごいね、瀕死の副隊長を部下に押し付けた人の笑顔とは思えないよ。
「それでは霊司、さっそくですが怪我人の治療をお願いしますね。先程、虚に手傷を負わされた方がいらしたので」
「男ですか、女ですか」
「男性の方です」
はい、もうやる気なくしました。・・・嫌だよぉ、男の治療なんかやりたく無いよぉ!僕は可愛い女の子とお喋りするだけの仕事がしたいんだ、せめて女の子の患者来てくれぇ・・・、いやそれはそれで女の子が可哀そうだから嫌だけどさぁ・・・。
「勇音はこれを二番隊舎に届けてくださいますか、この時間なら砕蜂隊長もいらっしゃると思うので」
「分かりまし「ちょっと待ったぁぁああ!!!」ぴゃぅ!?」
・・・何?ぴゃぅって。・・・じゃない!二番隊に、砕蜂隊長に届け物?渡りに船じゃないか!!このチャンスを逃すわけにはいかないんだ!・・・見えた、隙の糸!!!
「その書類、不詳この榊花霊司が届けましょう!!例え火の中水の中、
「・・・いえ、ですから貴方には治療をお願いしたいのですが。それに書類を届けるくらい勇音に任せれば・・・」
「いいえ、いいえ!!?!卯の花隊長が後回しにしたということは大した怪我ではないのでしょう!?それにもし書類を届けている最中に勇音が
「いや、瀞霊廷にそんな・・・、はぁ。分かりました、お好きになさい・・・」
「っしゃあ!!!!それじゃあ行ってきまーーす!!」
へへへへ、これでサボれるぜ!!
「邪魔するでぇーー!!」
「・・・邪魔するなら帰ってくれねぇっすか?」
「あぁん!?卯の花隊長の命令で書類を届けに来た僕を追い返そうってぇのかぁ???」
おそらくは尸魂界の未来を左右するであろう重要な書類を届けに二番隊舎に出向いたら追い返されそうになった。・・・どういう教育をしてるんですかねぇ!?二番隊はぁ!夜一さんが隊長だったときはこんなことなかったんだけどなぁ!!
「何を騒いでいる、大前田。・・・榊花副隊長殿・・・!?何故ここに・・・?」
「やぁ砕蜂隊長、実は重要な書類を届けにに来たんですよぉ・・・。中に入ってもいいですよね?」
「・・・ああ、構わん。・・・大前田、茶を出してやれ」
「へぇ・・・」
へへへへ。流石、砕蜂隊長。話が速いぜ。
「あ、これ卯の花隊長からの書類です」
「・・・書類は本当の事だったか・・・」
ま、失礼しちゃうわ。まるで僕が仕事をさぼる為に嘘の用事を用意したことがあるみたいじゃないか。・・・・いやまぁ、あるけども。
「それで、またサボりか?榊花副隊長殿」
「うん」
「・・・・大変だな、卯の花隊長も」
実は、僕と砕蜂隊長の付き合いは結構長い。まだ夜一さんが隊長を務めていたころからの付き合いだ。夜一さんに心酔しきっていた砕蜂隊長と、夜一さんに付きまとっていた僕。行動範囲が被ることも多く、よく二人で夜一さんの好きな所しりとりを繰り広げたものだ・・・。解釈の不一致で怒鳴り合いになることも少なくなったけど。
その縁で鬼道や剣術を教えていた期間もある。つまり僕は砕蜂隊長の師匠でもあるんだ!だから砕蜂隊長は今でも僕に頭が上がったり上がらなかったりする。まぁ、位は向こうの方が上だからね。
「それでね?酷いんだよ、卯の花隊長。ずっと男の患者ばっかり見させるんだ、今見てる女の子の患者なんて雛森副隊長だけだよ!?信じられる?」
「まぁ、それが四番隊の仕事ではあります・・・、あるからな。仕方ないだろう」
「そうなんだけどさぁ・・・、気が滅入っちゃうよ」
実はこうやって二番隊舎に入り浸って仕事をサボるのはちょこちょこあることなんだ。何せ、大前田家の財力のお陰で快適なうえに、仕事をサボれて、可愛い女の子と喋れて、卯の花隊長にばれても砕蜂隊長が庇ってくれる。・・・もしかして此処こそが僕のいるべき場所なのでは?僕は訝しんだ。
「どうした?榊花副隊長殿。急に黙って」
「・・・いや、一切の証拠を残さずに浦原喜助を殺害する方法を考えてた」
「急に物騒だな・・・、実行するときは呼べ。手を貸してやる」
さっすが砕蜂隊長、話が分かる。
「それにしても随分と隊長職が板についてきたね、僕も自分の事の様に誇らしいよ」
「・・・貴方のお陰だ。隊長に就任して間もない頃、貴方が隊長職の仕事を手伝ってくれていなければ私はつぶれていたかもしれない。それに今でもこうして時々様子を見に来てくれる、これでも感謝しているつもりだ」
・・・やばい、泣きそう。こんなに真っすぐ感謝されるのなんて何時振りだろうか?いつもいつも殴られてばっかだからこういうのに弱いんだ僕は。・・・いつもふざけてる僕が悪いとかいう正論は無しだよ。
「なに、君なら僕が手を貸さなくても立派な隊長になってたさ」
「かもしれん、だが実際に貴方は手を貸してくれた。この感謝は受け取ってほしい」
ごめん、卯の花隊長、勇音ちゃん。僕はこの子と結婚します。
「隊長、そろそろ・・・」
「・・・もうそんな時間か、すまんな榊花副隊長殿。この後総隊長殿に呼ばれているんだ」
「そっか、それはしょうがないね。・・・僕もそろそろ雛森副隊長の様子を見に行かなくちゃだし、今日は解散かな」
「そうか、それじゃあまた」
「うん、また今度」
砕蜂隊長と別れて二番隊舎を出たころには少し日が傾きだしていた。可愛い教え子との会話に時間を忘れてしまっていたみたいだ。・・・けど偶にはこういう日があっても良いんじゃないかな。
「いやぁ、良い一日だった」
「それは良かったですね、まさか書類一つにここまで時間がかかるとは思っていませんでしたよ」
卯の花隊長にばれても砕蜂隊長が庇ってくれる。でもそれは砕蜂隊長が近くに居る時だけだ。何が言いたいかって?
「座興は、此にてお仕舞」
「冗談きついぜ卯のはなあぁぁあっぁぁぁあああああああ!!??!!?!?!?!」
僕の命はここまでって事さ!
少しの間日常回です