【悲報】ピッケル100本折ったアホ、神ハンターに暴言を吐いて人生をチェックメイトされる 作:翔田美琴
打ち上げタル爆弾Gの導火線に擦られたマッチの火が近づくのを見て、父親は喉の奥から悲鳴を絞り出し、レッドの首根っこを無理やり地面に叩きつけた。
「ほ、ほらッ! テメェも頭下げろッ! すんませんでしたァッ! 悪気はなかったんです、このバカがモガの村の掟を知らねぇ田舎者だっただけで……!」
父親自身も額を石畳に擦りつけ、脂汗を垂らしながらまくし立てる。
一方のレッドは、地面に顔を押し付けられながら、血走った目を斜め上に走らせていた。
「……す、すいやせんでした……。悪かったよ、ピッケル壊したのも、オッサンをペテン師って呼んだのもよ……。謝りゃいいんだろ、謝りゃあ……」
口先だけの平伏。
その声音には反省の色など一片もなく、ただ目の前の爆薬と村人たちの殺気から逃れるためだけに吐き出された、薄っぺらな言い訳の響きしかなかった。奥歯をギリギリと噛み締め、爪を地面に食い込ませながら、心の中で「今に見てろ、絶対に全員見返してやる」と毒づいているのが誰の目にも透けて見えていた。
広場を取り囲む村人たちから、失笑と舌打ちが漏れる。
「あーあ、あの態度見ろよ。全然反省してねぇや」
「『謝りゃいいんだろ』だってさ。耳を疑うね」
「親父の方も『悪気はなかった』で48万ゼニー踏み倒す気満々じゃないか。親子揃って性根が腐ってやがる」
漁師頭はマッチの火を吹き消すことすらせず、冷たく見下ろした。
「口先だけの謝罪なら、森のジャギィの威嚇鳴きの方がまだ誠意があるぜ。……おい美琴の嬢ちゃん、この野蛮人どもに『謝罪』がどれだけ無意味か、数字で引導を渡してやってくれ」
人垣を割って歩み出た美琴は、冷酷な眼差しで手帳の頁をめくった。
「ええ。口頭による謝意表明など、法的には1ゼニーの価値も持ち得ませんわ」
美琴は、地面に擦り付けられた親子の頭上へ、冷え切った宣告を落とす。
「『すいませんでした』という言葉で、粉砕されたピッケル104本が元に戻るわけでも、村の金属備蓄が回復するわけでもありません。必要なのは反省のポーズではなく、損害額48万ゼニーの弁済計画書の提出です。……今この場で一括返済できないのであれば、お二方揃って『モガの森・危険区域での無期限強制採取労働』の契約書に血判を押していただきます」
「きょ、強制労働……!?」
父親が悲鳴を上げ、レッドはギョッとして顔を跳ね上げた。
「な、なんで俺がタダ働きしなきゃならねぇんだよ! 謝っただろーが!」
「学ぶ頭のない者が負った負債は、己の肉体と時間で切り売りして補填する。……これこそが、あなたが軽視し続けた社会の基本原則ですわ」
美琴は一瞥すら与えず、ペン先で契約書の署名欄を指し示した。
口先だけの謝罪で全てをやり過ごそうとした浅知恵は、冷徹な契約の前に、粉々に打ち砕かれていた。