【悲報】ピッケル100本折ったアホ、神ハンターに暴言を吐いて人生をチェックメイトされる 作:翔田美琴
高台の手すりに優雅に腕を預けたレムが、朝の清々しい風を浴びながら、階下で木製の算盤を前に脂汗を流すレッド一家へ、涼やかな声を投げかけた。
「ねえ? 学がないって、モンキーと同じって知ってた?」
底抜けにお気楽で、それゆえに一片の悪意も繕われない残酷な問いかけ。
広場の村人たちがピクリと耳をそばだて、集会所の板敷きで正座させられていたレッドが、引きつった顔を跳ね上げる。
「道具の構造を理解できずに力任せに叩き壊し、果実と毒草の区別もつかずに口へ放り込み、腹が減れば喚き、都合が悪くなれば身内でキーキーと怒鳴り散らして毛繕いならぬ殴り合いを始める。……ほら、森に棲む牙獣種の生態そのものじゃないか」
レムはくすりと笑い、銀髪を指先で軽く梳いた。
「モンキーならまだ愛嬌があるし、毛皮や牙として村の資源になるだけ有益だ。だが君たちは、服を着て二足歩行をしているだけで、中身は学習能力を投げ捨てた猿以下だ。48万ゼニーの負債を撒き散らす分、野生のモンスターより性質が悪い」
「な、なんだとテメェ……ッ! 猿だとォッ!?」
レッドが血走った目を剥いて立ち上がろうとした瞬間、美琴の双剣の鞘が寸分の狂いもなくその鳩尾へと突き刺さった。
「ぐふッ!?」
「座りなさいと申し上げましたわ。言葉が理解できず衝動だけで跳ね起きるあたり、まさにレム様の仰る通り知性を欠いた猿そのものです」
美琴は眉ひとつ動かさず、冷淡に足元の練習帳を指先で弾いた。
「知性を尊び、文字と数を学び、他者と契約を結ぶからこそ人間は社会を営めるのです。それを『頭でっかち』と見下し、腕力だけで生きてきたあなた方が、今さら人間として扱われる筋合いなどありません。……ほら、モンキーの親子。さっさと『薬草』の三文字を書きなさい。書けなければ、今日の昼食はバナナすら出ませんわよ」
広場の漁師たちからドッと下卑た笑い声が沸き起こった。
「違いない! モンキー一家だ!」「猿の曲芸にしては出来が悪すぎるな!」「ほら、キーキー鳴いてみろよレッド君!」
子どもたちまでもが「お猿さーん! お勉強の時間ですよー!」と囃し立て、父親は「すんません、すんません! ほらレッド、書くんだ! 猿って言われて悔しくねぇのか!」と泣きながら息子の頭を小突く。
優雅に海を眺めながらティーカップの香りを愉しむ神ハンターと、地べたで文字ひとつ書けずに「猿」として嘲弄される愚者。
知性を捨て去った者が人間社会の最底辺で受けるべき報いが、容赦なくその身に刻みつけられていた。