【悲報】ピッケル100本折ったアホ、神ハンターに暴言を吐いて人生をチェックメイトされる 作:翔田美琴
高台のテラスから、カチャリとティーカップがソーサーに戻される澄んだ音が響いた。
「もういいよ、美琴。授業は中止だ」
レムの気怠げで、しかし絶対的な冷気を孕んだ声に、広場の喧騒がピタリと止まった。
鉛筆を握りつぶしそうになっていたレッドも、息子の頭を叩いていた父親も、チョークを構えていた子どもたちも、一斉に視線を高台へと向ける。
「レム様? まだ四則演算の初歩すら通っておりませんが」
美琴が手帳から視線を上げ、わずかに眉を寄せる。
レムは手すりに寄りかかり、銀髪を潮風に遊ばせながら、ゴミ箱の中身を一瞥するかのような無機質な眼差しをレッド一家へと投げ落とした。
「知性を授ける価値もない。豚や猿にペンを持たせたところで、紙を汚すだけ時間の無駄だ。文字や数を教える前に……まずは自分たちが如何に無価値なゴミか、身の程を知るのが先決じゃないかい?」
「な、なんだと……ッ!?」
レッドが喉を鳴らし、父親が真っ青になって硬直する。
「勉強というのはね、己の無知を恥じ、向上を望む人間にのみ許された特権なんだよ。学ぶことを憎悪し、他人の善意を踏みにじってきた手合いに与えるには、あまりに贅沢すぎる。……美琴、机もドリルも全部片付けなさい。彼らに必要なのは教室じゃない」
レムの薄い唇に、冷徹極まりない弧が刻まれた。
「モガの村の生活水準、物流の規模、そして私が1日で生み出した価値。……それらと自分たちの存在価値を、文字も数字も使わず、ただその鈍重な肉体と五感だけで徹底的に比較させてあげるといい」
美琴は即座にレムの意図を察知し、酷薄な笑みを浮かべて手帳を閉じた。
「承知いたしました。……聞きまして、粗大ゴミの皆さん? お勉強の時間は終わりですわ」
美琴は村の自警団へ顎をしゃくり、冷酷な指示を飛ばした。
「全財産の没収、支給品の即時凍結。そして彼らを、モガの村の最も底辺――加工屋の鉱滓捨て場と、農場の堆肥溜めの前に立たせなさい。自分たちが吐き出したツルハシの鉄屑の山と、レム様がもたらした豊かな実りをその濁った眼球で見比べさせるのです」
「お、おい! 待てよ! 勉強させてくれるんじゃねぇのかよ!?」
レッドが慌てて叫んだ。先ほどまであれほど嫌がっていた幼児向けドリルに、今さら縋り付こうと手を伸ばす。
だが、その手を漁師の長靴が無慈悲に踏み躕いた。
「何を勘違いしているのかしら?」
美琴が氷のような声で見下ろす。
「勉強から逃げ続けたあなた方に、人間扱いの猶予期間はもうありません。己が無知であることの罪、社会にとって害悪でしかない現実を、まずはその骨の髄まで叩き込まれなさい」
広場に置かれていた机や紙が容赦なく撤収され、一家の前に残されたのは、ただ冷たい石畳と、打ち上げタル爆弾Gを構えた漁師たちの冷酷な視線だけだった。
高台の上で、レムは新しい茶に口をつけ、もはや見下ろすことすらやめて遠い水平線へと目を向けた。
知性を冒涜した者たちへの本当の地獄――「学ぶことすら許されない絶対的底辺の自覚」が、幕を開けた。