【悲報】ピッケル100本折ったアホ、神ハンターに暴言を吐いて人生をチェックメイトされる 作:翔田美琴
引きずり回されるようにして連行されたペテン師一家を待っていたのは、モガの村の各施設を巡り、己の無価値さを徹底的に叩き込まれる「冷淡な視線ツアー」だった。
モガの漁港
波止場には、レムの投資と緻密な海流計算によって最高水準へと大改修された大型狩猟船が停泊していた。船倉からは、獲れたての大食マグロや古代魚、水竜の極上素材が網から溢れんばかりに引き揚げられている。
「おいおい、足元気をつけろよ。その汚ぇ泥足で獲物に触るんじゃねぇぞ」
腕組みをした漁師頭が、煙管をくゆらせながら一家を一瞥した。その瞳には軽蔑すらなく、ただの汚物を見るような無機質な冷淡さしかなかった。
「レム様が一枚の海流図と的確な指示をくれたおかげで、船は毎日大漁、村の食糧庫はパンパンだ。……で、そこのゴミどもは何を持ってきた? 海に落ちたサシミウオの骨一匹拾えねぇで、船着き場をウロウロするだけか? 魚の餌にすらならねぇ肉塊だな」
「ひっ……!」
父親が縮こまり、レッドは獲物の放つ豊かな潮の香りに喉を鳴らすが、漁師たちから一斉に突き刺さる「寄るな、臭い」と言わんばかりの冷たい眼差しに射すくめられ、一歩も近づくことすらできない。
モガ農場
続いて引き立てられた農場では、かつて見たこともないほど緑が繁茂し、完熟した怪力の種や巨大なハチミツの巣箱が整然と並んでいた。管理アイルーたちが忙しそうに荷車を押している。
農場長のアイルーは、レッド一家が敷地に入った瞬間、持っていたクワをピタリと止めた。その真ん丸な瞳には、一切の愛嬌が消え失せていた。
「入るニャ。足の裏を洗ってから来るニャ……いや、洗っても無駄ニャ。ここはレム様が注ぎ込んでくれた膨大な資源と、緻密な土壌管理で成り立っている神聖な畑ニャ」
農場長は、レッドがかつて投げ捨てた「石ころ1個」を木箱の隅から拾い上げ、レッドの足元へポトリと落とした。
「あんたが初日に寄越した価値はこれだけニャ。肥料の一粒、土の一握りにもならないゴミ屑ニャ。自分たちがどれだけ豊かな恵みに寄生しようとしていたか、その足りない頭でよーく見つめるニャ」
周囲の作業アイルーたちも手を止め、冷ややかに、まるで畑を荒らす害虫を駆除する直前のような冷徹な視線を一家へ浴びせかけた。
加工屋
ツアーの終着点は、熱気と槌音が響く加工屋だった。工房の脇には、レッドが力任せに叩き折った「ピッケル104本の残骸」が、無残な鉄屑の山となって積み上げられていた。
竜人族の親方は、熱した鉄を冷水に浸け、鋭い水蒸気を立ち上らせながら、ギロリと一家へ視線を向けた。
「……自分のしでかした『業』の山だ。よく見ろ」
親方は金槌の柄で、赤錆の浮いた鉄屑の山を指し示した。
「鉱石の筋も読めず、道具への敬意もなく、ただ腕力でぶっ叩いてへし折った104本の死骸だ。お前らが『ちょっと道具を折っただけ』と吐き捨てた鉄の一本一本に、どれだけの職人の血とギルドの輸送コストがかかっているか、考えたこともねぇんだろうな」
親方は唾を吐き捨てるように、冷たく言い放った。
「レム様が持ち込む素材はどれも傷ひとつなく、無駄な加工を一切必要としねぇ至高の逸品ばかりだ。それに引き換え、お前らが持ち込むのは道具の破壊と負債の山だけ。……職人の技術を冒涜するゴミに、この工房の敷居を跨ぐ資格はねぇよ」
漁港の富、農場の実り、そして加工屋の技術。
知性を磨き、準備を怠らない者がもたらした圧倒的な繁栄を前に、ペテン師一家は自分たちが村の誰からも必要とされておらず、ただの「負債を撒き散らすだけの害悪」であることを、冷え切った視線の雨の中で嫌というほど思い知らされていた。