マブラヴ アンチオルタネイティブ   作:新人ガイア

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独立技術開発局『カムラ』

人類の歴史は敗北の歴史である

BETAという地球外起源種との戦いで人類は一度も勝つことが出来ず後退し続けていた

中国から始まり度重なる敗北により土地を奪われついには此処、日本にその戦火が降りかかろうとしている

 

1997年 4月14日 日本帝国 首都京都

 

「はぁ…」

 

車の後部座席で京都の町並み見ながらこれから向かう場所のことを考えため息を吐いた

《山百合女子衛士訓練校》文字通り衛士になるべく学生が切磋琢磨する教育施設だ、今日から俺はそこで他の生徒と同じく授業を受けるためにそこに向かわされている。

橋にさしかかると学校のグラウンドに日本の戦術機『瑞鶴』が着陸するのが見えた

 

「…白か」

 

ポツリと口に出た。すると俺に横にいる俺の身元保証人、火群空義(かむらうつぎ)博士が持っていた書類を落とし驚いた顔をして俺を見ていた。

 

「え?何を見て白なんて言った!?まさかさっき橋にいた女生徒の下着かね!?」

 

意味がわからなかった。何のことだと記憶を整理すると確かに視界の隅に橋のところで瑞鶴のブースターの風圧でスカートがめくれそうになっていた女生徒が確かにいた

 

(ほむら)くん、まさか君がそういうのに興味があったとは…僕は嬉しいよ!」

「はぁ…何を勘違いしてるんですか博士。ほら見てください、瑞鶴の色が白でしょ?」

 

俺は呆れながら博士にグラウンドを指差し機体のカラーリングを確認させた

 

「なんだそんなことか、はぁ~残念だよ焔くん。君ももう16なんだから一般の男子と同じ感性をもってほしいのにぃ~僕は悲しいよ!」

 

博士は酷く落胆し書類を拾い直す、一般の男子は異性の下着に興味があるのか?理解できん。ただの布だろ

 

「焔くん、きみは特別だ。生まれた時から何もかも(すぐ)れていて強くて賢い。まぁそうなるようにデザインされてるからね。ゆえに誰も君にはかなわない。誰もが思うだろう、君のようでありたいと!だけど君には決定的な問題がある。それは、圧倒的なコミュニケーション能力の無さだ!」

 

ビシッと俺を指差し断言する。認めたくはないが確かにそうだ、俺は研究所の外の人間と関わりを持とうとしないし必要性を感じられない。そんなことをしなくても解るからだ。

 

「…はぁ。」

「君は研究所に慣れすぎた。そりゃあ研究所の皆は家族のような存在だから気兼ね無く会話できるけど外の人間は部外者だ、君にとっては興味すら沸かない存在だろう?でもそれでは困るんだよねぇ~」

 

わかっていることをぐちぐちと、だから今学校に運ばれてるんだろう

 

「はっきり言って今の君はBETA並みの存在だ!」

「俺は害獣かなにかか?」

「いんや、会話すら出来ないロクデナシさッ!」

「もっとヒデェよ!?」

 

そこまでか!?そこまで揶揄されることか!?

 

「だから君には学校でクラスメイト達と交流をして友達を作ってもらう。名付けて『焔くんオルタネイティブ計画』さ!!」

「馬鹿にしてんのかッ!!」

「言っとくけどズルはしちゃ駄目だよ?ちゃんと言葉を交わして相手に寄り添うんだよ~でないと僕達の計画が次の段階に移行できないんだから。」

「グッ…はぁ、わかってるよ博士、俺の存在が計画の要であるからな。この程度のことで博士を煩わせる訳にはいかない、やるだけやってやるさ。」

「フフッ…あぁ是非そうであってくれ(まぁ無理だろうけどね)」

 

おい博士!今の俺には無理とか思っただろ!馬鹿にしやがってぇ…絶対見返してやる!

 

 

 

 

 

 

 

唯依Side

 

「…はぁ」

 

篁唯依は授業の準備をしながらポツリとため息を吐いた。登校中に一般の女生徒の陰口を聞き思うところがあり自問自答を繰り返していた

 

「どうしたの唯依?」

 

唯依の隣の席に座っているクラスメイト甲斐 志摩子(かい しまこ)が不安げに唯依の様子をうかがう

 

「え?…ごめんなさい私なにか言ってた?」

「覚えてないの?さっきから暗い顔してため息を吐いたいたのよ」

「あぁ…ちょっと考え事をしてて…」

 

とまたため息を吐く

 

「大丈夫なの?気分がすぐれないなら教官に言った方が」

「本当に大丈夫だから気にしないで。」

 

自分のせいでこれ以上友人を心配させないために志摩子に微笑み語り掛ける

それでもと志摩子は心配するが教官が入室したため引き下がるしかなかった

 

「今日は講義を始める前に一つ報告がある。入れ。」

 

教官の指示に従い2人の男性が入室する。1人は糸目でなんか裏切りそうな胡散臭さを醸し出す日本人。国連軍のマークの付いた白衣を着たいかにも研究員といった服装と左腕に『独立技術開発局《カムラ》⋅第一研究所』と書かれた腕章が着いている。

もう1人は透き通るような白い肌に灰色ががった銀髪と濃い紫色の目をした少年だった。

少年も国連軍の制服を着て右腕に同じ腕章を着けている。

 

(ロシア人?いや日本とのハーフ?)

「ねぇアレって!」

「ッ!!」

唯依の後ろの席の石見 安芸(いわみ あき)が少年を指差しており唯依はその先をたどると驚愕する。

 

「嘘!?」

「そんなはずは!?」

「私たちとそんなに変わらないのに…」

 

各々が少年の胸にあるウイングマークに集中し困惑する

 

(衛士!?あの子が!?)

 

まだ候補生の自分達と同年代の少年が衛士の証を身に付けていることに唯依も驚きを隠せなかった

 

「静まらんか貴様ら!」

 

教官の怒号にざわめいていた教室が一気に静まり返る

しばらくすると白衣の男がいい加減な敬礼をしながら口を開いた

 

「やぁどうもぉ~国連軍から来た独立技術開発局《カムラ》の第一研究所主任の火群空義だよぉ。こっちは研究所専属衛士の焔くんだよ。」

 

博士に紹介された焔は博士とは対照的に姿勢を正し綺麗な敬礼する

 

武鬼焔(たけき ほむら)。階級は少尉。以上だ。」

 

淡々と必要最低限の自己紹介だった

 

「焔くんは特殊な事例で衛士になったから基本的なことを知らないんだ。そこで君達の授業を見学して衛士がいかにして衛士たるのかを理解してもらおうと思うんだ」

 

は?と唯依達は思った。言ってる意味はわかるがいまいち納得が出来なかった。それは焔も同じであった

 

「博士よ、俺は此処で授業を受けるために来たのではないのか?」

「う~ん確かにそう言ったけどぉ、衛士に関することは全部教えたし正直必要ないんだよねぇ。君は衛士になるべくして生まれて来た特別な存在だから、過程を知って普通の衛士がどんな努力をして衛士になるのか知ってほしいんだ。ほら見るだけで知れるなんて楽なものだろ?」

 

あっけらかんとした博士の態度に焔は内心苛立ちながら状況を受け入れることにした

 

「…そう言うことか。了解しました、謹んで見学させていただきます。」

「という訳ですので教官殿、くれぐれも焔くんに失礼のないように。貴君が元大尉であろうとこちらは独立の機関、一介の軍隊とは立場が違うのでその事をゆめゆめ忘れずに。」

 

そう言い博士は教官に圧を掛ける、博士の顔は笑顔であったが決して笑ってなどいない

 

「…心得ています准将殿。武鬼少尉、席はご自由にお座り下さい」

((((准将ッ!?))))

 

胡散臭い博士だと思っていたのがまさかの准将であることに彼女達は驚きを隠せない

そんな彼女達を尻目に焔は自分が座る席をどこにするか考えながら歩いていた

 

「じゃあね焔くんまた後でねぇ~」

 

焔には満面の笑みを浮かべ、手を振りながら退室していった。

 

「ねぇ見学てどう言うこと?なんであたし達のとこでッ」

「知らないわよ!そもそも国連軍が斯衛の学校に来るなんて」

 

安芸と隣の席の能登和泉がああでもないこうでもないと言い合ってるなか唯衣はどの席にしようかと歩いている焔を観察していた。

 

(玩具や飾りとは違う正真正銘の衛士の証、本当に衛士なんだ。)

 

まじまじとを観察していると焔がどんどん唯依の方へと近づいてく

 

「え?」

 

そしてついには唯依の隣の席にたどり着いたていた

 

「ふむ、此処が丁度良いか。」

 

席と教壇の距離を計り満足したように頷き隣の席の唯依に顔を向ける

 

「…よろしく。」

 

無表情で短く、焔は唯依を見てそう言った。だが

 

(こっちを見ていない?)

 

焔の目には確かに唯依を捉えていたが彼女に興味も関心もなく只そこにいるだけの人としか見ていなかった

 

 

 

 

これが篁唯依と武鬼焔の出会いであった

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