死霊術師(ネクロ)ちゃんピンチ! 作:段々剃刀
・レナータ・ハーカー
女死霊術師。倫理観に問題がある。
死体に狂っている。
・アナスタシア・カンバック
女魔法使い。倫理観は商売でよく使っている。
金に狂っている。
・グレナデン・ド・レジュレクシオン
女騎士。倫理観は状況判断による。
妹に狂っている。
一見完璧超人に見える走るイノシシ粉砕機ことグレナデン・ド・レジュレクシオン。
魔物をものともしない圧倒的な暴力と、さわやかで凛々しい顔面の暴力。
さらに実家が太くて社交的でと持たざる者への無意識の暴力を披露するゴリラ担当ゴリラ。
もはや妬むのも馬鹿らしくなるようなきらめきに、死霊術師レナータは引きつった笑いしか浮かばない。
しかし完璧超人が言い放った一言は、瀕死のレナータをさらに追い詰めるのであった。
というところである。
「────君も妹にならないか?」
「えっ、無理……」
口を半開きにして胡乱な目で硬直したレナータを見て、聞こえなかったらしいと判断したグレナデンは再度問題の発言を繰り返した。
それに対して、咄嗟に漏れ出たのは包み隠すところのない本音である。
どういう意味なのだろうかとか、何を考えてるんだろうこの人とか、そういう相手への思考が一切ない、極めて反射的で純粋な「気持ち悪っ」という本音である。
しかしグレナデンの微笑みに一切のかげりは見られない。
むしろ、仕方のない子だなと言わんばかりのいつくしみが深くなったくらいである。
コワイ!
「最初に会ったとき、すぐにわかったよ。隠しきれない甘えたな性質。しかして引っ込み思案。その
なにいってんだこいつという胡乱気な視線にさえ、まるで動じるところがない。
仕方なしに横のアナスタシアに視線で救援を求めてみたが、残念なことにそのアナスタシアの目も死んでいる。なに言ってんだこいつという気持ちで二人は一つだった。
そういえばこの女魔法使いは事前にグレナデンともルネーとも話し合っているはずである。その時点でこの突拍子もない発言を耳にしていたとすれば、それはまあ、難しい相手だと判断することだろう。
「レナータ。君がなぜ至高の領域にいたっていないか教えてあげよう。君が一人っ子だからだ。兄や姉がいないからだ。甘えるべき親を失ったからだ。妹になろう、レナータ。そうすれば、いくらでも甘やかしてあげるし、頼らせてあげよう。君も安心を得られる」
レナータは少し俯いてなんかもっちゃりした半笑いを浮かべることしかできない。
紅茶のカップを漫然と見下ろして、僅かな振動によって生じる波紋を読み取ることで流体力学や波の性質について考えることでやりすごしていたが、多分この顔のいい暴力装置はろくでもないことを言っているのだと思う。
隣ではアナスタシアがタルトからイチゴを取り外して皿に並べ、それをタルトの上に並べ直すという不毛な繰り返しに従事することで心を無に保っていた。
しかしうずくまって嵐が過ぎ去るのを待つことは果たして正しいのだろうか。
どれだけ人が正しく生きようとしても、自然というものは時として理不尽に牙をむく。そしてその理不尽は、ただ頭を下げて目をつぶればなくなるというものではない。
抗わねばならないのだ。
立ち向かわなければならないのだ。
生きるために。生き残るために。
そら、言葉が紡がれる。
畳みかけるように言葉の奔流が、レナータのやわな心を削っていく。
受け身でいては、それを防ぐことはできない。
圧倒的な
「甘えることも頼ることも、妹という儚い生き物の美しさだ。甘えてくれるからこそ、頼ってくれるからこそ、たまらなくいとおしく尊いのだ。可愛さというものは肉体に対してのみ使う言葉ではない。君は可愛い。いい匂いもする。卑下することはない。何度でも言おう。私の価値基準では君は可愛い。君にも事情はあるだろうが、私の妹になってほしい」
「……えっ、これ応えないと駄目なやつなんですか?」
「頷くまで繰り返してきそうな感じはするわよね……」
たまたま角度的に流れ弾を食らってしまった一般店員や一般客がくらりと当てられるほどの、圧倒的さわやかイケメンスマイル。しかしレナータは正直なところ生者の顔の美醜にそこまで興味がないので効果はない。うわ眩しいとは思うが。
第一、どれだけ笑顔が魅力的だろうと、言っていることは端的に気持ち悪いのである。
どういう人生を送ってどういうトチ狂い方をしたらこのような血迷った発言ができるのかは不思議ではあるが、知りたくはなかった。
「えー…………その、すみませんが、意味が、その、あの」
「私の妹になってほしい。勿論血のつながりはないから、
「質問に対して三倍くらい意味不明にして返すの止めてもらえます……?」
きらりと白い歯が輝くが、もちろん現状の説明には何の役にも立たない。
妹がゲシュタルト崩壊しそうだ。
アナスタシアに何度目かのヘルプ・コールを飛ばすが、残念なことに頼れる大人のお姉さんにも無理なものは無理だった。腕力で敵わず、発言の意味も分からない女が相手というのは、魔法使いというジョブには荷が勝ちすぎた。医者か警察の出番だろう。
レナータはなんかもっちゃりした半笑いをひきつらせながら、手の中の
逃げられるならと、いつも逃げてきたレナータではある。
しかしいまや、こうなってはもはや逃げきれるものではないというどん底まで追い込まれてしまっている。死亡を誤魔化して死体細工にしてしまった勇者アネモネ。証拠隠滅をもくろんで失敗し、意識を保ったまま巻き添えにしてしまった魔法使いアナスタシア。常にピンチ続きで、場合によってはそのまま人生のゲームオーバーなのである。
レナータ・ハーカーは、覚悟を決めた。
猫耳キャスケット越しに頭を雑に揉み解し、脳を落ち着かせる。
やらねばならぬのであるから、やらねばならなぬのである。
どうしようもなくどうしようもなくても、やらねばならぬのである。
妹になってほしいとかいうトンチキで気持ち悪い相手であっても。
背中に「心底嫌」の三文字を背負いながら、レナータは戦うことを決めるのだった。
「つまりその……
そして盛大に初手から大悪手である。
アナスタシアは茶を噴き出しかけ、グレナデンの笑顔が一瞬引きつりかける。あ、こらえた。
「勘違いしないで欲しい。私は童女を愛好するわけでも、童女に性愛を抱くわけでもない」
「あ、で、ですよね」
「確かに君はほぼ童女と言っていいが」
「それはどうかと……」
「わかるわ」
「わかられちゃった……」
しかしそうなるとなおさらレナータには理解できなかった。
「その、じゃあ、妹というのは……妹のようにふるまってほしい、ということでしょうか……?」
「心からの妹になってほしくはあるが、ひとまずはそのように考えてもらっていい。君はすでに至高の領域に近い妹だが、妹としてのありようを心掛け、妹として私に接してくれるのであればこれほど嬉しいことはない。
「ええ……?」
「一度でも呼んだらそこから畳みかけられるわよ」
アナスタシアが間髪入れずにフォローに入る。
心外だと肩をすくめるグレナデンだが、もはやレナータにもこの女をどんな目で見ればいいのかわからない。
顔だけは百点満点の女は、仕方ない子だなと言わんばかりの困り顔だが、困っているのはこっちである。まだロリコンだった方が素直に気持ち悪いだけで済んだが、執拗に妹概念を押し付けてくるのは得体のしれない気持ち悪さがある。どちらがましという話でもないが。
「妹というのは、そうだな、具体的に言えば、私をお姉ちゃんやお姉様と呼び、親しみながらも敬い、甘えて、頼りにしてほしい。お菓子をあげたら無邪気に笑って喜んでほしい。たまにわがままや生意気なことを言って困らせてくれてもいい。膝の上でとりとめのない話をしてくれてもいい。何の理由もなく駆けよって抱き着いてくれても構わない。私が抱き上げてあげるのもいいな」
「この早口っぷり、あんたが死霊術の話してる時の感じよね」
「え、こんな気持ち悪いんですか?」
「オブラートに包みなさいよ。まあそうだけど」
夢見るような甘いスマイルに誤魔化されそうになるが、発言内容自体はあまりまともではない。
顔の良さと声の良さと雰囲気によって許されているものの、これが中年男性の口から出ていたら非難轟々だろう。
イケメンは何をしても許されるという事例のギリギリ際を駆け抜ける気持ち悪さである。あるいは踏み外しているかもしれない。それでいて平然としている。右足が沈む前に左足を出し、左足が沈む前に右足を出して駆け抜けてくる。沈め。頼むから。
「そして私の希望として、また君への報酬として、君を当家に養子として招きたい」
「…………養子? つまり、貴族の、お家の……? わたし、平民なんですけど……」
「なに、気にすることはない。君はとても高い妹力の持ち主だ。何の問題もない」
「なにいってんですかこのひと」
「大丈夫みたいよ。こいつ、その手の義妹が十人くらいいるらしいから」
「はあ?」
「そんなに多くはない。実の妹が四人。義妹は八人だ。私の可愛いお姫さまたちだよ」
「
もはやレナータには理解がおよばない領域だった。最初からだが。
そんなにと言いながら誤差の範囲内であるし、そもそも合わせて十二人の妹はどう考えても少なくはない。それだけいれば十分だろうに、さらにレナータまで義妹にしようというのがもう理解できない。いや、そもそも血の通った妹がいるのに養子をとってまで妹を増やす気持ちからして理解できないが。
しかもどうやら家の都合などではなく、グレナデン個人の欲求から養子を増やしているのである。
ますます意味が分からない。
「それは、その、なんかこう……揉めないんですか? おうちのなんか的に……?」
「安心したまえ。厄介な相続関係は義妹には降りかからないようにしている。本家とは割り切られた関係だ。あくまで個人の身分と待遇を保証するという……いわば一代限りの義妹というわけだな。もちろん、望むのであれば縁談も手配するが、貴族のややこしい面倒は気にしなくていい」
レナータの漠然とした貴族観からくる語彙力の死んだ質問にも、安定した返答が返ってくる。もはやこなれてさえいる。どんだけ義妹交渉に慣れているのだろうか。一代限りの義妹とか、ご存知ないワードの力が強すぎる。
「数が多いから不安に思うかもしれないが、義妹には不自由はさせていない。さすがに父や実妹の住む本宅に住まわせるというわけにはいかないが、快適な
「えー……わたしも、そう、その……その義妹に?」
「ああ。君はきっと素晴らしい妹になってくれると思っているよ」
口を開く度に知らない単語を増やしていくのは本当にやめて欲しい。なんだ妹宅って。
「あの……えー……わたしはその、勇者隊に残りたいので、そういうのは……」
「もちろん、勇者隊で活動してもらってかまわないさ。死霊術も好きにするといい。何ならお小遣いも出してあげよう。義妹になれば、父も強くは言ってこない。私は勇者隊として活動しながら妹と接することができる。ウィン=ウィンというやつだな」
絶対違うと思う。
思うが、しかしレナータは自信がなくなってきた。
もともと自分に自信がないのである。
そこに、自信の塊みたいな顔した女が、自信満々にトンチキなことをまくしたてるのである。そうなるとなんだか自分の方が間違っているのではないかと、そう言う気持ちになってしまうのである。
いつくしむような微笑みで、言い聞かせるように穏やかに語り掛けられると、自分がだだをこねてわがままを言っている子供であるような気さえしてくる。
根拠のない罪悪感がむしばんでくるのである。
そして、この契約に特に問題がないというのが問題だった。
つまり、レナータが義妹契約を承諾したところで、「妹として振舞う」ことしか求められていないのである。それだけで、現状を維持した上で、さらに衣食住まで保障してくれるという。実態は皆無に等しいとはいえ、貴族の養子というのは身分の保証としては最高峰でもある。
操屍術師は死体細工の整備維持だけでなく、研究にも金がかかるから、そこにフォローが入るのは純粋に嬉しい。
受け入れてもよさそうな感じがしてしまうのである。
「えー……あの、あれ、ですよ。ルネーちゃんとかの方が妹っぽいんじゃ……?」
「ルネーか。あれも困っしゃくれた妹感があるが、断られてしまってな」
「すでに……」
「『生理的に無理なのです』とな」
「全否定じゃないですか……」
苦し紛れに仲間を売るような発言をするレナータであったが、すでに交渉した上、断られていたらしい。思った以上に節操のない勧誘である。
しかしこうなると、断っても実害がないという判断材料までできてしまった。
実害がないなら断ればいいじゃないか、ということではない。むしろ逆に、「なんにもしないなら、話を受けてみても……」などと思ってしまうのである。逃げ道があるなら首を突っ込んでみようかななどという考えが浮かんでしまうのである。
念でつながっているアナスタシアもそういう心の揺らぎを感じ取ったので、咄嗟に制止しようとした。ここで迂闊に話を受けるのはやばいと。具体的な話を聞いてしまっては戻れなくなるかもしれない。
などという商人としての慎重な姿勢はちょっと遅かった。
空気の読めないレナータは、妹になるのは嫌だが
「にゃー……
寸時、店内の空気が静止したようでさえあった。
グレナデンのいつくしむような微笑みは、ぎしりと軋む。
アナスタシアの呆然とした顔がレナータを見下ろしている。
しかし当のレナータはそんなあからさまな空気の凍りっぷりに全く気付かないまま、自分なりに情報を咀嚼して、話を進めようとしてしまっている。絞り出した前向きさが完全に裏目に出ていた。いくら前向きを装うとしても、肝心のその目は相手を見ていないのである。
「わたしが妹っぽいかどうかはわからないですけど……
ドン引きしたアナスタシアが止める間もなく、レナータはべらべらと思いつくまま
先ほど自分でおののいていた「え、こんな気持ち悪いんですか?」という話し方である。自分の専門分野のことならば、饒舌にもなるのだ。完全に的外れどころか全力で大暴投しているが。
倫理的にも心証的にも、あちこちにビーンボールを大乱射である。
本人的には徹頭徹尾、善意からの申し出なのがなおさらたちが悪い。
えへへぇ、と滅多にない明るいはにかみ笑顔を浮かべながら、問題発言しかしていない。
「…………アナスタシア?」
「これが素らしいわよ、この子。妹は止めといたほうがいいんじゃないの」
「いや、これはこれで、夢中になっちゃうと周囲が見えなくなる妹っぽくていい」
「メンタルが鋼鉄なの?」
さすがに怯んだらしいグレナデンであるが、しかし立て直すのも早かった。
グレナデンもまた、顔のいい厄介な女にぶつけるべく選ばれた顔のいい厄介な女なのだ。
厄介さと倫理観の欠如っぷりではいい勝負だ。
「レナータ、誤解しないで欲しい。私は妹をペット扱いなどしたことはない。飼育などという言葉を使わないでおくれ。ましてやアンデッドの……造り物の妹など。私はただ妹を愛で、そして妹に愛されたいだけなんだ」
改めて妹論を構築しようとするグレナデンに、しかしレナータはかっくりと小首を傾げた。
カワイイ。反射的にそう和んでしまったグレナデンに、空気を読まない死霊術師トークが返ってくる。
「死んでる妹はダメですか?」
「そもそも死体で妹を造ろうという考えは私にはないよ」
「
グレナデンの口が「は」の形で半開きになったまま、静止した。
顔のいい女は間の抜けた表情でも顔がいいのでお得である。
「……なにを?」
「妹さんが四人いて、それでも満足できなくて八人も妹を
「そういう、そういうことではないんだ。それに、妹を犬猫のように言うのは止めてくれないだろうか」
「あ、ご、ごめんなさい。えっと、それじゃあ、えー、あの、
「あたし妹っていう単語の使われ方がわかんなくなってきたわ」
「そうなると妹の質に疑問が生じますね。十二人の異なる妹がいて、さらに次の妹を求めるというのは、グレナデンさんに不備があるか妹に不備があるんですよ。求めている妹概念が実在の妹実体に由来するものではないのか、妹環境が理想状態にないのか、どちらにせよただ妹を増やせば満足するものではないと思います」
「心の病気の話かなんかしてるのこれ?」
一度自分の土俵に上がったからか、レナータはいつになく饒舌だった。
そもそもレナータは喋ることは苦手ではないのだ。ただ、会話するのが苦手なだけで。自分のペースで自分のことを話している分には、無制限にひたすら喋れるのである。世間一般ではそれをコミュニケーション障害と判断しがちだが。というかまさしく
「わたしが妹になった場合も、恐らくグレナデンさんの妹欲求は一時的にだけ改善され、理想との乖離による失望から更なる妹を求めることでしょう。悪循環です。これはいけません。ストップ妹。ノーモア妹です。やがて妹への失望から暴力や薬物など反社会的な道に進んでしまうかもしれません」
「あんたこれでも妹に欲しいの?」
「話を聞き流していればとてもかわいい」
「無敵なの?」
「それに難しい話は正直分からん」
「無敵の人なの?」
途中から理解を放棄した点はレナータやアナスタシアと同様であるが、一方的に「カワイイ」を摂取できる分、グレナデンは一枚上手の精神性を持っているようだった。上か下かは定かではないが。
仕草が洗練されていて、貴族として文句のない振舞いをするから誤魔化されがちだが、これは脳筋ゴリラなのである。顔のいい暴力装置なのである。
難しいことはわからない。
世の中には殴って解決することと殴っても解決しないことがあることはわかるが、殴らないで解決する方法はよく知らないタイプの蛮族なのである。
ゴリラから賢さと思い遣りを引いたバトル・ゴリラなのである。
しかしそれでも、敵の殺し方を選ぶ程度の知能は持ち合わせているゴリラだから、会話が通じているような感じにはなる。
「レナータ。私には君の言っていることはよくわからないが、君はご自慢の死霊術で、私が理想とする妹を造れると、そう言うのかい?」
「うぅん、実際に造って調整してみないと何とも言えませんけれど、でも天然物の生身の人間に、たまたま理想の妹概念が実装されているのを待つよりは、造った方が早いと思います。必要なものは盛れますし、必要ないものは削れます。でもグレナデンさんの欲しい妹がどんなものなのかよくわかってないので、そこはまとめて欲しいです」
人と会話するのではなく、要求仕様を確認する、そう言う頭でいるからか、レナータの舌は比較的なめらかに回った。テンプレートで返答を成形して打ち出せるからだ。
自由な会話では選択肢が無制限に増えてしまって処理落ちするが、内容が限定された会話であれば割くべきリソースは少なくて済むのだ。
グレナデンは投げかけられた問いかけ、つまり望んでいる「妹概念」に改めて向かい合い、少しの間沈黙した。
甘えてほしい。頼ってほしい。笑いかけてほしい。わがままを言って困らせてほしい。
それらは確かに妹に望むものだ。
しかしそれは妹そのものではない。
自分にとって妹とは何なのか。自分が望む妹とは何なのか。自分が妹たちから得られなかった、本当に望む妹とは何なのか。
グレナデンの思考は深く沈んでいき、妹のカタチを探して記憶を潜り始めた。