ダンジョン・ドリフター ~退職金でキャンピングカーを買ったら、放置していたスキルが『SSSランク:完全複製(コピー)』だった件。最強スキルを拾い集めて全米横断の旅に出る~ 作:パラレル・ゲーマー
アイアンベイルのトレーラーの中で朝のアラームが鳴った時、マットはすでに起きていた。
彼はここ数分間、ずっと天井を見つめながら、装備ラックの横に置かれた剣について考えていた。
やがて、彼は起き上がった。
武器はまだそこにあった。
安心した。
【レア・ファウンドリー・ロングソード】
要求レベル:9
暗黙プロパティ:命中精度 +45
物理ダメージ:10–25
【モディファイア】
物理ダメージを 1から3 追加
物理ダメージが 48% 増加
攻撃速度が 7% 増加
本物の武器だ。
適切に構築(ビルド)された武器だ。
どういうわけか彼がブラックホロウ、2回のボス戦、アッシュフィールド果樹園、そしてアイアンベイルの初日まで引きずり回していた「レベル1の訓練用ツール」ではない。
マットは顔をこすった。
「いまだに恥ずかしいな」
古い剣はベッドの下で引退生活を送っている。
それくらい休む権利は十分にある。
マットは着替えてコーヒーメーカーを動かした。
短時間だけ『完璧な温度』をスロットに入れ、マグカップをまさに望む温度に修正し、それからすぐに「朝のクラフト用ペア」へと切り替えた。
『生命の刻印』。
『元素の守護』。
どちらも、一晩で1日10回の使用回数にリセットされていた。
『重き刃』と『迅速なる鍛造』もリセットされている。
マットは意図的にそれらを手付かずのままにしておいた。
彼はまだアイアンベイルの武器市場を学習中であり、それに『迅速なる鍛造』は彼自身の「手袋」に使う日が来るかもしれない。カウンターが「10」だからというだけの理由で有用な武器クラフトのキャパシティを燃やすのは、彼がこの数日間で「やらない」と学んできたまさにその種の最適化ミスだ。
『ライフと耐性のバッチ』は別だ。
そのプロセスは完全に理解している。
前日の夜、マットはアイアンベイルの日用品(コモディティ)市場から、安価でクリーンな初心者用ベースを10個と、それらを処理するために必要なコモン通貨を購入していた。プレミアムな暗黙プロパティなし。価値のあるベースタイプもなし。ボスが都合よく落としてくれた無限の余り物でもない。
原材料を入れて。
完成した装備を出す。
マットはコーヒーを一口飲んだ。
「工場、始動」
今や、実際の生産作業はほとんどありふれた日常(マンデーン)になっていた。
ベースを準備する。
最大ライフを確定させる。
適切な属性耐性を確定させる。
ロールを記録する。
次へ進む。
平凡な結果もあった。
強力な結果もあった。
一つのライフのロールを見て、彼は一瞬だけそのピースをキープしようかと考えた。
マットは自分の装備と比較した。
「いや」
市場行き(マーケットバッチ)だ。
朝食が終わる頃には、10個の初心者用レアアイテムが販売準備を整えていた。
『生命の刻印』と『元素の守護』は今日の分を使い切った。
『重き刃』と『迅速なる鍛造』は完全に手付かずのまま残っている。
防具の生産は完了。
武器クラフトのキャパシティは温存。
マットは一度だけ経済性(エコノミクス)を確認した。
前回の4アイテムのテストバッチは、1個あたり平均400ドル(約6万円)強で売れた。もし今日の10個のアイテムが同じように動けば、総売上(グロス)は4,000ドルから4,500ドル(約60万〜67万5000円)の間に着地する。
総売上(グロス)だ。
利益(プロフィット)ではない。
ベースには金がかかっている。
通貨には金がかかっている。
マーケットプレイスの手数料もある。
税金もかかるだろう。
マットはホワイトベースによって訓練(トレーニング)されている。
今ならそれがよくわかる。
それでも、付加価値(バリューアッド)は素晴らしいものだった。
「今日の朝飯で、インディアナ滞在費が払えそうだな」
その文章は、依然としてひどく奇妙に響いた。
マットは完成した10個のアイテムをクッション付きのコンテナに詰めた。
ゲートに向かう途中、彼はアイアンベイルの『マーケットプレイス・ディスパッチ・カウンター』に立ち寄った。
スタッフが各ピースをスキャンし、アイテムIDとモディファイアを検証し、マットの所有権を確認し、装備を保険付きの委託販売として封印した。
そのプロセスが終わって初めて、出品は有効(ライブ)になる。
10件の出品が有効(アクティブ)になりました
物理的な装備はマーケットプレイスの物流システムの中へと消えた。
もしマットがダンジョンの中にいる間にどれかが売れれば、買い手は倉庫、地域ハブ、そして保険付きクーリエ(配達)を経由してそれを受け取る。
魔法ではない。
ただの物流(ロジスティクス)だ。
マットはプロとしてそれを承認(アプルーブ)した。
そして、彼はゲートへ向かった。
朝の防具生産は終わった。
今日残された仕事は『管理職(マネジメント)』への対応だ。
◆
マットは歩きながら、アイアンベイル・ワークスのダンジョンガイドを開いた。
昨日の実地テストで、武器の問題は解決した。
新しい剣は、彼の討伐時間(キルタイム)を本来あるべき姿に戻してくれた。
アイアンベイルはアッシュフィールドよりも硬いままだ。
単に、それが「適切に硬い」と感じられるようになっただけだ。
となれば、次の目標は明白だ。
【シフト・スーパーバイザー(交替班監督)】
アイアンベイル・ワークス — ボス
推奨レベル範囲:レベル 8–12
主な脅威(スレット)
・重度の物理攻撃
・強制移動 / 磁気変位(マグネティック・ディスプレイスメント)
・動くコンベアのハザード
・リベット・ドローンの増援
・オーバークロック(過負荷)フェーズ
マットはその名前を読んだ。
「『管理職(マネジメント)』か」
間を置く。
「当然だな」
添付された画像には、組み立てホールの内側に立つ巨大な『4本腕』のコンストラクトが写っていた。
マットはレベル9だ。
防具は再構築されている。
武器はついに進行度(プログレッション)に追いついた。
属性耐性もこのレベル帯にしては強力だ。
アイアンベイルの推奨範囲に快適に収まっている。
しかし、彼にはまだレベル8と9で得た『未使用のパッシブポイントが2つ』ある。
彼は装備の最適化を図る間、それらを保留していた。
昨日の探索で彼の攻撃力(オフェンス)は修復された。
見知らぬボスの直前に、これ以上急いでダメージを押し上げる必要はない。
マットはルークの初心者用パッシブツリーを開いた。
防御の枝(ブランチ)が、彼がすでに取得したノードの先へ続いている。
最大ライフ +5%
マットは見つめた。
「退屈(ボーリング)」
彼はそれを選択した。
次のノードの方がずっと面白かった。
【勇敢(ブレイブ)】
アーマー 24% 増加
回避 24% 増加
最大ライフ 8% 増加
マットは少しだけ背筋を伸ばした。
「……こいつは退屈じゃないな」
2つ目のポイントを消費。
システムが再計算する。
アーマーと回避に対する累積パーセンテージボーナスが大幅に上昇し、最大ライフのスケールが再び増加した。
それは間接的に『アリーナの達人』も強化する。
より大きなライフプールの1パーセントは、毎秒回復する絶対的なライフ量が増えることを意味する。
マットは微笑んだ。
「やっぱりこの相互作用はいいな」
武器は直した。
ライフの緩衝材(バッファ)は大きくなった。
アーマーも良くなった。
回避も良くなった。
ボスの時間だ。
◆
マットがゲート広場に到着した時、アイアンベイルはすでに賑わっていた。
このキャンプはアッシュフィールドとは違う朝のリズムを持っていた。大型車両が倉庫の間を動き回り、装備の買取業者がドアを開け、クラフターたちが資材の配達を受け取り、探索者たちが武器ケースを持って端末へ向かっている。
マットは装備を確認した。
フラスコ。
ポータル・スクロール。
新しい剣。
古い防御特化のブーツは、緊急時の選択肢として装備バッグの中にしまってある。
ウィンドランナーは履いたままだ。
『COPY』に関しては、『不動の歩み』と『瞬動』をキープした。
『過剰筋力』は魅力的だ。
非常に魅力的だ。
追加のSTR 20というのは微々たる差(サトル)ではない。
しかし、ボスのガイドは『強制移動』について明確に警告していたし、『オーバークロック』という名前はまさに「追加の反応速度(リアクション・スピード)が重要になるギミック」のように聞こえた。
『不動の歩み』が一つに答える。
『瞬動』がもう一つの回答を助ける。
新しい剣は、目先のダメージ問題をすでに解決している。
「管理職に工業機械の中に引きずり込まれたら、ダメージが増えたところで何の意味もない」
ロードアウトは決定した。
マットはアクティブなインスタンスを検索した。
インスタンス117 — 52/64 — ボス討伐済
ノー。
インスタンス121 — 46/64 — ボス討伐済
ノー。
そして:
インスタンス124 — 37/64 — ボス生存
マットは微笑んだ。
「これだ」
すでに37人の探索者が中にいる。
その大半はおそらく、通常の狩りルートに落ち着いているだろう。
ボスに興味がある奴は、すでに動いているはずだ。
マットは足を踏み入れた。
◆
『ガァン』
『シューッ』
『ズドン』
アイアンベイルが、いつもの工業的な暴力で彼を迎えた。
マットは即座に動き始めた。
彼は序盤のレイアウトを十分に把握しており、どの回廊が中央の組み立てセクターに向かっているかを認識できた。正確なマップは毎回変わるが、ルーティングの原則は変わらない。
内側(インワード)へ向かえ。
行き止まりになるメンテナンス棟を避けろ。
主要なコンベアホールを目印(ランドマーク)に使え。
ボス直行(ボス・ラッシュ)中は通常の戦利品を無視しろ。
ウィンドランナー・ブーツが助けになった。
8%は相変わらず素晴らしい。
数十ヤード先で、接続通路から別の探索者が現れた。
男だ。
大体マットと同じくらいの年齢。
軽量のダークブルーの装備。
先端に青く光るクリスタルがついた短い杖。
メイジ。
二人の男はお互いを見た。
それから、同じ中央ルートの方を見た。
メイジは微笑んだ。
「スーパーバイザー(ボス)?」
「ああ」
「じゃあ向こうで会おう」
彼が動く前に、淡い青色のマナが彼の体を包み込んだ。
マットのインターフェースが反応した。
【ユニークスキルを観測しました】
秘術の節約(アーケイン・エコノミー) — C
アクティブ / トグル
効果
アクティブ中、『魔法(マジック)』タグを持つスキルのマナコストが25%減少する。
魔法以外のスキルのコストは減少しない。
【フレーバーテキスト】
力が詠唱そのもので失われることは滅多にない。
それは「無駄遣い」によって失われるのだ。
マットは即座にその論理を理解した。
もしその男が、「魔法による移動を繰り返す」ボス・ラッシュのためにここに来たのなら、最初からずっとその割引(ディスカウント)を起動させておかない手はない。
有用だ。
マットの現在の物理ツールキットには無意味だが。
いつか役に立つかもしれない。
無制限のアーカイブがあるのだから、その疑問を今すぐ解決する必要はない。
マットはそれをコピーした。
その直後、メイジが消えた(バニッシュ)。
『パキッ』。
彼は回廊のはるか前方に再出現した。
マットは見つめた。
「……おいおい」
『瞬転(ブリンク)』。
スキルジェム。
瞬間的な短距離テレポート。
もう一人の探索者も、明らかにマットと同じ理由でここにいる。
ボス・ランナー。
マットはマナを集めた。
リープ・スラム。
彼は跳躍した。
二つの移動スキルの違いは即座に明白になった。
ブリンクは『瞬間的』だ。メイジはここで消え、あそこで存在する。移動時間(トラベルタイム)はゼロだが、ジャンプそのものの距離は比較的短く、明らかにクールダウンによって制限されていた。
リープ・スラムは実際にマットを空間越しに『移動させる』。クリアな弧と着地点が必要だが、1回の使用で大幅に長い距離をカバーでき、マナが続く限り連続して発動(チェーン)させることができる。
マットは着地し、走り続けた。
前方に90度のコーナーが現れた。
メイジが先に到達した。
『パキッ』。
ブリンク。
障害物を抜けて消え去った。
マットは立ち止まった。
「お前、マジでクソだな」
遠くから声が返ってきた。
「聞こえたぞ!」
マットは十分なクリアランスを見つけ、リープ・スラムを使って瓦礫の大部分を飛び越えた。
彼は再びメイジの後ろに着地した。
この競争(コンペティション)は馬鹿げたものになりつつあった。
マットはそれを楽しんでいた。
前方のガントリー(足場)からスクラップ・ハウンドが落ちてきた。
メイジは減速しない。
片手で青い運動エネルギー(キネティックフォース)をコンストラクトに叩き込む。
破壊された。
別のハウンドがマットを遮った。
クリーブ。
消え去った。
魔石がグレーチングの端に向かって転がっていく。
マットはそれを見た。
それから、メイジの方を見た。
「後でな」
彼は走った。
◆
次の直線区間で、彼らはほぼ並んだ。
地形(テレイン)が、どちらが有利かを絶えず入れ替え続けた。
ブリンクはコーナーと障害物を支配した。
リープ・スラムは長い直線と開けた生産ホールを食い尽くした。
『秘術の節約』が常にメイジを包んでおり、マットが魔法の移動スキルに予想していたよりもはるかにアグレッシブにブリンクを使うことを可能にしていた。
マットはその観察結果を頭の隅に保存した。
狭い動くコンベアがルートを横切っていた。
メイジは直接反対側にテレポートした。
マットはそのベルト全体と、その後ろにあるもう一つのベルトをまとめて飛び越えた。
彼ははるか前方に着地した。
メイジが一瞬遅れて彼の後ろに出現した。
「リープ・スラム、大嫌いなんだけど」
「お前テレポートしてただろ」
「ああ」
「そっちの方が不公平に見えるが」
「そんなことない」
「どうして?」
「俺のにはクールダウンがあるんだよ!」
「俺のはマナがかかる」
「俺のだってかかる!」
マットはそれを考慮した。
「一理ある」
彼らはもう一段階走った。
マットが付け加えた。
「それでもテレポートだけどな」
「地獄に落ちろ」
マットは笑った。
◆
前方にリベット・ドローンが降りてきた。
メイジが杖を構える。
マットの方が速かった。
ブレード・プロジェクション。
ファウンドリー・ロングソードのマナのコピーが上空へ撃ち出され、ドローンを破壊した。
メイジが彼を見た。
「それ、剣のスキルか?」
「ああ」
「ウォリアーって今じゃ遠距離攻撃も持ってるのか?」
「どうやらな」
「最悪だな」
「お前テレポートしてただろ」
「その話持ち出すのやめろ」
彼らは別の直線に入った。
メイジの息が少し荒くなっている。
限界(エグゾーステッド)ではない。
ボス・ラッシュのペース。
マットも快適というわけではなかった。リープ・スラムの連続使用はマナを消費し、度重なるスプリントは通常のスタミナを削り、ウィンドランナー・ブーツをもってしても『距離を無料(フリー)にしてくれる』わけではないのだ。
彼らはほぼ同時に次の交差点に到達した。
メイジが横を見た。
「ライアンだ」
「マットだ」
「これ、よくやるのか?」
「ボス・ラッシュか?」
「ああ」
「まだ2回目だ」
ライアンは危うく足を踏み外しそうになった。
「……マジで?」
マットはマナを集めた。
リープ・スラム。
彼は数ヤード前方に着地した。
ライアンがその後ろ姿を見つめた。
「おお、死ねばいいのに」
◆
中央の工場セクターはますます密度を増していった。
より多くのコンストラクト。
より多くの機械。
より多くの探索者。
二人組が別のルートを横切ったが、中央からは背を向けた。
ボス・ランナーではない。
マットとライアンは進み続けた。
プレス・ウォーカーが狭い出入り口を塞いでいた。
ライアンが詠唱を始める。
マットが先に到達した。
ヘビーストライク。
『ガシャァン!』
コンストラクトが崩れ落ちた。
ライアンは見つめた。
「その剣、めちゃくちゃ重いな」
「新品だ」
「良い買い物か?」
「クラフト品だ」
「いいね」
マットはそれ以上詳しく説明しなかった。
別の回廊。
警告のマーキング。
補強された扉。
その向こうに広がる開けた空間。
ライアンが微笑んだ。
「あそこだ」
ボス・アリーナ。
両者が加速する。
ライアンが入り口の近くでブリンクした。
マットはすでにリープ・スラムの準備を終えていた。
彼が跳躍し、ライアンを通り越し、組み立てホールの中に着地した。
0.5秒後:
『パキッ』。
ライアンが彼の横に出現した。
マットは彼を見た。
「俺の勝ちだな」
ライアンが罵った。
「リープ・スラム、クソ喰らえ」
「お前テレポート(略)」
「お前のことも大嫌いだよ」
マットはアリーナの中央を見た。
それから、ライアンを振り返った。
「両方とも戦うか?」
ライアンが頷く。
「ただ見てるだけのために、わざわざここまで走ってきたわけじゃないからな」
「お互い貢献したら、戦利品は等分(イコールスプリット)でいいか?」
「それでいい」
シンプルだ。
彼らは両方ともボスに到達した。
両方とも戦う。
分割できないものについては、後で対処すればいい。
できれば、大人のように。
彼らの足元で重機が動き始めた。
ライアンが中央を見た。
「さあ、お出ましだぜ」
◆
ボス・アリーナは巨大な円形の組み立てフロアだった。
6つの方向からコンベアベルトが入り込んでいる。暗闇から頭上のクレーンがぶら下がり、重機が周囲を取り囲み、中央の床は「非常に不快な何か」を支えられる程度には補強されているように見えた。
警告サイレンが鳴った。
そして、床が開いた。
油圧のうなり声。
巨大な何かが下からせり上がってくる。
高さは12フィート(約3.6メートル)近い。
煤で黒ずんだボイラーの装甲板。
太い工業用の脚。
4本の腕。
2本は巨大な油圧式の拳。
3本目は巨大なピンサー(万力)の爪。
4本目は重工業用の切断刃(カッティングブレード)を装備している。
その頭部は、中央に1つの黄色いスポットライトが燃える、ただの四角い装甲板に過ぎなかった。
【シフト・スーパーバイザー(交替班監督)】
アイアンベイル・ワークス — ボス
ライフ:100%
マットは見つめた。
「管理職(マネジメント)には腕が4本あるらしいな」
ライアンが杖を掲げた。
「どうやらそうらしい」
スーパーバイザーが完全に上昇しきった。
マットは突撃した。
ヘビーストライクが、ファウンドリー・ロングソードをボスの下部装甲に叩き込む。
『ガァン!!』
金属がひしゃげる。
ボスのライフが動いた。
劇的ではない。
だが、十分だ。
「よし」
スーパーバイザーが回転し、片方の油圧式の拳を振り上げた。
その巨大さにしては速い。
マットは直接の打撃(ダイレクト・ストライク)から距離を取った。
『ドガァン!!』
拳が床を叩き、アリーナ中に衝撃波(ショックウェーブ)を走らせた。
その外縁がマットを捉える。
彼のライフがわずかに落ちたが、補強されたアーマーが物理ダメージの大部分を吸収し、拡大されたライフプールが彼に余裕(マージン)を与え、さらに『アリーナの達人』が即座に残りの修復を開始した。
反対側から青い光が閃いた。
ライアンの運動(キネティック)攻撃が、スーパーバイザーの上部シャーシに命中した。
ボスがわずかに向きを変える。
ライアンがニヤリとした。
「お前がヘイト(アグロ)持ってるぞ!」
「アグロのシステムなんて存在しないだろ!」
「あいつ、お前の方を気に入ってるみたいだぜ!」
スーパーバイザーがマットに向かって大振りをした。
「……言えてるな」
マットは再び射程内に踏み込んだ。
戦いはパターンに落ち着いた。
ライアンが遠距離から攻撃する一方、マットは4本の腕の周りを動き回り、『瞬動』を使って重なり合う動作を読み切り、巨大な機械のスイングが硬直(リカバリーウィンドウ)を作るたびにヘビーストライクを叩き込んだ。
ピンサーが彼の横をかすめてパチンと閉じる。
カッターが水平に薙ぎ払う。
マットは刃をくぐり抜け、内側に入り、殴る。
ボスのライフが80%台後半に落ちた。
ライアンがアリーナの向こう側から叫んだ。
「悪くないな!」
「新しい剣なんだよ!」
「さっき言ってたな!」
「気に入ってる!」
その時、スーパーバイザーのヘッドライトが黄色から赤に変わった。
低い磁気の唸り声(マグネティック・ハム)がアリーナを包み込む。
マットはまず自分の剣が引かれるのを感じた。
次にベルト。
防具。
彼の体についているすべての金属が、突然一つの方向へ移動したがった。
ボスに向かって。
磁気引力(マグネティック・プル)
「おお」
身につけている金属がはるかに少ないライアンでさえ、数歩滑らされていた。
マットは足元から引き剥がされそうになった。
ピンサーが開く。
待ち構えている。
『不動の歩み』。
スタンスに抵抗力が満ちる。
彼のブーツは補強された床の上を削ったが、持ちこたえた。
マットが宇宙規模で不動(インムーバブル)なわけではない。
単に、スーパーバイザーが『不動の歩み』をクリーンに圧倒できていないだけだ。
ピンサーが数フィート(約1メートル)手前で虚しくパチンと閉じた。
マットは微笑んだ。
「……ほう」
磁場はすでに彼をボスに向かって引っ張っている。
彼はその流れに身を任せた。
ヘビーストライク。
『ガァン!!』
「運んでくれてありがとよ」
ライアンが0.5秒だけ詠唱を止めた。
「今の何だ?」
「ユニークだ」
「何をするスキルだ?」
「『不動の歩み(アンカード・ステップ)』」
ライアンは見つめた。
「ウザいくらい状況にピンポイントだな」
磁場が終わった。
マットはスキルを解除した。
「今日はな」
◆
ボスが80%を通過すると、アリーナの床のいくつかのセクションの下で警告灯が点滅し始めた。
マットは下を見た。
「なんかヤバそうだな」
ライアンは即座に動いた。
コンベアが起動した。
補強された床の一部が「動くベルト」に分割され、その上に立っているものをすべて、周囲の異なる工業機械へと運び始めた。
コンベア・スイープ(一掃)
床がマットの許可なく彼を横へ運び始め、同時にスーパーバイザーが切断アームを振り上げた。
「おい、マジかよ」
ライアンは即座に停止しているプラットフォームへとブリンクした。
マットにテレポートはない。
彼にあるのは『距離(ディスタンス)』だ。
リープ・スラム。
切断刃が下を薙ぎ払う中、彼は動くベルトから跳躍し、2つのコンベアレーンを飛び越え、ライアンよりも遠くにある安定した床に着地した。
ライアンが見つめる。
マットは微笑んだ。
「俺の方が遠くまで行けるぞ」
「黙れ」
コンベアが逆回転する。
ライアンがブリンクする。
マットは3歩助走をつけて再び跳躍した。
2つの移動スキルは、同じ問題をまったく異なる方法で解決していた。
ライアンは地形を『瞬間的に無視』する。
マットは地形を『一度にまとめて飛び越える』。
スーパーバイザーが動くベルトの一つに足を踏み入れ、その巨大な質量にもかかわらず横へスライドしていった。
マットは笑った。
「管理職(マネジメント)もコンベアには逆らえないらしいな」
「殴れ!」
「了解」
彼は再び内側へ入った。
◆
ライフ75%で、スーパーバイザーは4本の腕すべてを床に叩きつけた。
頭上の金属の扉が開く。
リベット・ドローンが降りてきた。
ライアンが見上げた。
「取り巻き(アッズ)だ」
「任せろ」
ブレード・プロジェクションが即座に1機目のドローンを排除した。
2機目も続く。
3機目が、スーパーバイザーの脚の横、近接戦闘の高さまで降りてきた。
マットは回答(アンサー)を変えた。
クリーブ。
赤い弧が両方のターゲットを横切る。
ドローンが消滅し、ボスも一緒にダメージを受けた。
取り巻きは、蓄積する前に一掃(クリア)された。
ライアンが口笛を吹いた。
「速いな」
マットは剣をちらりと見た。
「新しい武器なんでね」
「さっき聞いたよ!」
マットはニヤリとした。
◆
ボスは70%、そして60%へと突き進んだ。
ライアンは距離を保ち、魔法を撃ち続けた。『秘術の節約』のおかげで、彼のマナは戦闘を通じてはるかに長持ちしていた。
マットはその観察を脳裏に保存した。
有用なスキル。
今のビルドには合わない。
今のところは(For now)。
50%で、アリーナのサイレンの音程が変わった。
スーパーバイザーのヘッドライトが真紅に染まる。
内部の機械が金切り声を上げる。
オーバークロック(過負荷)
「おお」
違いは即座に出た。
4本の腕がほぼ独立して攻撃を始め、同時にボス全体が加速した。
油圧の拳。
ピンサー。
カッター。
2つ目の拳。
ライアンがブリンクで離脱した。
「動け!」
マットは『瞬動』を起動した。
ボスは遅くならない。
しかし、マットの知覚が鋭利になり、攻撃を一つずつ分離(セパレート)できるようになった。
彼は最初の拳を回り込み、カッターの下をくぐり、ピンサーから後退し、それからリープ・スラムを使って2回目の油圧攻撃を完全に飛び越えた。
彼はスーパーバイザーの背後に着地した。
ヘビーストライク。
『ドガァン!』
ボスはマットの予想よりも速く回転した。
切断刃が彼の防具をかすめる。
ライフが大きく落ちる。
マットは後退した。
「なるほど」
これはウサギのダメージではない。
彼はライフ・フラスコを使い、その間ライアンが魔法で露出した側面を叩いた。
フラスコが彼の安全マージンを回復させ、さらに『アリーナの達人』がその下で働き続ける。
そしてマットは再び中へ戻った。
磁気引力(マグネティック・プル)が戻ってきた。
『不動の歩み』がそれを受け止める。
今度はブーツが数インチ滑った。
オーバークロックが、ギミックをさらに悪辣(ナスティ)なものにしている。
まだ対処可能だ。
ピンサーが外れる。
マットは『不動の歩み』を解除し、足元のコンベアが起動すると同時に横へリープ・スラムした。
ライアンが反対側のレーンへブリンクする。
「まだお前のそのジャンプが気に入ってるのか?」
「ああ!」
「クソみたいな趣味(テイスト)だな!」
「テレポートは人格(パーソナリティ)じゃねえよ!」
ライアンがもう一発、運動(キネティック)ボルトを撃ち込んだ。
「なんか嫉妬に聞こえたが!」
「嫉妬してるからな!」
◆
オーバークロック・フェーズはより困難だった。
絶望的(カタストロフィック)ではない。
困難(ハーダー)だ。
さらに重要なのは、これが「マットが構築したほぼすべての防御レイヤーを同時に要求してくる最初の戦闘」だということだ。
移動スキルが床のハザードと大振りの攻撃を処理する。
『不動の歩み』が強制移動に答える。
『瞬動』が、重なり合う4本腕のパターンを読みやすくする。
ブレード・プロジェクションがドローンを処理する。
ヘビーストライクがボスを罰する。
アーマー、ライフ、自動回復、そしてフラスコが、クリーンなメカニクスの間にある『ミス』をカバーする。
ライアンのビルドは、同じ戦闘に違う形で答えていた。
距離。
ブリンク。
マナ効率。
繰り返される遠距離魔法。
同じボス。
違う解決策(ソリューション)。
マットはそれが気に入った。
◆
スーパーバイザーが30%に到達した。
ライアンが衝撃波をかすめ、体勢を立て直す。
マットはピンサーの一撃をアーマーで吸収した。
どちらも深刻なトラブルには陥っていない。
どちらも不用意(ケアレス)にはなっていない。
25%で、別のリベット・ドローンの群れが降りてきた。
マットが振り向くより前に、ライアンが1機を破壊した。
マットが2機を処理する。
ライアンが最後を消し去った。
「ナイス」
ライアンが頷く。
「驚いたような声出すなよ」
「出してない」
「出してた」
スーパーバイザーが攻撃してくる。
両者が動く。
18%で、コンベア・スイープが戻り、同時にオーバークロックもアクティブなままだった。
アリーナ全体が「動き(モーション)」に満ちた。
ベルトがマットをある方向へ運ぶ。
スーパーバイザーが別の方向から近づいてくる。
切断アームが薙ぎ払う。
マットはリープ・スラムを使い、安定しているように見えた床に着地した。
その下のベルトが即座に逆回転した。
「おい、そりゃ意地悪だろ」
ライアンが安全なセグメントにブリンクした。
「プレイヤースキルの問題だな(スキルイシュー)!」
マットは彼を見た。
「お前、俺と知り合ってまだ20分だぞ」
「十分な長さだよ!」
マットは再び跳躍した。
ライアンが笑った。
そのせいでボスに殴られそうになっていた。
◆
10%。
スーパーバイザーの胸が、再びあの磁気の唸りを発し始めた。
マットはそのシークエンスを知っている。
磁気引力(マグネティック・プル)。
オーバークロックでさらに強くなっている。
『不動の歩み』。
彼のブーツが削る。
持ちこたえた。
ライアンがブリンクで離脱する。
その時、スーパーバイザーの胸部装甲が開いた。
内部に:
オレンジ・ホワイトの熱。
圧力。
排気システムがチャージされている。
ライアンの表情が変わった。
「あれは新技だな」
「ああ」
ボスは『至近距離(ポイント・ブランク)』で何かを準備している。
蒸気。
熱。
おそらくその両方。
ボスライフ:
8%
マットには2つの選択肢があった。
後退する。
あるいは、殺すか。
ライアンはすでに杖を掲げていた。
マットは『不動の歩み』を解除した。
磁場が彼を数フィート前方に引きずり込む。
彼はその運動量(モメンタム)を利用した。
一歩。
剣を引く。
ヘビーストライク。
全く同じ瞬間に、ライアンの杖が閃いた。
「マナ・ランス!」
凝縮された魔法の長い青い槍が、アリーナを横切る。
剣と呪文が同時に着弾した。
『バキィィッ!!』
スーパーバイザーの内部コアが粉砕された。
オレンジ・ホワイトの圧力が消え去る。
4本の腕が止まった。
赤いスポットライトが明滅する。
一度。
二度。
消灯。
巨大なコンストラクトが揺らぎ、後ろへと崩れ落ちた。
金属が床に激突し、組み立てホール全体を揺らす。
【シフト・スーパーバイザーを討伐しました】
マットは数秒間、構えを解かなかった。
何も動かない。
ライアンが杖を下ろし、それに寄りかかった。
「……上手くいったな」
マットは自身の状態を確認した。
ライフ。
マナ。
フラスコ。
すべて良好(ファイン)。
無傷(アンタッチ)ではない。
完璧(フローレス)でもない。
クリーンだ。
「ああ」
快適な『初クリア』だった。
ボスが弱かったからではない。
両方のビルドが『回答(アンサー)』を持って到達したからだ。
マットは微笑んだ。
そして、重要なことを思い出した。
戦利品(ルート)だ。
◆
残骸の中に、最初のシステムの光が現れた。
マットは待った。
ブラックホロウは彼に『ヴェインズ・エコー』をくれた。
アッシュフィールドは価値のある魔石、ベース、クラフト通貨をくれた。
マットは、「ボスが彼にジャックポットを支払う義務があるわけではない」ということを頭では理解していた。
それでも。
ボスだ。
4本腕だ。
管理職だぞ。
頼む。
残骸が溶けた。
最初に魔石が現れた。
いくつか。
次に、大きく錆びた機械部品。
スーパーバイザーの制御装置(コントロールギア)
タイプ:クラフト素材
「なるほど」
次:
完全にノーマルの『レベル10 ハンマー・ベース』。
次に、ノーマルの『手袋』。
レベル10。
マットはそれらに少しだけ興味を惹かれた。
次に、レア・ベルトが1つ現れた。
黄色。
そして——
他には何もなかった。
光が止まった。
マットは見つめた。
ライアンも見つめた。
彼らはもう1秒待った。
何もない。
「……これだけ?」
ライアンが息を吐いた。
「ボス・ファーミングへようこそ」
マットは控えめな戦利品の山を見た。
「マジか?」
「先週、俺はここでユニークを落としたんだ」
「それは何の慰めにもならない」
「昨日、俺は約600ドル分の金属と魔石を落とした」
「それはさらに慰めにならない」
ライアンがドロップ品の横にしゃがみ込んだ。
「ボスは、自分が『儲かる存在』じゃなきゃいけないなんて知らないからな」
マットは戦利品を見た。
妥当(フェア)だ。
彼らはすべてをスキャンした。
総推定価値は約2,000ドルに着地した。
1回の戦闘としては悪くない。
ただ、マットのここ最近の「運」と比較すると、まったく印象に残らない(アンインプレッシブ)だけだ。
ライアンがレア・ベルトを識別(アイデンティファイ)した。
彼の顔が即座に曇った。
レア・インダストリアル・ベルト
最大ライフ +11
INT(知力) +4
氷耐性 +5%
その他 マイナーモディファイア1つ
マットは見つめた。
「それは見事なまでに平凡(メディオカー)だな」
「欲しいか?」
「いらない」
「俺もだ」
彼らは収穫を等分することに同意していたため、手動で分割した。
ライアンはベルト、いくつかの魔石、そして見積もりを釣り合わせるのに十分な素材を取った。
マットは『スーパーバイザーの制御装置』、クリーンな『レベル10 手袋ベース』、いくつかの魔石、そしてコモンクラフト通貨の一部を取った。
彼らは両側の価値がほぼ同等になるまで調整した。
マットの取り分は1,000ドル弱になった。
その時、システムチャイムが鳴った。
【レベルアップ】
マシュー・ヘイズがレベル10に到達しました。
マットは微笑んだ。
「来たな」
1つのパッシブポイントが現れた。
ライアンがちらりと見た。
「10か?」
「ああ」
「おめでとう(ナイス)」
「ありがとよ」
その時、別のチャイムが鳴った。
違う音だ。
通常のレベル通知ではない。
マットは凍りついた。
彼の視界に、新しいウィンドウが直接開いた。
金色の縁取り。
『COPY』。
【ユニークスキル 発展条件を満たしました】
COPY — SSS
使用者レベルの閾値に到達しました:10
マットは一瞬、息を止めた。
ライアンはまだパックを整理していた。
「大丈夫か?」
「ああ」
即答。
普通の声。
ここには何も見せるものはありませんよ。
マットは通知に意識を集中した。
機能解放(ファンクション・アンロック)
アクティブCOPYスロット:2 → 3
マットは見つめた。
「……3」
ランク上限(シーリング)は変わっていない。
最大コピー可能ランクは依然としてCのままだ。
『鍛え抜かれた刃』にはまだ手が届かない。
だが、アクティブスロットが——
2つから3つへ。
たった一つの数字の追加。
だが、巨大な(エノーマス)変化だ。
ライアンがちらりと見た。
「レベルアップで何か変なことでも起きたか?」
マットは無表情を保った。
「ユニークのやつだな」
ライアンは一度頷いた。
「いいね」
詮索はなし。
いい奴だ。
◆
ゲートへと戻る道のりは、ボス・ラッシュの時よりもはるかに遅かった。
もう競争はない。
誰もいない回廊で無駄にマナを燃やす理由もない。
ライアンが、レース中にスキップした魔石の一つを拾い上げた。
マットは小さな金属素材のドロップを拾った。
通常のペースだ。
マットの思考は一つの数字に留まっていた。
『3』。
「2つ」のCOPYスロットは、ブラックホロウ以来、事実上すべての戦闘における決断を形作ってきた。
『不動の歩み』と『瞬動』を同時に使えば、『過剰筋力』は使えない。
『過剰筋力』を使うということは、すでに信頼している「回答」のどちらかを諦めることを意味した。
その機会費用こそが、STR +20がアーカイブの中で未使用のまま眠り続けていた理由なのだ。
今、その制約が変わった。
消えたわけではない。
変わった(チェンジド)のだ。
マットは微笑んだ。
ライアンが横目で見た。
「お前、またやってるぞ」
「何を?」
「見えない数字に向かってニヤニヤするの」
「お前はメイジだろ」
「だから?」
「お前は絶対に見えない数字に向かってニヤニヤしてるはずだ」
ライアンは考慮した。
「一理あるな」
マットは『秘術の節約(アーケイン・エコノミー)』のことも思い出していた。
そのスキルは今、保存されている。
彼の現在の「物理セットアップ」には何の役にも立たない。
それは問題ではない。
いつか彼が『魔法(マジック)』タグのついたスキルを使うかもしれない。
いつか未来のコピースキルがそれと相互作用(インタラクト)するかもしれない。
永遠に無関係なままかもしれない。
無制限のアーカイブがあるということは、マットがその答えを『今』知る必要はないということだ。
とりあえず保存しろ。
決断は後だ。
それがポイントなのだ。
ライアンがため息をついた。
「まだニヤニヤしてるぞ」
「レベル10だからな」
「良いレベルか?」
マットは3つ目のスロットについて考えた。
「どうやらな」
◆
彼らはゲートに到着した。
ライアンが立ち止まる。
「明日も同じインスタンスでどうだ?」
「かもな」
「次は俺が勝つぞ」
マットは杖を見た。
それからライアンを見た。
「もっと長いテレポートを手に入れな」
ライアンはニヤリとした。
「クールダウンを手に入れな」
「それ意味わかんねえよ」
「俺の気分が良くなるんだよ」
「それなら妥当だ」
ライアンがゲートに向かいかけ、そして振り返った。
「ああ」
「何だ?」
「あのアンカーのスキル」
「不動の歩みか」
「ああ。引き寄せ(プル)へのカウンターとして最高だったな」
「どうやらな」
「スーパーバイザーの狩りを続けるなら、入れとけよ」
マットは頷いた。
「気づいてたよ」
ライアンがゲートの向こうへ消えた。
マットも続いた。
◆
マットがトレーラーに戻って最初にやったことは、戦利品の整理ではなかった。
魔石を売ることでもない。
レベル10の手袋の価格を調べることでもない。
彼はテーブルに座り、『COPY』を開いた。
新しい3つ目のアクティブスロットが、空のまま待っている。
マットはアーカイブを開いた。
『過剰筋力(オーバーマッスル)』。
Cランク。
アクティブ中、STR +20。
彼は何日も前にそれをコピーしていた。
それは常に『良いもの(グッド)』だった。
問題だったのはスキルではない。
問題は『スロット』だったのだ。
マットはそれを選択した。
3つ目のスロットが埋まった。
そして、彼は『過剰筋力』を起動した。
システムが彼の物理的出力を補強し、重いエネルギーのうねりが体を駆け抜ける。
STR:43 → 63
マットは見つめた。
「おお」
STR 20は微かな(サトルな)変化ではない。
さらに重要なことに、それを使ってもはや『不動の歩み』や『瞬動』を外す必要がなくなったのだ。
昨日、シフト・スーパーバイザーに対して『過剰筋力』を使おうとすれば、「磁気引力への直接の回答」か、「オーバークロックを読み解くためのスキル」のどちらかを犠牲にしなければならなかっただろう。
今日、彼はその両方をキープしたまま、その上に「純粋な筋力」を上乗せすることができる。
マットはファウンドリー・ロングソードに手を伸ばし、片手でその重さを確かめた。
物理的な制御(コントロール)の違いは即座に明白だった。
彼は、STR 63がキャンピングトレーラーの内部で何を引き起こすかを発見してしまう前に止めた。
「……いいね」
3スロットは「無制限」ではない。
マットのアーカイブは成長し続ける。
いずれ、3スロットも「窮屈(リストリクティブ)」に感じるようになるだろう。
だが今は?
これは莫大(エノーマス)だ。
彼はメモを追加した:
【デフォルト戦闘用コピー】
不動の歩み
瞬動
過剰筋力
そして即座に付け加えた:
※ダンジョン / ボスのギミックに応じて変更すること。
よし。
万能(ユニバーサル)なロードアウトなどない。
「強力な3つの選択肢がどこでも正しい」というフリはしない。
しかし、「デフォルト」としては?
極めて優秀(エクセレント)だ。
◆
そこまで終わって初めて、マットはボスの戦利品に向き直った。
『COPY』の興奮が落ち着いた後では、その山はさらに「大したことない」ように見えた。
魔石。
スーパーバイザーの制御装置。
クラフト通貨。
クリーンなレベル10手袋。
マットは今朝のマーケットプレイスのバッチを確認した。
いくつかのピースはすでに売れていた。
残りは委託販売のままだ。
彼は売上の合計とボスの戦利品を比較した。
そして笑った。
「俺のトレーラーの方が、管理職(マネジメント)より稼いでるじゃないか」
彼はそれを考慮した。
「実際、筋は通ってるな」
企業の経験が、この瞬間のために彼を準備させてくれていたのだ。
レベル10の手袋は、他よりも少し面白かった。
クリーンなベース。
潜在的に有用。
特に今は、『迅速なる鍛造』がアーカイブの中に存在しているのだから。
攻撃速度(アタック・スピード)。
マットは手袋を見つめた。
それから、自分の現在のペアを見た。
それから、目を逸らした。
「ノーだ」
今夜はダメだ。
彼には新しい手袋のベースがある。
新しいパッシブポイントがある。
3つ目の『COPY』スロットがある。
アーカイブには『秘術の節約』が眠っている。
スーパーバイザーを回す余裕はまだある。
明日考えるべきことは山ほどあるのだ。
一度に一つの問題(プロブレム)だ。
手袋は他の有望なベースと一緒になった。
スーパーバイザーの制御装置はクラフト素材の木箱へ。
魔石は売却パイルへ。
マットは財務帳簿(レジャー)を一度だけ更新した。
ボスの戦利品:
まあまあ。
興奮はしない。
だが、それもまた重要なことだ。
ブラックホロウは、彼に「序盤の巨大なユニーク売却」を与えてくれた。
アッシュフィールドは「強力なボスの価値」を生み出した。
アイアンベイルは彼に——
『火曜日』を与えた。
時折、ボスは死に、平凡なものを落とす。
マットは、ライアンが持っていったあのレア・ベルトのことを考えた。
「ライフ11」
最悪だ。
彼は微笑んだ。
戦利品探し(ルート・ハンティング)には、「悪い戦利品」が必要なのだ。
そうでなければ、「良い戦利品」が存在しないことになってしまう。
◆
マットはパッシブツリーを開いた。
1ポイント。
レベル10。
彼は近くのいくつかの選択肢の上でホバリングした。
ダメージ。
ライフ。
アーマー。
他の分岐(ブランチ)。
そして閉じた。
「ノー」
ルークが先だ。
少なくとも、リサーチが先だ。
「次の問題を理解するまでポイントを保留する」というやり方は、今のところ完璧に機能している。
ただ数字が存在するからという理由だけで、何かをクリックする理由はない。
進歩(プログレス)だ。
マットはだんだんバカじゃなくなってきている。
ゆっくりとだが。
スマホが振動した。
ライアンだ。
どうやら彼らは、ボス・アリーナとゲートの間で連絡先を交換していたらしい。
マットはそれをやった記憶すら曖昧だった。
**ライアン:**次のボスは#132で生存中だ。
マットは見つめた。
それから:
**ライアン:**レースするか?
マットは時計を見た。
それから、整理されていない戦利品を見た。
それから、まだアクティブなままの『過剰筋力』のブーストを見た。
STR:63
彼は考えた。
**マット:**明日にする。
即答。
**ライアン:**臆病者。
**マット:**もっと長いテレポートを手に入れな。
「……」の入力中アイコン。
**ライアン:**ブロックした。
マットは微笑んだ。
妥当だな。
◆
アイアンベイルは、夜になっても完全に静まることはなかった。
重厚な産業インフラが唸り続ける。
トラックが倉庫の間を移動する。
外のどこかで金属がガァンと鳴る。
キャンプの向こう側では、古い鉄骨の梁の下でダンジョン・ゲートが輝いている。
マットはトレーラーの中に座り、テーブルの上で『COPY』を開いた。
昨日まで、2つのアクティブスロットは、彼が「3つ目の回答」を望むたびに『妥協(コンプロマイズ)』を強要してきた。
今日、3つになったからといって「選択(チョイス)」がなくなったわけではない。
しかし、その選択の『コスト』が変わったのだ。
不動の歩み。
瞬動。
過剰筋力。
初めて、3つすべてが収まった。
マットはアイアンベイルの遠くのゲートの方を見た。
レベル10は、気分がいい。
「よし」
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