STAR WARS: STAR DESTROYER   作:あーくわいてんず

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命令

 勝利の代償!

 

 敵補給船の破壊によって、共和国はアンバラ上空に一時の隙を開いた。北の橋に取り残されていたベイラン・スコールと150連隊は、その間に撤収した。だが、地上主力との合流は果たされず、首都への進撃はなお停滞している。

 

 補給船へ独断攻撃を敢行したファイヴズ、ジェシー、ハードケース。帰還した二人を待っていたのは、ポング・クレル将軍の処刑命令だった。

 

 兵士は命令に従う。では、その命令を止める者は誰なのか。闇に覆われた戦場で、共和国の兵たちは、再び選択を迫られていた――

 

 *

 

C.R.C. 7956.247 アンバラ地表、共和国が確保した飛行場、格納庫外側

 

 リブは、毛布を積んだ車を止めた。

 

 橋から戻った兵に配った残りを、母艦へ返すところだった。格納庫の前を横切れば着陸区画へ出られるが、青い装甲の兵に通路を塞がれた。

 

「壁沿いで待て」

 

 別の道は荷物の搬入に使っている。リブが着陸区画へ遅れると知らせようとした時、格納庫の中で二人の名が呼ばれた。

 

 ファイヴズ。ジェシー。

 

 入口の向こうに、腕を拘束された二人が立っていた。装甲の青い印は、銃口を向ける兵たちと同じだった。

 

「何をする」

 

「処刑だ」

 

「あの二人を?」

 

「将軍の命令だ」

 

 少し前に、ラップから帰還を聞いたばかりだった。上空の補給船を沈めた三人のうち、二人が戻った。その二人を、味方が撃とうとしている。

 

 ファイヴズが執行隊へ話し始めた。入口までは全部の言葉が届かなかったが、自分で考えろという声が聞こえた。銃を構える一人一人を見て、目の前の仲間を撃つのかと問いかけている。ジェシーも顔を上げた。

 

 射撃の指示が出た。

 

 リブは車の縁を掴んだ。手を離せば、格納庫へ歩き出してしまいそうだった。

 

 銃声はしなかった。

 

 一人が銃身を下げ、隣の兵も続いた。再び命令を実行しろという声が響いたが、誰も構え直さなかった。通路を塞いでいた兵が、肩から力を抜いた。

 

 レックスが列の側へ出た。兵たちとのやり取りが続き、やがて二人の拘束が解かれた。リブはそれを見届けてから、テザーを呼んだ。

 

「ファイヴズとジェシーの処刑が止まりました。格納庫で、執行隊が銃を下げています」

 

『将軍の指示で止まったのか』

 

「そういう連絡は聞いていません。撃つよう命じられても、兵が下げました」

 

 テザーは確認の取れた範囲で上へ送ると答えた。格納庫では、もう次の任務の準備が始まっていた。ファイヴズとジェシーにも銃が渡され、二人は兵の列へ加わっていった。

 

「通れるぞ」

 

 リブが車を押すと、毛布の箱が傾いた。後ろから来た兵が手を貸してくれた。二人とも格納庫を振り返らず、箱を元の位置へ戻した。

 

 *

 

アンバラ上空、《ハービンジャー》、司令官室

 

 処刑命令の通知には、執行されたかどうかが書かれていなかった。

 

「補給船を沈めた二人を、ですか」

 

「三人だ」

 

 ベイランが言った。着替えを手にしたまま、椅子から立とうとしていた。痛めた肩を庇い、もう片方の手を肘掛けに置く。

 

 ハードケースは戻らなかった。シーアは三人の名を並べ、通知の本文を開いた。軍法会議にかけ、命令違反の罪で処刑する。クレルの命令はそれだけだった。

 

「審理は行われたんですか」

 

「記録は来ていません」

 

 セルトの返事を聞き、シーアは通知を送り返した。

 

「執行状況を最優先で確認してください。ケノービ将軍とオープン・サークルの調整窓口へ、停止と処分の審査を。GF司令部にも同じ資料を送ります」

 

「停止の命令ではなく、要請になります。第3合同任務群に、五〇一への指揮権はありません」

 

「要請で送ってください。いま、止められる所へ」

 

 ベイランはクレルへの回線を要求した。呼出しに応答はなく、ジェダイ側の窓口にも連絡を入れた。

 

「あなたから、取り消せませんか」

 

「私はクレルの上官ではない。ジェダイ同士というだけでは、命令を取り消せない」

 

 シーアは法務当直へ、独断出撃と処刑命令の記録を送った。敵の機体と識別信号を使った件についても、以前から求めていた確認事項を添えた。

 

『識別信号の使用も、処刑の理由に挙がっているのですか』

 

「いいえ。それは僕が確認を求めたことです。クレル将軍の挙げた罪は命令違反です」

 

 攻撃時にどの信号を使っていたかも、まだ分からない。法務当直は二件を分けて扱い、まず審理の記録を取り寄せると答えた。

 

「攻撃に成功したことだけで、命令違反の審査が要らなくなるとは思っていません。でも、確認する前に殺させないでください」

 

 ケノービ側からは現地への確認を急ぐという返事が来た。オープン・サークルも司令部へ緊急連絡を入れた。どちらも、執行を止めたとは答えられなかった。

 

 *

 

《ハービンジャー》、戦闘指揮所

 

 ソーンから敵艦の移動を知らされ、シーアは戦闘指揮所へ戻った。ベイランも着替えを椅子に掛け、後を追った。

 

 《バランス・デュー》と僚艦が雲海上で間隔を取り直していた。その奥からはプロヴィデンス級が撃っている。補給船は失っても、敵の砲と航空機は残っていた。

 

 第32任務群の三隻を冷却のため順に交代させ、直轄部隊で味方機の帰投路を守る。ソーンは《エンヴォイ》から、いま通している便の後に配置を変えると伝えてきた。

 

「二名の生存を確認しました」

 

 セルトが地上からの報告を差し出した。

 

「執行隊が射撃を拒否しています。こちらへ最初の通知が届く前です」

 

「僕たちの要請が届く前に」

 

「はい」

 

 シーアは時刻を確かめた。ベイランも横から読んでいた。

 

「兵たちが、決めたんだな」

 

 処刑は止まったが、命令が取り消されたかは分からなかった。シーアは審査の要請を維持した。

 

 五〇一には既に次の出動命令が出ていた。敵がクローンの装甲を着ているという警告も流れている。シーアは報告元と対象の地域を付けて各部へ送り、装甲の見た目だけで敵と判定しないよう指示した。

 

 北の橋からは、味方の部隊表示が消えていた。南ではケノービの主力が分岐を基点に態勢を立て直している。飛行場まで通れる道はまだ限られ、被弾の報告が入るたびに搬送路を変える必要があった。

 

 ベイランは150連隊に休息を続けさせた。新しい降下は命じなかった。

 

 *

 

アンバラ地表、飛行場、西側受入れ区画

 

 キックスから車を増やしてほしいと連絡が来た時、リブは負傷者の残りを数えていた。

 

 森の方で銃声が続いている。受信器には射撃をやめろという声が何度も入り、その後ろで別の兵が味方だと叫んでいた。

 

「何があった」

 

 キックスとの通信が戻ると、リブは訊いた。

 

『搬送地点を変える。撃ち合っていたのは、二一二だ。向こうもクローンだった。レックスが止めた』

 

 リブは森を見た。銃声は途切れても、静かにはならなかった。呼び合う声と車両の音が聞こえ、青と橙の装甲が一緒に運ばれてきた。

 

 テザーへの報告を終えると、タックが車の列を分けていた。リブは部隊別にするのかと思ったが、そうではなかった。

 

「こっちを空けないと、車が回れない」

 

 橙の装甲の兵を、青い兵が支えていた。受入れ担当に名前を訊かれ、支えている方が分からないと答える。

 

 別の負傷者は、150連隊の印を見るなり銃を抱え直した。

 

「誰の命令だ」

 

 フォイルは近づく足を止めた。

 

「150連隊のフォイルだ。母艦の医療班に渡す。次の攻撃へ連れていくんじゃない」

 

 兵はフォイルの顔を見てから、ようやく銃を離した。運ぶ先を指して説明すると、自分から担架へ身体を預けた。

 

 リブは毛布を広げた。次に来た車にも、二つの部隊の兵が載っていた。

 

 *

 

《ハービンジャー》、戦闘指揮所

 

 五〇一と二一二の双方から、同士討ちだったという報告が届いた。

 

 シーアは交戦の起きた範囲を射撃計画から外し、味方を識別し直すまで第3合同任務群の支援射撃を保留した。他の部隊にも同じ措置を求める。ベイランは150連隊へ、所属の分からない負傷者も受け入れるよう命じた。武器は本人を識別できる形で預かり、原隊へ戻すのは医務と現地指揮の確認を待つことにした。

 

 ケノービの像が開いた。

 

『交戦したのは二一二の分遣隊だ。主力全体が移動したわけではない』

 

 横からコーディが新しい報告を渡した。ケノービはそれを読むと、声を落とした。

 

『ワクサーは、助からなかった』

 

 二一二も、敵がクローンの装甲を着て襲ってくると告げられていた。レックスが聞き取った証言では、その命令を出したのもクレルだった。

 

 シーアは最初に届いた偽装の警告と並べた。両方の部隊が、相手を敵だと教えられていた。

 

 レックスからは、歩ける兵にも車を回してほしいと要請が来た。射撃を止めた地域の外でも戦闘が続いていないか、確認を急いでいるという。

 

『私は本部へ戻ります。将軍に説明を求める』

 

「後送は続けます。車は飛行場から回します」

 

 レックスは許可を求めていなかった。シーアに止める権限もなかった。回線を切ると、現場の証言と元の命令を、そのまま上級司令部へ送った。

 

 ベイランもジェダイ側へ、クレルの指揮を緊急に見直すよう求めた。ケノービは既に同じ報告を上げていた。

 

「クレル将軍から新しい支援射撃の要求が来た場合は、本部の確認が取れるまで保留してください」

 

 シーアは自分の艦隊へ命じた。五〇一の指揮官を替えることはできなくても、その要求に従って艦砲を撃つかどうかは、自分が決められる。

 

 ラセルが敵プロヴィデンス級の次の斉射を告げた。シーアは防御配置に目を戻した。地上の混乱が収まるのを、敵は待ってくれなかった。

 

 *

 

アンバラ地表、飛行場、西側受入れ区画

 

 青い装甲の兵が、負傷者の脇腹を押さえ続けていた。

 

 医療班が運ぼうとしても手を離さない。指の間から血がにじみ、下にある橙の塗装を汚していた。

 

「俺が、撃ったかもしれない」

 

 リブが声をかけると、その兵は言った。

 

「森で。こっちへ来たから」

 

 フォイルが隣に膝をつき、同じ場所を押さえた。

 

「代わる。こっちは俺が持っている」

 

 兵は自分の手とフォイルの手を見比べ、やっと離した。リブは彼を座らせ、医療班を呼んだ。自分の傷も確かめていなかった。タックが背負った装具を外すと、身体が横へ傾いた。

 

 誰を撃ったのか、リブには分からなかった。違うとも言えず、兵が話したことを調査へ渡す記録に残した。

 

 格納庫の方で、再び銃声がした。

 

 振り向いた兵たちの受信器に、クレルが五〇一を攻撃したという報告が入った。ライトセイバーを抜き、格納庫から森へ逃れたという。

 

『150連隊は受入れを続けろ。追跡には加わるな』

 

 テザーの声に、リブは半ば持ち上げた銃を肩へ戻した。装甲の色だけで撃つなという指示も繰り返された。

 

 ラップが外周の変更を伝えに来た。ファイヴズたちはどうしたかと訊くと、レックスと一緒にいると答えた。リブはラップにも手を借り、次の車を受入れの通路へ通した。

 

 *

 

《ハービンジャー》、戦闘指揮所

 

 処刑命令への回答が揃うより先に、クレルが捕らえられた。

 

 レックスたちが逮捕を告げると、クレルは攻撃して逃走した。森で再び交戦し、ようやく武装を解いて拘束したという。ドゥークーの側につくつもりだったという供述も届いたが、同盟と実際に連絡していた証拠はまだなかった。

 

 ベイランは身柄の扱いをジェダイ側へ問い合わせた。その横で、シーアは遅れて届いた法務当直の回答を読んでいた。審査には追加の記録が必要だという。兵が銃を下げた後の時刻が付いていた。

 

「敵ミュニファスント級、後退しています」

 

 ラセルが言った。損傷した《セカント・クレーム》も、追跡の画面に残っている。

 

「追撃を広げないでください。後送と、航空隊の帰路を維持します」

 

 コーヴィンへ伝え終えたところで、セルトが新しい報告を受けた。

 

 クレルが撃たれた。

 

 拘禁区画でレックスが銃を向けたが、引き金を引けず、その時、ドグマが背後から発砲した。レックスはドグマを拘束していた。

 

 ベイランはまだ、ジェダイ側の担当者と話していた。セルトが報告を見せると、彼は言葉を止めた。

 

「将軍は死んだ。……身柄の移送については、変更が要る」

 

 シーアは逮捕時の交戦と、拘束後の発砲を分けて記録させた。クレルが死んでも、ファイヴズとジェシーの命令違反の審査が済むわけではない。ドグマの発砲も、別に調べる必要があった。

 

 回線を閉じたベイランは、しばらくクレルの報告を見ていた。

 

「戦歴のあるジェダイが軍を預かる。それを、不思議には思わなかった」

 

「僕たちも、正規の指揮官の判断として受け取っていました」

 

 シーアは以前の照会を開いた。あの時に届いていたのは、高い損耗と交代の遅れの報告だった。

 

「明日、ここから見直します。その時に何が分かっていたかを、順に」

 

「私も出る」

 

 ベイランはそう言い、次の地上支援の引継ぎへ向かった。

 

 *

 

アンバラ地表、飛行場、輸送艇待機区画

 

 ドグマは、二人の五〇一の兵に付き添われて運ばれてきた。

 

 リブは空の車を返す途中で足を止めた。さっきは処刑を命じる側にいた兵が、今は腕を拘束されている。少し離れた所では、ファイヴズが輸送担当の士官へ何かを訊いていた。エンジンの音に紛れ、答えは聞こえなかった。

 

 艇の前でドグマが立ち止まった。何か言いかけたように口が動いたが、声にはならなかった。付き添いの兵が肘を支えると、彼は自分で段を上がった。

 

 テザーから、150連隊は引き続き休息を取ると連絡が来た。次の降下は決まっていない。フォイルが最後の負傷者を医療班へ渡し、リブも地表管制の当直を後任に引き継いだ。

 

 イェルドの艇には、回収で受けた傷がまだ残っていた。作業員が外板を調べる横で、ラップがリブを呼び止めた。

 

「ヘムから、返事は」

 

「来た。治療中だ。こっちが飛行場へ着いたことは伝わっている。車の握り布も、捨てられずに済んだそうだ」

 

「戻るとは言っていないか」

 

「医務の許可はない」

 

 ラップは頷き、集めていた空の容器を箱へ戻した。

 

 休む場所には、橋から戻った兵が寝ていた。リブもその列へ加わり、靴を片方脱いだ。靴下は濡れ、外へ出すと足が冷えたので、また靴へ戻した。紐を結ぶ途中で目を閉じていたらしく、フォイルに肘を突かれた。

 

「そこまでやれ。踏むぞ」

 

 リブは結び終え、銃を手の届く所へ置いて、もう一度目を閉じた。

 

 *

 

C.R.C. 7956.248 アンバラ上空、《ハービンジャー》、会議区画

 

 二四五日の通信が再生された。

 

『君の艦へ来た者だけで、全体を量ることはできん』

 

 録音の中でクレルが、別の搬送地点を示していた。シーアは当時届いていた資料だけを卓に出した。後から得たワクサーの証言や、クレルの供述はまだ使わない。

 

 後送三十六人。そのうち歩いて乗艇した者が二十三人。一つの受入路を通った人数であり、五〇一全体の状態を示してはいなかった。だからシーアは、前線に残る兵と、次の任務で受け持つ範囲を照会していた。

 

『飛行場を押さえねば、君たちの輸送艇もいつまでも撃たれ続ける』

 

 降下中に落ちた艇も、負傷者を載せる間に撃たれた艇もあった。飛行場を使えるようになってから、後送は確かに進んだ。北の橋から戻った兵も、そこへ降ろせた。

 

「ここは、間違っていません」

 

 シーアが言うと、ベイランも頷いた。

 

 録音は、残った兵で次の任務を持てるのかという問いへ進んだ。クレルは続行可能と答えていた。しかし、人数と交代の見込みは揃わず、ケノービ側とオープン・サークルの窓口にも確認を求めることになった。

 

「この時点で、裏切りを疑う報告はありません」

 

 セルトが言った。

 

 高い損耗と広すぎる担当範囲は、判断を問い直す理由になった。一方、敵が飛行場から出撃していることも、攻撃を休めれば隣へ圧力が移ることも分かっていた。クレルが兵を殺すために命じているとまでは、判断できなかった。

 

「あの時点なら、僕はまた同じ照会を出すと思います。現在員と交代予定を確かめて、次の任務を続けられるか、再評価を求める」

 

 ベイランは橋から送った報告を見ていた。その後ろには、シーアと交わした短い通信も残っている。

 

「私も、クレルが裏切るとは思っていなかった。それで、昨日の命令まで受け続けてよかったことにはならないが」

 

「はい」

 

 シーアは二四七日の処刑通知へ進めた。審理を確認できないまま、二人を殺す命令が出ていた。二日前の再評価の照会と同じ速さで扱えば、間に合わない。

 

 通知の受信、停止の要請、その回答を時刻順に並べると、執行隊の拒否がどれよりも先にあった。

 

「次に同じことが起きて、兵が銃を下げなかったら、僕たちの要請はどこへ届けば間に合うんですか」

 

 ベイランは送付先を見ていた。彼自身がつなごうとしたジェダイ側の回線にも、停止を確認した時刻はない。

 

 同士討ちを止めたのも地上の兵たちだった。レックスが相手を確かめ、射撃の停止を呼びかけた。負傷者の搬送が始まった後に、艦隊へ訂正が届いている。

 

 セルトはその順序で報告を作っていた。シーアが該当箇所を読む間に、交戦した五〇一と二一二の部隊の位置も示された。互いに何を敵と教えられていたかを重ねると、銃口が向いた理由が見えた。

 

「止めたのは、ここにいた者たちです」

 

 セルトは地上の印を指した。

 

 シーアは頷き、その記述を残してクレルの拘束とドグマの発砲へ進んだ。どちらも調査は続いている。司令部から出した要請の経過も、届かなかったものを含めて付けた。

 

 最後に最初の照会へ戻ると、ベイランが口を開いた。

 

「正規の将軍だというだけでは、その判断まで正しいと確かめたことにはならないんだな」

 

「僕が求めたのも、そこから先の再評価でした」

 

「私は、ジェダイがその立場にいることから考え直さなければならない」

 

 シーアには、その考えにどう答えればよいか分からなかった。二四五日に二人が交わした短い通信は、再生しないまま残った。今日の検証で済んだことと、まだ互いに話せていないことがあった。

 

 セルトが送付案を差し出した。シーアは署名し、ベイランにも回した。

 

 *

 

《ハービンジャー》、司令官室

 

 セレナが、椅子に残されたベイランの着替えを畳んでいた。

 

 本人は会議の後、割り当てられた区画へ休みに行っていた。シーアは卓から報告をどかし、その下にあったエレナの稽古の記録を取り出した。再生装置には、音声の接続を直したというケレンの札が付いている。

 

「お姫様。お着替えは、そちらです」

 

 いつもの癖で軍務用の上衣を取ろうとしていた。シーアは手を戻した。

 

「ベイランは、もう休んでいますか」

 

「はい。起こすようには言われていません」

 

 追いかけて話せば何かが済む気がしたが、伝え忘れた軍務の用件はなかった。シーアは稽古の記録を報告から離して置き、残っていた送付を済ませることにした。

 

 統合作戦本部へは、事件の経過とともに、戦闘中の指揮官を再評価する手順を求めた。審査の最中にも作戦は続く。明白な加害を止めるため、誰が、いつ、暫定的に指揮を預かれるのか。その権限を決めなければ、次も現場の兵が銃を下げることに頼るしかない。

 

 ホーンは、第3合同任務群の記録を上級司令部の報告へ付け、地上側とジェダイ側の調査とも照合すると答えた。

 

 モン・モスマへの説明には、以前の審議で、指揮不能の場合の継承と、不適切な判断を続ける指揮官の解任を分けて扱った記録を添えた。

 

 ――前回、私は戦闘中に命令が二つになることを懸念しました。その懸念は今もあります。一方で、今回、実行させられない命令を止めることが、現場の拒否に委ねられました。

 

 対象はジェダイ将軍に限らず、艦隊司令官と合同任務群司令官も含むと書き足した。自分の職名を入れたところで、もう一度読み直したくなった。

 

 読み直してから、そのまま送った。

 

 本部は事件の調査と併せて手続を検討すると回答した。今日のうちに新しい権限ができるわけではない。シーアはセルトへその後の連絡を任せ、ソーンに当直を引き継いだ。

 

 運用できる艦は十三隻。《アウクトリタス》は火器管制の損傷で戦列復帰を認められず、《ヘラルド》と《コンスタンティア》も修理中だった。地上から戻った兵には医務の判定を待つ者も多く、アンバラの損害はまだ確定できていない。

 

「必要な時には起こしてください」

 

 ソーンに伝えて端末を閉じると、セレナが明かりを落とした。卓に残る控えには、ファイヴズ、ジェシー、ハードケースの三人の名があった。

 

 シーアは控えをしまった。ベイランの服は、起きた後に返せるよう端へ置かれている。エレナの稽古も、まだ見ていなかった。

 

 シーアは寝台へ移り、靴を脱いだ。扉の向こうで、次の当直が呼出しに答えていた。

艦艇、兵器説明は欲しい?

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