錆びた鉄のような臭いが鼻腔を刺激する。
この街に足を踏み入れてから既に一年以上が経過し、ロックにとってはすっかり馴染みとなってしまった刺激臭だが、その臭いに慣れるかどうかは人によるらしい。
多少感じるところはあるものの平静を保っているロックや雪緒とは対照的に、メリッサは目の前の光景に耐え切れずトイレへと駆けて行った。馮は顔を青くし口元を手で押さえ辛うじて堪えることには成功したようだが、見るからに決壊寸前である。
無理もない、とロックは内心で呟いた。
カウンターの裏に身を隠していたロックたちがゆっくりと顔を出したのは、これまで間断なく聞こえていた銃声が止まって暫くしてからのこと。
なんとなく状況を察していたロックと雪緒はともかく、馮とメリッサは何の警戒も無しにカウンターの向こう側へ視線を向けた。
そして飛び込んできた光景に絶句する。
辺り一面を彩る赤黒い液体と、先ほどまで人間だったであろう物体。
スプラッタ映画も裸足で逃げ出す現場を前に、比較的常人に近い感性を持つ彼女らが耐えられる筈も無かった。
小さく息を吐いたロックは血溜まりに沈む肉塊を一瞥して、この惨状を作り上げた張本人の元へと歩を進める。
「薔薇の花束だってここまでじゃないぞ」
「ッチ、嗚呼おいロック。何か拭くモン持ってねェか? 返り血が付いちまって気持ち悪いったりゃねェ」
今この場に立っているのは、ロックと雪緒を除けば二人。
そのうちの一人であるレヴィは辛うじて原形を留めていた木製のテーブルに腰掛け、自身に付着した血液を鬱陶しげに見下ろしていた。
「昨日のウェイバーさんもジャケットを真っ赤にしていましたよ。お揃いですね」
「お、そうか? だったらまァ悪くねェ。この赤っ首野郎にも多少の価値はあったってこった」
にこやかに笑う雪緒の言葉に機嫌を良くしたレヴィは、足元に転がっている穴だらけの血達磨を踏み付けてカラカラと嗤った。
「しかし派手にやったな」
「上のはあのチビだ。それにボスと同じ型の得物を持って吹っ掛けやがったのはコイツだ。ただの自殺志願者ってだけじゃねェよロック。こいつは飛び切りの
ポケットからクシャクシャに歪んだ煙草を取り出して、一本を口に咥える。
半ば無意識のうちにライターを差し出したロックから火を貰って、レヴィは満足げに煙を燻らせた。
21
時は数分前に遡る。
レヴィとロバート、グレイとパクスンという組み合わせで開始された銃撃戦のうち、レヴィらの撃合いは戦前の挑発と乱射が嘘のように静かに開始された。
頭に引っ掛けたカウボーイハットを放り投げ、ロバートはホルスタに収納したブラックホークをいつでも引き抜けるように態勢を整えた。
対してレヴィは両肩に掛けたホルスタにカトラスを戻した後は、これといった臨戦態勢に入らない。完全に脱力した状態で腕を下ろし、どす黒い瞳だけが目の前の撃ち倒すべき男を見据えている。
宛ら西部開拓時代、ガンスリンガー同士の決闘のようだ。
「……おっかねえなあ、その眼」
「…………」
リボルバーをいつでも抜けるように態勢は維持したまま、ロバートは軽い調子で宣った。
「そんな眼をした奴はコロラドにだっていなかったぜ姉ちゃん。そいつは人間を道端の石ころとでも思ってるっつう眼だ、しびれるねェ」
レヴィは動かない。視線を男から外さない。
両腕をだらんと下ろしたまま、ただ静かに眼前の男だけを捉える。
「もっと楽しみたいところだが、後の仕事が閊えてる」
「……奇遇だな
言い終わると同時、レヴィは咥えていた煙草を吐き捨てる。
火が点いたままの煙草はくるくると宙を舞い、やがて重力に負けて落下を始める。
ソレが地面を叩いた瞬間が合図だと、ロバートも察する。
辺りから音が消え失せ、二人の視線が消えかけの煙草へと向く。
そして。
ジ、と煙草が床を叩いた、その刹那。発砲音が炸裂した。
「…………」
「…………ヘッ、」
一瞬の静寂ののち、呆けた声が口をつく。
「速すぎだぜ、姉ちゃん……」
眉間に弾丸を撃ち込まれたロバートは、ホルスタに収められたままのリボルバーを握ったまま崩れ落ちる。
リボルバーを抜くことすら出来なかった哀れな男を見下ろして、レヴィはカトラスをくるくると回転させながらホルスタへと差し込む。
「馬鹿が、ボスはもっと速ェ。撃たれたことすら気付かせねェんだからな」
「あら、もう終わってしまったの?」
「あ? クソジャリ、てめえも――――」
背後から聞こえてきた声に反応し悪態を吐こうとして、レヴィは目を丸くする。
「……オメエそれはやりすぎなんじゃねェのか?」
「そうかしら? おじさんの事を馬鹿にするような輩には足りないくらいだと思うけれど」
頬や真っ黒な洋服を血に染めた少女、グレイが跡形も無くなってしまった入口から戻ってくる。
左手で下半身の無くなった大男を引き摺って。
「どういう殺し方すりゃンな死体が出来上がンだ」
「あら、お姉さんの身体で再現してあげましょうか? 蛙みたいにピクピク痙攣するのはとても面白いのよ」
「完全に
よっこいしょ、と反動をつけて上半身のみとなった死体をグレイが放る。レヴィが殺したロバートの上に重なると共に、赤黒い血液が宙を舞った。その血液が、間近に居たレヴィのタンクトップと頬に付着する。
「あ、てめ!」
「あと二人、どこから来るのかしら」
「シカトこいてンじゃねェぞ……。あー、それだがなクソジャリ。おそらく追撃は来ねェよ」
肩に掛けたBARの手入れを始めるグレイに、レヴィはライターを探しながら告げる。
「さっきボスが出て行った。ッつうことはまァ、そういうこった」
22
「……ロックさん、少しいいですか?」
襲撃者二名を撃退し、表向きは一服しに外に出て行ったウェイバーが戻ってくるまでの間、比較的被害の軽微なカウンターに腰を下ろす雪緒がロックへと問い掛ける。
「なんだい雪緒ちゃん」
「ずっと考えていたんです。どうしてウェイバーさんが彼女に手を貸すような真似をしたのか」
「それは、最初に彼女を見かけたときにチンピラに絡まれていたから……」
「本当に、そうでしょうか」
ロックの言葉を、雪緒が遮った。
「この街に馴染みの無い顔の女性がチンピラに絡まれていたとして、誰彼構わず手を差し伸べるでしょうか」
「それは、いやでも……」
「私の場合は相互メリットが目に見える形でありました。慈善事業じゃありませんよ」
自身を引き合いに出して告げる彼女に、ロックは後頭部を掻いて口を引き結んだ。
「私は、ウェイバーさんが最初から彼女を利用する気だったんじゃないかと思うんです」
「彼女を……? 一体どうして」
「覚えていますか? あの日、グレイちゃんがどうしてイエローフラッグに居たのか」
「そりゃあね、あの子があの酒場に居ることは珍しいし。…………待てよ」
そこまで言われて何か引っかかりを覚えたロックは、顎に指を添えて情報を整理する。
あの日、グレイはウェイバーの帰りを待っていた。夜会に参加している彼の帰りを。
ウェイバーが夜会の参加に不定期なのはこの街の住人であれば周知の事実だ。それ故に「アンチェイン」などとも呼ばれているが、当の本人は全く気にする様子は無い。そしてその夜会にロベルタの件以降グレイが参加するようになったのもまた、多くの人間が知っていることだった。
そんな中、あの日ウェイバーは夜会に参加し、グレイには留守番を言い渡した。
「私もあの日の夜会の内容は聞けていません。きっと聞いても教えてくれませんし。だからこれはあくまでも私の推測になりますが」
雪緒はロックを見つめ、言葉を続けた。
――――黄金夜会に名を連ねるマフィア、その一翼に彼女の護衛、あるいは保護を依頼されたのでないかと思うんです。
「いや、待ってくれ。最初の話と矛盾する。最初に君はウェイバーさんが彼女を利用する気なのだと言った。だとするなら、相手が保護を依頼するのはおかしいんじゃないか?」
「いえ、ウェイバーさんが彼女を利用することと、どこかのマフィアが彼女の保護を依頼することは必ずしも矛盾しないんです」
ロックの指摘にも、雪緒は平然と答えた。
「ウェイバーさんが彼女を利用しようとするのには何らかの思惑がある筈です。そしてウェイバーさんと取引をしたマフィアにも、彼女の身柄が保障されることで手に入れられるメリットがある」
「……大筋は通る、のか……? 自分の命を狙ってきた女を守るなんて素っ頓狂な真似、依頼でもなければしないだろうけど」
だが、だとすれば。
「どこの組織が、何の為に、だ」
「どこの組織までかはハッキリとは。なんとなくの見当は付けられますが。でも何の為にというのは、貴方も察しが付いているのでは?」
彼女の問い掛けに、一呼吸おいてロックが答える。彼にも思い当たる節はあった。
「彼女のクラッキング技術か」
「おそらく」
「……洗濯機。ああ、そうだ、洗濯機だ」
思い返す。あの日、グレイはなんと言っていた。
少女は言っていた、洗濯機という単語を。
それはとある作業の隠語としても使用される。
即ち、
「その最中で何かがあった。だから、彼女の技術を必要としている……?」
「私も同意見です。恐らくウェイバーさんはその事実を知っていて、だからこそ彼女の持つ技術と引き換えに何らかの報酬を得ようとしている」
現時点の情報だけで決めつけるのは早計だ。だが、可能性は高いと思われた。
「でも、だったらどうして君やグレイちゃんに伝えないんだ。君たちに隠しておくメリットが無い」
「デメリットがあったんじゃないですか。例えば、過去に私たちとその組織で衝突があった、とか」
雪緒やグレイがその情報を知ったところで直接的な被害が出ることはないだろう。だがウェイバーのことだ、少しでも可能性があるのであればその芽を摘んでおく。何手も先を読んでいるあの男だ、きっと雪緒がこうして一つの結論に達することも見越しているに違いない。それでも尚黙っていたということは。
「随分と大切にされているんだな。君も、グレイちゃんも」
「さあ、どうでしょう。あの人はそういうことを口にしませんから」
「でも、そうか。だとするとウェイバーさんへ依頼を出したのは」
「十中八九、ホテル・モスクワかコーサ・ノストラのどちらかだと思います」
いやはや、何というか。
ロックは十近く年下な筈の眼前の少女を見て、小さく息を吐く。
「……随分とたくましくなったね、雪緒ちゃん」
ロックの言葉に、雪緒は小さく笑みを浮かべて。
「私もだいぶ、この街の色に染まってきたでしょう?」
23
「ったく、派手にやってンなァあいつら」
直ぐ後ろから聞こえてくる銃声と破砕音を背に、煙草を咥えて火を点ける。
ゆっくりと肺にまで取り込んで、これまたゆっくりと口から紫煙を吐き出す。
ああ、今日もいい天気だ。
洗濯機を買いに街に出た筈なのに、どうして俺はこんな戦禍のど真ん中に突っ立っているんだろうか。軽い現実逃避に走りたくなる気持ちをどうか分かって欲しい。
突然何年も前の仕事で殺した人間の関係者が鼻息荒くして目の前に現れたのだ、それも殺し屋を背負って。
面倒事が結託して俺の事を殺そうとしている気がしてならない。
「……っと、小便小便」
半分ほどになった煙草を吐き捨てて、周囲をぐるりと見渡す。
本当ならバーで済ませておきたかったんだが、生憎と先の銃撃で便器は粉々に砕け散ってしまっていた。そこらで適当に立小便することも考えたが、最近年のせいか尿のキレが悪い。何度も腰を上下させる様を往来でするのは憚られた。
と、いうわけで。トイレを探そう。
雪緒には一服と用足しだと伝えてあるし、レヴィもグレイも簡単にくたばるような女じゃない。
男一人が用を足す時間くらいはあるだろう。
だが立地が悪かったのか、あるのは小さなモーテルや住居ばかり。流石にトイレだけを借りるのは気が引けるので、諦めてもう少し足を伸ばす。
その後も数分探してみたが発見には至らず。たかだかトイレ一つ見つけるのにどれだけの時間を掛けるのかと自分でも馬鹿らしくなってくる。
仕方無い。適当な建物に入ろう。廃ビルなら最悪立小便をしても目撃されることは無いはずだ。そこそこバーから離れてしまったし、これ以上は戻るのも面倒になる。
と、そろそろ限界が近い。あまり振動を与えると決壊の恐れがあるため、すり足のようにしてなるべく音を立てずに目についた廃ビルに入る。パッと見一階にはトイレはなさそうなので二階へ。
……二階にも無し、三階へ。
……三階にも無し。
四階にはあったが、掃除されなくなってかなり経つのかとんでもない事になっていたため断念。五階へ。というかもうこれ先は屋上なんじゃないか。勘弁してくれ。
やはりというか案の定屋上に繋がっていた階段を上がっていくと、錆び付いた扉が目についた。屋上の隅であればそう人目にも付かないだろう。というかそろそろ限界なので、さっさと済ませてしまいたい。
しかしまァ、本当に年は取りたくないもんだ。
「――――
ギイ、と錆び付いた扉を開きながら、自嘲気味に呟いた。
24
四人兄弟の殺し屋、「
数分前にカリビアン・バーへと突撃した次男と三男が前衛、四男は撹乱と暗殺、そして長男は後方支援である。
長男であるブラジル人、モンテロはバーから500メートル程離れた廃ビルの屋上でうつ伏せになり、サコー狙撃銃を構えていた。
これまでにも複数のカルテルで雇われガンマンをしていたモンテロの狙撃技術は本物だ。狙撃銃を使用した場合の射程距離ギリギリまで離れたこの距離からでも、ターゲットの蟀谷に鉛玉を撃ち込める自信があった。
「チッ、アイツらむやみやたらに建物を破壊しやがって、砂埃と破片の山でどうなってるか分からねェ。あの女はどこにいる?」
最終的には仕事はこなすが、その過程があまりにも雑な二人の仕事っぷりに悪態をつきながら、モンテロはスコープ越しに建物内部を見る。
ここからでは内部の詳細な状況までは把握できないが、目に見える破壊が発生していない所を見ると戦闘は終了したらしい。ロバートあたりは殺した女と遊ぶ悪い癖がある為、今頃は勤しんでいるのかもしれない。
「まああの女の首さえ持ち帰れば何をしようが構やしないが……」
と、そんな事を口にした時だ。
モンテロの耳に、開く筈の無い扉の軋む音が飛び込んで来たのは。
「――――
そして続く男の声。
モンテロはすぐさま身体を起こしその場から飛び退いた。
錆び付いた扉の向こうから現れたのは、先ほどまでカリビアン・バーに居た筈の東洋人だった。
馬鹿な、とモンテロは内心で呟く。
扉が開くまで一切の気配が感じられなかった。この屋上に来るまでに一体何段階段を上らなくてはならないと思っている。大の男が移動する気配を感じられない筈が無い。それが出来なければ殺し屋としてやっていけないレベルだ。
だというのに。
目の前の男は実際に現れるまで、一切の気配をこちらに悟らせなかった。
(そんなことが可能なのか? 人間の技術じゃない……)
背中から冷たい汗が噴き出すのを止められないモンテロを尻目に、現れた男は自然体のまま暗い瞳をこちらに向けている。
「ホント、近くて困るぜ」
近い、と再び口にする。まるで拍子抜けだとでも言うような表情だ。
その男、ウェイバーは一歩踏み出す。するりと。全く足音が立たなかった。
まるでこれが答えだとでも見せつけるかのように。
そしてその事に気付くと同時、ウェイバーの発言にも一つの答えが浮かぶ。
(近い……この距離でか!? 狙撃可能な射程ギリギリだぞ!?)
いや、射程距離ギリギリだからこそ、だとしたら。
狙撃銃の射程距離はモノにもよるが最大でも600メートル程と言われている。ターゲットは
ということは、彼女を中心に半径600メートル程の位置に建つある程度高さがある建物に狙撃手が居る可能性が高いことに気が付く。加えてこの地は奴らのホーム。適した建物などいくらでもピックアップすることが出来るだろう。あとは順番に潰していけばいい。
「500メートルでは不足、ということか……!」
「ん? ああ、狙撃な。知り合いにゃあ1キロ狙撃を片手でやってのけるバケモンが居るんだ。
ウェイバーはモンテロが手にしていた狙撃銃に視線を移して嗤った。
モンテロにはその笑みが死神のように見えた。
尚、実際には下腹部の決壊が近い為に顔が引き攣り始めているだけである。
500メートルの狙撃もリボルバーで出来る訳が無い。完全なハッタリだ。
だが市場での射撃を目の当たりにしているモンテロは、それをハッタリだと簡単には切り捨てられない。
「ああ、お前昼間の襲撃犯の一味か」
白々しく呟くウェイバーは、空いた両手をズボンのポケットに突っ込んだまま。
ナニを押さえているなどと夢にも思わないモンテロは、どうにかして目の前の男を殺せないかと思考を巡らせる。
幸いにも手にしている狙撃銃は既に引鉄を引くだけの状態。立ったままでは反動で照準がぶれるが、それでもこの距離なら身体に当たらないということはないだろう。
丸腰状態のウェイバーよりも、こちらの方が早い。
モンテロはそう判断した。
その基準の中には彼の弟、ロバートの早撃ちがあった。例えロバート程の早さであっても、こちらが事を終える方が早い。
「残念だよ、
「いいのか? お前の
ウェイバーは突き付けられた銃口に微塵も怯むことなく、あまつさえ二発目以降の事を考えているようだった。
「無用な心配だよミスター。この一発目を当てさえすれば、余裕を持って次弾を装填できる」
「そうか」
短い言葉だった。
そして――――銃声は、意識の外からやって来た。
「…………ッッ!!?」
どこからか聞こえてきた銃声。それが目の前の男が握るリボルバーから放たれたものだと気づいたモンテロに、コンマ数秒遅れて激痛が襲い掛かる。
上体が傾いだ。痛みに耐え切れず、モンテロは膝を突く。その両膝は血に塗れていた。
(撃たれた……? 馬鹿な、俺は奴から視線を外さなかった! それに銃声は一発分だったんだぞ、それがどうして俺の両膝を撃ち抜く結果になる!?)
身体中を駆け巡る激痛に脂汗を滲ませ、頭を垂れるように塞ぎ込むモンテロはウェイバーを見上げる。
右手に握られた銀のリボルバーからは僅かに硝煙の香りが漂い、今の銃撃が彼のものであることを物語っていた。
「ここらが限界だよ
その言葉に続くように、数発の銃声。
事切れる寸前のモンテロが最期に見たのは、リボルバーを懐に仕舞う化物の姿だった。
副題:トイレに行きたいだけなのに。