今更ですが、独自解釈タグを付けました。この世界、不明瞭な事が多すぎるのよ
どこが透き通るような学園モノなんや! 透き通ってないやん!()
───ブラックマーケット、僻地にて
「……ここにも、居ない」
襲ってきたスケバン達を倒した後、私はあの子を探すよう辺りを見渡して、そう呟く
あの子とは、鳥澤カラスちゃんのこと。あの日、私が置いていった子だ
あの子はここで「バケツ」として傭兵活動をしていると自分で調べたり、先生やヒフミちゃんから聞いたため、こうして探しに来たのだ
あの日のことを謝るために
そして、アビドスに戻ってきてほしいと、頼むため
しかし、以前先生と探しに来た時と同じく、誰に聞いても、未だ返ってくるのは鉛玉か、「知らない」という声だけだった
嘘をついてる感じはせず、本当に知らないようだった
「……どこに、居るんだろ」
小さな声で、思わず溢れてしまった
ヒントがないわけではないのだ
先生と、柴関ラーメンで再会したカヨコちゃんは、カラスちゃんの裏に居る存在について教えてくれた
それが黒服のような大人なのか、あるいは全く関係のない生徒なのか。分からないが、ただ、あの子はその存在に従っているのは事実らしい
……もしも、
カラスちゃんを従えているのが、黒服のような悪い大人だとしたら
生徒を道具としてしか見ない大人だとしたら
「………」
無意識に、
手に、力が入った
「お願いしますよぉ!!何か、何か情報をっ!!」
その時、遠くでそんな素っ頓狂な声が響いた
目を向けると、白髪の生徒が、後輩と思わしき生徒に泣きついていた。雰囲気的に、ブラックマーケットの住人ではないような、気がする
私は自分の派手な桃色の髪を隠せるような遮蔽物に隠れつつ、そのふたりに意識を向ける
一体何事だろうか
「ミラ太君、君は本当にバカだなぁ」
「なんでそんなことを言うんですか!!私だって頑張っているのに!」
「マトモに頑張る人間はここには居ないんだよ、ミラ太君」
ブラックマーケットとは思えないほど呑気な、長い白髪の生徒は、そう泣きついてきた生徒を小馬鹿にするように言う
泣きつかれている生徒は黒い上着を羽織っているため、どこの生徒かは分からない。対して泣きついている、「ミラ太」と呼ばれた生徒は白い、ピチッとした白い制服を着ていた
トリニティのように華やかなわけでも、ゲヘナのように黒いわけでもない……ミレニアム、だろうか
「お願いします!なんでもしますから!」
「…ん?今なんでもって……」
「……アッ」
「ほななんか有益な情報を与えないとやね……あー、最近、君がよく言う調月リオが、何かを完成させたらしくてね」
しかしそれは一瞬で鳴りを潜め、辺りに人が居ないか見渡した彼女は、あくどい、明らかに裏があるような顔をする
……あの顔には、どうにも既視感を感じる
「な、何かですか?それはいつもの通りでは…」
「それがねぇ、かなり大きいものなんだよね。規模が今までのそれじゃない」
「例えるなら、そう……都市レベルの、ね」
「………え?」
「はい、情報提供終わり」
「えぇ!?これだけですかァ!?」
「量より質の方が重要じゃないすけ?」
何やら、その調月リオという人が都市クラスの何かを作り上げたらしい
正直、よくは分からないが……私達からすれば関係のない情報だろう
けど
「じゃ、こっちのお願いも聞いてもらおっかなー。実はもう考えてあるんだよね〜」
「な、なんですか……?」
「もう来んな」
「出禁ですか!?店もないのに!!?どうしてッ!?」
「今みたいにうるさいから目立つってのと、私が単純にアンタのことが大っ嫌いだ!!!バーーカ!!!だからですね、ハイ」
「後者は私情じゃないですか!!それでも情報屋なんですか!!?」
「私ゃもう好きで情報屋なんてやってないのだよ、ワトソン君」
「誰ですかワトソンって!!?」
情報屋
なら、少しは期待して良いだろうか
「おら、ここは疑似科学研究部とか抜かすアホンダラが来るとこじゃあないよ。森にお帰り」
「あ、あの代金は…」
「要らないから帰れ!(江戸っ子)」
「くっ……いつか後悔することですね!」
「…やっぱ代金ちょうだい」
「アッ サヨナラ-」
長身の生徒はどこかへと去っていく
私は、背中を向けている、情報屋と呼ばれた生徒に近付き、そして尋ねた
「……ねぇ」
「…おや、見ない制服だが……どちら様かな?」
振り向いた長い白髪の、丸眼鏡を掛けた彼女はさほど驚かず、まるで私が来るのを分かっていた様に、不敵に笑っていた
さっきのような軽い雰囲気は、どこにもない
「アビドス高校のたか…生徒だよ」
「へぇ……アビドス、ねぇ。てっきりとうに潰れたと思ってたけど、まだ残っていたのかい」
腹が立つのは、馬鹿にするような言い回しのせいか、それともあの大人を想起させるからか
名前を言おうとして隠した私はなるべく、苛つきを顔に出さないように耐える
「うん……君、情報屋なんだって?」
「そうだよ。…と言っても、もう畳もうと考えてたところなんだが」
「……店も、ないのに?」
「クックック……そうだよ」
くつくつと笑うそれを、やめてほしい
手が、出そうになる
腕に力が籠もり、口の奥でギリ、と歯が軋む
それを見た彼女は、愉快そうな笑みを浮かべた
「あぁ、何か、不快にさせたかな?だとしたら申し訳ないね。別に、私は君に喧嘩を売るつもりなんて欠片もなかったんだがねぇ…」
「………」
「詫びと言っちゃあアレだが、ひとつ情報をタダで提供してあげよう。尤も、私が今知る限りのもので、だがね」
気前が良いのか、自作自演と言うべきか。彼女はそんなことを言ってきた
正直、手のひらの上で踊らされている気がする。何か、一本道の上を進まされている気がする
ただ、相手が生徒というのもあったが、私はそれ以上にあの子の事が気になってしまった
「あの子……バケツは、今どこにいるか分かる?」
「……」
せめて、どこに居るかさえ分かれば、あの子の今の拠り所が分かれば、会いに行ける
そうしたら、あの子に……
「…いや? 知らないね」
しかし、帰ってきたのはそんな言葉だった
「正直、それについてはこっちも知りたいくらいだ。バケツがどこに隠れて、何をしているのか、ね」
「……本当に、知らないの?」
「知ってるなら、私はそれをダシにもう少し情報屋を続けてると思うよ」
「思う、だけどもね」と言うその顔に、嘘は見えなかった
見えなかった……と言うよりは、分からなかった
その貼り付けた仮面が、嘘なのか本当なのか分からなくさせているからだ
あの大人のように
「ククク……どうにも信用されてないようだ。顔か口調か、それとも両方か?」
「………」
「まぁ、私という情報屋も知らないという情報が分かっただけ、君も十分だろう?」
十分ではない。何一つ、十分ではないのだが
ただ、(彼女がどれほどの情報屋なのかは知らないが)ブラックマーケットの情報屋さえ知らないのなら、あの子の居場所なんて知りようがないのではなかろうか
そう思った
「……『いつも、どこにでもいる』」
「…?」
「『逃げる者を追い、隠されたものを暴き、正義を誇る狂人が』」
「……」
「『そして往々に、覚悟だけは足りぬものだ』」
「…何さ、いきなり」
「あるゲームに出てくる言葉でね……これを、君はどう思う?」
いきなり演説でもするように、情報屋の彼女はそう言い出し、私に聞いてきた
ゲームに出てくる言葉と言っていたが、しかし深い意味があるのだろうか
「……おじさんは…えっと…」
「ま、聞いた手前だが君の答えなんてどうでも良くてね………まぁ、言いたかったのは、お互い、狂人にはならないよう努めようじゃないか?
「!? なんで、私の…!?」
隠したはずの名前を呼ばれて、脳が一瞬止まったその時、彼女はくるりと踵を返してどこかへ歩き始めた
「待っ───」
情報屋の彼女の肩に手を伸ばした、瞬間
彼女の姿が
「っ…!?」
ブレて、消えて、
まるで始めから何も無かったような空間だけが残った
ただ、視界の奥、路地裏へ走る彼女の姿が、一瞬だけ見えた
「待って!!」
彼女はきっと、隠している
本当に大切な、何かを
あの大人と、同じように
私は、走る足に全力を込めた
───小鳥遊ホシノが離れた路地、そのすぐ側で
「…そらぁ、知るわけないでしょうよ。情報屋としての私の情報は、もう二ヶ月ぐらい更新してないんだから。まぁ、私の匙加減次第で何とでも言えるんだけども」
物陰の裏から、そんな声
「……最新型の超AI搭載小型自立式ホログラム投影ドローン『超☆デコイ人』…性能は遠目とはいえ、あの小鳥遊ホシノを騙せるほど、か………バッテリーはすぐ切れると思うけど…どうやろなぁ………課題はそれとドローンの駆動音くらいだけど……腐☆腐☆、我ながら、上出来だねぇ(恍惚)」
端から見れば、怪奇現象にも見えるかもしれないが、実体は実に下らないこと
やがて、声だけが響くその空間はブレる
「………遠回しにカラスを探すのを止めろって言いたかったんだが、伝わったかねぇ……ま、伝わったとて聞かないか。あの頑固者は」
ブレて、ノイズが走ったように歪み始めた空間の中で、そのノイズの合間から見えるひとつの黒い影は喋る
「……と、これ調整してなかったっけか。バグってもうてんね」
そう言ったところで、何かを操作する音が鳴った後、ノイズは綺麗さっぱり消え、その生徒は現れる
「早いとこ、定期連絡だけして帰ろっとな」
丸眼鏡をかけ直しながら、白髪の生徒───唐沢フミエは、そう言った
*****
───キヴォトス、某所にて
「そちらから、そちらからお呼び出しがかかるとは思ってもいませんでしたね。久しぶりです、先生……まぁ、そう言うほど期間は空いて無いですが」
”………”
暗がりの中、ふたりの大人が向き合っていた
ひとりの大人はくつくつと上機嫌に、
ひとりの大人はそれを睨むように見ていた
こうしてふたりの大人が会うのは、アビドス以来である
「して、先生。一体私に何の御用で?」
”聞きたいことが、幾つかある”
上機嫌な黒い大人───人から黒服と呼ばれる大人は、これ以上のアイスブレイクは不要と断じたのか、もうひとりの大人───先生と呼んだ大人を見た
”お前達は、ゲマトリアという組織なんだよね?”
「えぇ」
”なら聞くけど、お前達の中に、祝福について研究している大人は居る?”
『ただ……イツコ殿は、自分には祝福がなかったとだけ、書いています……』
先生は、その言葉に聞き馴染みがあるわけではない
ただ、よく分からない、関わりたくもないような研究者なら、何かを知っているかもしれない
彼がここに来たのは、そう思ったまでである
尋ねられた黒服は、その言葉を理解し、一拍おいて、
「いえ、居ませんね」
”え…”
先生の言葉を否定した
先生は否定されるとは思っていなかったようで、目を丸くしていた
「祝福。確かに、過去にそれを議題にゲマトリアで話し合った事はありますが、それを中心に研究する大人は我々には居ませんよ」
黒服は事実を述べた
彼は、嘘は言わないのだ
”本当に、居ないの?”
「居ませんとも」
ないものはないと言うように、黒服は言う
先生は、呆然としていた
「…そも、先生は祝福が何か、理解していますか?」
”……いや、してない”
したくもない、と言いたかったが、それではイツコが居なくなった真意が分からないままになると思ったため、先生はそう返した
「では、軽く説明しましょう。祝福とは、生徒が生まれながらに持っているものであり、神秘とも血筋とも何ら関係のない、別物です」
”………”
「では祝福された者とは何か? それは、この世界に望まれて生まれた、あるいは、無垢なる者を指します。今を生きている、大半の生徒がこちら側に属します。あの暁の……失礼、小鳥遊ホシノも同様です」
小鳥遊ホシノの事を口に出され、先生は少なからず嫌な顔をしたが、それ以上に聞きたいことができた
”…じゃあ、祝福がない、っていうのは…”
「えぇ。それの反対。望まれずして生まれ、そして知るべきでない事を知った罪人を指します」
罪人
生徒をその様に言った黒服を、先生は睨む
その目を見て、黒服は肩をすくめた
「尤も、私からすればそんな事、どうでもよいことですが」
”……”
「祝福の有無で、生徒の神秘に違いが生まれるわけではありません。例え罪人であったとしても、小鳥遊ホシノがキヴォトス最高の神秘であることに、変わりはありませんのでね」
やや驚いた様に見た先生に、黒服はその理由を付け加える
その理由の例えにも小鳥遊ホシノが出てきたことに、まだ諦めていないのかと頭の隅で思った
質問は終わりかと尋ねた黒服に、先生はまだあると返し、そして聞いた
”祝福って、それは本人には分かるの?”
「祝福された者には分かりませんが、祝福されなかった者には、その自覚があります」
祝福されてない生徒には、自覚がある
……もしかしたら、私が会ったことがある生徒にも、その自覚があった子が居るのかもしれないと、先生は思う
イツコこそ、そのひとりなのだろう
”…最後に、聞かせて”
「何でしょう?」
”百鬼夜行の佐々村イツコって生徒を知ってる?”
「? いえ、知りませんね」
知らないと、黒服は言う
それは最初から知らないようにも、何かを秘匿しているようにも聞こえた
先生は違和を感じていたが、しかし深く踏み込まなかった
踏み込みたくなかった、が正しいかもしれない
”…そうか。もう、帰る”
「クックック……えぇ、とても有意義な時間でしたよ」
”………”
先生はそれに何か言うでもなく、踵を返し、立ち去った
そこには、黒だけが残っていた
彼は、嘘は言わない
「……確かに、我々に祝福について研究している者はいません」
ただ、嘘
「ただし、
人はそれを「騙す」のだと言う
『……黒服よ、もし先生が貴公に祝福を研究する者について尋ねてきたら、その時だけは私を居ない者として扱ってはくれまいか』
『ふむ、私に嘘を吐け、と言うのですね?』
『そ、そういうつもりじゃあ……』
黒服は、つい先日のやりとりを思い出していた
ゲマトリアの新参者である羊の大人は頭が固かった
失敗を恐れるという意味でも、発想力が乏しいという意味でも
『なるほど、そういうことでしたか。でしたら、良い方法がありますよ』
『?』
『貴方がここで一言「祝福について研究を一時的に止める」と言えば良いだけです』
『……意図は分かった。ただそれは、ゲマトリアの信念に背くことに成りかねないのではなかろうか』
『だからこそ、一時的に、です。すぐに復帰───長くとも1年以内であれば、大きな問題はないでしょう』
『…大丈夫だな?言った瞬間即追放とかは勘弁してくれよ』
『しないと約束しましょう』
あの大人は、些か単純過ぎる
しかし、きっと大丈夫だろうと黒服は思う
なぜならば、先日のやりとりがなければ、私は先生に彼のことを何の気なしに伝えていただろうから
「クックック……先生への存在の露呈を恐れているのであれば、相変わらずの危機察知能力ですね」
これならば、マダムに使い潰されるなんてこともないだろうと、黒服は考えていた
*****
───ブラックマーケット、某所にて
「……そうか、先生が尋ねてきたと」
「えぇ。貴方の見込み通り、私の下に来ましたよ」
今は我々の拠点に、かつての主である黒服が足を運んでいた
足を運んだ理由は、それを伝えるためと、監査と言ったところか
「扱いづらいキャラとかって話だが、ゲテモノバード・ペロロが負けるわけねぇだろ!逝くゾォォォオオオ!!!」
「あー…ガードカウンターを使いこなせりゃ強いマジキチ鳥か。お前に使えんのか?」
「もろちんさぁ!」
「……それはもうアタシ……いや、俺らにゃ付いてねぇだろ」
「ゔ…TSで失った尊厳と誇りが脳裏を過ぎる過ぎる…」
「……アンタのは、誇れるほど立派なものだったの?」
「(立派じゃ)ないです………お、始まったか。フッ、そろそろ狩るか…♤」
……正直、助かったとしか言いようがない
百鬼夜行からの新参のイツコにここがどんな組織かを聞かれた際、ぼんやりと言った
私は先生に死なれちゃ困るが、それと同じくらい我々と関わりができるのも困る。だから、こうして保険を張って、逃げに徹したわけだ
…と言っても、そもそも先生がイズナ経由で
「……すまない。ただ、助かった」
「いえ、これぐらいは安いものですよ」
前世の自分だったら「黒服に頭を下げるなど…!」なんて言ってかもしれない状況だったが、礼を欠くのは人じゃないのでね………聞いてるか? ベアトリーチェ
内心で遠回しにベアトリーチェを刺しつつ、お安い御用と言ってくれた黒服に同時に感謝した
「こんなの、ただのフクロウじゃない(真理)」
「そうだが?かわいいだろ」
「ねぇwkwkさん!あのフクロウ、足が洗濯バサミになってるんだね!」
「なんだぁ?テメェ…」
「カラス、キレた!」
「……どうして、そうすぐに煽るのやら…」
「……そう言えば、最近着手したという『生徒の記憶を消去する兵器』、そちらの進捗はどうでしょうか?」
「…あぁ、それなら、単に記憶を消すまではできるようになったが、より細かな部分を消すことに難儀していてな」
「ふむ…」
「例えるなら……記憶というフォルダに閉じた紙の1枚、そこに書かれたひとつの文字を消すためには、その紙ごと捨てねばならないでいる。…というのが、現状だ」
聞かなかったふりをするように、あるいは途切れた話の合間に入ってきた別の話を逸らすように、黒服はそんな事を聞いてきた
……それについては全く進んでいない、というのが現状だ
原作が忙しいというのもあるが、それ以上に普通に手詰まりしてるのだ。これが完成すれば、原作キャラ達の記憶から転生者達の記憶だけを消して、あとはトンズラすれば良いだけだと言うのに……
「いいや限界だ、押すね! 超必殺! ペロロケット発射5秒前! 4 3 2 1 2 4 4 4 4 2 2 3 発射ぁ〜!」
「ハハッ、外してらァ!」
「……見かけの割に結構判定狭いからね、見極めなきゃ外すよ」
「なにこれぇ(失望)」
「……なるほど」
「…すまない。大した進捗が無くて」
「いえ、問題ないですよ。……実は私も、一時期は生徒の記憶を消去する小道具を作ろうと躍起になっていましたが、結局、今の貴方と同じところで躓いて、そのまま断念したことがありましてね」
「……それは」
「えぇ。暁のホルス……小鳥遊ホシノを引き入れるための一助になればと考えたまでです」
わー、黒服ならやりそうだなー
具体的な使い方は分からないが、きっと人の心の無いような策略でホシノを籠絡するんだろうなー…
てか、黒服も作ろうとしてたんだ?
じゃあちょっとくらい手伝ってくれても良かっ───
「小パン、蹴り上げ、小パン、蹴り上げ……」
「ん゙? なにこれぇ(呆然)。こんなの、ただのハメじゃない(絶望)」
「そうだが?アタシのビッグブラザーはペロロ相手にゃこれができるからなァ…」
「非道いなぁ……人の心とかないんか?」
「お前相手にゃ要らねぇだろ」
「本当に人の心が無くてどうするんだ」
「………そのハメ、ジャンプすれば抜けられるよ。シビアだけど」
「本当かなぁ?(疑心暗鬼)」
延々と
隣の部屋から、聞こえてくる声
未だ謹慎中のカラス、意外にも格ゲーが得意だったイツコ、そして「すぐ帰る」と言ったきりまだ帰らないフミエ
「…………ふぅぅぅぅ………(隣の部屋で何してんだあの阿呆共は…!)」ピキピキ
キヴォトスで最もポピュラーと言える格ゲー「モモ・ファイターズ」をしているのは分かった
友達とやるゲームは盛り上がるものだよ。それも格ゲーともなればとてもね。それも分かる
分かるが、せめて声を抑えてくれ…!
てかミゾレは何をしてるんです?黒服来るらしいから静かにさせといてって言ったっすよね?そもそもなんで隣の部屋で格ゲーしてるんだよ
「…大丈夫ですか?」
「いや、うん……大丈夫、だ」
「なら良いのですが………もしよければ、その時の私の研究データを提供しましょうか? 私にとっては、もう無用の長物ですし」
「……いいのか?」
「えぇ」
黒服から心配されるとはどういうことか
…何も大丈夫じゃありゃせんよ。特に黒服目線で我々がどう映ってるかがとっても怖いです…
内心そんな事を思っていたが、それでもなお大丈夫と返した私を見て、黒服はデータの提供をしようかと提案してきた
………いいんですか?
何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまうが……
「……紙一重ってところか」
「ドストレート負けで何が紙一重だよ。ほとんど攻撃できてなかったじゃねぇか」
「……ペロロはガーカンが本体だから。その強みが何一つ活きてなきゃ、そりゃ負けるよねって話だよね」
「ガードが下手すぎんだよ、お前」
「……私の故郷では、盾を使う文化がなくってなぁ。ヤーナムって所なんだが」
「あー……アンタ、脳に瞳生やしてるタイプか」
「なんじゃそれ」
「知らなくて良いですよ」
「………感謝する」
「ククッ…貴方の『拘束具』は実に有用でした。次も、期待していますよ?」
ミゾレの仕事を一切受け付けないオフモードの声が聞こえたが、パリパリとポテチが割れる音が聞こえたが、聞こえなかったフリをしつつ、研究データを頂戴させていただくことにする
いいよね? 無用の長物って言ってたし、後から「あの時データ渡したよね?貸し1だよね?だからおたくの生徒を貸して♡」みたいなこと言われないよね?
言動的に、黒服目線では私が以前作った「拘束具」のようなものをただ期待しているだけなのかもしれないが、流石にそれは安直過ぎると言うべきか
…まぁ、期待には応えよう
応えなきゃあのベアトリーチェに何を言われるか分からんし、そしてそれはたまったものじゃないからね、しょうがないね
「…嬉しい限りだ」
「………それはそれとして、ひとつ質問があるのですが…」
「…なんだ?」
断じてMではないが、期待という名の重圧に感謝すると、黒服は改まったようにそう聞いてきた
…もう質問の内容は察せてしまったが、十中八九隣の部屋の連中のことだろうが、聞いてみる
「あぁ、ずっと…ずっと側に居てくれたのか……我が師…導きのウェーブキャットよ…」
「使いやすさに逃げたな」
「扱いづらい最強より、扱い慣れた平均を私は選ぶよ。勝てば良かろうなのだよ、貴公」
「そのまま永遠に勝利という結果に辿り着かない無限ループを繰り返していてください」
「レクイエムかよ」
「やめてよね。『今日の眼鏡 : 扱いやすいキャラに逃げて死亡』とか洒落にならんから」
「ここは孤児院か何かになったのですか?」
「…違う………はず、だ」
「そこは断言してほしいのですがねぇ……」
第三者から見て、ここはしっかり拠点をしているのだろうか
もうシェアハウスとかその辺になってないだろうか
分からなくなった私は、黒服の言葉を否定できなかった
情報屋(利用客はミライだけ)
第三者目線では、ムトンは祝福されてなかったってだけで生徒を区別して、隔離して、そして実験するようなただの悪い大人に見えてくる謎
一応、改めて解説をば。祝福があるというのは、原作に登場しているか、または前世の記憶がないキャラを指します
「原作に登場してる」だけだと原作ネームドに憑依転生した転生者いた場合そいつがすり抜けるから、「前世の記憶がない」だけだとカノエという反例が出てくるから、どっちかひとつを満たせば祝福がある扱いになります
だからこそ、その反対の祝福がない状態とは「原作に出ていなくて、かつ前世の記憶持ち」であり、それはつまり転生者だよね、という初期のムトンが考えた理論です
ちなみに、この理論だと非ネームド生徒のモブがカノエみたく前世の記憶を持っていると言った場合、そのモブは転生者扱いになります
さらに言うと、あからさまな生徒(転生者)が見つかったとしても、そいつに前世の記憶がなかった(何らかのショックで前世を忘れてたみたいな)場合、そいつは原作生徒になります
ガバガバ過ぎる
……次回は完全なる番外編になるかなと思います。妄想が消える前にさっさとモノにしておこうって魂胆です
一応、タイトルは「私立ヒヤシンス学園の転生者」です
【ア。〜 アンケートの使い方について 〜】ところで、読者の皆様は……
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1.曇らせるな───!!
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2.曇らせよ、晴れと共にあれ!
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3.世に曇らせのあらんことを!
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4.俺は、ただの熊になりたい