だが、分かるよ…遠足とは愉快なものだ
だからこそ、大量の書き置きが必要なのさ
愚かな結果を残さないようなね
訳: 愉快な遠足に行ってたため更新が遅れました。赦してくれ…
───ゲヘナ学園、風紀委員会部室にて
「戻ったぞ……って、あれ」
それは数日後の昼時、
風紀委員会の副委員長たるイバラは荒れに荒れる不良生徒達を片っ端から潰し回り、ようやく一息つけると部室まで戻ってきたときのことだ
「……誰も居ない…」
誰も居ない
つまり…誰も居ないということ
なんでや
いつもツンツンしてる足を舐められる予定の褐色ツインテのイオリに、未だに俺に怯えている赤タイツのチナツ、ゲヘナシナシナシロモップでお馴染みのヒナ、駄犬のアコなどのネームド生徒はおろか、その他風紀委員会所属の生徒すらほとんど見ていない
「………合宿とかあったっけ……」
過去に一度、風紀委員会で行く強化合宿をすっぽかしたことがある俺は、そのトラウマからほぼ反射的にスマホで今日の予定を確認したが、合宿などの予定はなかった
あ〜良かった、前みたいに恥を晒すバカは居なかったんだな…!
…じゃあ、なんでみんな居ないの?
「……(んー…分かんないなぁ)」
あまり知られてはいないが、俺…いや、私……どっちでも同じか……俺はバカだ
定期テストとかはいつも赤点スレスレだし、勉強嫌いな俺はテスト前日は一夜漬け、それでも分からないところはテスト直前までアコに教えてもらっているのだ
…俺を始めとした転生者が、キヴォトスの地理に歴史に法律なんて知るわけないだろ!いい加減にしろ!
……要するに、俺はバカだからひとりで考えても仕方がないということだ
何か困ったらとりあえずアコに言っておけば良いとヒナから言われたことを思い出し、俺はスマホをいじってアコに電話を掛けようとしたその時、モモトークの着信音が鳴った
「……ムトン?原作関連で何か…あー…」
メールを送ってきた相手がムトンだったことから、だいたいを察し、そしてメールの内容を見て、それは確信になった
「アビドスと風紀委員会が衝突した……なるほどね」
なるほどねぇ…風紀委員が居ないのはアコに言われてアビドスに出向いてたからか……そっかぁ…
「そっかそっか…『だからヒナをアビドスに行かせるよう言って欲しい』と……」
なるほどなるほど……
「え?そっちにヒナ委員長居ないの?」
その旨のメールを送ると『アビドス付近にヒナの姿は見えないからさっさと送ってくれ』と返された
………って、言われてもなぁ…
とりあえずヒナに電話を掛けてみる
ヒナにはなんて言おう……アコ達がアビドスに出張ってるみたいだけど…えーと……俺は用事だから代わりに行ってほしい……的な感じで良いかなぁ…
みたいなことを考えつつ、1コール、2コール、3コール………
……あれ、出ない?
一旦電話を切ってから掛け直す。しかし、ヒナは電話に出ない
……………
「……なあムトン、ヒナがどこに居るか分かるか?」
『なんで知らないんだ!?お前は副委員長じゃないのか!?』
「分からないものは分からないのだよ、はっはっは」
『こんの…ッ、バッッカ野郎ォォ!!!』
この時、ヒナはまだゲヘナにいた
万魔殿の執務室でマコトと共に、ブラックマーケット最強の傭兵と謳われるバケツに対する策を話し合っていた
何故か?それは、数日前にカラスと先生が接触したから
…乖離とは、些細なことから始まる
今回のように
*****
───アビドス市街地にて
「(まさか、俺が出張るハメになるとはリハクの目をもってしても…)」
俺は、対策委員会と風紀委員会の仲裁…仲裁?をするべく、アビドスに走って向かっていた
…結局、ヒナは見つからなかった。メールしても電話しても出なかったし、友人達に聞いても誰も知らなかった
「(誘拐……は、ねぇよなぁ。ヒナだもん)」
などと考えてたら、沢山の銃声が聞こえてきた。聞き馴染みのある声も、聞こえてきた
「(ここかぁ…祭りの場所は…)」
足を止めて、走っていたためやや荒くなっていた息を整える。そして、僅かに聞こえてくるアコの通信越しの声に合わせて、通信を入れる
*****
「この状況でさらに投入……!?」
「た、大したことないわよ!まだまだ戦えるんだから!」
「それはそうだとしても……これはもう、アコの権限で動かせる兵力を超えてる。ということはこの襲撃、アコの独断じゃなくて、まさか……」
「……風紀委員長…もしくは風紀副委員長が?」
「えっ、ヒナが来るの!?無理無理無理!?逃げるわよ、早く!」
「いや、そうは言ってない……落ち着いて、社長……」
戦場と化した紫関ラーメン跡地で、涙目になりながら叫ぶ便利屋のアルを横目に、私達は風紀委員会へ攻撃を続ける
戦況は、はっきり言って絶望的だった
普段のヘルメット団よりも強い風紀委員会。そしてそれは倒しても倒しても、終わりが見えない
先生や助っ人としての便利屋は居るけれど、それでも厳しい。せめてホシノ先輩もいてくれれば、と思わずにはいられない
「(……アイツなら、こんな状況でも勝てるのかな)」
ふと、忌まわしいアイツのことを想う
戦禍の金曜日事件を乗り越えたアイツなら、もしかしたら、この盤面をひっくり返せるかもしれない
……まぁ、だからといって呼べたりするわけじゃないけども
戦況は最悪だ。そして、風紀委員会は手を休める気はないらしい
『さあ、では……三度目の正直と行きましょうか。風紀委員会、攻撃を───』
『…アコ』
低い、女性の声が聞こえた
今までの誰でもない、新しく聞いた声だ
『ヴェッッ!?い、イバラ副委員長!?』
「副委員長?」
「今の通話相手が……?副委員長ってことは、風紀委員会のナンバー2……?」
副、委員長……
新手の登場か、と、シロコ先輩と私は身構えた、が
「(…風紀委員会の、様子が…?)」
風紀委員会のほとんどが銃口を下ろし、そしてその声に耳を傾けていた
ある者は加勢に笑って、
ある者は固唾を飲んで、
ある者は恐怖に震えて、
など、三者三様だった
『君は今、何処にいる?』
『わ、私ですか?私は……そ、その……えっと……、今ゲヘナの郊外の市内の辺りです!風紀委員のメンバーとパトロールを……』
「思いっきり嘘じゃん!!」
「やっぱり、行政官の独断行動だったみたいですね……」
思わず叫んでしまう。そりゃ叫ぶだろう
まさか、ここはゲヘナの自治区とでも言いたいのだろうかあの女は
『そうか。ではすまないが、一度執務室まで戻ってきてはくれないか。話がある』
『は、はい!……え?』
『どうした?』
『あ、いや!その、私は……今すぐ迅速に処理しなくてはならない用事がありまして……も、もう少し時間がかかるかと……』
『…そうか。…なら、そちらに向かおう。市内のどの辺りにいる?』
『そ、それは、ですね…!』
もしや、イバラとやらは、風紀委員会の加勢に来るのだろうか
新手にはうんざりだ。だけど、抗わない手はない
……そういえば、あの女はゲヘナ郊外の市内でパトロールをしていると言ったが、この問いにはなんと返すのだろうか
まさか、バカ正直に「アビドスの市街地です」なんて言わないとは思うけど…
『えっとですね……か、カフェ!最近できたというカフェの方に居ますので!』
『カフェ?最近できたというカフェなら、私は今そこに居るのだが』
『………』
嘘をついたのだろうが、見事に撃沈したらしい
安易に嘘に頼ってはいけないと、ことわざにもあったような…ないような…
『もう一度聞くが、何処にいる?』
『………その…アビドスの、市街地です……』
『……何故、アビドスに居る。ゲヘナでパトロールしているのではなかったのか』
『そ、その、ですね……』
どうやら、正直に伝えることにしたらしい。今は先程の言葉に対する言い訳を探しているようだった
『…まぁ、いい。そのことについては不問にしておこう』
『………(ホッ…)』
「(不問にするんだ……)」
『アビドスの市街地、だったか……政治問題になりかねんだろうが、すぐにそちらに向かおう』
『あ、そうですか!ではこれにて通信を……』
『…あぁ、そうだ。君にひとつ、聞きたいことがあるのだが、構わないか?』
『は、はい。なんでしょう?』
『では、聞くが…』
イバラはそこで言葉を一度区切った
何を聞くのか、そう思ったとき
「『君はここで、何をしていた?』」
声が、重なった
その声に、余裕の笑顔を浮かべていた風紀委員会の生徒も、今はその鳴りを潜め、固唾を飲んでいる。逆に震えていた生徒は、より一層ひどく震えて、泣いている生徒もいた
威圧しか感じられないような言葉の圧に竦みながらも、私は声がした方を見る
軍服を思わせる長ズボン、
風紀委員会の黒い紺の制服とその腕章、
有刺鉄線が巻き付けられた大盾、
使い込まれたであろうSG、
伸ばされた黒い髪、
どこまでも冷ややかな黒い瞳…
「(…あれが……)」
ゲヘナの風紀委員会、その副委員長
まるで、地獄の番人を思わせるような存在だった
*****
「(……で、どうすっかなぁ…)」
割と格好良く登場できたと思いつつ、この現状を見て、割と呑気に考える
ヒナの代わりと言っても、ここでやることはアビドスと先生に風紀委員会という存在を知らせること、風紀委員会をアビドスから手を引かせること、先生にアビドス砂漠でカイザーが何かを企んでいるとを伝えること、そしてアビドスに頭を下げること……ぐらいだろうか?
まぁ、難しい内容ではない
『ゲヘナの風紀副委員長……花山イバラ。外見情報も一致します、間違いなく本人のようです。…ですが、ゲヘナ風紀副委員長ということは……ゲヘナにおいてトップクラスの戦闘力……この状況でそんな人物まで……』
アヤネの通信が聞こえる
ゲヘナにおいてトップクラス、ねぇ……まぁ、強ち間違いじゃないのか。言うてヒナに勝ったためしはないけどもね
「………何を、していた?」
『そ、その……これは、素行の悪い生徒たちを捕まえようと……』
「……………便利屋68のことか?何処にいる?今は、シャーレとアビドスと、対峙してるようにしか見えないが」
『え、便利屋ならそこに……って、い、いつの間に逃げたのですか!?さ、さっきまでそこにいたはず……!』
素行の悪い生徒達と言われて「(誰だっけ…)」が先に出てきた。18年近く前の記憶とか忘れるに決まってんだろ!!いい加減に(ry
なんとか思い出して話を繋げる。正直、ここはヒナが言っていたことを真似して、適当にアドリブを入れるだけのデッドコピーになれば良いだけなので、この辺は楽だ。問題はヒナが何を言っていたかを忘れているということなのだが……
『え、えっと……副委員長、全て説明いたします』
「………いや、いい。だいたい把握した」
こう言ってたよね?確か
んで、確か次は……えぇっと〜…あー、思い出した
「察するに…ゲヘナにとっての不安要素の確認、及び排除。そういう、政治活動の一環と言ったところか」
で、次はなんだっけなぁ……あー、そうだ、タヌキだタヌキ
「ただ、アコ……我々は風紀委員会であって、生徒会じゃあない。シャーレ、ティーパーティー、連邦生徒会……そういう、政治絡みの問題は、全て万魔殿のタヌキ共に任せておけばいいのだよ。……尤も、まともに動くかどうかは別だが」
まぁ、動かんだろう。あのマコトは
嫌な信頼を感じつつ、次の言葉を思い出す。これでアコとの話は一旦おしまいだな
「まぁ、良い…いや、良くないが………反省用紙の場所は、分かっているな?分かっているなら、今のうちに書き始めておけ。100枚は下らないぞ」
『……はい』
素直に返事をしたアコはそのまま通信を切った。普段もこれぐらい素直だったらいいのになぁ……でも素直になったらアコというアイデンティティが失われて……いや、横乳があるから大丈夫か…
アコが素直になったときのことを考えつつ、俺はアビドスを見る
「……じゃあ、あらためてやろうか」
「………」
銀行強盗大好き狼こと砂狼シロコは、そう言って俺に銃口を向けた
……狂犬過ぎないか?この子
『ま、待ってください!ゲヘナの風紀副委員長と言ったら、キヴォトスでも匹敵する人物を見つけるのが難しいほどの、強者の中の強者ですよ!ここは下手に動かず、一旦交渉するのが吉です!どうしてそんなに戦うのが好きなんですかっ!』
「……ご、ごめん」
……アヤネって、あんな生徒だったっけ
薄れていく自身の原作知識に嘆きつつ、俺はアヤネの言葉を待つ。確かこの後すぐに現状把握してるか聞いてくるんだったよな…確か……
『こちらアビドスの対策委員会です。ゲヘナの風紀副委員長ですね、初めまして。この状況については理解されてますでしょうか?』
「……あぁ。事前通達無しでの他校自治区における無断兵力運用、及び他校生徒たちとの衝突……」
まるで俺達が悪者のようだ。いや、実際はアコだけなんだが
それで、えぇっと、次は………
次は……次、次……
あれ、次なんか俺言うんだっけ?
…
………
……………
えぇい!!思い出せ俺!頑張れって!!
次の言葉!次の言葉だヨーー!!!
「そうだな……」
それっぽく言葉を選んでる風な言葉を挟みつつ、思い出せよ俺!!18年前まで遊んだゲームのことぐらい思い出せよ!いや、思い出せるわけねぇだろうが!!いい加(ry
く、くそ……出ねぇ……この後ヒナが頭を下げるところは覚えているんだが……その間がどうにも出てこない……
……仕方ないか
諦めた俺は、頭を下げようと一歩下が
「うへ、こいつはまた何があったんだか。すごいことになってるじゃーん」
ろうとした瞬間、横からそんな呑気な声が聞こえる
あれは間違いない……アビドスオジサンユメモドキこと小鳥遊ホシノだ
相変わらず哀れな学名だなと思いつつ、ホシノとアビドスの昼寝(昼寝ではない)などのくだりを見届ける
「ゲヘナの風紀委員会かぁ……便利屋を追ってここまで来たの?」
「……あぁ、そうだな」
急にこっちに語りかけてきたホシノに驚きつつ、俺は答える。確かヒナもこう言ってた……はず……
「そっかぁ…まぁ、事情がなんであれ、対策委員会はこれで勢揃いだよ。ということで、あらためてやり合ってみる?風紀副委員長ちゃん?」
……何気に、初めてちゃん付けされたなぁ
目の奥で確かな敵意を見て取れるホシノを見て、呑気にそう思う
ここで戦う必要がないと分かっている俺は、キヴォトスでもトップクラスの戦闘力を持つホシノを前にしても、そう呑気でいる
この後ヒナは……何と言っていたかはもう覚えていないが、ここからはアドリブで何とかなるだろうと思い、それっぽいことを並べて逃げることを選択する
「……それも確かに一興だろう…が、私がここに来たのはそれが目的ではない。ここで争ったとて、互いの傷が増えるだけ、全く無毛なことよ」
「………」
「私はただ、無駄に仕事を増やしたバカを止めにきただけだ」
「……ふぅん…」
「あと、それと……」
そう言って、俺はできる限りアビドスに近付き、そして、頭を下げた
「えっ?」
「頭を……」
「…事前通達無しでの無断兵力運用、そして、他校の自治区で騒ぎを起こしたこと。このことについては私、花山イバラより、ゲヘナの風紀委員会の副委員長として、アビドス廃校対策委員会に対して公式に謝罪する」
……俺、委員長じゃないけど、公式に謝罪して大丈夫やろうか…。まぁ、ここはキヴォトスやし、大丈夫やろ()
ガバ理論で自身を正当化しつつ、言葉を続ける
「今後、ゲヘナの風紀委員会が、ここに無断で侵入することは無いと約束しよう。建造物や治療費についても、こちらで補償する。……どうか、許してほしい」
「副委員長……」
「ま、待ってイバラ副委員長!あの校則違反者たち……便利屋はどうするんだ!?」
後ろからチナツやイオリが喋る
便利屋かぁ……放置でよくね?原作的に()
「……ここは、アビドスの自治区だ。我々(ゲヘナ)の生徒と言えど、他校の自治区である以上、我々が首を入れる理由はない」
「………う、でも…」
「でも、なんだ?」
「………なんでもない」
確かに、アビドスは土地がほとんどなくなってる。ここだってカイザーの土地だよ。けど、アビドスって「土地を売ったから自治区を減らします」みたいな正式な書類は書いてないと思うんだよね、知らんけど
……まぁ、だから、まだアビドスはバカみたいに拾い自治区を有していると俺は思うんだよね。…多分、だけども……
「……帰るぞ、諸君」
そう言い、手を叩いて風紀委員達を促す。そうすると、風紀委員の大部隊は素早く隊列を整えて、ゲヘナ方面へと帰っていく
いや〜先導とかしなくとも帰って行ってくれるのは実にありがたいなぁ……後から付いていけば俺が道に迷うことが無いのは本当にありがたい
さて、俺もみんなの後ろを付いて……っと、そうだそうだ、忘れるところだった…
「………シャーレ。その先生」
”……私に何か用かな?”
シャーレの近くでアビドスがめちゃくちゃ警戒しているようだったが、大丈夫だって!ちょっと情報渡すだけだから!
「そうだ。きm……いや、貴方には、直接伝えるようと思っていてな」
”(君……)”
先生を君呼びしそうになった…慌てて言い直したが、どうやらダメだったらしい……
絶望しそうになっている心にフォローを入れつつ、俺は情報を伝える
「カイザーコーポレーションについて、知っているか」
”うん。大まかには、だけど…”
「……そうか」
それで良いんだよ、それで
俺は絞りカスになった記憶をさらに絞って、次の言葉を捻出する
「……これは、万魔殿やティーパーティーも知らん情報だが……貴方には知らせたほうが良いやもしれないのでな。アビドスの捨てられた砂漠……そこで、カイザーコーポレーションが、何かを企んでいるようだ」
”アビドスの砂漠……”
「そうだ。廃校予定のアビドスに伝える義理などないが……一応、な」
言葉を絞り出してただけなのに、やけに疲れた気がする……
まぁ、もう終わりよ。後は帰ってヒナで癒されて寝る。それだけ
「……さらばだ。シャーレ」
そう言って、俺は見えなくなりつつあったみんなの後を急いで追った
*****
───ゲヘナ学園、風紀委員会部室にて
「……そう。私が居ない間に、そんなことが…」
あれから、数時間後
風紀委員会の部室で、俺はヒナが居ない間に何が起きたのかを、ふたりで仕事をしながら色々と話していた
「あぁ…アコも、すっかり反省したようでな。反省文を2000枚も書くらしい」
「……………そう」
ヒナは非常に何かを言いたそうにしていたが、結局言わずに飲み込んでしまったらしい
……何それ、めっちゃ気になるんだが。……まぁアコ関連はどれも下らないことだし、わざわざ詮索する必要はないか(超偏見)
「………ねぇ、イバラ」
「なんだ?」
急に、ヒナは俺に問いかけてきた
俺とは少し離れた席のヒナは仕事をしている手を止め、こちらを向いていた
「なんで、シャーレの先生はアビドスに行ったか分かる?」
「?アビドスに頼まれたからでは、無いのか?」
「………質問を変えるわ。なんで、アビドスが今も残っていると思う?」
「……さぁな、生徒会が残っていたからではないか?」
ヒナは、何故、先生がアビドスに行ったのか、そして、何故、アビドスが残っているのかを問うてきた
それに対して、政治やら、そういった行政関係がよくわからない俺は適当に答えを返す
「生徒会?……まさか………」
「?」
「ねぇ、イバラ」
「なんだ」
「アビドスに、小鳥遊ホシノ……えぇと、短めのピンク髪と、青と黄のオッドアイが特徴的な生徒は居たかしら?」
「……あぁ、いたぞ」
「……………」
ホシノ?ホシノがどうかしたんかワレ
……あー、そういやヒナってホシノが推しピだったんだっけ。よく覚えてないけど
「それがどうかしたのか…って、わっ」
「詳しく、教えてくれる?」
気付いたら
少し離れていたヒナは真横に立っていて、俺の目を覗き込むようにして聞いてきた。その目には、何が色んな感情が渦巻いているようにも、あるいは何も映っていないようにも見えた
そんなヒナを見て、俺は
「…あ、あぁ………分かった……(こっわ…)」
めちゃくちゃビビっていた
イバラってめちゃくちゃ威圧感がありますが、実際は風紀委員会版のアル社長みたいなものだったりします。つまりはポンコツ
・花山イバラ
ゲヘナにおける風紀委員長とは対となる最強
委員長よりも恐ろしいという生徒が数多く、特に1学年から多いが、その心情を知る生徒からはあまり脅威に見られていないことがある
割と融通が利くとして、温泉開発部の部長はイバラに許しを乞うたが、真正面から潰されてトラウマになった
また、3学年でありながら、唯一雷帝の恐怖を知らない生徒であるイバラにとって、ゲヘナとは過去からの憧れだった