Q.ここから入れる保険はありますか?   作:様子のおかしい人

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アビドス対策委員会編は終わります
ですが、原作崩壊対策委員会はまだ続きます
具体的にはエデン条約編手前まで続きます

……理由は「たった2〜3話で終わる予定のパヴァーヌ編1章をわざわざ章分けするのもなぁ」と思ったためです…


(でも、これから始まるのはパヴァーヌ編じゃないんだよなぁ……)


第9話 だから様子見はしておけとあれほど…

 

 

 

───アビドス砂漠、カイザーPMC駐屯地にて

 

 

 

それは夜、

幾多の生徒達が、その付近でそれぞれ待機していた

 

 

アビドスの対策委員会、

 

便利屋68、

 

ゲヘナの風紀委員会、

 

トリニティの阿慈谷ヒフミファウスト、

 

そして、バケツ戦禍の八咫

 

 

各々、自身の銃の動作確認をしていたり、側に居る仲間達と話をして、その時を待っていた

 

 

そして、その声は響く

 

 

 

”みんな、準備はいい?”

 

 

「ん、行こう」

 

 

「…イバラ、イオリ?…みんな、行くよ」

 

 

「やっとか?待ちくたびれたってもんだぁ」

 

 

 

その時は来た

 

 

これより始まるのは、ホシノ奪還作戦

 

即ち、カイザーPMC理事の悪夢である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「時に、イオリよ」

 

 

「うん?どうしたの副委員長?」

 

 

「カイザーの兵士をどちらが多く倒せるか、私と競争してみないか?」

 

 

「え?いいけど……なんで私なの?そこは委員長じゃないの?」

 

 

「殲滅能力カンストしてるようなヒナに我々が勝てるわけないだろう。殿堂入りだあんなイレギュラーは」

 

 

「……それもそっか」

 

 

「………(………全部ひとりで先に倒して、ふたりの競争を台無しにしてやろうかしら…)」

 

 

「ひ、ヒナ委員長?か、顔が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な…何故ここにお前がいる!?バケツ!!」

 

 

「あぁん?じゃあ聞くが、なんでだと思う?」

 

 

「ッ!総員構えろ!!」

 

 

「…答える気ゃなしか……まぁ、いいか」

 

 

「う、動くなッ!!」

 

 

「せいぜい、蹂躙にならねぇように戦ってくれよな?雑多カイザー共」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『見ろ、ミゾレ。カイザーPMCが瓦解していく』

 

 

「そうですね」

 

 

『……破綻した計画の、妥当な末路だ』

 

 

「我々も、こうならないようにしたいですね」

 

 

『急に怖いこと言わんといてや』

 

 

 

 

 

誰も知らないことだが、この場にはもうひとり居たらしい

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

「聞いてた割にゃあ弱ぇな」

 

 

地に伏せる雑多共の上に座りながら、そう言う

カイザーはそれなりに強いと聞いてたから、てっきりこの前の狐野郎と雑多集団……ナントカの金曜日、あれよりも歯ごたえがあるもんだとばかり思ってた……が

 

 

「これなら、あの狐野郎とサシでやった方がずっと楽しいじゃねぇかよ」

 

 

狐野郎……名前は忘れたが、アイツとは確かな友情がある

友情さえありゃ、名前なんて要らないってフミエも言ってたし、忘れても大丈夫だろ

 

 

「…はぁ……じきに夜明けか」

 

 

地平線の先で、紫からオレンジ色に変わり始めている空を見る

 

……ホシノとやらは、救出できたのだろうか

どうでも良いことだが、気にならない訳じゃない。どうやらアイツは、原作とやらに深く関わるらしいから、生きてなきゃ困るんだと

 

 

「アイツ強かったし、生きてて欲しいんだが……」

 

 

 

「む…」

 

「あ?…なんだ、イバ…」

 

「っしぃぃぃ……!」

 

「……悪ぃ」

 

 

後ろに突っ立ってたイバラは口元に人差し指を置いて「静かにしろ」というジェスチャーをする

……そういや、アタシらは互いに面識がない設定だったな、すっかり忘れてたわ

 

イバラは……そうか、風紀委員会としてここに来たんだったか……何しに来たんだコイツ?

 

 

「……どこの不良かは知らんが、君も先生に呼ばれたのであれば、伝えておこうと思ってな」

 

「あん?」

 

「小鳥遊ホシノ、先生はその生徒の救出に成功した」

 

「………そうかよ。情報あんがとな」

 

「うむ……だから君は、もう帰るといい」

 

「…ハハッ!そうだな、そうさせてもらうぜ」

 

 

普段なら噛みつく言葉に、アタシは素直に頷く

 

どうやら、ホシノは救出されたらしい

なら、先生のお願いも、ここで終わりだ

 

帰るために立ち上がると、辺りがいきなり明るくなりだした。私の後ろで、日が出てきたようだ

 

 

「……じゃあ、アタシは帰るぜ」

 

「うむ」

 

 

太陽ホルスは見ずに、逆光に照らされながら、アタシは自分の居場所であるブラックマーケット暗がりに向かって歩き始めた

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

ホシノを、助けることができた

 

そのため私はカラスにお礼を言うために、ブラックマーケットを歩いた。その時は、ホシノも付いてきていた

 

だけれど

 

 

 

『”………居(・)な(・)い(・)”』

 

 

『……うん』

 

 

 

カラスは、見つからなかった

 

目撃情報を聞いても、あまり大きな情報は得られず、結局私達は空が暗くなっても見つけられなかった

 

 

 

『……先生、もう暗いし、今日はもう帰ろ?』

 

 

『”ホシノ……”』

 

 

『カラスちゃんなら、おじさんが探すよ。先生の代わりにお礼も言っておくからさ』

 

 

『……でも”』

 

 

『それに……私(・)は、あの子に色々言わなきゃいけないこともあるから……』

 

 

 

そう俯きがちに言ったホシノの顔は、周囲の暗さも相まって、深く沈んだように暗かった

 

私は、ホシノの頭を軽く撫でた

 

 

 

それが、つい先日のこと

 

 

 

 

 

”(どこに居るんだろう……)”

 

 

シャーレのオフィス、

椅子の背もたれに寄りかかりながら、私は考える

 

 

あの日、一切の目撃情報がない中で、私は細い路地の奥に居るカラスを偶然見つけた

 

けれど

 

 

”(……本当に、偶然だったのか?)”

 

 

カラスは、私の視界の先に居た

言うなれば、私の進(・)行(・)方(・)向(・)の(・)先(・)だ

 

そこでカラスは……よく見えなかったが、場所を確認するように歩いていた

 

それがどうにも、不自然に感じる

 

 

私の移動先に先回りするような、しかしそれとは違う、何か

 

 

 

”(そういえば……)”

 

 

 

カラスは、私と話している間に電話がかかってきたため、電話相手と話していた

 

 

相手は、誰だ?

 

 

カラスは、傭兵としての電話番号を持っていない

つまり相手は、カラスと親密な関係にある存在である可能性が高い

 

 

それが生徒なら、それで良い

 

ただ……それが黒服のような、悪い大人であったら?

 

 

”(………)”

 

 

 

ブラックマーケットでの仕事しか受けないこと

 

自分から問題行動はしないこと

 

 

 

 

 

まさか、カラスは─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あのぉ〜…」

 

 

”……あ!ご、ごめん!”

 

 

 

思考に耽っていたため、そんな声を聞くまでオフィスの入り口にいる生徒の存在に気付けなかった

しまった、と言いながら時計を見れば、業務の開始時間はとっくに過ぎていた

 

 

”えっと……書類、持ってきてくれたんだね……”

 

「露骨に嫌な顔をするのやめてくれませんか?」

 

”ははは……はい……”

 

 

そうして、私のデスクにサンクトゥムタワーと見間違う程高い書類の山が置かれる。私は、書類を運んできてくれた、羊のような角と耳を持つ生徒───芯入アマネに感謝を告げる

 

 

「……アビドスでの仕事は終わったんですか?」

 

”うん。課題はまだあるけど……ひとまず目先の問題は終わったからね”

 

「そうですか……それは、良かったですね!」

 

”そうだね、本当に…”

 

「では、書類仕事も同じようにお願いしますね!」

 

”シゴトオワラナイヨォォ……!!”

 

 

がんばるぞー程度の虚勢すら張れない私は軽く絶望しながらも、書類の山から書類を1枚取

 

 

 

Prrrrrrrrrr…

 

 

 

ろうとした瞬間、備え付けの電話機が鳴った

 

 

「……電話?」

 

”出てみるね”

 

 

あわよくば、仕事をサボれる理由になってくれれば、などと目の前の生徒には決して言えないことを思いつつ、私は電話に出た

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

───ブラックマーケット、某所にて

 

 

 

「たっだいま〜!フミエ様のお帰りでぇ〜い!」

 

「おや、フミエさん。おかえりなさいませ」

 

 

リビングの扉を思い切り開き、私は置いてあるソファへダイブする

私は数週間ぶりに拠点ここに帰ってきていた。いや〜やっぱここの空気感は安心できるね!実家の安心感とはまさにこのことか!

 

 

「早速ですが、定期連絡のほどを伺っても?」

 

「あー、うん。特に何もないよ。メグミがコユキと仲良く反省部屋にぶち込まれてたぐらいにはミレニアムは平和だよ」

 

「……………そうですか」

 

 

ミゾレは非常に何か言いたげな顔をしているが、私だってなんでそうなったのか知らない。大方、メグミが何かやらかしたのだろう、知らんけど

 

 

定期連絡

私やイバラ、チヨやアマネとかは各々の学校の内部の様子を知らせるため、週1〜半月ぐらいのペースで有事でなくともムトンかミゾレに連絡を入れるのだ

 

しかし、ここにわざわざ足を運ぶのは私だけ

 

イバラやチヨはスマホで連絡を送れば良いのだが、私はそういうわけには行かないのだ

というのも、私が通うミレニアムにはヴェリタスやら全知やらビッグシスターやらのハッキングの腕が立つやべぇヤツらがいっぱい居る。だから安易にスマホで連絡を送ろうものなら、情報を抜かれるわ、ここの位置情報が割られるわ、最悪ミゾレの存在もバレるわ……と、リスクがあまりにもデカすぎる

 

だからこうして、直接足を運んで、口で情報を伝えるのだ

 

 

「対策委員会編は終わったらしいね?どうだった?」

 

「えぇ、色々アクシデントはありましたが、何とか形にはなりましたね」

 

「あ〜〜……カラスが、何か?」

 

「えぇ、覆面水着団をド突きましたね」

 

「原作知らないんだもんねぇ……」

 

 

やっぱりカラスはやらかしたようだ。まぁ原作知らないし、相手のやってることは普通に銀行強盗でしかないし……

 

 

「まぁ、多少は多目に見て上げなね?」

 

「…えぇ」

 

「あ、そういえば、ムトンどこ?」

 

「?ムトンなら…」

 

「………私ならここだ」

 

 

そう言ってムトンは、明け放たれたリビングの入り口からこちらを覗いていた

 

 

「あれぇ?いつからいたの?」

 

「今。…お前もお前で騒がしいな」

 

「あはは!そりゃあ転生者なんて隠し事しないでハメ外せるんだから、気分が乗るってなもんよ」

 

 

ムトンはうんざりしたように私を見ていたが、やがて私が横たわっているソファと向かい合う形で置かれているソファに座った

 

 

「あ、ミゾレ、『厚化粧』貸して。メンテするから」

 

「分かりました…どうぞ」

 

「あんがとね〜。…あとついでにカラスも呼んでくれる?アイツの銃も見ておきたいからさ」

 

「はい、分かりました」

 

 

ミゾレは、私にホログラム投影機の『厚化粧』を渡した後、カラスを呼びにリビングを出ていった。私は持ってきていたカバンを開いて、受け取った『厚化粧』のメンテナンスを始めた

私がここに来るのは何も定期連絡だけではない。こうして、仲間の使う道具をメンテナンスするという重要な役目もあるのだ

 

 

「………助かるな、いつも」

 

「いいってなもんよ」

 

「ゲーム開発部の様子は、どうだ?」

 

「んー?いつも通り、呑気にゲームしてるよ」

 

「………そうか」

 

「うん。手紙はまだ出してないね」

 

 

『厚化粧』を弄りながら、そう答える

ゲーム開発部の3人は、監視カメラの映像を見ても、とても廃部の危機に瀕しているとは思えないほど呑気だった。先生に手紙はまだ送ってはいないようだけれど……それは時間の問題だろう

 

そうしていると、廊下の方から足音がふたつ聞こえてくる。そして、リビングにミゾレとバケツを被った少女が入ってくる

 

 

「お、えっと……ふ、フミエじゃねぇか。こないだぶりだな」

 

「今絶対私の名前忘れてたよね?」

 

「へへっ、悪ぃ」

 

「これっぽっちも悪びれてなさそーだねぇ……ほら、銃出して」

 

「うーい」

 

 

Theクソガキみたいなヤツだよ、本当に……

それに比べて、アリスちゃんとか見てみろよ。まだ居ないけど、めちゃくちゃかわいいんだぞ。…君と違ってなァ!

4つの銃を受け取りつつ、私はムトンに話しかける

 

 

「そっちはなんかあった?収穫とか?」

 

「………まぁ、なんだ…」

 

「シッテムの箱に居るのがアロナかプラナか判別するために盗聴器を仕掛けましたが、そのどちらかによって早急にバレ、全て回収されました」

 

「……つまり収穫なし、と…」

 

「はい」

 

「そっかぁ……パヴァーヌ編はまだ先になりそうかな?」

 

「……あ、あぁ、そのことなんだが、昨日アマネから連絡があってな」

 

「アマネから?」

 

「そうだ、先生の下に書類を届けたとき、先生が百夜堂のシズコと連絡を取っていたようでな」

 

「百夜堂?…あーイベストかぁ…」

 

 

そういえば、イベントそれもあったな…

確か、桜花爛漫なんたら〜みたいなヤツだったか

 

 

「いべすと?」

 

「うん。原作にはメインストーリーとは別にイベントストーリーってものがあってね……まぁ、あまり重要じゃないものだよ」

 

「……ですが、久田イズナは今後もよく登場する重要な人物ですので、原作崩壊は避けねばなりません」

 

「イベストじゃなくても原作崩壊は避けるものだよミゾレ君」

 

「ふ〜ん……ムトンはいつもみてぇに先生をドローンで見とかないで良いのかよ?」

 

「…そろそろ、先生も百鬼夜行に着いただろうか」

 

 

「百鬼夜行に配備していたドローンがある」と言って、ノートパソコンを取り出したムトンはそのドローンからの映像を繋げる

 

 

 

『あっ、あっ!危ないですーーっっっ!?』

 

 

 

繋げた途端、いきなりそんな声が響く

記憶からすっかり消えていたイズナの声が、耳に入る

 

ムトンがみんなに見えるように置いたパソコンの画面を見ると、走ってきていたイズナを先生が受け止めた場面、それを上から見ている映像だった

この後は確か、修行部の面子と一緒に逃げるんだったか

 

 

「……あんときの狐…じゃねぇな、誰だこいつ」

 

「あれは久田イズナ、忍者を夢見る純情FOXさ!」

 

「ほ〜ん……じゃあ、そのイズナを追ってひとりで走ってきてんのは?」

 

「あぁ、それは修行部の………」

 

 

 

 

 

『ま、待て!イズナーー!!』

 

 

 

 

 

「………じ(・)ゃ(・)、な(・)い(・)…?」

 

 

 

イズナの後を追うように走る、ひとりの生徒

 

 

ひとつに束ねた長い黒髪、

 

百鬼夜行の和を基調とした制服、

 

腰に携えられた一振りの刀…

 

 

画面を見ていたカラスを除く私達は、その見知らぬ生徒を見て固まっていた

 

やがて、わなわなと震えていたムトンは叫んだ

 

 

 

 

 

「誰だコイツゥッッッ!!!??」

 

 

 

 

 

多分、魂からの叫びだったと思う

 

そんぐらいの声量だった

 

 

 




転生者達(増えないとは言っていない)
ということで、新キャラです。詳しいところはまた次回ということで
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