魔法少女リリカルなのは 星詠みのレゾナンス 作:物書きの成り損ない
戦闘シーンは不慣れなので違和感などあれば言って頂けると…!
奏星ちゃんのデバイスは完全に癖で選びました後悔はしていない(キリッ)
「カデンツァ、セットアップ!」
〈認証、バリアジャケット展開〉
紫色の光が弾けた。
一瞬、何も見えなくなる。
身体が軽い。
さっきまで制服に包まれていたはずなのに、今の私は黒と薄紫の衣装に身を包んでいた。
手の中には、細身の指揮棒。
白銀の軸に薄紫の宝石が埋め込まれている。
まるで、楽器の指揮者が持つタクトのようだった。
「……これが、私の……?」
〈バリアジャケットの展開を確認。魔力供給、正常〉
「喋った……」
〈当然です、マスター〉
「いや、それって当然なの!?」
思わず声を上げる。
その直後だった。
怪物の唸り声が響いた。
「奏星ちゃん!」
なのはちゃんの声に振り向く。
怪物がこちらを睨みつけていた。
黒い蔦を全身から伸ばしながら、地面を踏みしめている。
青い結晶が、心臓のように明滅していた。
「来るよ!」
怪物が地面を蹴った。
巨大な身体からは想像もできないほど速い。
「なのはちゃん、右!」
「えっ!?」
私の声に反応して、なのはちゃんが身体を右へ傾ける。
直後、さっきまで立っていた場所を巨大な爪が通り過ぎた。
地面が抉れる。
「ひっ……!」
なのはちゃんの顔が青ざめる。
私だって怖い。
足が震えそうになる。
それでも、逃げるわけにはいかなかった。
「なのはちゃん、大丈夫?」
「う、うん!」
〈敵性個体、再攻撃を開始〉
「次、来るよ!」
怪物の身体から黒い蔦が何本も伸びる。
「多い……!」
なのはちゃんがレイジングハートを構える。
〈We recommend creating magic bullets(魔力弾形成を推奨)〉
「それってどうやるの!?」
〈I'll help you, so please do exactly as I say(私が補助しますのでその通りにやってください)〉
桜色の光が集まる。
小さな光球がいくつも浮かび上がった。
「いけっ!」
〈fire〉
光球が一斉に飛ぶ。
そのうちの一つが怪物へ命中した。
「当たった!」
けれど、怪物は怯んだだけだった。
残りの光球は、ほとんどが地面や木に当たって消える。
「えっ、そんな……」
「まだだよ!」
怪物が咆哮する。
黒い蔦がなのはちゃんへ向かって殺到した。
「なのはちゃん!」
私はカデンツァを振る。
薄紫の魔力光が線を描き、なのはちゃんの前に障壁を展開した。
〈プロテクション、展開〉
黒い蔦が障壁へ叩きつけられる。
激しい衝撃。
身体が後ろへ押される。
「くっ……!」
「奏星ちゃん!」
「大丈夫!」
両手に力を入れる。
けれど、障壁を維持するだけで精一杯だった。
「カデンツァ、これ……!」
〈防御術式の維持は可能です〉
「何か……攻撃する方法は?」
〈現在のマスターには、十分な戦闘経験がありません〉
「……つまり?」
〈接近戦は推奨しません〉
「だよねッ……!」
黒い蔦が再び障壁を叩く。
亀裂が走った。
「奏星ちゃん、私がやるよ!」
「待って!」
なのはちゃんが前へ出る。
「私がやらなきゃ!」
「なのはちゃん、まだ魔法を使い始めたばかりでしょ!」
「でもっ!」
なのはちゃんの瞳には、恐怖がある。
それでも。
逃げようとはしていない。
私は、その気持ちを知っている。
昨日まで普通の生活をしていた私たちが、突然こんなものに巻き込まれた。
それでも、なのはちゃんは目の前の存在を放っておけない。
「……分かった」
私はカデンツァを握り直す。
「じゃあ、一緒にやろう」
「うん!」
〈共鳴経路を確立します〉
カデンツァが淡く光る。
薄紫の魔力がなのはちゃんへ伸び、桜色の魔力と触れ合った。
「わっ……」
なのはちゃんが驚く。
私にも、なのはちゃんの感覚が少しだけ流れ込んできた。
怖い。
でも、助けたい。
誰も傷つけたくない。
「……分かった」
「何が?」
「なのはちゃんの魔力が、どこへ行きたいのか」
レイジングハートの先へ集まっていく魔力。
さっきよりも、ずっと安定している。
「なのはちゃん、そのまま!」
「うん!」
「狙う場所は、あの青い結晶!」
「分かった!」
なのはちゃんがレイジングハートを構える。
桜色の光が一つに集まっていく。
〈Shooting Mode〉
光球が生成された。
今度はさっきよりも大きく、強い。
「行って!」
光球が飛ぶ。
怪物が黒い蔦を振り回す。
私はカデンツァを振った。
「そっちは任せて!」
薄紫の魔力が軌道を描く。
蔦の動きをわずかに逸らす。
光球が、その隙間を通り抜けた。
「当てる!」
一発。
青い結晶へ直撃する。
怪物が大きくのけぞった。
「効いた!」
『ジュエルシード、活動を強めています!』
フェレットの声が響く。
「えっ!?」
青い結晶が一際強く輝いた。
怪物の身体が、さらに膨張していく。
黒い蔦が周囲の建物へ伸びていく。
「まずい!」
「奏星ちゃん!」
「このままじゃ住宅まで巻き込まれる!」
どうする。
私には経験がない。
魔法の知識もない。
それでも、分かる。
あの結晶を止めなければならない。
「そこのフェレットさん!」
『はい!あと、僕はユーノ・スクライアって言います!』
「ユーノ君、どうすればいいの!?」
『ジュエルシードを封印するには、レイジングハートで封印術式を展開する必要があります!』
「レイジングハートで……なのはちゃん!」
「うん!」
なのはちゃんがレイジングハートを構え直す。
でも、桜色の光が安定しない。
「どうしよう……」
「大丈夫」
私は隣へ立った。
「昨日も言ったでしょ」
「え?」
「一緒にやろう」
なのはちゃんが私を見る。
そして、力強く頷いた。
「うん!」
カデンツァが光る。
〈共鳴経路、拡張〉
薄紫の光が、なのはちゃんの周囲へ広がっていく。
桜色の光と混ざり合う。
不思議だった。
なのはちゃんの魔力が、まるで音楽のように聞こえる。
まだ不器用で、ところどころ旋律が乱れている。
それでも、真っ直ぐに誰かを守ろうとする、優しい音だった。
私はその旋律へ、自分の魔力を重ねた。
「なのはちゃん」
「なに?」
「そのままでいいよ」
「そのまま?」
「うん。上手くやろうとしなくていい」
怖くてもいい。
震えていてもいい。
それでも、進みたいと思う気持ちがあるなら。
「私が、道標をつくる」
カデンツァを振る。
薄紫の光が一本の線となって、怪物の周囲を走った。
「なのはちゃんは、そのままで!」
「分かった!」
レイジングハートが大きく光る。
〈Sealing Mode〉
桜色の魔法陣が展開された。
怪物が咆哮する。
最後の抵抗をするように黒い蔦が一斉に伸びてきた。
「来る!」
私は前へ出る。
〈プロテクション、三重展開〉
魔法陣が壁となる。
一本。
二本。
三本。
障壁へ激突する。
「くっ……!」
腕が痛い。
身体が重い。
でも、まだ大丈夫。
「奏星ちゃん!」
「今!」
なのはちゃんが叫んだ。
「リリカルマジカル!ジュエルシード、シリアル21封印!」
〈sealing. receipt number XXI.〉
桜色の光が夜空へ広がる。
怪物の身体が光に包まれる。
黒い蔦が崩れていく。
青い結晶が浮かび上がる。
やがて、一つの小さな宝石へ戻っていった。
音が消え、静寂が戻った。
「……終わった?」
私はカデンツァを下ろす。
「たぶん……」
ユーノ君がジュエルシードを回収した。
『成功です!』
「よかった……」
なのはちゃんが、その場にへたり込んだ。
「つ、疲れたぁ……」
「私も……」
私もその場へ座り込む。
心臓がまだ激しく鳴っている。
怖かった。
何度も逃げたくなった。
でも。
なのはちゃんと一緒だったから、ここまで来られた。
「なのはちゃん」
「なに?」
「……無事でよかった」
「奏星ちゃんもね」
顔を見合わせる。
そして、二人同時に笑った。
「にゃはは……」
『あの……』
ユーノ君がおずおずと口を挟む。
「どうしたの?」
『二人とも、もう少し危険だったという自覚を持ってください……』
「「……はい」」
二人揃って怒られてしまった。
~
翌朝。
「奏星ちゃーん!」
いつもの声で目を覚ます。
「……昨日の夜のこと、本当にあったんだよね」
胸元へ手を当てる。
制服の下には、あのペンダント。
今では、ただのお守りではない。
「カデンツァ」
〈はい、マスター〉
「……おはよう」
〈おはようございます、マスター〉
少しだけ笑ってしまう。
「なんだか、変な感じ」
〈そういうものでしょうか?〉
「そうだよ、だっていきなり非日常な生活が始まったんだもん」
〈確かに。私は起動してからの時間が短いため、自身にも不明な点が多く存在します〉
「そういうものなんだ」
まだ何も分からない。
お姉ちゃんが、このペンダントをどこで手に入れたのか。
なぜ私に残したのか。
どうして私が適合者なのか。
全部、分からない。
でも。
少なくとも一つだけ分かった。
私はもう、一人ではない。
「奏星ちゃん! 起きてるー!?」
「起きてるよー!」
昨日までと同じ。
だけど、昨日までとは少し違う朝だった。
~
放課後。
なのはちゃんはユーノ君と一緒に、魔法やジュエルシードについて話を聞くため先に帰っていった。
私は一人で帰路についていた。
昨日のことを思い返す。
自分が魔法を使った。
カデンツァが起動した。
なのはちゃんと一緒に戦った。
夢だったとは、もう思えない。
「……不思議」
呟きながら歩いていると。
ふと、足を止めた。
「……?」
何かを感じた。
昨日までとは違う。
静かな魔力。
でも、とても強い。
「これ……」
胸元のお守りが、わずかに熱を持つ。
カデンツァの声が響く。
〈魔力反応を確認〉
「人?」
〈肯定、高出力の魔力を保有しています。恐らく、あちらも気づいてるかと〉
その方向を見る。
公園の奥。
夕方の光の中に、一人の少女が立っていた。
金色の髪。
黒い服。
手には、私と似たようなデバイス。
年齢は私やなのはちゃんと同じくらいに見える。
少女は私に気づくと、こちらへ視線を向けた。
「……あなた」
声が静かだった。
でも、どこか警戒している。
「私?」
少女が頷く。
「魔導師、なの?」
「えーっと……たぶん?」
「たぶん?」
「昨日、初めて魔法を使ったばかりだから」
少女の目がわずかに見開かれた。
「昨日……」
「うん」
少しの沈黙。
私は、なぜかこの子が気になった。
怖いわけではない。
それなのに、胸の奥が妙にざわつく。
そして。
流れ込んできた。
不安。
焦り。
寂しさ。
誰にも言えないほど強い、孤独。
私は昔から、他人の感情を音や温度のように感じ取ることがある。
そして、今この瞬間も彼女から流れてくる感情を拾ってしまった。
そのせいか、思わず口にしていた。
「……一人なの?」
少女の表情が固まる。
「……どうして?」
「えっと……」
しまった。
言わないほうがよかった。
「なんとなく、そう感じただけ」
少女はしばらく私を見つめていた。
やがて、視線を逸らす。
「……そう」
「あなたも、ジュエルシードを探してるの?」
少女は少しだけ間を置いて答えた。
「そう、母さんに頼まれて探しに来たの」
「そうだったんだ……実は、昨日私となのはちゃんで一つ封印したんだ」
「ここは魔導師が居ない所って聞いてたんだけど……そうじゃないみたいだね」
「昨日使えるようになったばかりなの。ほんと偶然なんだ」
少女の表情が驚きに変わった。
「……昨夜の大きな魔力反応は、あなたたち?」」
「あはは……初めてだったから加減を知らなくて」
「……そう」
明らかに何か知っている。
でも、それ以上は聞かなかった。
今の私は、まだこの子に踏み込むほど親しくない。
「あなたは?」
少女が聞く。
「私は時宮奏星」
「……奏星」
「うん」
少女は一度だけ頷いた。
「あなたの名前は? せっかくだし、教えてほしいな」
「私は……フェイト」
「フェイト・テスタロッサ」
その名前を胸の中で繰り返す。
「よろしくね、フェイトちゃん」
「……よろしく」
ほんの一瞬。
フェイトちゃんの表情が柔らかくなったように見えた。
けれど、すぐに元へ戻る。
「今日は、ここまでにする」
「え?」
「また会うかもしれないから」
そう言って、フェイトは踵を返した。
「フェイトちゃん!」
呼び止める。
フェイトちゃんが振り向く。
「……また会えるかな?」
少しだけ迷うような沈黙。
そして。
「分からない」
そう答えて、フェイトちゃんは歩き去っていった。
私はその背中を見送る。
金色の髪が、夕暮れの光に揺れている。
〈マスター〉
「なに?」
〈先ほどの少女について、警戒を推奨します〉
「そう、かな?悪い子には見えなかったけど」
カデンツァの言いたいことは分かる。
胸の奥に残った、あの感情。
寂しさ。
一人で何かを抱えているような感覚。
それが、どうしても気になった。
「……あの子も、一人なのかな」
夕焼けの空を見上げる。
昨日、私の世界に魔法が現れた。
そして今日。
私は、もう一人の魔導師と出会った。
フェイトちゃんについてまだ何も知らない。
どうしてジュエルシードを必要としているのかも。
そして。
この出会いが、なのはちゃんと私の未来をどう変えていくのかも。
ただ一つだけ。
あの金色の少女の瞳にあった寂しさだけが、妙に心に残っていた。
なんと…!
なのはちゃんより先に奏星ちゃんがフェイトちゃんと出会っちゃうんですね…
これによる今後の展開を楽しみにしててください~
あと、余談ですが各章区切りでBADEND IFとかいう作者の趣味全開のおっもい話を置こうか
と思ってるので苦手な方はそこは飛ばして頂けると!w
BADEND IFは大丈夫かい?
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大丈夫だ、問題ない
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飛ばして読む、問題ない
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脳がっ震えるっ!!