DIGIMON BEATBREAK -スベテヲ喰ライ尽クス者達-   作:ライノア

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第一章:夜明ケノ集団
黒イ無法者


???「此処が次の世界か。デジタルワールド、という訳ではなさそうだな...」

 

俺の名前は地之川(ちのかわ)ヴラン。(かつ)てホログラム・ゴーストと(うた)われていたデジモンと呼ばれる生き物を憎み、その罪滅ぼしとしてパラレルワールドであるデジモンが存在する世界を旅している。

次の世界へと繋がるゲートを潜ると、出口が割れたガラスの様に飛び散って俺を出迎えた。

辺り一面に広がるのは、四角状の線が引かれている凹凸(おうとつ)な丘。その岩の様な凸凹(でこぼこ)から黒いパーカーと帽子を着ている男がこの場から駆け足で逃走していた。

(わき)に挟んでいるバッグ...恐らくは強盗犯だな。(まさる)兄貴の世界では宝石強盗と結託していたドリモゲモンことディグモンが居たし、こういった事例は余り少ないが久々に見た気がする。

 

ヴラン「あれは、ファンビーモン...?」

 

その背後に付いて来ているのは、体色が山吹色で、人間と同じ大きさを持つ蜜蜂の様な丸っこい昆虫型デジモン。

背中に黒く(にご)った四枚の(はね)を背負い、頭部には青い触覚と(ひたい)には銀色の点。

つぶらな緑の瞳は可愛さを見せ、尻の先端には(のこ)状の針が出っ張っている。

ファンビーモンと呼ばれる昆虫型デジモンは、黒いパーカーの男に付き従う様に羽音を最小限に抑えて後を追う。

だが、その数は一匹ではなく二匹。必殺技の『88(ハチハチ)コール』は頭部の触覚を(あわ)く発光させる事で味方の加勢に打って付けだが、唯一の攻撃技が尻の先端にある針を連射して放つ『ギアスティンガー』のみ。

まぁ、上手く手懐ければゼロ距離でギアスティンガーを連射して多少は同レベルの相手に大ダメージを与える事は可能でなくはない。

 

???「おいヴラン。この世界に来たからには、先ずは派手に暴れさせろよ?」

ヴラン「分かってるってグルス。お前は相変わらずの戦闘狂だな」

 

俺は左腕に巻いているブレスレット型のデバイス『デジヴァイスVV』の中央ボタンを押して実体化させたのは、首元に黒いベルトが巻かれている紺色のボロ切れマントを(まと)った漆黒の竜人型デジモン。

額に螺旋(らせん)状の角が突き出し、鼻の上から十字を描く様に紫のラインが両腕と両足の爪まで走る。

グルスガンマモン。成熟期でありながら完全体をも凌駕(りょうが)する圧倒的な強さを持つ俺のパートナーデジモンで、俺は悪友で戦友でもあるこいつの事を『グルス』と呼んでいる。

槍状となっている尻尾の先端をしなやかに地面に叩き付けたグルスは、黒い目に宿る紫の瞳が二体のファンビーモンを品定めする。

 

グルスガンマモン「あの蜜蜂二体。余り大した強さじゃねぇが、連携には持って来いだな」

ヴラン「ああ。別次元の太一達が出会ったファンビーモン達も、結構協力的だったからな」

グルスガンマモン「...おい。あれ見てみろ」

ヴラン「...ん?あれは、ピコデビモンやピピスモンとは違う小型のコウモリデジモンか?」

 

グルスの尻尾が蛇の様に上空に向けると、其処にはフード部分に赤いコウモリのマークが付いた紺色のパーカーを着ている黒いコウモリデジモンが空中で羽ばたき、ファンビーモンを黄色い瞳で照準を定めていた。恐らくは熱源探知も出来るのだろう。便利な能力だが、精々出来るのはサポートくらいだけか。

俺は未知なるコウモリデジモンのデータをデジヴァイスVVで確認する。

 

ヴラン「キロプモン。成長期。ウィルス種。哺乳類型。口から超音波を照射(しょうしゃ)する能力を持ち、必殺技は対象を麻痺(まひ)させる『パラライズエコー』と、超音波によるエコーロケーションで周囲の状況を把握する『アナライズエコー』。戦闘が避けられない際には、口から超音波を極限まで圧縮して放つ『コンデンスドエコー』...」

グルスガンマモン「要するにサポート向けか。悪くねぇ」

 

キロプモンと呼ばれるデジモンのテイマーと思しきアホ毛が付いている金髪の少年は右耳に手を(かざ)している。あの黄色いゴーグルはキロプモンの視界と繋がっているのだろう。

 

???「サポ主は...!?」

???「一緒です」

 

アライグマの様なデジモンを頭に乗せた赤いウルフカットヘアーの少女が駆け付ける。

 

ヴラン「プリスティモン。成長期。ワクチン種。パペット型。必殺技はジェネレーター全開で生成したエネルギーを(てのひら)の銃口から撃ち出す『プリショット』、両腕の爪付きガントレットの金属で構成された鋭い爪を相手に突き刺す『スタブクロー』、ジェネレーターコイルが全開で回転している状態の尻尾で叩き付ける『テイルスラップ』...」

???「よし!タマ込めるか!!」

プリスティモン「オッケー!」

ヴラン「『タマ』...?」

 

俺がタマと呼ばれる単語に疑問を抱くも、その答えが出る間も無く理解した。

気合を入れた少女がファイティングポーズに入ると、プリスティモンと呼ばれるデジモンがタマゴの様なアイテムをポンっと可愛らしい音と共に吐き出す。

 

ヴラン「タ、タマゴ...!?」

???「ちょっ...!?ダメですよレーナさん!キョウさんは居ないのに...!」

レーナ「行ける行ける!」

 

余りのせっかちな戦闘態勢にアホ毛の少年は呼び止めるも、レーナと呼ばれる少女はお構いなしにタマゴ型のアイテムをキャッチする。

 

レーナ「気張るわよ!!」

 

レーナが左手で持っているタマゴ型のアイテムを右手に乗せると、右の手の甲から四角いコードの様な模様が淡い光と共に赤く浮かび上がる。

タマゴ型のアイテムが赤く変色し、パルスの様な模様が脈動。

 

レーナ「行けぇええええッ!!!!」

 

頭上に放り投げ、飛び出したアライグマのデジモンが再度タマゴ型のアイテムを飲み込む。

 

ヴラン「(また)食った!?」

グルスガンマモン「へぇ、成る程な。つまりはあのデジタマみてぇなやつはこの世界のデジヴァイスみてぇなモンか」

ヴラン「いやデジヴァイス枠のアイテム吐き出して又食って進化とか、食事中にわりぃよ!?」

プリスティモン「プリスティモン進化!」

 

俺がグルスの感想に突っ込む中、プリスティモンがデジタマを模した赤い網状の殻に包まれる。

数秒も経たずに殻は破られ、プリスティモンは成熟期へと進化を果たす。

バリスタモンに酷似した赤い両腕を持つアナグマの様なデジモン。灰色の髪の毛に黒い鉢巻の様なマスクを着用し、白い(ふさ)に黄色い星のステッカー、ベルト付きの黒いGパンや赤いブーツを()いており、ワイルドな(たてがみ)を持つ。

 

ウルヴァモン「ウルヴァモン!!」

ヴラン「ウルヴァモン。成熟期。ワクチン種。サイボーグ型。必殺技は掌の銃口からエネルギー弾を連射する『ラピッドバースト』、前腕部に内臓された小型ロケット弾『スキャッターロケット』、掌の銃口から放つ火炎放射『トムボーイブレイズ』、左右の爪で切り付ける『パージャースラッシュ』の四つ...」

グルスガンマモン「意外とオールラウンダーじゃねぇか。だが、あの女の猪突猛進(ちょとつもうしん)な性格が反映してんなら、近距離戦はキツそうだぜ?」

ヴラン「『性格が反映』...?」

レーナ「先手必勝!!」

 

レーナが右手の甲に淡い光を発しながら一気に駆け出す。

駆け出した二人の足音に気付いた強盗犯は一旦足を止め、二体のファンビーモンは慌てて羽音を立てた。

ウルヴァモンが助走を付けて飛び上がり、左腕から強盗犯を足止めすべくエネルギー弾を連射する。

 

ウルヴァモン「ラピッドバースト!!」

 

本人に反動の自覚があったのか、撃つ際には片腕で抑えた状態で撃っている。

 

強盗犯「くっ...!」

レーナ「逃すかッ!!」

 

強盗犯は一旦ファンビーモン達と三手に分かれて、エネルギー弾を避けた。

煙が晴れ、ウルヴァモンは標的を見失ってしまう。

 

ウルヴァモン「ターゲットは!?」

???「後ろです!!」

レーナ、ウルヴァモン「「っ!?」」

強盗犯「やれ!!」

 

二人の視線がアホ毛の少年の対応で気付く。

ブレーキを掛けたレーナに構わず、既にウルヴァモンより上空で待機していたファンビーモン二体。

強盗犯の指示で羽音を立てながら尻に付いた針を向ける。

 

ファンビーモンx2「「ギアスティンガー!!」」

 

尻の先端から飛んだ針が迫る。

ウルヴァモンは両腕を交差させて防御態勢に入るも、二体分の針の処理が追い付かず、そのまま地面に撃ち落とされるよりも先に針が空中爆発した。

 

レーナ「ウルヴァモン!」

 

レーナがアホ毛の少年の居る方へ一旦避難する。

 

レーナ「何、今の!?」

???「e-パルスです」

ウルヴァモン「針のパワーを増してるわね...!」

 

煙が晴れた向こうに、ウルヴァモンは既に戦闘態勢に入っていた。

 

レーナ「洒落(しゃら)臭い。マコっちゃん、プロフィ(よろ)しく!」

???「えっ?あぁもう...!」

 

レーナが再び丘から姿を現してウルヴァモンの元へ駆け寄る。

アホ毛の少年も、又いつもの事だなとレーナの後を追ってサポートに向かった。

 

グルスガンマモン「...おい。俺の出番はまだか?」

ヴラン「まだだ、相手側が着実に追い込まれたその時を狙う。下手に踏み外せば戦況が崩れる」

グルスガンマモン「ハハッ、やっぱお前はそういう奴だよな。見てて飽きねぇぜ」

 

介入のタイミングを見計らっていた俺を見て、鼻で笑ってみせたグルスは三日月状に口を吊り上げる。

ウルヴァモンが腰を踏み抜く様に曲げて両腕でラピッドバーストを連射。光弾を紙一重で()ける(たび)に、ファンビーモンの羽音が擦れ違ったジェット機そのものとなる。

二発目のギアスティンガー。ウルヴァモンは姿勢を低くしたまま背後を振り向かずに二発とも避け、強盗犯はギアスティンガーの連射のタイミングを見計らっていた。

 

強盗犯「まだ青いな...ファンビーモン!蜂の巣にしろ!!」

???「今だ!!」

キロプモン「パラライズエコー!!」

強盗犯「ぐぁああああっ!!!?」

 

白煙が晴れるよりも先に二体のファンビーモンが針を向けた瞬間、アホ毛の少年の合図で(はる)か上空で待機していたキロプモンが強盗犯の背後から超音波を放った。

振り返ったが時すでに遅し。強盗犯の耳に緊急アラームの様な騒音が無残に鳴り響き、耳を塞ぐと同時に緑のバッグを落とす。

 

ファンビーモンx2「「マスター!!「隙ありッ!!」っ!!」」

 

隙を突いて跳び上がったウルヴァモンが両腕を振り下ろして二体のファンビーモンを地面に叩き付ける。

 

ウルヴァモン「其処までよ」

強盗犯「うっ、ぐっ...!」

 

ウルヴァモンがファンビーモン二体に両腕の銃口を向ける。

持っていた緑のバッグには大金ではなく、多額の時計が散らばっていた。

強盗犯は膝が笑いながらも左手で頭を抑える。

 

レーナ「峰崎(みねざき)ミツオ。時計店を襲ったのはあんた達ね?もう逃げらんないわよ!!」

 

指を差して投降(とうこう)(うなが)すレーナとウルヴァモン。後ろにはアホ毛の少年とキロプモン。

最早万事休すと両手を上げながら質問する。

 

ミツオ「...なぁお前ら。クリーナーになってから何年だ?」

レーナ「はぁ?関係ある?」

ミツオ「...まぁ、大アリさ!!」

 

ミツオが素早くコートのポケットから緑のタマゴ型アイテムを取り出して地面に叩き付ける。

周囲に巻かれた煙幕が二人を襲う。

 

ウルヴァモン「皆!くっ、うぁあっ!?」

 

ウルヴァモンが油断している隙にファンビーモン二体が後肢による中断蹴りで後方に吹っ飛ばし、口からタマゴ型アイテムを唾液と共に吐き出す。

 

ヴラン「うわ、きったねぇ!」

 

煙幕を駆け抜けたミツオが身体を360度捻り、吐き出されたサポタマを難なく捕らえる。

 

ミツオ「素人(しろうと)が。プロに喧嘩を売ったらどうなるか、教えてやる...!!」

ウルヴァモン「しまった...!!」

 

レーナの時と同じ様にミツオがe-パルスと呼ばれるエネルギーを二つもタマゴ型アイテムに注ぎ、再度ファンビーモンが飲み込む事で白いデジタマの様な殻に包まれる。

 

マコト「まずい、これは...進化!?」

 

光が収まると、其処に立っていたのはファンビーモンを更に攻撃的にした様な成熟期デジモン ワスプモン。

(はね)が機械化したスズメバチを連想させた姿で、両肩には蜂の巣の様な装飾(そうしょく)、腹と先端の針は進化前と比べて(とげ)の装飾は鋭利となり、黒い(しま)模様には赤い禁止マークが描かれている。

もう一体はワスプモンとは違って防御寄りの丸っこい体躯で、背中にはサイレンが付いているオレンジ色の小さな四枚の翅を持つデジモン。右手には蜂の針を連想させる銃を(たずさ)え、機械的な両腕にはスタンガンを常備している。

 

レーナ「あれは...!」

???「ワスプモン。機動性に優れた成熟期のデジモンです!」

 

俺もアホ毛の少年に続いてもう一体の蜂デジモンをデジヴァイスVVで解析する。

 

ヴラン「フォージビーモン。成熟期。X抗体。ウィルス種。サイボーグ型。必殺技は尻のノコ針で相手を切り裂く『トルクスティンガー』と、背中から伸びる溶接アームによる放電攻撃『バンブルウェルダー』。よりにもよってXデジモンが二体かよ...!」

 

煙幕が風に千切れて消えていく。丘の上に立つ二体の蜂型デジモンが、翅の振動で空気を焦がしている。ワスプモンの機械化した翅が(うね)りを上げ、フォージビーモンのサイレンが不気味な低音を奏でる。まるでハリウッドの安っぽいモンスター映画のワンシーンだが、こいつらは画面から飛び出してくるタイプの悪夢だ。

 

ミツオ「プロの世界じゃ、タマの使い方が全てなんだよガキ共」

 

ミツオが口角を吊り上げる。余裕で(いき)がった表情。追い詰められた側の顔じゃない。

 

レーナ「ッ......!」

ウルヴァモン「レーナ、下がって!二対一はキツい......!」

 

ウルヴァモンが両腕の銃口を構え直すが、さっきのダメージが残っている。左腕の関節部から微かに火花が散っていた。

 

ワスプモン「...」

 

ワスプモンが無言のまま翅を震わせ、一瞬で間合いを詰める。速い。成熟期の機動力としては異常な加速。

ウルヴァモンが咄嗟(とっさ)に右腕のラピッドバーストを放つが、ワスプモンは紙一重で横に()って腹の先端に付いた針を突き出す。

 

ウルヴァモン「くっ...!」

 

ウルヴァモンが身を(ねじ)って直撃を避けるも、針が左肩の装甲を掠めて火花を散らす。同時にフォージビーモンが背後に回り込み、右手の針銃を構えた。挟撃(きょうげき)。教科書通りの連携だ。

 

マコト「キロプモン、もう一度パラライズエコーを...!」

キロプモン「...駄目。フォージビーモンの装甲、超音波の周波数を弾いてる...」

 

キロプモンが悔しそうに歯を噛む。フォージビーモンの機械化された外殻が、音波系の攻撃を減衰させていた。

 

グルスガンマモン「...おい、ヴラン」

 

グルスの尻尾が蛇の様にゆっくりと揺れている。紫の瞳がフォージビーモンの動きを追い、口元には獰猛な笑みが浮かんでいた。

 

グルスガンマモン「あの雑魚二匹、殺してもいいか?」

 

その声は低く、静かで、だからこそ物騒だった。

ワスプモンが赤い複眼を光らせると、進化によって強化された針を向ける。

充填されたエネルギーをレーザーとして連射する『ターボスティンガー』が地面に着弾してレーナ達を襲う。

その一発がレーナを貫きそうになるが、間一髪でウルヴァモンが庇って照準をズラした。

直後、フォージビーモンの右手に持つ銃から腹部に生成されている『蜜着剤(みっちゃくざい)』と呼ばれる資材を弾丸の様に飛ばしてレーナをウルヴァモンごと固定。

コウモリデジモンも再度超音波を放とうとしたが、直前でフォージビーモンの蜜着剤が命中してそのまま接着する形で撃ち落とされた。

 

???「キロプモン!!」

ミツオ「ハッハッハッハァー!!命乞いなんかするなよォッ!!」

グルスガンマモン「駄目だこいつら。あのレーナってやつのデジモン、戦いってのがまるでなってねぇ。まぁ、逆にあのアホ毛のガキのデジモンはサポートとしては十分合格だが、攻撃用の音波を一切使ってねぇがな」

ヴラン「呑気(のんき)に評価してる場合か!?時間がない、ギリードゥモンだ。一発で仕留めるぞ!」

グルスガンマモン「...了解。30秒で支度(したく)するぞ!」

 

俺のデジヴァイスVVの液晶画面にバイタル値がMAXになり、グルスとのシンクロが完了する。

 

グルスガンマモン「グルスガンマモン、超進化...!」

 

グルスが進化したのは、三本角が特徴の全身に緑色のカモフラージュスーツを(おお)った妖精型デジモン。

下からは青紫色に溶け掛けた身体が目立ち、黄色いつぶらな目を(のぞ)かせる。両手には茶色い葉っぱで同じくカモフラージュしたスナイパーライフルを持っている。

 

ギリードゥモン「ギリードゥモン...トゥルーアイズ」

 

ギリードゥモンの黄色い目が特殊機能によって獲物であるデジモンの体を透過して核の位置を正確に把握。俺も左腕に両顎と一体化した黒い盾を装備して照準(しょうじゅん)をワスプモンに定める。

一方で、ワスプモンがコンデンスドエコーを放つも微動だにせずフォージビーモンの進撃を許して

しまう。

レーザー砲の銃口からエネルギーを貯めて放つワスプモンの『ベアバスター』。フォージビーモンは接着したキロプモンに先端のアームを振り上げて電気を()びせた。

 

ヴラン「頼むぞ、そのまま動かないでくれよ...?」

ミツオ「(いさぎよ)く運命を受け入れろォッ!!!!」

ヴラン「...よし、意外と早く止まってくれたなぁ。散々粋がってくれたお陰で助かったぜ」

ミツオ「...は?」

ヴラン、ギリードゥモン「「....コアシュート(ゲニアス)」」

 

ミツオの余裕の笑みが止まり、冷や汗が滝の様に流れる。

それと同時に俺は盾の砲門から三つのレーザー、ギリードゥモンはスナイパーライフル『ベリョータ』による狙撃でタマゴ型アイテムごと撃ち抜いていた。

 

ワスプモン、フォージビーモン「「うわぁああああっ...!?」」

 

ワスプモンとフォージビーモンは赤いノイズと共に最後は黒く点滅して撃ち抜かれたタマゴ型のアイテムだけが残った。

 

ヴラン「Say,Bye-Bye.」

グルスガンマモン「一丁上がりだな、ヴラン」

ヴラン「ああ。やっぱ俺達はこうでねぇとな!」

 

俺とグルスがハイタッチをかますと、レーナが俺達に怒声を浴びせてきた。

 

レーナ「ちょっとあんた達!何あたし達の獲物を勝手にデリートしてくれちゃってんのよ!?」

 

二体のデジモンが消滅した残滓(ざんし)が、(ほたる)の様に宙を(ただよ)って消えていく。丘の上に残ったのは、穴だらけになった地面と、(ひざ)から崩れ落ちたミツオ、そして砕けたサポタマの破片だけだった。映画なら此処でエンドロールが流れるところだが、現実はそう甘くなかった。

 

レーナ「聞いてんの!?あたし達の任務なの!管轄(かんかつ)外の奴が勝手にデリートしていい訳ないでしょ!?」

 

レーナが蜜着剤をべりべりと引き剥がしながら俺に詰め寄る。

ウルヴァモンが進化を解いてプリスティモンに戻り、レーナの頭の上に乗っかった。その目も明らかに不満げだ。

 

???「レーナさん、落ち着いて...。それより、あなた方は一体?」

 

アホ毛の少年が冷静に俺とグルスを見比べる。その視線には警戒と好奇心が半々で混じっていた。キロプモンも蜜着剤を振り払いながら、グルスガンマモンの方をじっと観察している。

 

グルスガンマモン「あぁ?文句あんのか、アライグマ女。お前らが死にかけてたから助けてやったんだろうが」

 

グルスが尻尾をゆらりと揺らしながらレーナを見下ろす。

その紫の瞳に浮かぶのは侮蔑(ぶじょく)でも敵意でもなく、純粋な退屈だ。

 

レーナ「アラ...ッ!?誰がアライグマよこのトカゲ野郎ッ!!」

プリスティモン「ちょっとレーナ、落ち着きなさいって...!」

ミツオ「...く、くそ...俺のデジモンが...」

 

ミツオが地面に拳を叩きつける。砕けたサポタマの欠片が掌に食い込んで血が(にじ)んでいた。

 

ヴラン「悪いが俺は、一度吐いた唾は飲ませない性格でな......潔く運命を受け入れろ。小物らしくて、良い台詞で、感動的な、言葉だ、だが無意味だ」

 

俺はベリョータを実体化させ、ミツオと呼ばれる強盗犯の四肢、両肩、腰の背骨の順で撃ち抜こうとした。

 

???「マコト、レーナ。無事か?」

マコト「キョウさん!」

レーナ「もう!何処(どこ)行ってたのよ!?」

キョウ「ちょっと小腹が空いたんで、コンビニ寄ってきた。ほれっ、これレーナの分」

 

紙袋からレーナの分とされる出来立てほやほやの肉まんを投げ渡す。

 

レーナ「あ、ありがと......?」

 

良いところだった。もう少しでミツオの四肢がプラモデルのパーツみたいに弾け飛ぶところだったのに、空気の読めない優男がコンビニの袋を片手にのこのこ現れた。

身長差は俺が手を伸ばしても届かない程で、(まと)っているのは殺意じゃなく肉まんの湯気だった。

 

グルスガンマモン「...おい、ヴラン。邪魔が入ったぞ」

 

グルスの尻尾の先端がぴくぴくと痙攣(けいれん)する。不機嫌の兆候だ。

 

キョウ「...」

 

キョウの目がゆっくりとグルスを捉える。笑顔は消えていない。

消えてはいないのに、空気だけが凍っていた。肉まんの紙袋を持ったまま、一歩も動かずその場に立っている。それが逆に異様だった。コンビニ帰りの人間が放つプレッシャーじゃない。

 

レーナ「...あのさ。今そいつ、マジで撃とうとしてたんだけど」

キョウ「ああ、さっき偶然見えてた」

 

キョウの声は穏やかだ。穏やか過ぎる。レーナの頬に付いていた蜜着剤の残りをハンカチで拭いてやりながら、視線だけはベリョータの銃口に()えたまま動かない。

 

キョウ「それで、お前達は一体誰だ?」

 

俺達が何者かは知らない。だが、マコトもレーナも「キョウさん」と呼んだ。つまりチームのリーダー格。

キョウの穏やかな目が俺達に向けられる。優しい目だ。優しい目のまま人を殺すタイプの目だ。

 

ミツオ「き、貴様は!グローイングドーンの、沢城キョウか...!?」

 

キョウの隣に並び立っているのは、筋骨隆々(りゅうりゅう)で背中に大剣を背負い、クロヒョウの様な長い銀髪のデジモン。

 

ヴラン「ムラサメモン。完全体。ウィルス種。獣人型。必殺技は一刀両断の斬撃で防御ごと叩き切る『豪ノ斬・叢時雨(むらしぐれ)』、あらゆる攻撃を刀で弾き返す『柔ノ斬・月時雨(つきしぐれ)』、空中で体を回転させながら剣撃を高める必殺の剣『(つい)ノ斬・哭雨(こくう)』...」

ムラサメモン「ふっ。有名人だな、キョウ」

キョウ「寄せよ、昔の事だろ?それで、お前は俺のファミリーに何をしたんだ...?」

 

キョウと呼ばれる青年の眼差しを向けられるミツオ。その光なき金色の瞳には、確実に闘争心を燃やしていた。

目撃者である俺はそれを確認すべく、半分嘘の情報を流した。

 

ヴラン「はーい!俺がその目撃者でーす!この強盗犯、フォージビーモンっていうデジモンのグルーガンによる接着弾で無力化させてブチ犯そうとしてましたー!」

 

空気が一変した。コンビニ帰りの優しい兄貴的存在の目が、刃物の切っ先みたいに鋭くなる。

肉まんの湯気すら怯えて消えそうで、ミツオの顔から血の気が完全に引いている。

 

ミツオ「ち、違う!そんな事はしていない!あれは、ワスプモンとフォージビーモンが...!」

キョウ「......そうか」

 

一言。たった一言だった。キョウが肉まんの紙袋をマコトに預け、ゆっくりとミツオの方へ歩き出す。その足取りには一切の急ぎがない。急ぐ必要がなかった。

ミツオは既に膝が笑って立ち上がれる状態じゃない。

 

キョウ「自分のデジモンに罪をなすり付けるなんて、最低だな...お前は国民保護省行きだ」

ミツオ「い、嫌だっ!あそこだけはっ!!あそこだけはぁああああっ...!!!!」

 

ミツオは遂に観念したのか、膝が地面に付きながら発狂した。

 

ヴラン「『運命を受け入れろ』っつったのはあんただろ?その責務を果たす為に、タマ撃ち抜かれるだけで勘弁しといてやるよ。ほれ」

 

俺は(うつぶ)せになってベリョータを素早く構え、即座にミツオの睾丸(こうがん)を撃ち抜いた。

 

ヴラン「そぉれ、もう一発!」

 

両睾丸仕留めたり。俺はベリョータを構え、降伏を要求する。

 

ヴラン「四肢(しし)は残しといてやるから有難(ありがた)く思えよ?次は腰椎(ようつい)だ。(ひざまず)け!命()いをしろ!!」

 

二発の銃声。(かわ)いた破裂音が丘に響き渡り、ミツオの口から言葉にならない絶叫が漏れる。股間を両手で押さえてエビのように丸まり、地面を転げ回った。

血混じりの液体がズボンの布地を黒く染めていく。グロい。実にグロい光景だなおい。俺はもうとっくに耐性は付いてる。

 

ミツオ「あ゛あ゛あ゛あ゛っ...!!た、たすけ...たすけ...」

レーナ「......うっ」

 

レーナが思わず目を逸らし、肉まんを持つ手が震えている。プリスティモンがレーナの肩に飛び乗って目を覆った。

 

マコト「......えげつない。あれ、キン......いや、何でもないです」

 

マコトと呼ばれる少年が即座に口を閉じた。10歳くらいのガキにはちょっと刺激が強すぎたかな?

 

キョウ「...」

 

キョウが立ち止まっている。ミツオを庇う為じゃない。俺を止める為でもない。

その目がグルスを観察し、次にベリョータの精度を確認し、最後に俺という人間の本質を(はか)っていた。

 

グルスガンマモン「ヒヒッ...良い悲鳴だ」

 

グルスの尻尾が嬉しそうにうねる。こいつは止めるとか言う概念を持ち合わせていない。

 

キョウ「お前、クリーナーじゃないな」

 

一瞬で俺は目を見開いた。断定だった。質問ではない。

キョウの穏やかな声から温度が消えている。

 

キョウ「国民保護省の人間でもない。クリーナーライセンスも持っていない。一体何者だ?」

ヴラン「さぁな。答える義理はない」

キョウ「そうか」

 

キョウの声のトーンが変わった。穏やかさは残っている。残っているが、それはもう優しさじゃなくて、ムラサメモンの(さや)に収まった刀だ。

ムラサメモンが抜かないのは礼儀であって、抜く気がないわけじゃない。

 

レーナ「キョウ、こいつ明らかにヤバい奴よ。クリーナーじゃないなら何?ただの殺人鬼?」

プリスティモン「少なくとも、タマを撃ち抜く技術が異常に高いのは確かね...」

キョウ「レーナ、下がってろ」

レーナ「は?何言って...」

キョウ「下がれ」

 

二度目は命令で、レーナの口が閉じる。

リーダーの声には有無を言わせない重力がある。

キョウがコンビニ袋からもう一つ肉まんを取り出し、一口(かじ)った。咀嚼(そしゃく)しながら俺との距離を測っている。

 

マコト「キョウさん......あの人、成熟期デジモンをワンショットで二体同時にデリートしてます。しかもサポタマごと。普通じゃない」

 

マコトの声が低い。分析が得意そうな目がグルスの脅威度を正確に弾き出している。

 

キョウ「ああ。聞こえてた」

 

肉まんを飲み込んだキョウが、紙袋をマコトに押し付けて両手をフリーにした。

 

キョウ「一つ提案がある。お前が何者で、此処で何をするつもりだったのか、それは聞かない。だが」

 

キョウの目がグルスを捉える。

 

キョウ「俺のファミリーに銃を向けた事実は変わらない。強盗犯にじゃない。今、お前は俺達に向けた」

グルスガンマモン「...へぇ」

 

グルスの口角が吊り上がり、紫の瞳がキョウを値踏みするように細まった。

 

グルスガンマモン「やるのか、デカいの」

 

沈黙が丘を支配する。風すら空気を読んで止まった。

キョウの背後でムラサメモンが大剣の(がら)に手を掛け、グルスの尻尾が獲物を見定める蛇の様にゆらりと揺れている。一触即発。誰かが(つば)を飲めば、それが合図になりかねない。

 

キョウ「ファミリーに銃を向けた。それだけが事実で、それで十分だ」

ムラサメモン「キョウ、斬るか?」

キョウ「待て。まだだ」

 

キョウが右手を軽く上げ、ムラサメモンを制する。殺すのは最後の手段だと言わんばかりの所作だった。

 

キョウ「なぁ、お前。名前は?」

レーナ「キョウ、何悠長(ゆうちょう)に話して...!」

キョウ「黙ってろレーナ」

 

レーナが唇を噛む。キョウが交渉モードに入っている事は分かるが、納得はしていない顔だ。プリスティモンも同じ表情をしている。

 

マコト「...キョウさん、あのデジモン。僕、データに見覚えがない。キロプモンのスキャンが通らない」

 

マコトの声が緊張で(わず)かに上擦っている。キロプモンの超音波スキャンが弾かれたという事実が、この場にいる全員の背筋を薄ら寒くさせた。

 

キロプモン「...僕のキュリアスアイズでも、何も視えない。あのデジモンだけ、ノイズが走る...」

キョウ「へぇ」

 

キョウの目が細まる。穏やかな笑みの奥に、初めて警戒の色が滲んだ。

 

キョウ「名前も明かさない、クリーナーでもない、データ照合も不能。お前は......」

ヴラン「地乏川ヴラン。血の池地獄という名の道を彷徨(さまよ)う、ヴィラン寄りの流離者(さすらいもの)だ」

キョウ「地乏川ヴラン...」

 

キョウが俺の名前に反芻(はんすう)する。そりゃそうだ。平行世界から来た者の名前なんざ、聞き慣れない響きで、この辺りのクリーナーとかいう裏職業のネームリストにも、指名手配リストにも載っていない。

キョウの脳内では既に(いく)つかの可能性が走査されている。犯罪者か、他国のエージェントか、あるいはもっと厄介な何かか。

 

レーナ「ヴィラン寄りって自分で言ってるわよこいつ。寄りって何よ寄りって。ヴィランじゃないなら何なの?」

プリスティモン「どっちにしてもキョウ、あの男の目......殺す事に躊躇(ちゅうちょ)がない目よ。アタシが保証する」

 

プリスティモンの声が低い。野生の勘がフル稼働している。ウルヴァモンに進化した時の戦闘経験がまだ身体に残っていて、それが警鐘を鳴らしていた。

 

マコト「キョウさん、自称ヴィランの流離は...法的には即拘束対象です」

キョウ「ああ。分かってる」

 

キョウが一歩前に出る。その一歩で空気の密度が変わった。

 

キョウ「ヴラン。ヴィランだろうが何だろうが、此処は俺達の管轄だ。お前はクリーナーライセンスも持っていない。一般市民への武装行使、強盗犯への度を越した暴行、そして俺達ファミリーへの威嚇射撃」

 

指折り数える様に一つずつ並べ、最後にキョウが微笑んだ。優しい顔だ。慈悲深い顔だ。だからこそ背筋が(あわ)立つ。

 

キョウ「大人しく同行してくれるなら、手荒な真似はしない」

グルスガンマモン「ハァッ...!」

 

グルスの尻尾が地面を叩き、土煙が舞う。紫の瞳が歓喜に燃えていた。

 

グルスガンマモン「ヴラン。こいつのデカブツ、強ぇぞ。やっていいか?」

 

俺は手に持つベリョータを消滅させ、失神仕掛けた峰崎を見る。

 

ヴラン「...いや、このまま戦り合えば、その峰崎とかいう時計泥棒が出血死しかけない。()ずは国民保護省とかいう警察(まが)いの組織に渡すべきだ。ムラサメモンと戦っても時間の無駄、余計奴の失血死を早まらせる」

 

レーナにとっては正論だ。ムカつくが正論だ。

ミツオは股間を押さえたまま白目を剥きかけており、ズボンの染みは確実に広がっている。

このまま放置すれば感染症で死ぬか、ショックで心臓が止まるか、どちらにせよこの時計泥棒の余命は息が詰まる程短い。

 

レーナ「...チッ」

 

レーナが舌打ちする。

認めたくないが、俺の判断が正当である事は本人でも分かっていた。

 

キョウ「...」

 

キョウが一瞬だけ目を閉じ、開いた。

交戦の意思を収めた目だ。だが警戒は解いていない。ムラサメモンの大剣は鞘に納まったが、柄から手は離れていない。

 

キョウ「分かった...峰崎の身柄は預かる。だが、お前は別だ」

マコト「キョウさん、峰崎の止血が先です。下腹部からの出血が...その、かなり」

 

マコトが顔を真っ赤にしながら医学的に適切な報告を試みる。10歳の少年に犯人の睾丸損傷を診させるのは教育上宜しくねぇ。

 

キョウ「マコト、救急信号」

マコト「はい」

 

マコトがタマゴ型のアイテムを操作する間、キョウはミツオの(そば)にしゃがみ込み、傷口を圧迫しながら俺を見上げた。

その問いの裏に「逃げるなよ」が透けている。

 

キョウ「ヴラン。国民保護省に身柄を渡した後、お前はどうする?」

ヴラン「さぁな。俺達には俺達なりの道がある」

 

俺はそれだけを言うと、ムラサメモンが振り下ろした大剣でゲートが開いた。




-今回出て来たデジモン紹介-
グルスガンマモン
成熟期 ウィルス種 竜人型
ガンマモンの内部に秘められていた悪なる心が解放されて進化した凶暴なデジモン。周りからの干渉を拒み戦いにしか興味が無く、目に見える相手に掴み掛かれば息の根が止まるまで攻撃は終わらない。自らの手足が潰れてもお構い無しに攻撃する凶暴性を持った戦いを見せる。
必殺技は手に溜めた闇の炎で敵を握り潰す『ダークパレス』と、その闇の炎の威力を維持させたまま投げる『デスデモーナ』。さらに尻尾の先でピンポイントに急所を突く『デッドエンドスキュアー』で敵を絶命させる。

ファンビーモン
成長期(X抗体) ウィルス種 昆虫型
謎の“空中秘蜜基地「ローヤルベース」”に所属している昆虫型デジモン。他の昆虫型デジモンとは異なった生活ではあるが、性格はとても陽気で力持ちの働き者。パルモンやリリモンなどの植物型デジモンとはいつも仲良くしている。基地は常時建設途中で、花や草木などのフィールド上のデータを材料として少しずつ持ち帰る任務についているため、ウィルス種に区分されている。また、基地は強力なデジモンで守られており、近付く事すら出来ないため、その建設目的は今のところ謎である。必殺技はギザギザのある小さな針を連射して放つ『ギアスティンガー』。また、頭部の触角を赤くして味方に連絡『88コール(ハチハチコール)』している時は、大勢の仲間を呼ぶので逃げた方が賢明である。

プリスティモン
成長期 ワクチン種 哺乳類型
フードを被ったコウモリの様な姿をした哺乳類型デジモン。優れた情報収集・解析能力を持っており、諜報(ちょうほう)機関で使用されている情報収集・分析・解析ソフトウェア由来で誕生したデジモンではないかと噂されている。ほぼ無音で羽ばたく事が出来、対象に気が付かれる事なく情報の収集と解析を行うことができる。とはいえキロプモン自身が興味を持ったものに対しての行動であるため、集積した情報は幅広い雑学程度の情報価値しかない事が多い。口から超音波を照射する能力を持ち、対象を麻痺させる事が出来る『パラライズエコー』と超音波によるエコーロケーションで周囲の状況を把握する『アナライズエコー』の2つを使い分ける。キロプモンの目は可視光線以外に紫外線と赤外線までの電磁波長を「視る」ことが可能な『キュリアスアイズ』という機能を持ち、通常の目では視る事の出来ない情報を得る事が出来る。キロプモンは闘争心がほぼ皆無で自ら攻撃する様な性質のデジモンではないが、戦闘が避けられない際は口から超音波を極限まで圧縮し放つ攻撃技『コンデンスドエコー』を使用する事がある。

ウルヴァモン
成熟期 ワクチン種 サイボーグ型
様々な武装を内蔵した両腕を持つサイボーグ型デジモン。両腕の武装腕は様々な金属で構成されており、駆動パーツにはクロンデジゾイドを使用していると言われている。ウルヴァモンは基本的に沈着冷静な性格であるが、戦闘時には集中力が高まりすぎるあまり精神が高揚し戦闘狂の様な状態に(おちい)る者が多い。遠距離から近接攻撃までオールラウンドな攻撃技を持っており、遠距離戦では手のひらの銃口からエネルギー弾を連射する『ラピッドバースト』で戦端を開き、前腕部に内蔵された小型ロケット弾『スキャッターロケット』の連続発射によって相手を仕留める。遠距離戦で分が悪い場合はしなやかな体術で素早く相手に詰め寄り、掌の銃口から放つ火炎放射『トムボーイブレイズ』で牽制(けんせい)し、鋭い左右の爪で斬り付ける『バージャースラッシュ』で止めを刺す。

ワスプモン
成熟期(X抗体) ウィルス種 サイボーグ型
謎の“空中秘蜜基地「ローヤルベース」”を守るサイボーグ型デジモン。頭部の触角パーツは索敵能力が高く、基地に近付くデジモンを警戒して常に周辺をパトロールしており、近付くだけで襲い掛かってくる。肩の推進器と背中のスタビライザーにより、上下前後左右と、あらゆる方向に急速に移動が可能で、近付いて来る敵をディフェンスして、強力なレーザー砲で追い払ってしまう。必殺技は大口径(こうけい)のレーザー砲を連射して放つ『ターボスティンガー』と、大型のデジモンをも一撃で仕留めてしまう『ベアバスター』。(なお)、この技はエネルギーを溜めてから放つため、素早い敵には当たり難く、主に地上の敵に対して有効である。

フォージビーモン
成熟期(X抗体) ウィルス種 サイボーグ型
謎の空中秘蜜基地「ローヤルベース」に所属するサイボーグ型デジモン。基地の警備を担当するワスプモンに対し、フォージビーモンはローヤルベースの建設を(にな)っている。腕には接着用のグルーガンが搭載されており、腹部で生成される「蜜着剤」をつかって資材を接着している。時折、資材を運んできたファンビーモンも一緒に接着してしまう事があり、その際には副腕を使って器用に救出する。メカアームと化したもう一対の腕やノコ状の針など、装備は戦闘に転用出来る物が多く、建設要因ながら(あなど)れない戦闘能力を誇る。
「女王」の為に日夜建築に励んでいるが、自分達が何を作っているかについては知らないという。必殺技は尻のノコ針で相手を切り裂く『トルクスティンガー』と背中から伸びる溶接アームによる放電攻撃『バンブルウェルダー』。

ギリードゥモン
完全体 データ種 妖精型
森林地域に生息する狙撃を得意とするデジモン。狩猟者としての技術は非常に高く、全身を覆うカモフラージュスーツで森に溶け込み獲物に自身の位置を悟られる事なく狙撃する。気性は穏やかなデジモンではあるが、自分の縄張りである猟場への執着が高いため、不用意にギリードゥモンの猟場へ踏み込んだ者は警告なしで狙撃されてしまう。気配や物音を消す為にゆっくりとした動きを好むため素早く動くことは苦手である。ギリードゥモンの目は特殊な機能を持っており、獲物デジモンの体を透過して見る事が出来る「トゥルーアイズ」で獲物デジモンのデジコアの位置を正確に把握し、愛用のライフル「ベリョータ」から放つ「コアシュート」でデジコアを射抜き仕留める。

ムラサメモン
完全体 ウィルス種 獣人型
東方のデジタルワールドには古い時代から伝わる剣術流派が存在する。(けわ)しい山々が連なる山岳(さんがく)地域に根付いたその流派は「瞑怒雨流」(めいどうりゅう)と呼ばれ雨の名を冠する剣技を特徴としている。厳しい修行の末に「瞑怒雨流」を修めたデジモンは免許皆伝の証としてムラサメモンへと進化すると伝えられている。巨大な大刀を自在に操る膂力(りょりょく)技倆(ぎりょう)から繰り出される怒涛の剣技を(しの)ぎ切れるデジモンは少ないだろう。戦闘の際は3種の奥義を状況に合わせ使い分ける。『豪ノ斬・叢時雨』(ごうのざん・むらしぐれ)は上段の構えから放たれる一刀両断の斬撃であり、敵が防御を固めていたとしても防御ごと叩き切る「豪」の剣、『柔ノ斬・月時雨』(じゅうのざん・つきしぐれ)は下段の構えであらゆる攻撃を刀で弾き返す「柔」の剣、『終ノ斬・哭雨』(ついのざん・こくう)は右肩に刀を(かつ)いた状態で敵に向かって跳躍(ちょうやく)し、空中で体を縦に回転させる事で剣撃を高めた必殺の「終」の剣である。伝承では「瞑怒雨流」の剣技により(たお)された者は今際の際に雷鳴轟く雨の幻影を見ると言われている。

-発言のみ-
ドリモゲモン
成熟期 データ種 獣型
鼻先に付いた巨大なドリルで地中を高速に移動するデジモン。常に地中深くに潜っているため出会える事は非常に希なデジモンだ。大人しく恥ずかしがり屋な性格だが、結構悪戯好きで、ガルルモンが地中に隠している好物の骨を別の所に隠してしまう事もある。必殺技は巨大なドリルで敵を攻撃する『ドリルスピン』と、ガルルモンから盗んだ骨を投げる『クラッシャーボーン』。

ディグモン
アーマー体(成熟期級) フリー種 昆虫型
アルマジモンが“知識のデジメンタル”のパワーによって進化したアーマー体の昆虫型デジモン。“知識のデジメンタル”は“土”の属性を持っており、このデジメンタルを身に付けた者は大地を操る力を持つ。その特異な形状から見ても分かる様に、地中での戦いに()いてはどのデジモンにも負ける事はない。得意技は回転するドリルで地面に衝撃を与え、地割れを起こす「ビッグクラック」。必殺技は、鼻先と両手のドリルを高速回転させて、ドリルによる一斉攻撃をする「ゴールドラッシュ」。

ピコデビモン
成長期 ウィルス種 小悪魔型
蝙蝠の姿をした小型の使い魔デジモン。デビモンやヴァンデモンなどの上級デジモンの使い魔として存在しているが、天使系デジモンだったデビモンを(そそのか)し、ダークサイドに引き込んだ張本人とも言われている。攻撃力などは強くないが、悪知恵が働きあちらこちらで悪さをしたりしている。闇を好み、いつも上級デジモンといる事が多く、単体で目撃することは稀だろう。必殺技は大きな注射器を投げつけ、相手から血を抜き取ってしまう『ピコダーツ』。

ピピスモン
アーマー体(成熟期級) フリー種 突然変異型
パタモンが“愛情のデジメンタル”のパワーによって進化したアーマー体の突然変異型デジモン。蝙蝠の姿をしたこのデジモンは、某電気機器メーカーの超音波センサーのモニタリングデータから生まれたと言われている。その大きな耳はあらゆる周波数の音を捉える事が出来る。また、口の内部はスピーカー構造になっており、耳で捕らえた音声をそのままコピーして発する事が可能である。夜間行動を得意としており、暗闇の中でも超音波を使って正確に敵の位置を知ることができる。暗闇から奇怪な音が聞こえてきたらピピスモンが側にいるかもしれない。必殺技の『クレイジーソニック』は高周波ノイズを敵に放ち、相手の感覚器官を破壊してしまう。

バリスタモン
成熟期(クロスウォーズ) ワクチン種 マシーン型
分厚いメタル質の装甲と圧倒的なパワーを持つヘビー級デジモン。一見好戦的に見えるが、争いよりも平和を好む穏やかな性格で自ら攻撃を仕掛けるという事はない。だが、一度戦いとなれば豪腕を振るって敵を一掃する強力無双の闘士となる。重装甲と大パワーで攻守共にポテンシャルは高く、命中すればただでは済まない大パワーを活かした一撃必殺の攻撃が得意。しかし、重すぎる体が災いして俊敏さに難があり、動きの速い敵と戦うのは苦手である。お腹のスピーカーから重低音を発して敵を粉砕する「へヴィスピーカー」は岩を砕き、山を鳴動させる威力を秘め、お腹が空いている程その威力は高まる。また、接近攻撃の要となる頭のホーンはバリスタモンにとって誇りであり、軽々しく触れられることを嫌う。このホーンを豪快に使って相手を投げ飛ばす「ホーンブレイカー」はバリスタモンの得意技である。またバリスタモンは『装甲強化形態』になることで他のデジモンに重装甲とパワーを貸すことができる。
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