制服スキンで店に行き、学割を不正利用して出費を抑えることを思いつく。
果たして、鑑定士の作戦はうまくいくのか?
初のNTE二次創作SSです。
おかしなところがあるかもしれませんが、楽しめていただけたら幸いです。
※本作はpixivにも同じ内容のものを投稿しています。
【ハンカク街:9℃カフェ】
「スペシャルパフェと......あとアルケミストラテで。」
「学割つかえますよね?」
「使えますよ。少々お待ちください。」
「ちなみに、それどこの制服ですか?クレイモン学園とは違うようですが。」
「えっと、そう、ニューヘリオス!ニューヘリオスの高校のやつです。」
「ニューヘリオスですか!ずいぶん遠いところから来たんですね。」
「大規模異象は大丈夫でしたか?」
「ええ、なんとか。」
期間限定のスペシャルを目当てにやってきた、女子高生とおぼしき少女。
だが、彼女は高校生ではなかった。
(うまくいった!我ながらナイスアイデア!)
その少女--鑑定士--は涼しい顔で注文を済ませた。
今話題の9℃カフェのスペシャルパフェ。
期間限定のその商品は、ベーグル上でたちまち話題となった。
だが、鑑定士は金欠だった。
ポルシェガチャや物件を買いまくったせいで、ファンスが底をつきかけたのだ。
何が何でもスペシャルパフェを食べたい。
でもお金をかけたくない。
そんな鑑定士は、よく着ている制服コスを使うことを思いついた。
自分は高校生だと言い張って、学割を不正利用した。
「お支払いありがとうございます。すぐにパフェをお持ちいたしますね。」
「ところで、お客さん。どこかでお会いしましたか?」
「いえ、初対面のはずです。」
「ですよね。気のせいかしら?」
「どこかで見かけた記憶があるのですが......思い出せないですね。」
「『壱のコーヒー』にはよく行かれます?」
「あははは、気のせいですよ。」
「『壱のコーヒー』を知らないですか?ヘテロシティではかなり有名なのですが。」
「本当に聞いたことありませんか?」
「......少し怪しいですね。」
「き、気のせいですよ。ほら、私この街に来たの初めてですし。」
「それもそうですね。すみません、変なことを聞いてしまって。」
「すぐにお席にご案内いたしますね。」
「ありがとうございます。」
(やっぱり怪しいよね、私。危うく正体がばれるところだった......)
(『壱のコーヒー』の社長だよ私。そりゃ見覚えあって当然だよ!)
内心ヒヤヒヤする鑑定士。
だが、まだ疑われただけだ。
うまく隠し通せるはずだ。
「スペシャルパフェとアルケミストラテをお持ちしました。」
「ごゆっくりおくつろぎください。」
先ほどの店員が注文した品を持ってきた。
後は、これを食べて帰るだけだ。
だが、一番見つかってはいけない相手が入店してきてしまう。
「ここが9℃カフェ か~。おしゃれ~。」
「ん、この匂いは......ココちゃん!」
「ミ、ミント!?あはは、どうも。」
(まずい、知り合いに見つかった。それも、よりによってミントに。)
鑑定士の考えも知らずに、彼女はこの場で一番話してほしくないことをつぶやいてしまう。
「ココちゃん!その制服コス気に入ってるね!」
「最近いつもそれ着てるよね!それ着てポルシェ乗り回すの大好きだよね!」
「たしかその服も300万ファンスし」
「言わなくていい!!」
「どうしたのココちゃん?急に大声上げて。」
「いいから少し黙って!」
必死にミントを制止しようとする鑑定士。
だが、もう手遅れだった。
「制服コス?お客さん少々よろしいでしょうか?」
「学生証を見せていただけますか?」
(まずい......なんとかごまかさないと!)
慌て出す鑑定士。
そんな彼女に、ミントはとどめを刺してしまった。
「店員さん。その人学生じゃないですよ。」
「既に成人していますし。」
「どこで見たんでしたっけ?壱のコーヒーを知らないのも嘘っぽいし。」
「思い出した!あなた壱のコーヒーの社長さんね!」
凍り付く店内。
鑑定士に突き刺さる客の冷たい視線。
耐えられなくなった鑑定士は、その場を急いで逃げようとする。
そんな様子を見て、店員は大声で言い放つ。
「ポルシェやお高い衣装が買えるんですよね。」
「金持ちが学割を不正利用して、はした金をケチるなんて......全くお笑いですね。」
「お金、たくさんお持ちなんですよね?」
店員の大声を聞いて、通行人たちが足を止めた。
「あの人、たしか豪邸をいくつも持ってたわよね?そんな人が学割の不正使用ですって?」
「おかあさーん、あの人なんで怒られてるの?」
「しー。見ちゃ駄目です。」
店の外からも冷たい視線が降り注ぐ。
もはや逃げ場などない。
「あ、はい。すみませんでした。」
「あと今金欠で払えません。ごめんなさい。」
(ミント!せっかくの計画が台無しだよ~!)
「......ふっ。なんてみじめなのかしら。」
「『すみません』で済んだら、治安官なんて必要ありません。」
「まあいいでしょう。ちょっと治安所まで一緒に行きませんか?お客さん......いえ、コスプレした痛々しい社長さん。」
こうして、詐欺罪で鑑定士は捕まった。
本来であれば罰金で済むところだが、何度も脱獄を繰り返した彼女はそうはいかなかった。
抵抗むなしく、鑑定士は拘置所へと送られていった。
【ハンカク街:壱のコーヒー】
次の日
「みんな!今日は私も働くよ!」
「さあ、気合い入れていこう!」
「ねえ、ココちゃん。拘置所の刑期、まだかなり残ってるよね。」
「また脱獄したの?」
「当たり前じゃん。あんなザル警備、簡単に突破できるよ!」
「ココちゃんは変わらないな~。たまには刑期満了までいてよね。」
「はいはい、ミント。」
「気が向いたらね。」
異常が日常のヘテロシティ。
今日も、どこかおかしな日常が流れていった。
おしまい