仲間を逃がすため、最後まで戦い抜く――。
そのはずだった。
しかし、次に豊久が目を覚ました場所は、見知らぬ巨大な地下墳墓だった。
そこにいたのは、黒いローブを纏った骸骨の魔法使い。
名は、アインズ・ウール・ゴウン。
数多の怪物を従えるアインズと、異世界へ迷い込んだ島津の侍・豊久。
本来なら交わるはずのなかった二人が出会ったことで、世界の運命は少しずつ変わり始める。
第1話 異形の城
――関ヶ原。
日が落ち、雨が降り出す
豊久は一人歩いていた。
周りにいた薩摩隼人は皆倒れ、ただ一人薩摩を目指し歩いていた。
___ここは…ここはどこだ……
___おいは帰るのだ……ッ!!薩州へ!!
しかし、その思いは叶わず。
島津中務少輔豊久は、関ヶ原、島津の退き口にて討ち死となった。
その瞬間だった。
視界が――
白く弾けた。
「……?」
足元が消えた。
地面がない。
敵もいない。
味方もいない。
ただ、白い空間。
「何じゃ、こりゃ……」
豊久が周囲を見回す。
「敵か?」
返事はない。
次の瞬間。
身体が落ちた。
「ぬおおおおっ!?」
――ドンッ!!
「痛ぇ!」
石の床だった。
豊久は顔をしかめながら起き上がる。
「……?」
辺りを見回す。
そこは――
巨大な地下墳墓だった。
壁には見たことのない装飾。
床には見事な石細工。
天井は異様に高い。
そして。
静かすぎた。
「…………」
豊久は刀を抜いた。
戦場とは違う。
だが、分かる。
ここには何かいる。
しかも――
数が多い。
「……妙な場所じゃのう」
その時。
――コツ。
足音がした。
豊久は振り返る。
長い階段の向こう。
一人の男が立っていた。
黒いローブ。
赤く光る眼窩。
肉のない顔。
白骨の身体。
そして、巨大な杖。
「…………」
豊久は黙った。
相手も黙っている。
やがて。
「侵入者か」
低い声が響いた。
豊久は刀を構える。
「おう」
「名を名乗れ」
「島津豊久」
「……島津?」
「お前は?」
「私か?」
骸骨の男は少しだけ間を置いた。
「アインズ・ウール・ゴウン」
「アインズ……」
豊久は名前を口の中で転がす。
「長か」
「……よく言われる」
「ここはお前ん城か?」
「そうだ」
「なら」
豊久は周囲を見る。
「俺ァ敵じゃ」
アインズの赤い光が強くなる。
「理由は?」
「知らん」
「…………」
「気がついたらここにおった」
豊久は刀を下げない。
「お前も俺を知らんじゃろ」
「そうだな」
「なら、まだ敵とは決まっちょらん」
アインズは僅かに沈黙した。
「君は、ずいぶん落ち着いているな」
「そうか?」
「ここがどこか分かっていないのだろう?」
「分からん」
「それなのに?」
「分からんからじゃ」
「……?」
豊久は笑った。
「分からんものを怖がっても仕方なか」
その瞬間。
アインズの背後。
闇の中から何かが動いた。
豊久は即座に振り向く。
「!」
そこには――
異形の女がいた。
白い肌。
巨大な翼。
黒い衣装。
そして、赤い瞳。
その隣には、銀髪の女性。
さらに。
見たこともない化け物たちが何体も並んでいる。
豊久の刀を握る手に力が入った。
「……なるほど」
口元が吊り上がる。
「こりゃあ――」
周囲を見回す。
「化け物の巣じゃな」
空気が凍った。
銀髪の女性の表情が険しくなる。
だがアインズは手を上げた。
「待て」
女たちが止まる。
「アインズ様?」
「私が話す」
アインズは豊久を見る。
「君は怖くないのか?」
「怖いぞ」
「…………」
「お前ん後ろにおる奴ら、どいつもこいつも強そうじゃ」
豊久は笑った。
「じゃっどん」
刀を握り直す。
「強か奴がおるなら、見てみたくなるじゃろ」
アインズは内心で頭を抱えた。
――この男、戦闘狂か?
しかし。
豊久の目を見て、少し考えを改める。
単なる狂人ではない。
恐怖を理解した上で、前へ出る目だ。
「豊久」
「なんじゃ」
「君は、この場所から逃げたいとは思わないのか?」
「帰りたい」
「帰る?」
「おう」
豊久の表情が少し変わった。
「俺には帰る場所がある」
関ヶ原。
島津。
自分を待っている者たち。
「だから帰る」
「……方法が分からなくても?」
「探す」
「見つからなかったら?」
「また探す」
「それでも?」
「それでもじゃ」
豊久は即答した。
「帰ると言うたからには、帰る」
アインズは黙って豊久を見る。
その言葉には妙な重みがあった。
――帰る。
自分も同じだった。
かつての仲間たち。
ユグドラシル。
失われた時間。
そして、守るべきナザリック。
「豊久」
「なんじゃ」
「君は、この世界について何も知らないのだな?」
「何も知らん」
「魔法は?」
「知らん」
「魔物は?」
「今見た」
「この大墳墓については?」
「知らん」
アインズは少し考える。
「ならば、君はかなり危険な場所にいる」
「ほう」
「ここは私の居城だ」
「さっき聞いた」
「そして、ここには私に忠誠を誓う者たちがいる」
周囲を見る。
豊久も見る。
「……強かのう」
「ああ」
「お前が大将か?」
「大将?」
「一番上じゃろ」
「そうだ」
「なら話は早か」
豊久は刀を鞘に戻した。
「俺は帰りたい」
「…………」
「お前も、ここを守りたいんじゃろ?」
「そうだ」
「なら、しばらく世話になってよかか?」
アインズが固まった。
背後にいた者たちも固まった。
「……君は」
「おう」
「私の居城に突然現れて」
「おう」
「私の部下たちに囲まれて」
「おう」
「それで、世話になりたいと?」
「そうじゃ」
豊久は何でもないことのように答えた。
「帰る方法を探す間だけじゃ」
アインズは黙った。
そして――
「……分かった」
「よか!」
「ただし、私の命令には従ってもらう」
「分かった」
「ナザリックの内部を勝手に歩き回らないこと」
「分かった」
「私の許可なく、他者を攻撃しないこと」
「……分かった」
「そして――」
アインズは少しだけ言葉を選んだ。
「ここにいる者たちを、敵だと決めつけないこと」
豊久は周囲を見る。
人間ではない。
だが。
アインズの言葉に従っている。
ならば。
「おう」
豊久は頷いた。
「分かった」
アインズはそれを聞いて、わずかに安堵した。
「では、改めて歓迎しよう」
「おう」
「島津豊久」
「アインズ」
二人は向かい合う。
まだ互いのことを何も知らない。
まだ信頼もない。
まだ主従でもない。
ただ。
奇妙な縁で、同じ場所に立っているだけだった。
豊久は巨大な地下墳墓を見回す。
「……のう、アインズ」
「何だ?」
「ここには強か奴が何人おる?」
「…………」
アインズは答えに困った。
「それを聞いてどうする?」
豊久は笑った。
「決まっちょる」
腰の刀を軽く叩く。
「いつか、手合わせしてもらう」
「…………」
アインズは思った。
――やはり、面倒な男を拾ったのかもしれない。
だが。
その一方で。
なぜか、少しだけ。
この男がナザリックにいることを、悪くないと思っていた。
こうして。
島津豊久の異世界での暮らしが始まった。
後に彼がこの場所を、
**「俺ん大将の城」**
と呼ぶようになることを。
この時の豊久は、まだ知らなかった。
最後まで見ていただきありがとうございます。
私に文才がなくAIを使用しての執筆ではありますが、
どうしても書きたく思い今回投稿させていただきました。