習作:マブガル世界にTS転生した一般レイヴンのお話 作:ぱんそうこう
考え得る限り、最悪の追っ手がカオスメイデンの前に立ち塞がっている。
スティールヘイズ———今まで何度も俺を助けてくれた羽音だが、こうして味方ではない視点から彼女を見るのは初めてだ。
「スティールヘイズ、現着」
「よう、ユリア。酷いじゃねえか、俺に何も言わずにパイロット辞めようだなんて。水臭いぜ?」
「ユリア!フィー!アニス!沙耶!これは生徒会長の命令でもあるんです!だから大事になる前に帰りましょう!」
「うるさい!うるさいうるさい!私の邪魔しないでよ!邪魔するなら、全部全部倒すよ!!」
ユリアが絶叫する。癇癪を起こした子供のように、泣き叫ぶ子供のように。
他の3人がそうだったように、余裕を崩さないユリアがこうして激情を露わにするのを見て動揺する翠蘭。だが、彼女だけは。
「そうだよなぁ!立ち塞がる奴は全部焼き尽くすに限る!やっぱお前とは気が合うぜ!」
何一つ動揺しない。それどころか、闘争への歓喜に身を委ね始める。
凶鳥の羽ばたきが聞こえる。相対する者を焼き尽くす黒い鳥が、炎の翼をはためかせてユリアを闘争へと誘う。
「かかって来いよ。感情も、癇癪も、全部全部曝け出せや!俺を!その手で!倒してみせろよ!!」
「う、ああああああああ!!!!」
機体の親指で自分を指差し、ユリアを挑発する羽音。それを受けて獣のように羽音に襲いかかるユリア。
かつて、シリウスシュガーを教導した時に見た光景が脳内で重なる。だがあの時と違うのは——ユリアが全く楽しめていないこと。あの時は、あるいはいつの時も、楽しそうに互いの技量をぶつけ合っていたのに。
「なんで挑発してるんですか!?一体何を考えて……!ああもう、後で覚えててくださいよ!?」
「お前らも全員来いよ!じゃなきゃ勝てないぜ!誰にも、何にも!……さあ、どうする!?」
困惑する翠蘭を尻目に、他のメンバーまで闘争へ誘う羽音。本当に何を考えて……。待て。いや、これは。
「……乗ってやるぞ。3人とも、ユリアに加勢してやれ」
今お前、わざわざユリアから視線を逸らしてまで俺を見たな。戦う相手から視線を逸らすなんて普段のお前がするとは思えない。つまりこれは何かの意図があってのこと。
この状況で考えられるのはユリアの、カオスメイデンの事だろう。羽音の性格からして、何をするにも言葉より戦いを選ぶのは道理だ。そして俺と示し合わせる必要があるとすれば。
俺に見せようとしているのか、今のカオスメイデンの戦いを。
そしてあわよくば、俺が突破口を見つけ出すのを狙っている。
……何やらお前からの期待が少々重いような気もするが。
カオスメイデンを助けるためだ。乗ってやるさ、お前の思惑に。
「……よろしいのですか?」
「ああ。現状認識のためにも一度戦うところを見たい。それに、あんな状態で戦うユリアを見てられないからな」
「そうよね…………ひとりぼっちは、イヤだものね」
戦うユリアと羽音を見ながら、アニスがそう答える。
そして彼女の了承を皮切りに始まる4対2。
羽音は翠蘭を後衛に据えることで彼女を守りつつ、カオスメイデンの戦力を崩しにかかる。
「アニスの奇襲が来ます!立ち上がりを抑えて!」
「ふふ、こんなに激しく攻めても崩れないなんて……流石ね、羽音?」
「生憎、俺は攻められるよりは攻める方が好きなんでな!そらよっ!」
「左から沙耶!弾いてそのまま上へ飛んで!フィーが撃ってきます!」
「はぁ、はぁ……ダメですっ。踏み込みが……こんなに、楽しいのにっ!」
「もっと楽しめよ!この戦い続ける歓びを!心のままに!魂のままに!」
「沙耶だけに集中しないで!ユリアが来てますよ!」
「忘れてねえよド本命!」
カオスメイデンの動きを知り尽くし、戦場を俯瞰する翠蘭が羽音に指示を出し、羽音が1人で前線を支えて翠蘭まで通さない。たった2人で戦場を支配し、ユリア達を思うように動かさせない。
カオスメイデンが不調であることを込みにしても、驚異的だと言わざるを得ない。
そうして2人のコンビネーションは、次第に問題を浮き彫りにしていく。
カオスメイデンの高い個人技と自由さに裏打ちされた強さ。それが今、崩れている。
「ぐっ、うっ、ああああああああああ!!!!」
高く飛ぶ羽音と、苦しそうに地を這うユリア。今の2人の差異は残酷なほど明らかだった。
傷だらけの翼で無理やり飛ぼうとする鳥。あるいは飛び方を忘れてもがく鳥。
不自由。あるいは窮屈。ユリア本来の持ち味を活かせないまま良いようにやられていく。
「くっ。……ああ。あなたはどうして、そんなに……」
躊躇なくクロスレンジに、沙耶の間合いに飛び込む羽音と、そこでさらに踏み込めないまま止まってしまう沙耶。
思い切りが足りず、悩んだまま。どう動くかが中途半端。対応を決断できないまま、沙耶は羽音から直撃を貰う。
「くっ、ユリア!沙耶も!どうしたのよ!」
「……これが、羽音の『炎』」
周りが崩れ、撹乱どころでないアニスは強みを活かせない。
役を演じ完璧な指示をこなすフィーでは追いつけない。
これが、現状。「噛み合わない」という言葉に込められた意味。
かつて、強敵として立ち塞がったカオスメイデンの姿は、そこにはない。
「なんでっ!なんでなんでなんで!羽音ちゃんのことはなんでも分かったのに!どうすればいいかなんてすぐ分かったのに!」
「ユリア!」
「やだやだ!なんで分かんないの!見せつけないでよ!見ないでよっ!」
「……羽音さん。私が前に出ます。ユリアは任せてください」
「…………分かった。他の連中はこっちで抑えておく」
羽音が離れ、翠蘭が1人ユリアと対峙する。
スピーカーから放たれたのは落ち着いた声。子供に言い聞かせるような穏やかで、それでいて微かに哀しみも籠った声色。
「———もう、帰りましょう」
「やだ!やだやだやだやだ!私だって、私だって羽音ちゃんみたいに楽しく戦いたい!」
破れかぶれ。そう表現するのが一番適切だろうか。
欲しいものが手に入らない子供のように駄々をこねながら翠蘭に襲いかかる。
だが彼女の心を映したかのようにその銃撃は乱雑。斬撃はブレブレ。そのいずれも翠蘭に届きはしない。
————羽音のように楽しく。ユリアはそう言った。
それが答えだったのか。ユリアと羽音は同類として、ずっと楽しく「遊ん」でいたからこそ。楽しくなくなった今、その同類のようになろうとしている。そうすればまた、楽しい日々が帰ってくると信じて、縋って。
だったら俺の腹は決まった。あいつらには悪いが、ここは一旦引いてもらう。
今のカオスメイデンはちょっとやそっとじゃ立て直せない。小手先でどうこうしたって意味がない。
何より、今のユリアは自分を見失いつつある。これを見過ごすわけにはいかない。
「だとしても。——今の貴方では彼女はおろか、私にさえ届きません!」
翠蘭の一撃がユリアに直撃するのを目にしながら、急いで霞光に乗り込む。システムを起動させ、ジェネレーターに火を入れ、ゆっくりと立ち上がらせる。
その様子は羽音もしっかり捉えていたようで、こっちに視線を向けるとほう、と息を吐いた。
「見定めは済んだか?」
「羽音、お前はやっぱりそのつもりで……。悪いが、ここは一度引いてくれないか?」
機体から滲み出る彼女の圧力が俺を包もうとする。殺意や殺気は無い。だが強者としての重圧が、俺の一挙手一投足を見られているという視線の重みが、俺の手足を物理的に重くしているような錯覚を覚える。
なるほど。羽音と、「
さて、俺はどうやってこれを突破したものか。
◇◆◇
「そりゃどういうつもりだ?……翠蘭が言った通り、こいつは会長からの仕事だ。秘密裏に皆を回収できれば全部無かったことにできる。終わったら……カオスメイデンに指揮官を付けるんじゃないか?そうなるように俺も口添えくらいはするぜ」
「……流石、会長もお前も手が早いな。俺自身もカオスメイデンに付くことに異存はない。だが今は不味い、少しだけ待ってくれ。お前だってユリアをこのままにするわけにはいかないだろ」
ああ、そういえば指揮官と対峙するのはこれが初めてだったな。
俺はまるで他人事のようにそう思っていた。
俺は今のカオスメイデンを見るために、指揮官に見せるためにユリアに喧嘩を売った。「立ち塞がる奴は焼き尽くすに限る」……あれは本気だ。ただカオスメイデンは俺にとって「立ち塞がる相手」じゃないってだけで。
やり合うのは、初めはまだ楽しかった。だが戦うほどに心が冷めていく。まるで心が奮い立たない。
それよりも、哀しさと痛ましさが勝ってしまう。ユリアの相手を翠蘭に譲ったのもそれだ。
———見せつけないでよ、見ないでよ。
あの悲痛な声を聞いて、俺は俺の想定の甘さを悟ってしまった。
今なら分かる。なぜユリアが俺と「遊ば」なかったのか。なぜユリアからの返事が無かったのか。
……怖かったんだな、俺と戦うのが。戦うのが、負けるのが怖かったんじゃない。俺との戦いさえ「たのしくない」ものに変わってしまうのが怖かった。
戦わなければ、永遠に「たのしい」思い出のままにしておけるから。
そんなに俺との「遊び」が楽しかったのか、と思えばパイロット冥利に尽きる。
だがそれは結局のところ停滞であり、逃げでしかない。前に進むしかないんだ。その苦しささえ「翼」に変えて。
しかしそんな俺の道理は、今のユリアが受け止めるにはまだ早すぎた。
「お前という劇薬のおかげで俺のやるべき事は分かった。だからこそここで連れて帰られるわけにはいかない。……カオスメイデンは限界だ。それはお前だって分かってるだろう」
そうだな。カオスメイデンが限界なのは分かっていた。どうすればいいか考えて、俺に何ができるかは思いつかなかった。ただただ、会うことができればぐらいにしか考えられなかった。
だから皆が指揮官をさらったと聞いた時、不味いと思うと同時に都合がいいとも思った。少なくとも、お前なら悪いようにはしないと分かっていたから。
「その通りだ。戦闘を見ればすぐ分かる。カオスメイデンの問題は、もう身内だけでどうこうできる問題じゃない。だから指揮官の力が要る。———そういう意味では、お前が誘拐されたのは渡りに船だった」
「だったら俺を、俺たちを通してくれ!ユリアがこうなったのには俺にも責任がある!俺はそれを果たさなきゃならない!」
俺個人としちゃカオスメイデンが復調するなら、またユリアと笑って「遊べ」る日が来るならなんだっていい。だったらここで指揮官に預けるのも手、なのか?
だが俺も仕事だ。皆を連れ戻せなければそれどころじゃなくなる。
考えろ。順序を間違えるな。あくまで大目的はカオスメイデンを助ける事。
俺は、あいつらがバラバラになる所を見たくない。
だが現実は俺のそんな願望を嘲笑うかのように。
「———嫌いだ」
「嫌い!嫌い!みんな大っ嫌い!翠蘭ちゃんも!羽音ちゃんも!みんな!みんな!」
翠蘭に追い詰められたユリアが絶叫する。
感情に振り回され、ただ暴れる。
思い通りにならない今が苦しくて。思い通りに動けない自分が苦しくて。どうしたらいいかも分からなくて。
やたらめったらと銃を撃ち、長刀を振るい、周囲に人を近づけさせない。
拒絶。ただひたすらに、近づく全てを拒絶しようとしている。
–———劇薬とは言い得て妙だ。俺は何を間違えた?用法か?用量か?
「お前もあれが見えるだろ!あんな状態のユリアを放っておけるか!俺も!お前も!」
その時、指揮官の鋭い声と共に霞光が真っ直ぐ俺に突っ込んで来た。
かなり速く、鋭い踏み込み。それでいて空手にも関わらず気迫に満ちている。
装甲と装甲がぶつかる甲高い音。そして俺に一当てした指揮官は即座に離脱してユリアの方へ真っ直ぐ向かっていった。
「ちいっ!俺が気迫負けしたってのか!?」
……違う。俺とした事が、暴走するユリアを見て動揺していた。
あのユリアが、翠蘭に嫌い、などと聞いた事がない。天地がひっくり返ってもあり得ないことだと思っていたから。
皆のスランプをどうにかする。そのためにまず脱走した皆を制圧してでも連れて帰る。それだけのつもりだったはずが。
崩壊の足音がじりじりと迫っている。そういう音が、背後から聞こえてくる。
———ごめんね、私、もうパイロットできないや。
———近づかないで。私はもうMGには乗れない。……もう乗らない。
———さよなら。後は1人でなんとかしてよ。いつもみたいに。
「馬鹿が!
フラッシュバックした苦い記憶に眉を顰めている間にも、既に指揮官はユリアの目の前に飛び出していた。両手を広げて、敵意がない事を示して、自信を持ってはっきりと断言する。
「ユリア!聞こえるか!……お前の不満は分かった。だから俺が案内してやる!」
「しきかん?……案内してやるって、どこに?」
「お前が求めてる自由で楽しいことだよ」
指揮官の声が聞こえてユリアの動きが止まる。
そして彼は高らかに宣言した。
「そういうわけだ!俺はユリア達の側に着かせてもらう!!2人とも会長にはなんかこう、上手い事言っといてくれ!」
「な……どういうつもりですか!?」
「スカラ校舎に戻ったとしても何も変わらない。カオスメイデンが壊れるだけだ。だから翠蘭、ここは押し通らせてもらうッ!」
「ユリア!沙耶!フィー!アニス!今から俺が指揮を執る!まずはここを突破するぞ!」
指揮官の一声でボロボロだった4人は一斉に態勢を立て直した。
あっという間に陣形を整えて、合流した俺と翠蘭を突破しにかかる。
先頭は沙耶。指揮官がいるおかげだろう、さっきまでとはまるで別人だ。踏み込みの速さも、鋭さも。まるで彼の気迫が乗り移ったかのような。
さらに加えて、アニスとユリアがその両脇を固め、妨害しながら突破口をこじ開けにかかり、フィーがそれを後方から支援する。
———だが対処できないわけではない。中央突破用の陣形は確かに先端部分の攻撃力に優れる。だが横っ面を殴って前と後ろを分断すれば瓦解もしやすい。それを防ぐためのアニスとユリアなんだろうが、今のあいつらじゃ俺を止めるには足りない。
だが、それでいいのか?
そう思った時、殿を受け持っていた筈の霞光が俺の目の前に現れる。
交錯する視線。触れ合う装甲。繋がるのは接触通信。
「
———選ばない奴とは、敵にも味方にもなれない。
今度は俺がこれを突きつけられることになっちまった、か。
「……はぁ、全く。俺の扱いが上手くなったな、指揮官」
分かっている。今のユリアには俺の声も翠蘭の声も届かないだろう。
だからユリアを落ち着かせ、向き合わせるための時間が要る。
だが同時にこれは時間との競争だ。長引けば長引くほど露見するリスクは高くなる。
ここが人気の無い山の中である事だけは数少ない救いだが、しかしカオスメイデンが長い間学園内にいないとなればいずれ言い訳も効かなくなる。
「信じて、いいんだな?」
「ああ!……俺が必ず、皆を連れ戻せるようにする」
だが、そのリスクを背負ってもなお、指揮官は選んだ。
カオスメイデンを助けるためなんだよな。だったら乗ってやるさ、お前の思惑に。賭けてやるさ、その可能性に。
俺はそうして、押し通る皆の背中を見送った。
◇◆◇
ガレムグラード山のさらに奥。羽音と翠蘭を突破した俺たちはそこで焚火を囲んで野営をしていた。
「先ほどはお見事でした指揮官さん。まさか、羽音さんを突破してしまえるだなんて……」
「いや、あれはたまたまあいつの精神的な隙をついて無理やり押し通しただけだ。また同じ事をやれと言われても無理だろうな」
あの時羽音を突破できたのは彼女が動揺した隙に上手いこと言いくるめられたのも大きい。それに突破させてくれるのもおそらくあの一度きり。次の機会はもうない。
……そういえば羽音が戦闘中に動揺するのは初めて見るな。何があいつをそうさせたかは分からないが……それを考えるのは後回しにしよう。
「ほら、ユリア。温かいものでも飲むか?気分も変わるぞ」
「いらない」
「あら、ユリアったら拗ねた子供みたい。……あたしも拗ねたら構ってもらえるかしら?」
「アニスさん……今は抑えてください」
なんとか時間は稼いだ。俺の居場所についてはピコを通じてランに直接送ればいずれ合流できる。問題はそこまで、そしてそこからどうするか。
(何となく思ってたが、ユリアは挫折を知らない。だから今の、『思い通りにならない自分』とどう向き合うか分からないんだろう)
それが積もりに積もって爆発した。それが今回の暴走の本質だと見ていい。
今のユリアをそのまま連れ帰るのは論外だ。それにカオスメイデンの問題は一朝一夕で何とかなるものじゃない。小手先ではどうにもならないなら。
(いっそ全部壊して、全部吐き出させて、一から再出発させる。それも悪くないか)
「感情も癇癪も、全部全部曝け出せや」か。
そう考えると羽音は惜しい線を行っていたのかもしれない。段階をいくつも飛ばしたから失敗したが、ユリアの羽音への感情を引き出させたという意味でなら悪くなかったんじゃないか?
などと考え事をしていると。
「……それで、楽しいことってなに?」
ずっとつーん、としていたユリアが問いただして来る。
「連れてってくれるんでしょ、私をたのしいことに!」
そうだ。ここが一番大事なポイントだ。とはいえ。
(何がある?)
あそこではユリアを不安にさせないために自信ありげに言ったが、正直具体的なものは特に考えていなかった。
「ふふ、ユリアったら。お昼ぐらいには指揮官なんか知らない、翠蘭も羽音もみんなきらーいって言ってたのにね?」
「翠蘭ちゃんと羽音ちゃんの話なんかしないで」
「ユリアさん……お二人とも私たちの事を考えてたんですから」
「でも、2人だけで楽しそうだったもん」
「あら、ヤキモチ?……ふふ、ならあたしもあっちで楽しんでもいい?」
「好きにすれば?」
「あら悲しい。……もっとヤキモチ焼いてほしかったのに」
「でも確かに翠蘭の指揮は的確。わたし達の弱点に確実に羽音をぶつけてきた」
(……本気でカオスメイデンというチームと向き合っていたのは翠蘭か)
羽音も理解度は高いだろうが、そこには戦闘というフィルターがかかる。だから理解がより純粋で、より近しい方が相応しい。吐き出させるなら翠蘭とユリアをぶつけるべきだ。
何よりこれ以上ユリアと羽音をぶつけ続けたくない。2人は互いを同類として特別視している節があるが、それ故にこういうことになっている側面もある。
ユリアが羽音のようになりたいと思ったように、羽音がカオスメイデンに入れ込んでいるように。
だからこそ今日見えてしまった2人の残酷な差異をユリアに見せ続けてはいけない。
舞台が整うまでそこを埋めるのは、俺の仕事だ。
———自分で言ったこととはいえきっついなぁ!あいつを指揮だけでどうにか出来るのか?いや、腹を括ってやるしかないな。
「……指揮官!だから、たのしい事って何なの!はやく教えて!なんにも楽しくないのを変えるようなことを!」
……その前にまずはユリアをなだめないとな。じゃなきゃ舞台を整えるどころの話じゃない、か。
「あー、なんだ。まず山でキャンプ、なんてありきたりだろ?言ってしまえばスケールが小さい。散歩みたいなもんだ」
「……じゃあどこに行くの」
「そうね。島の中心地なガレムグラード山以外だと、観光くらいしか出来ることはないわよね?」
「そうですね。……面白いとは言ってもあまり変わらない気はします」
(羽音の二番煎じになってしまうのは申し訳ないが)
星、だとスケールが大きすぎるし時間がかかる。MGで行ける範囲なら……。
「そうだな、まずはあの空の向こう側へ……島の外を見てみるのなんか、どうだ?」
「「「「………………」」」」
何やら全員ぽかーんとしてしまっている。
あれ、俺何か変な事言ったか?
「「「「………………しまの、そと?」」」」
えっ。何だこの反応は。
まるで、島の外があるって知らないみたいじゃないか。
これ、俺と羽音がおかしいのか?
ここ最近の話が不人気っぽいのは分かってます。
ただカオスメイデンとの関係は主人公にとって大事な繋がりなので……。
もし主人公のキャラ等、違和感あったら教えてください。
感想・評価お待ちしてます。
精神的BLタグ要りますか?
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