階段を上り切って屋上へと出る。
屋上の入り口の裏手に回るとハシゴがついていて、そこを登ると入り口の真上となり、そこに寝転がる。
ここは基本的に死角となるためそこでたまに昼寝をしている。
暖かい春の風が心地よい。
“悠燈先輩!”
“悠燈せんぱ〜い!”
“悠燈〜”
はなびにもか、、れん先輩…?
そんなにこやかに話しかけてきてどうしたんだ…??
それに、はなびともかには僕とは距離を置いてって言ったのに…。
それに他にもれん先輩たちの後ろに人がいるような……?
“え…なんか先客いんだけど”
“まじかぁ……ウチの最高のサボり場所が”
ん〜、誰か喋ってる…?
なんか妙にリアルな夢だったな。
「ねぇ、起きてもらえる?」
目を開くとそこには、れん先輩のようなウルフカットの女子生徒がいた。
目は、れん先輩から優しさを抜いたような目をしている。
「…はい、なんですか?」
「ここウチのサボり場所なんだけど、取らないでもらえる?」
「…すいません」
そんな子供の遊び道具の取り合いみたいなこと言われてもと思ったが、どうやら先輩らしく素直に謝る。
リボンの色が僕のクラスの女子と違う。
「アンタ1年?」
「…はい」
「ウチ、先輩なんだけど…?」
「あぁ…なるほど」
理解した。
ススッ……。
「………は?」
「え……僕は端っこの方で寝てるんで。先輩は広く使って寝てていいですよ?」
後輩は肩身が狭いと言うが、物理的な意味も含まれているんだな。
「バカにしてんの…?」
「??いえ、してませんけど……」
なにか間違っていたのだろうか…。
「はぁ、、もういい……。アンタと話してんのが馬鹿らしくなってきた…」
そう言って座りこむ先輩。
キーンコーンカーンコーン…!
「あ、予鈴鳴ったので行きます。あとは広々使ってください」
「は?アンタサボりじゃないの…?」
「違うに決まってるじゃないですか、、サボるのは良くないです」
サボるなんてもってのほか……。
これ以上悪目立ちなんてしたくない。
「それでは…。よっと」ピョン
「え……?」
僕は屋上入口の方に飛び降り着地する。
予鈴ということはあと5分で授業が始まる。
何の準備もしてないから、急ぐならハシゴを降りている時間など無駄だし。
一方取り残された先輩……
なんなのあの生意気な1年。
ていうか………。
ウチは入口側の端の方に四つん這いで移動していき、下を覗く。
「いや……3、4メートルくらいあるんですけどここ」
骨折までは行かないにしても、恐怖感とか無しでジャンプして飛び降りるとか考えられない。
「………変なやつ」
見るからに不良にしか見えない風貌なので、サボってるようにしか見えなかったけど、ただの真面目くんだったし。
ま、変わったヤツがいるなんて今に始まった話じゃないか…。
「寝よ………」
“さようならー!!”
ようやく一日が終わった。
今日は、2人も会話した人がいて疲れてしまった。
リュックを片方の肩にかけながら、立ち上がり廊下の方を見る。
すると、少しだけザワついていた。
というか、廊下から覗く1人の眼差しと目が合ったような気がした。
見て見ぬふりをして、僕は廊下に出て階段の方へと曲がる。
とん………。
「ちょっと?先輩が待ってたんだけど……」
肩を掴まれ声をかけられる。
「……自分帰りこっちなんで」
「まだそのセリフを言うタイミングにしては早いと思うよ?」
「なんですか、れん先輩……」
お陰様で少し目立ってしまっている。
廊下で待っていたのはれん先輩であった。
「昼にアタシとの会話を途中で終わらせたこと、許してないんだけど?」
いつもの笑みとは違い、どこか少しだけ眉が吊り上がっているようにも見える。
「これ以上、他の人に見られるのも嫌なんですよ……」
「アタシと一緒に居てなんかまずいことでもあるの?」
「虐められます」
「そんなわけ……」
この人は自分が注目されていることに気づいていないのか?
それとも慣れたのか……。
「……一緒に行きますよ、早くこの場を去りたいです」
「分かればよろしい」
そうやり取りをし、僕らは玄関に向かう。
「どう?高校生活は」
「今日は疲れましたね」
「なんで?」
「今日は2人の方と会話をしたので…」
「へ〜、アタシ以外にも1人いたんだ」
少し驚くれん先輩。
「れん先輩と別れたあと、屋上で寝てたら先輩の方に会いました」
「ふーん…どんな人だった?」
どんな人……。
「れん先輩と似たような髪型で、不良みたいな顔してた先輩の女子生徒ですね…サボるとか言ってたし」
「あ〜、のせさんのことかな?」
「のせさん??」
変な名前…。
「そ、アタシと同じクラスの“一ノ瀬うるは”っていう子。そういえば5限の時居なかったし…」
マジでサボってたんだあの人。
「初見だと怖いかもだけど、案外優しいしおもろい人だよ」
「へぇー」
適当に相槌を打っていると、靴棚のところまで来た。
僕らは自然に分かれ、靴を履き直してから再度合流する。
「余裕で後輩のことパシリにしてそうな雰囲気でしたけどね、あの人…」
「あ〜wないとも言いきれないな…w」
「ちょっと怖かったです」
僕の感想に、あははと笑うれん先輩。
「ちゃんと言っとくからwアタシの後輩だから優しくしてあげてね?って…w」
「滅多に合わないと思いますけどね…」
屋上で寝る時は早めにアラームをかけよう。
“あれ、れんじゃん!”
すると、横から声がかけられる。
声のする方を見てみると、髪の毛が真ん中半分で左右違う色の女子生徒が近づいてくる。
「ひなーの、どしたの?」
「いや?れんが居たから声掛けただけなんだけど……横にいるのってまさか彼氏?」
「違います」
僕は勘違いをすぐに訂正する。
「あぁ違うんだ…w」
「うん、中学の後輩の子で東雲悠燈くんだよ。悠燈、この子は“橘ひなの”ちゃん、この人もあたしのクラスメート」
「……ども」
目立つ髪色だなぁと思いながら一言声に出す。
「悠燈って言うんだ、よろしくね!」
髪色に限らず陽のオーラがすごいなこの人。
「お願いします。では、僕は帰りますね」
「え、もうちょい3人で話さない?」
れん先輩は、そんな提案をしてくるが……。
「2人とも目立つので一緒にいたくないです。では……」
そう言って、僕は帰路に着く。
れん、ひなのside…
「行っちゃった…」
「ごめんひなーの、あの子ちょっと訳ありなんだ…」
「ううん、全然だいじょぶ!」
「悠燈、中学で虐められててさ……あんまり人と関わろうとしないんだよね」
「そんな子を優しいれんがほっとくわけないもんな〜。そういうことばっかすると勘違いされるよ?」
「それは無い……と思うw」
2人はそのまま仲良く話しながら帰っていった。
この作品を見てくれている皆様、リクエスト募集してるので、ぜひ全員コメントお願いします!!⤵
評価https://syosetu.org/?mode=rating_input&nid=427201&volume=1
感想https://syosetu.org/?mode=review&nid=427201&volume=1#review