ある日の夕方、ランニングをしていた時のこと……
テンポよく呼吸を繰り返し、心地よい風が顔を撫でていく感触が日頃のストレスを浄化していく。
「……あ」
いま思い出した…。
買って冷凍庫に入れていた鶏肉を解凍してたの忘れてた。
「…今日はちょっと近道しなきゃ」
考えていたコースを変えて、狭い裏道を通っていくコースに切り替える。
「(よし、ここの角を曲がって……あっ)」
角を曲がると、僕と同じ制服を着た男子2人と女子2人が話していた。
今制服を着ていないにしても、同じ学校の人には極力会わないように走ってたけど、遭遇してしまった。
コースを変えようとした時……。
“やめてください……!!”
イヤホンで聞いていた音楽を貫通して、女の子の声が聞こえた。
つけていたイヤホンを外してみる。
“ったく、俺らと一緒にちょっと遊ぶだけだからさ〜”
“嫌って言ってるじゃないですか…!”
背の高い女の子が男子二人に怯まず断りを入れる。
もう一人の子は背の高い子の後ろで怯えている。
……嫌な予感。
今は、走っていた時の風で前髪が少し分かれている。
服装も違うしバレないか…。
そう思い、その場に近づいていく。
“黙って来いって言ってんだろぉ!!”
癪に障ったのか、1人の男子が背の高い女の子に向かって手を伸ばす。
パシっ!
「あぁっ!?なんだお前……!!」
“洗脳”
男子2人の目を視界に捉え、心の中でそう唱える。
「今日は大人しく帰って、、そして二度とこの2人に近づかないでください」
僕がそう言い終わると、2人は大人しくこの場から去っていった。
「はぁ…2人とも大丈夫?」
「え…?あ、はい!」
「大丈夫です…!」
2人に聞くと、2人ともポカンとしていて…ハッとして返答する。
「そっか、なら良かった」
「あの…!助けていただき、ありがとうございます!」
背の高い女の子がお礼を言う。
元気な子だな……。
「こういう裏道は、君たちみたいな可愛らしい子は使わない方がいいよ?ちゃんと大通りを通って帰りなね」
「あっ、、はい……///」
「き、気をつけます……!///」
「それじゃあね?」
そう言い残して、僕は再び走り始める。
能力使っちゃったな……、まあ2人を助けるためだったし、仕方ないよね。
そう考えながら僕は帰宅して、美味しいタンドリーチキンを食べた。
次の日……
れん先輩に空き教室で話を聞いてもらっている時……。
「…失礼しまーす」
「お疲れ様です!れん先、輩……」
教室に2人の女の子が来て、僕と目が合った。
『あっ………』
その瞬間、3人の声が被ってしまった。
声を出してしまった事をすぐ後悔した。
「あれ、2人と知り合い……?」
「いや……」
『昨日の人ですよね…!?』
こんな感じで2人には一瞬で気づかれてしまった。
ガタンゴトン……
電車に揺られる男女。
れん「こっち戻ってくるの1年ぶりだなぁ…」
悠燈「僕は数ヶ月ぶりですね」
見覚えある景色が見え始め、心が少しキュッとなる。
れん「…大丈夫だよ、悠燈」キュ…
僕の心情を汲み取ってか、れん先輩は僕の手をすっと握ってくれる。
こういうところがれん先輩の良さだなと改めて思う。
悠燈「ありがとうございます…落ち着いたので、もう大丈夫です」
“次は〜、……駅、……駅です。”
れん「降りる準備しよっか」
悠燈「はい」
ウィーン…
握られていたれん先輩の手がぱっと離れると同時に、席を立ち上がる。
狭い空間から解放され、まだまだ春を感じさせる涼しい風が吹いてゆく。
れん「懐かしいなぁ〜」
周りを見れば、中学まで向かう道が鮮明に思い出される。
“あ、来た!!”
駅の中を進み、改札を抜けると聞き覚えのある声が聞こえてくると共に、見知った女の子2人が駆け寄ってくる。
はなび「お久しぶりです!れん先輩に悠燈先輩…!」
もか「お久しぶりです!」
れん「うん、久しぶり2人とも。はなび少し背伸びた?」
はなび「ハイ!少し伸びました!」
私服では中学生には見えないほどに容姿の整った2人が僕らを出迎えてくれた。
れん先輩も嬉しそうに返事を返している。
僕は少し気まずいな…中学時代ちょっと申し訳ないことしたし。
もか「どうかしたんですか?悠燈先輩…」ヒョコ
すると視界の外から急にもかが出てくる。
悠燈「あ、いや……改めて2人には申し訳ないことしたなって」
もか「あぁ〜なるほど?」
もかは頷くとはなびの方を向く。
どうやらはなびにも聞こえていたみたいだ。
もか「あー、確かになー?ねぇはなび?」
はなび「あ……いやぁー、悲しカッタナー…!許セナイナー(棒)」
悠燈「うぅ、そうだよね…」
プイッと2人にそっぽをむかれ、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
もか「なんて、冗談ですよ」
悠燈「え…?」
僕の方を向くもかはニコッと笑っていた。
もか「今、悠燈先輩とこうやって話せてますし…むしろ楽しく学校生活を送ってるってれん先輩から聞いてすごく嬉しいです」
はなび「そうですよ!むしろ我々が何もできなくて申し訳ない気持ちもありましたし…お互い様です!」
悠燈「2人とも……」
相変わらず優しい子達だ。
れん「とりあえず行こっか?」
はなび「そうですね…!」
もか「ほら行きますよ悠燈先輩♪」
この4人でいると、心が温まるな。
僕は頷いて、3人と一緒に歩き始めた。
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