「お、おまえは……」
「ふぅん?この次元のエレナかしら?相変わらず、この次元でもマヌケ面をしてるわね」
「なんだと!?」
R41リニュアの挑発にエレナが乗りかかる。エレナを一瞥したリニュアだったが、リニュアはその隣にいる別のエルフに目を付けた。
「あら……?」
ビクンとアメリアの身体が跳ねる。リニュアはニヤリと不気味な笑みを浮かべると、アメリアに近付いていった。
「な、なにを……!」
ズカズカとアメリアに近付いていくリニュア。そんなリニュアにエレナは手を出せないでいる。
アメリアの前にリニュアが立つ。そして、アメリアの身体を軽く観察すると、リニュアはアメリアの細い首に手をかけた。
「ぐっ……!?」
「おまえ……!アメリアに何をする!?手を離せ!!!」
エレナが叫ぶ。しかし、リニュアは鼻で笑って言い返した。
「あなた、コイツがあなたの知るアメリアに見えるのかしら?」
「なんだって……?」
「ふふふ……。まさか、こんなところに逃げ込んでいたなんてね……。モナティアムの市長ともあろう者が、こんなところでコソコソしてるだなんて惨めなものね?」
アメリアの首を絞める手が強くなる。苦痛に歪むアメリアの口から泡が滲む。
そして、リニュアは満足したのか、突如力を緩めて、投げ捨てるようにアメリアを離した。
「ゲホッ……!ゲホッ……!」
「アメリア、大丈夫か……!?」
倒れたアメリアにエレナが介抱する。その様子をリニュアは蔑むようにじっと見下ろしている。
その時、低く唸るような音と共に妙な揺れが3人を襲った。
「……?」
リニュアが不思議そうに辺りを見渡す。この時空を侵攻しに来たR41リニュアだったが、今この時空で起きている事件については何も把握できていなかった。
「この揺れは……まさか……!」
エレナがそう呟くと同時に、エレナの端末に通信が入った。
「ヘイリーか!?ウラノスはどうなっている!?」
『エレナ!!ダメだ!!食い止めきれない!!ウラノスがもうすぐそこまで来ている!!これ以上刺激したらモナティアムが吹き飛んでしまう!!』
「なんだと!!?」
ヘイリーの言葉を聞いたエレナは、すぐそこまで来ているというウラノスの脅威に震える事しかできなかった。
打つ手はないのか。このままウラノスにモナティアムを明け渡すしかないのか。エレナは目の前が真っ暗になるような錯覚を覚えた。
だがその時、エレナの頭の中に妙案が思い浮かんだ。次元門から突如現れたこの妙なエルフは何者なのか。エレナはリニュアにたずねてみる事にした。
「な、なぁ?お前はいったいどこから来たんだ?名前は何ていうんだ?」
「……私はリニュア。R41時空から来たの。この時空を消し去るためにね!」
「ほ、ほう……?」
エレナの睨んだとおり、このエルフはただのエルフではないとわかった。このリニュアと名乗るエルフは、この時空を消すためにここに来たと言った。
一か八かの賭けでしかない。もしかしたら失敗するかもしれない。だが、この方法でしかウラノスに対抗できない。エレナはリニュアに再びたずねた。
「それは残念だったな、リニュア。ここの時空はもうすぐ消滅する。たった一人の竜族のためにね」
「なに……?もしかして、さっきの妙な揺れと関係しているのかしら?」
「ああ……。ウラノスという竜族がモナティアムに迫っている。奴は生きた原子爆弾みたいな奴だ。竜族の地下と精霊の山を吹き飛ばし、今はモナティアムに向かってきている。あたしらがミサイルを一発撃つたびに核爆発して対抗しているんだ。さっきの揺れも、ウラノスが近くで爆発したという証明さ」
リニュアが目を丸くしてキョトンとする。R41時空から逃げたアメリアを追ってやって来たつもりが、思いがけない戦場の中に来てしまったと気付いたからだ。
このままではウラノスの核爆発に巻き込まれかねない。いったん退却して体勢を立て直さなければならないと悟ったリニュアは、次元門へ飛び込もうと踵を返した。
バキィ!
「なっ……!」
「ふ……ふふっ……!残念だったな……!」
「きさま……!」
リニュアのひたいに青筋が走る。それを見たエレナは不敵そうに笑った。
「あたしらに協力しろ、リニュア。そうすれば、次元門は直してやる。ついでに、お前の願いも何でも一つだけ聞いてやろう」
「くっ……!エレナ……。きさま……!」
リニュアが怒りに身体を震わせる。次元門を破壊されたからには帰る事ができない。リニュアは渋々エレナに協力することにした。