撃たない戦争   作:川口のミネ

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15 キャノンを外した悪魔

15 キャノンを外した悪魔

 

「なぁ〜バーク、カーター、

 この要塞をココで封鎖しようとしたら何が必要だと思う?」

 俺はコーヒーカップを口元に持っていく。

 カーターがモニター越しに覗き込み、バークは地図全体を見ながら近づいてくる。

「軍港は抑えなくていいんですか?」

「あぁ、たぶんその辺は少将がうまくやってくれるはずだ。

 軍港に軍艦なんて一隻もないさ」

 コーヒーを口に含む。

「少佐らしく無いっすね…」

 バークが突っ込んでくる。

 その通り、タラレバは確かに俺らしくはない…

 しかし、それを言うならこんな作戦案を作るの自体『俺らしく』は、無いと思う。

 俺は含んだコーヒーと共に己の違和感を静かに胃に落とした。

「確かにな…

 しかし、不確定要素を全て潰せるほど時間も情報もない。

 限られた時間と物資、人材でどう回すかを考えるんだ」

「でも少佐、どう考えても流石にモビルスーツ10機は必要ですよ?」

「必要最低限の物を削る必要はない!」

 みんなを見回す。

「1番のポイントは…

 パイロットの確保すっかね?

 僕らじゃどうにもできないっす」

「そこは少将に頼むとしようか…

 ならば、そのパイロットの為に、連邦で1番頑丈なモビルスーツは何だ?」

「そりゃ〜

 V作戦で造られたガンキャノンじゃないですか?

 バズーカが当たっても壊れなかったって報告書回ってましたよ」

 カーターから暗に読んでませんか?って言われてる感もあるがどうでもいい。

「じゃあ、ガンキャノンを10機確保できるか?」

 俺はバークを見る。

 モビルスーツも当然補給物資だ、正確には把握してなくても、おおよそはの数は掴んでいるはずだ。

「あ~っと、ガンキャノンを10機は難しいっすね」

「何機ならいける?」

「いや、スミマセン、たぶんガンキャノンが無理っす。

 整備部品とかで武器の生産が完全に間に合ってなくて、キャノンやビームライフルなんか作るそばから納品してて、新しいパーツなんて納期出てませんから」

 連邦1頑丈なガンキャノンを諦めるか…

 ……いや待て、よく考えろ…

 そもそも“撃つ前提”で考えてるのが間違いかもしれないな。

 キャノン砲いるか?

 コロニー内で戦うのにキャノン砲使ったら被害がデカくなるんじゃないのか?

「なぁ、俺達の作戦にキャノン砲やライフルは要らなくないか?」

 一瞬空気が固まった。

「基本的に視覚的抑止力が1番の目的だ」

「キャノン砲もライフル…ガンも持ってないガンキャノン?」

「少佐、それってガンキャノンじゃないっすけど?」

「型式がガンキャノンならガンキャノンだろ?」

「少佐、武器はどうするっす?

 視覚的には威圧効果も必要っすよ?」

 確かにただ巨大な人型がいるだけなら、あまり視覚的な威圧効果はないか?

「2人とも、こんなのどうです?」

 カーターがモニターを回した。

 そこには槍?が映っている。

 俺もバークもわからず居ると

「ハルバードって武器らしいですよ!

 武器開発部の古いデータに有りました。

 実戦投入がされた形跡はありません」

 俺はコーヒーのおかわりをもらう。

 ハルバード…槍の先の方に片側に斧、反対側は鉤爪のような物が付いている。

 見るからに凶悪そうな武器だ。

 追い込まれているジオン兵からは恐ろしく見えて欲しいものだ。 

「なぁ、ジオンからガンダムが

『連邦の白い悪魔』と呼ばれている事を知っているか?」

 俺は地図上の要塞を見る。

「なら、俺達の機体は

『キャノンを外した悪魔』だ」

 2人とも頷いている。

 二つ名を付けた瞬間、空気が動き出した。

 これはもう『作戦案』ではなくなった。

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