撃たない戦争   作:川口のミネ

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17 撃たない戦争

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 戦後になれば少しは静かになると思っていた。

 実際、最後の数ヶ月間の怒涛の様な喧騒に比べれば遥かに楽な日常が流れ始めている。

 あの後、俺たちのチームは3日間、死んだように眠った。

 コトリ、コーヒーカップが置かれた。

 相変わらずマーサのコーヒーはタイミングがいい。

「マーサ、いつもすまん」

「平時です。

 タバコはご遠慮下さいね」

 俺はポケットから出したタバコをもう一度戻した。

 今、俺たちのメインの仕事は宇宙に散らかる補給物資の回収だ。

 何処に何がどれだけあるのか?

 纏めるためにカーターが、バークが忙しく動き回り、資源の足りない所に優先順位をつけながら配っていく…

 バークはこう言う作業は本当に強い。

 カーターは、ほっといてもうまくまとめ上げる。

 俺の仕事はもはや整理するだけだ。

 コーヒーをゆっくり味わいながら用意された書類に目を通していった。

 昼飯時、いつものメンツが揃った。

「そうだハーディングさん、アナハイム社から例の試作機上がったから見に来ませんか?って連絡が来たっす」

「バーク…止めなかったのか?」

「いや〜あんだけ無理押し通しましたからね…

 今更要らないって言えなかったのと……

 ……止めるの、忘れてました」

 まあ、あの時は金のことはどうとでもするから作らせろって言ってたような気もするしな…

「あっ、それ出来たのは1機だけみたいですね、アナハイムの方で停めたみたいですよ」

 カーターが情報を補足してくれた。

 さすがに、戦争が終わった時点で手を付けていた試作機だけは仕上げたと言うことらしい。

「少し気分転換に見に行きませんか?

 うまい飯出るらしいっす!」

 うまい飯……きっとバークの交渉術のおかげだろう。

「うまい飯、いいですね!」

 カーターが食いついてきた。

「私もついて行っていいんてすか?」

「もちろんっす!」

 なぜかバークが行く前提で話している(笑)

「このメンツで行くか!」

 ……

 ………

 アナハイムエレクトロニクス社の巨大なケージの中…

 赤い機体が佇んでいる。

 武装を外されたはずのその機体は、むしろ闘う為に造られたと雄弁に語っているようだった。

 俺達は上の階に案内され、頭部を見学…

『キャノン砲を外した所は装甲板が複数枚貼られており、胸部装甲と一体化させることでバランスを……』

 その後、胸部、腰部、脚部、地上へとゆっくりと見ながら降りている。

『両腕のシールドはボディと同等のルナチタニウム製で、防御力もそうですが、格闘戦時に叩きつける事も想定して固定し………』

 アナハイム社の技術者が俺達に説明してくれている。

 うちの部署は好奇心の固まりみたいな連中だ…バークやカーター…マーサまで目を輝かせている(笑)

『そして、そちらにあるのがこの機体の唯一の兵装、ハルバードですね』

 置かれているのを見ると実にデカい、こんなのが振り回されるはずだったのか…恐ろしいな…

 俺達は一通り見学を終える…

 みんなの足が出入り口に向かっている…この後、うまい飯が待っているらしい。

 俺は振り返ると静かにタバコに火を付けた。

 薄暗いケージの中、戦争の為に造られた機体は、物言わずただケージの中で佇んでいた。

 俺はタバコを深く呑むとこの機体に一礼…

 戦争は終わった…みんなで考えたこの機体が人を傷つけることがなくて本当に良かった。

 みんなの後を追いかけた。

 

 

 ………終

 

 

 

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