8 異常な補給戦線
思い出しても息苦しい…短い少将との会話だったのに呼吸が浅い……
俺は通信室を出る前に深呼吸をした……
……
………
事務所へ戻る道…まだ浮かれている奴がいる…向こうで手を振って笑顔で走ってくる。
あれは?バークだ…何を浮かれて……まさか?
「少佐!早く事務所に行きましょう!
なんとかなるかもしれません!」
俺はバークに背中を押されながら事務所への道を急いだ…
まさか?本当に?どうやって?
疑問の種は尽きないが、バークの足取りは確かな物だった。
扉を開けると…部屋の灯りはついているのに暗く感じる。
「戻った」
マーサに1言伝えた。
そして俺の後ろから、バークが出てきて…
「作戦会議っす。
なんとかなるかもしれないからみんな知恵を貸してください!」
バークの一言で部屋の照度が1段上がった気がした。
バークの話を要約するとこうだ。
・本部の数字の裏取りをする為に各補給基地の物資の出入りを洗い出した。
・どうやら最低でも本部の数字の1.5倍の物資が集積地にあるはず。
・荷姿は武器弾薬、食料等はコンテナ、液体燃料はタンクで保管されているはず(どこにも空のコンテナやタンク等が戻ってきてない)
………補給基地の出入庫を洗い出すなんてずいぶんと手間のかかる作業だ…バークとその部下たちに賛辞を贈りたい。
しかし、決定的に足りないのは残念ながら前線への輸送手段なのだ…
「そしてここからが肝です。
うまくいけば輸送能力が倍になるかもしれません。
倍でも起死回生とまでは行きませんが、不満が爆発しない程度には抑えられるでしょう!」
バークは少し勿体ぶって時間をかける。
「コレに気がついた時はオレっち天才って思っちゃいました」
バークがなかなか話し出さない…マーサがコーヒーを各々に配りながら、バークの頭を軽く小突く。
「もったいぶってないで早く話しなさい!時間が勝負なんでしょ!」
バークはマーサにはめっきり弱い…いや、うちのチームでマーサにかなう奴は居ないのもしれない…
「補給集積地は護衛艦を減らす目的からソーラーシステムの裏に集められてます。
また、補給ルートもソーラーシステムの射線にはいらぬように調整されてましたが、既にソーラーシステムは成功してます!」
………あっ!
俺は思わず立ちあがった、テーブルにぶつかり、コーヒーが水面を揺らす。
「パネル輸送船団か!」
「さすがハーディング少佐!
どうでしょう?使えませんかね…
後、もう一つ見つけた抜け道がありそうなんですよ!
輸送計画のルート…
ソーラーシステムの事しか考えてないみたいで、最短ルートじゃないみたいなんです」
俺は顔を曇らせた。
周りも同じような顔をしている…全員が理解できていない。
「続けろ…」
俺はバークに先を促す。
「はい、どうやら輸送計画はソーラーシステムの射線を避けて遠回りルートしか設定されていません…これはソーラーシステムが複数回発射するなら話は別ですが、1回だけなら……次を撃たないなら最短距離で行けます!距離がおよそ2/3に短縮です!」
全員の顔が明るくなった。
今、ソーラーシステムのある現地には責任者としてクロスの奴が赴任している。
現場責任者がアイツなら話が早い。
「マーサ!」
「はい、クロス中尉との秘匿回線ですね、直ぐに手配にかかります」
「そうだな、追加でアシュクロフト少将にも頼む」
マーサが笑顔で頷く。
「カーター!」
「はい、俺は現在の連邦軍の位置座標と補給可能宙域の選定っすかね!
お任せを!」
オレは頷く。
「バーク、いけるか……?」
俺はバークの顔を改めて見た。
目はくぼんでおり、ひどい顔をしている…が…その眼光はまだまだ死んでない。
「何でもしますよ!少佐!」
「よくやった!
まず3時間しっかり寝ろ!
その後、パネル輸送船団の運ぶ物資の優先する物を予想、算出しろ!」
「そうだ、カーター追加だ…クロスの奴の好物調べとけ…奴が帰ってくるまでで良い(笑)」
「みんな、かかれ!」
一斉に席を立ちあがった。
部屋が明るくなった気がした。