『始まりの勇者と盟友スライム〜傲慢を捨てた皇帝ルドラ、龍種姉妹と世界を救う〜』 作:夜幻
原作:転生したらスライムだった件
タグ:神様転生 転生 クロスオーバー AI本文利用 #転スラ #IFストーリー #ルドラ #リムル #盟友 #勇者復活 #龍種姉妹 #愛されルドラ #フェルドウェイ #イヴァラージェ #人魔竜大連合 #ハッピーエンド
かつて世界を救うことを夢見た「始まりの勇者」は、いつしか傲慢さに囚われ、自らの理想さえ見失いかけていた。
しかし、ジュラの大森林で一人の特異なスライム――リムル・テンペストと出会ったことで、その運命は大きく変わる。
魂の奥底で交わされた言葉。リムルとの絆。そして、ヴェルダナーヴァに託された本来の願い。
「人間も、魔物も、誰もが笑って暮らせる世界を作りたい」
失っていた優しさと純粋な理想を取り戻したルドラは、かつての傲慢な皇帝ではなく、仲間を心から信じる「始まりの勇者」として再起する。
さらに、そんなルドラを心から愛するヴェルグリンドに加え、ギィのもとを離れたヴェルザードまでもが彼の盟友として参戦。二大龍種に愛され、文字通り左右から取り合われながらも、ルドラは盟友リムルと共に人間・魔物・竜が共存する新たな時代を切り拓いていく。
だが、その前に立ちはだかるのは、神の不在に絶望し世界の崩壊を目論むフェルドウェイ。そして最終決戦で顕現する、最凶の滅界竜イヴァラージェ。
今度こそ、誰も犠牲にしない。
始まりの勇者ルドラと盟友リムル、そして龍種姉妹が率いる「人魔竜大連合」。
世界の命運を懸けた最後の戦いが、ここに始まる――。
本作『始まりの勇者と盟友スライム〜傲慢を捨てた皇帝ルドラ、龍種姉妹と世界を救う〜』をお読みいただき、ありがとうございます。
本作は『転生したらスライムだった件』を題材としたIF二次創作です。
「もしもルドラ・ナム・ウル・ナスカが、心を完全に摩耗させてしまう前に救われていたら?」
長きにわたる転生と戦いによって、かつての理想を失いかけていたルドラは、ジュラの大森林でリムル・テンペストと出会います。
魂を通じて交わした言葉によって、彼は忘れていた願いを取り戻します。
「人間も、魔物も、誰もが幸せに暮らせる世界を作る」
傲慢な皇帝ではなく、仲間を信じ、困っている者を放っておけない熱い男。
本作では、そんな「始まりの勇者」ルドラの再起を描きます。
そして彼の隣には、盟友となったリムルだけではありません。
ルドラを深く愛するヴェルグリンド。
そしてギィのもとを離れ、もう一人の相棒として加わるヴェルザード。
二人の龍種姉妹によるルドラ争奪戦も、物語の大きな見どころです。
ルドラとリムルを中心に、テンペスト、東の帝国、西側諸国、ルベリオス、龍種たちが手を取り合い、「人魔竜大連合」が誕生。
しかし、その前に立ちはだかるのは、神の不在に絶望したフェルドウェイ。
さらに戦いの果てには、世界を滅ぼしかねない最凶の存在――イヴァラージェが待ち受けます。
誰かを犠牲にするのではなく、誰もが笑って暮らせる未来を。
始まりの勇者ルドラと盟友リムル、そして仲間たちは、その理想を胸に最後の戦いへ挑みます。
原作とは異なる展開・設定を含むIFストーリーです。
「こんな世界線も見てみたい」と感じていただければ幸いです。
それでは――。
始まりの勇者と、その盟友が歩む新たな物語を、どうぞお楽しみください。
空が、裂けた。
漆黒の雲海を突き破り、無数の光が大地へと降り注ぐ。
天使軍。
その数、数えることすら馬鹿らしくなるほどの大軍勢。
そして、その中央。
白銀の翼を広げた妖魔族の王――フェルドウェイが、冷たい瞳で眼下を見下ろしていた。
「……愚かな、ルドラ」
その声には、怒りがあった。
長き年月をかけて積み上げてきたものを、裏切られた者の憤怒。
「神を失った世界に、希望など存在しない。ましてや、お前が今さら人間と魔物の共生などと――戯言を」
「戯言じゃない!」
大地から、即座に怒鳴り返す声が響いた。
赤い髪を風になびかせ、黄金の鎧を身に纏った男が一歩前へ出る。
始まりの勇者。
ルドラ・ナム・ウル・ナスカ。
「俺はようやく思い出したんだ!」
ルドラは拳を握り締めた。
その表情には怒りだけではない。
悔しさも、悲しさも、そして――どうしようもないほど強い意志が宿っている。
「ヴェルダナーヴァが俺に託してくれた願いを! 人間が笑って、魔物も笑って、みんなが明日を楽しみにできる世界を作るっていう……俺自身の夢を!」
「……夢、だと?」
「そうだ!」
ルドラは胸を張った。
「だから俺は、お前とは戦う!」
その隣で、一匹のスライムが肩を揺らす。
「……なあ、ルドラ」
「なんだ、リムル!」
「お前、なんか今日やたら熱くない?」
「決まってるだろ!」
ルドラは満面の笑みを浮かべた。
「最終決戦っぽいからな!」
「いや、そこなのかよ!」
思わずリムルがツッコむ。
その瞬間。
背後から、クスクスという笑い声が響いた。
「ふふっ。相変わらずね、ルドラ」
「お姉様、笑っている場合ではありませんよ」
ヴェルグリンドとヴェルザード。
二柱の龍種が、左右からルドラの肩へ手を置いた。
「でも、素敵だわ」
ヴェルグリンドの瞳が蕩ける。
「そんな顔で『俺の夢だ』なんて言われたら……もう、何でも許してしまいそう」
「お姉様」
ヴェルザードがジト目になる。
「戦場でルドラを誘惑するのは後にしてください」
「あなたこそ、ちゃっかり反対側を確保しているじゃない!」
「私はただ、ルドラを守っているだけです」
「私だってそうよ!」
「二人とも!」
ルドラが真っ赤になって叫んだ。
「今は戦争中だろぉぉぉ!?」
顔を真っ赤にして両手を振り回す。
その姿を見たリムルは、思わず吹き出した。
「……なんだよ」
「いや。お前、本当に変わったなと思ってさ」
「そうか?」
「ああ」
リムルはルドラを見る。
「昔のお前なら、こんなふうに笑えなかったんじゃないか?」
ルドラは一瞬だけ目を丸くした。
そして――。
「ああ」
穏やかに笑った。
「お前のおかげだよ、盟友」
「……ったく」
リムルも笑う。
「なら、最後まで付き合えよ」
「当然だ!」
二人は拳を突き合わせた。
「行くぞ、リムル!」
「おう、ルドラ!」
次の瞬間。
「全軍――進めぇぇぇぇッ!!」
大地が震えた。
魔王軍。
東方帝国軍。
西側諸国。
聖騎士団。
そして無数の魔物たち。
人間と魔物と竜。
かつてなら決して同じ旗の下に立つことのなかった者たちが、一斉に駆け出した。
フェルドウェイの表情が歪む。
「認めぬ……!」
無数の天使が空を覆った。
「神なき世界に未来などない!」
「だったら!」
ルドラが空へ跳ぶ。
「俺たちが作る!」
光が弾けた。
ルドラの究極能力が完全に展開される。
かつては魂を蝕み、暴走すら引き起こした力。
しかし今は違う。
その全てが、ルドラ自身の意思によって制御されていた。
「これが――今の俺だぁぁぁッ!」
巨大な衝撃波が走る。
天使軍の一角が吹き飛んだ。
「なっ……!」
フェルドウェイが目を見開く。
「馬鹿な……! これほどまでに力を……!」
「当たり前だろ!」
ルドラは笑った。
「俺には最高の盟友がいる!」
「おいおい、俺まで巻き込むなよ!」
リムルが苦笑する。
「巻き込むに決まってるだろ!」
「ははっ!」
二人の力が重なった。
それは単純な力の合算ではなかった。
互いが互いを信じるからこそ成立する、完璧な連携。
フェルドウェイの攻撃をリムルが受け止め、ルドラが切り裂く。
ルドラが作った隙をリムルが突き、リムルの攻撃をルドラがさらに繋げる。
まるで長年連れ添った戦友のように。
「これで終わりだ、フェルドウェイ!」
ルドラが剣を振り上げる。
その瞬間だった。
――ドクン。
世界そのものが震えた。
「……え?」
ルドラの笑顔が固まる。
リムルも顔を上げた。
「なんだ……これ?」
空間が、黒く染まっていく。
大地が軋む。
天使も、人間も、魔物も。
すべてが戦いを止めた。
そして。
世界の果てから、巨大な咆哮が轟いた。
『――――――――』
声ですらない。
ただ存在するだけで、世界を滅ぼしかねない圧力。
フェルドウェイが震えた。
「まさか……」
その顔から、初めて余裕が消えた。
「イヴァラージェ……!」
空が砕ける。
巨大な竜が現れた。
滅界竜。
イヴァラージェ。
その姿を見た瞬間、ルドラの顔から血の気が引いた。
「……で、でか……」
「そこかよ!」
リムルが叫ぶ。
「いやいやいや! だって、デカすぎるだろあれ!」
ルドラは露骨に青ざめながらも剣を握り直した。
「怖い……!」
「お前でも怖いのかよ」
「怖いに決まってるだろ!」
それでも。
ルドラは一歩も退かなかった。
「だけど……」
背後を見る。
仲間たちがいる。
ヴェルグリンドがいる。
ヴェルザードがいる。
そして――。
「リムルがいる!」
「……おう」
リムルが笑った。
「俺も、お前がいる」
その瞬間。
「ルドラ!」
ヴェルグリンドが叫んだ。
「私もいるわ!」
「私もです」
ヴェルザードも静かに微笑む。
「だから――」
二人の龍種が同時に前へ出た。
「一人で無茶をするのは禁止よ!」
「絶対にです」
「……二人とも」
ルドラの目に涙が浮かぶ。
「お前ら……!」
そして、盛大に鼻をすすった。
「うおおおおおお! 俺、今めちゃくちゃ感動してるぞぉぉぉ!」
「泣くのは後にして!」
リムルが叫ぶ。
「来るぞ!」
イヴァラージェが翼を広げた。
世界が暗くなる。
その瞬間。
ルドラは涙を拭い、笑った。
「よし!」
剣を構える。
「リムル!」
「おう!」
「ヴェルグリンド!」
「任せて!」
「ヴェルザード!」
「ええ」
四人の力が重なる。
炎。
氷。
魔力。
そして勇者の光。
それらが一点へ収束していく。
「これが――」
ルドラが叫ぶ。
「俺たちの答えだぁぁぁぁぁッ!!」
光が世界を覆った。
轟音。
爆風。
そして――静寂。
しばらくして。
青空が戻った。
ルドラは地面に仰向けになっていた。
「……終わった?」
隣ではリムルが大の字になっている。
「たぶん……」
「そっか……」
ルドラは空を見上げた。
そして。
「勝ったぁぁぁぁぁ!!」
飛び起きた。
「やったぞぉぉぉぉ!!」
拳を突き上げ、満面の笑みを浮かべる。
「世界救ったぞぉぉぉ!!」
「うるせえ!」
リムルが笑いながらツッコむ。
その直後。
左右から腕を掴まれた。
「ルドラ」
「ルドラ」
「へ?」
ヴェルグリンドとヴェルザード。
二人がにっこり笑っている。
「戦いが終わったのだから」
「今度は私たちとの時間です」
「え?」
左右から引っ張られる。
「ちょ、ちょっと待て!」
「待ちません」
「そうね」
「俺、英雄なんだけど!?」
「知っています」
「だから何?」
「いや、そこはもっと褒めてくれよ!」
二人の龍種が同時に笑った。
その様子を眺めながら、リムルは肩をすくめる。
「……まあ」
そして、満足そうに笑った。
「これが平和ってやつなのかもな」
ルドラは両腕を龍種姉妹に掴まれたまま、真っ赤な顔で叫んだ。
「リムルぅぅぅ! 助けてくれぇぇぇ!」
「頑張れ、盟友」
「他人事ぉぉぉ!?」
青空の下。
世界を滅ぼしかけた戦いの終わりに響いたのは――。
勇者の情けない悲鳴と。
盟友の笑い声。
そして二人の龍種の、幸せそうな笑い声だった。
――こうして。
始まりの勇者と、その盟友が紡いだ新たな世界の物語は。
誰一人として犠牲になることなく、次の時代へと受け継がれていった。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
今回は「もしもルドラが、心を完全に摩耗させてしまう前に救われていたら?」というIFを、一話完結の物語として描きました。
本作で描きたかったのは、失いかけていた理想を取り戻し、再び「始まりの勇者」として歩き出すルドラの姿です。
そして、その隣に立つ盟友リムル。
互いを信じ、背中を預け、世界の危機に共に立ち向かう二人の姿を楽しんでいただけたなら嬉しく思います。
また、フェルドウェイやイヴァラージェとの激戦だけでなく、ヴェルグリンドとヴェルザードによるルドラ争奪戦も、本作ならではの要素として楽しんでいただければ幸いです。
最後の戦いを終えたルドラたちが、誰も犠牲にすることなく笑っていられる。
その光景こそが、彼が願った「幸せな世界」の始まりなのかもしれません。
短い物語ではありましたが、読後に少しでも温かな余韻を感じていただけたなら、作者として嬉しく思います。
それではまた、次の物語で。