そろそろ終わりそうですね。
終わりが近づくと、筆が定まります。
いつも感想評価ありがとうございます。
百合の間に挟んだ時、死ぬかと思いましたが
皆様の応援に救われました。
もう、明日かぁ。
姫様の卒業ライブ。
バレてから、
ライブの準備を手伝ったり、
一緒にご飯を食べたり、
二人でバイトしてくれたり。
色々あったけど、あっという間だったなぁ。
彩葉ちゃんたちも
月からのお迎えを倒そうとしてるけど、
多分、無理だよなぁ。
あいつら強いし。
一応、俺にできる範囲で
帰るまで楽しい思い出をたくさん残そうと
頑張ったんだけど。
ちゃんとできたかなぁ。
というか、これでよかったのかなぁ。
まぁ、月からの使者を追い返すなんて
俺にはできないんだけどさ。
ツクヨミの中じゃチートも使えないし。
ルーラが使えたら、ずっと逃げ回ることも
できたんだけどなぁ。
月人だった頃も、結局
姫様に見せたあの一回しか
手品は使えなかったし。
どういう理屈なんだろう。
でも、彩葉ちゃんは
可哀そうだったよなぁ。
んー……。
姫様が一緒に来てって言ってくれたら、
俺もついて行くんだけどなぁ。
でも、彩葉たちをお願いって
言われちゃったし。
ほんと、どうしたもんかなぁ。
……考えても答えは出ないか。
自由にってのは、こういうことか?
自由に、自由にねぇ。
……難しくて分かんね。
まぁ、明日は彩葉ちゃんたちが
勝つのが一番いいし、
近くで応援してよう。
原作からは離れてるけど、
それが一番いい気がするし。
え、俺?
定員が6人なうえに、
KASSENが弱すぎたから
辞退したよ。
一応、ステージに入れるように
考えてきてるから近くにはいけるけど。
まぁ、俺にできることをやろう。
最悪、どうにかしよう。
◇
やっべ、負けそう。
意外と勝てんじゃね?
とか思って、見てたけど
普通にやばいわ。
朝日君たちも頑張って
チート使って応戦してるけど
流石に強いわ。
というか、俺のチートより
朝日君たちのチートのほうが
かっこいいんだけど。
おい、邪神。
どうなってんだ。
さて、そんな俺は
現在、月人になってます。
なり方は簡単。
あの日から、そこら辺に
月人がいるようになったので、
身体を貸してもらうだけです。
一回月人経験してる
俺だからできる方法。
先輩がいたら一番簡単だったんだけど、
残念ながら見当たらなかった。
なので、そこら辺にいた月人にお願いすることに。
運よく、寡黙なサボり仲間。
リョウサン型のリョウさんがいたので助かった。
これならバレずに姫様の近くに
いけるという算段よ。
今もちょっとずつボサツに近づいています。
あとは適当なタイミングで姫様を逃がすだけ。
がはは、勝ったな。
と、思ってたら
ボサツに捕まったわ。
うまくはいかんか。
光る雲にて正座してます。
隣にはボサツ。
周りにはテンニョ、ホテイ、コンゴウ、ズイジュウ型がいた。
え、気まず。
ボサツ以外喋んないし。
とりあえずボサツに話しかける。
あー、久しぶりっす。
元気でした?
なら、良かったです。
そういえば、仕事無断で飛んじゃって
すいませんでした。
許してくれるんすか?
やった。
ちなみに姫様連れて帰るのもやめてもらったり…。
そっすよね、無理ですよね。
そっすね、俺もともと人間なんで。
こっちで生きてますね。
楽しいか、ですか?
まぁ、楽しいですね。
色々ありますし、こっち。
よかった?
……あんた親かよ。
…俺、意外とあなたのこと
嫌いじゃなかったですよ。
話したら意外とわかる人ですし。
…………。
だから、もう一回お願いしますけど
どうしても無理っすか?
…なら、しょうがないっすね。
そうですね。
もう終わりましたし
迎えに行きましょうか。
ちなみにどうでした?
姫様のライブ。
…でしょ。
…じゃあ行きましょうか。
ボサツと一緒に光る雲で移動する。
姫様は歌い終え、周りをリョウサン型が囲んでいた。
ボサツと一緒に降りて
姫様の前に移動する。
お疲れさまでした、姫様。
そうです、今はバグです。
一応、助けようと思って
頑張ったんですけど
捕まりました。
ままなりませんね、お互い。
そういって、姫様も一緒に光る雲に移動する。
ライブめっちゃよかったです。
ボサツも褒めてましたよ。
光る雲が移動を開始する。
…そうっすね、ここまでみたいです。
どうでした?
地球での日々は。
……ならよかったです。
…そうっすね。
俺ももう少し早く話せばよかったです。
そうしたらもっとみんなで過ごせましたね。
早くしろ?
もうちょっと、待ってくださいよ。
ボサツでしょ?
ボサツが羽衣を
着せようとしたのではたく。
……何か言い残したことないですか?
そう言うと、姫様は
観客のほうを向き叫んだ。
最高の卒業ライブだったと。
これ自体がお土産だったと。
みんなへの感謝と別れの言葉を叫んだ。
そして、彩葉ちゃんに向けた言葉を一つ。
そうじゃないだろ。
ここで終わっちゃだめだ。
ボサツがまた羽衣を着せようとする。
が、手で押さえて
そのまま握り続ける。
もう、終わるんでもう少しだけ
待ってくださいよ、ボサツの兄貴。
違いますよ。
彩葉ちゃんとか芦花ちゃん
真実ちゃんとかにないんすか?
伝えること。
俺が伝えますよ。
えぇと、芦花ちゃんには、化粧教えてくれてありがとう。
真実ちゃんには、一緒に食べたごはん美味しかった。
ブラックオニキスには、戦ってくれてうれしかった。
彩葉ちゃんには…育ててくれてありがとう、曲を作ってくれてありがとう、一緒に過ごせて楽しかった、本当に大好き。
…了解しました。
俺にはないんですか?
次死んだらもう一回月で働こう?
…そうっすね、気が向いたら行きます。
…わかりましたよ、絶対行きます。
その時は先輩も一緒にまた三人で働きましょう。
……またね、姫様。
…でも、そうっすね。
彩葉ちゃんのだけ長くて
覚えられそうにないです。
俺、仕事できないんで。
あと、そういうのは
ツクヨミの中でも現実でも、
どっちでもいいんで
ちゃんと顔を見て言ってあげてください。
ということで、自分で伝えてください。
時間稼ぎくらいはやりますよ。
……どうやって?
前、姫様がちょっと見たいって
言ってたじゃないですか。
ボサツを殴って、逃げるんですよ!
すいませーん!
謝りながら、隣にいたボサツの顔面を
思いっきり殴りつける。
怯んだ隙に、姫様を彩葉ちゃんの方へ
思いっきり蹴り飛ばした。
じゃ、悔いのないように。
まぁ、魔法使いの役目はこれくらいだろう。
あ、ちょ痛い。
そんな殴んなよ。
一発だけだろ。
そのあと、俺は強制的に
月人の接続を切られた。
■
ライブが終わる。
彩葉も芦花も真実も
ブラックオニキスのみんなも
頑張ってくれた。
バグは参加できなかったけど
きっとどこかで見てくれているだろう。
ボサツが光る雲に乗りながら
こちらに来た。
周りにはテンニョ、ホテイ、コンゴウ、ズイジュウ型。
そして、リョウサン型が一人乗っていた。
「お疲れ様でした、姫様」
「もしかして…バグ?」
「そうです、今はバグです」
「えぇ、どうやって…?」
「まぁ、いろいろあって?」
「色々って…」
相変わらず行動がバグってるな。
「助けようと頑張ったんですけど、捕まりました」
「やっぱりそう、うまくはいかないか」
「ままなりませんね、お互いに」
バグがやれやれというようなポーズをとる。
なにそれ可愛い。
バグに手を握られ一緒に光る雲に乗る。
「ライブどうだった?」
「最高でした、ボサツも褒めてましたよ」
「えぇ、ほんとに?」
光る雲が移動を始める。
下には彩葉やみんなが見える。
「ここまでなんだね」
「そっすね、ここまでみたいです」
「……楽しかったなぁ」
「どうでした?地球での日々は」
「最高だったよ、まだいたいな」
「…ならよかったです」
「でも、バグがもっと早く言ってくれたらもっとよかった」
「…そうっすね。俺ももう少し早く話せばよかったです」
「マジでね。次からはそうしてね」
「…そうっすね、でも最近は楽しかったでしょ?」
「そうだね」
バレてからは、手品も見せてくれたし、お出かけもたくさんした。
彩葉と三人で一緒に寝たこともあった。
バグが月からいなくなっていた時間に比べれば、
一緒に過ごせた時間は短かったけど、
それでも十分楽しかった。
たくさんの思い出をもらった。
ボサツが羽衣を着せようと近づいてくる。
そこをバグがはたく。
「もうちょい、待ってくださいよ。ボサツでしょ?」
「いいのそれ?」
「大丈夫、大丈夫」
本当にいいの?
なんか怒ってない?
雲はどんどん移動していく。
「何か言い残したことはないですか?」
バグが聞いてくる。
言い残したことかぁ。
下を見るとたくさんの人たちが見えた。
…………。
「最高の卒業ライブでした!」
「いっぱいお土産もらっちゃった!」
「みんなありがとー!」
下からみんなの声が聞こえてくる。
たった少しの間だったはずなのに
私を愛してくれたみんなの声が本当にうれしい。
「エヘヘへッ」
でも、ちゃんと物語は終わりにしなきゃね。
「名残惜しいけど、これでおしまい」
「それから…」
現実の頭を傾け
彩葉の肩に寄せる。
「彩葉、大好き」
もう終わりなんだと感じる。
これで、私の物語はおしま「違いますよ」
「彩葉ちゃんや芦花ちゃん、真実ちゃんに伝える言葉もっとあるでしょ」
「俺が、伝えますよ」
バグがボサツの手を握って
羽衣の着用を邪魔する。
「…いいの?」
「いいんです、早く」
「じゃあ、えっと芦花には化粧や色んな事教えてくれてありがとうって」
「うす」
化粧だけじゃなくて、配信のことや、彩葉のことたくさん教えてもらっちゃった。
もう気分は友達以上だ。
……バグのことは申し訳ないけど。
「真実には一緒に食べたごはん美味しかったって」
「はい」
一緒に食べた色んなご飯屋さん、美味しかった。
真実が本当においしそうに食べるから、より美味しく思えた。
「ブラックオニキスのみんなには、戦ってくれてうれしかったって」
「はいはい」
最初はなんだこいつ!って思ってたけど
私のために戦ってくれたし
なにより少し過ごしただけでいい人ってすぐわかっちゃった。
…結婚はあれだったけど。
「彩葉には………私を見つけてくれて、育ててくれて、曲を作ってくれてありがとうって」
「一緒に過ごせて、本当に楽しかったって、大好きって」
「…はい、了解しました」
彩葉とは本当に出会えてよかった。
最初に会った日から、今までずっと大好き。
正直、バグに記憶を消されたことも、
そこまで怒れなかった。
彩葉に出会えたからだ。
そうじゃなきゃ、許してない。
でも、そのおかげで彩葉に会えた。
彩葉のことを好きだって
ちゃんと思えた。
…………。
ダメだ。
綺麗に終わろうと思ってたのに
嬉しい涙にしようって思ってたのに…。
バグが見かねたように自分の言葉を催促してくる。
「俺には、ないんですか?」
バグを見る。
本当は、一緒に来てほしい。
またみんなで一緒に仕事して、休んで
お話して、遊びたい。
でも、それは彩葉や芦花に悪い。
私はもらい過ぎてる。
それに…
「じゃあ、もし死んだらまた月に来て?またみんなで過ごそ?」
「…そうっすね、気が向いたら行きます」
「だめ、絶対」
生きてるバグは彩葉や芦花にあげる。
だからもし、死んじゃったら。
それは私のだ。
「…わかりました、絶対行きます」
「絶対だからね」
「はい。その時は先輩も一緒にまた三人で働きましょう」
「それじゃあ、またねバグ」
「はい、また」
絶対だぞ、約束したからな。
「でも、彩葉ちゃんのは長くて覚えれそうにないです」
「えぇ、それくらい頑張ってよ…」
「無理っす、俺仕事できないんで」
「なにそれ」
バグのいつもの軽口がありがたい。
少し涙も引いてきた。
こういうとこ、好きだなぁ。
「あと、そういうのはツクヨミの中でも現実でも、どっちでもいいんで、ちゃんと顔を見て言ってあげてください」
「えぇ、もう帰るのに?」
「だから、時間稼ぎくらいしますよ」
「どうやって…?」
バグが握ってるボサツの手に力が入ってるのがわかる。
「前、姫様がちょっと見たいって言ってたじゃないですか。仕事教えたときのお礼のくだりで」
「えぇっと………」
仕事教えたときって…いつだ?
結構教えてるからどれが…。
『私、お礼が欲しいなぁって』
『あー、あとでもいいですか?今ちょっと忙し『もう仕事教えてあげない』…何が欲しいんですか?』
『あんま難しいものは無理ですよ?俺にできるのはボサツ殴って、逃げるくらいですからね?』
『いや、そんな難しいものじゃ、それちょっと見たい』
…あ。
そういえばそんなこと言ったな。
え、まさか…………。
「ボサツを殴って、逃げるんですよ!」
バグがボサツの手を引いて
拳を振りぬく。
「すいませーん!」
ボサツや取り巻きが一瞬ひるむ。
その隙にバグが私の背中を蹴り、雲の上から突き落とした。
「え、ちょッ!バグ!?」
「じゃ、悔いのないように」
「えぇぇぇ!」
私結構いい感じに帰ろうと思ってたのに!
しかも、この高さ死んじゃわない!?
「バァグゥゥ!」
地面すれすれになったところで、
何かに身体を受け止められた。
恐る恐る目を開ける。
「…かぐや?」
「彩葉…」
■
負けた。
みんなに頼って、
できることを全部やったのに負けた。
かぐやを乗せた雲が、
ゆっくりとステージから離れていく。
待ってよ。
まだ、やりたいことがあるって……。
……言ってたじゃん。
芦花や真実だって
また来年一緒に海に行こうって。
なのに、どうして。
かぐやの声が聞こえる。
みんなへの感謝と、別れの言葉。
少しずつ遠ざかっていく声を聞きながら、
私はただ、空を見上げていた。
そのとき、肩に何かが触れた。
柔らかくて、温かい。
「彩葉、大好き」
……じゃあ、行かないでよ。
まだ、みんなで過ごそうよ。
雲はどんどん遠ざかっていく。
もう、地面しか見られない。
だめだ。
上を見上げたら、
物語が終わっちゃう。
かぐやとの物語が終わっちゃう。
「えぇぇぇぇ!」
上から声がした。
聞き覚えのある声。
聞きたかった声。
思わず顔を上げる。
そこには、何かが落ちてきていた。
いや、何かじゃない。
大事な人だ。
足を動かす。
ただ前に。
そんなわけないと頭では思ってる。
だけど、偶然でも失敗でもなんでもいい。
もう一度会いたい。
「バァグゥゥ!」
地面にぶつかる寸前、その身体を抱き寄せた。
綺麗な金髪が重力によってなびく。
「…かぐや?」
「彩葉…」
本物だ。
「…えっと」
「かぐや…!」
「おっとっと、どしたの彩葉」
「…かぐやぁ」
顔を見たら涙が溢れてきた。
「…泣き虫彩葉だ」
「……だってぇ」
「本当はゆっくりしたいけど、この時間は少ししかないんだ」
「………本当にいっちゃうの?」
かぐやが少し笑って
雲のほうを向く。
「…あそこにさ、めちゃくちゃ殴られてる月人いるでしょ?」
「…………」
上を見ると、四方八方からめちゃくちゃに
殴られている月人がいた。
「バグって言うんだけど、彼がちゃんと顔見て伝えろって」
バグ…確かかぐやが探していた人だったはず。
「だから、ちゃんと伝えに来た」
「彼ってひどいんだよ」
「いきなり突き落としてくるし…」
かぐやの手を握る。
「ねぇ、かぐや逃げよう…?」
「今からでも、どこか遠くに…」
かぐやが薄く笑う。
「ごめんね、それは無理」
「なんでっ!」
「これは彼がくれた少しの時間なんだ。多分、もうすぐまた迎えが来る」
「だったら、またっ…!」
何度だって、そう続けようとした。
でも、無理だった。
かぐやの顔を見たら、何も言えなくなった。
「彩葉、聞いて?」
「なに…はやく、どこかに…」
「聞いて」
顔に手を添えられて、
かぐやの胸に頭を引き寄せられる。
自然と、その身体に身を委ねていた。
「彩葉、私を見つけてくれてありがとう」
やめてよ
「育ててくれて、ありがとう」
やめてって
「曲作ってくれて、嬉しかった」
こんなの
「ご飯も美味しかったし、毎日楽しかった」
本当に
「彩葉に会えて、暮らせてよかった」
「お別れみたいじゃん…」
「大好きだよ、彩葉」
「そんなの…私だって」
かぐやの顔を見上げる。
その目にも、涙が浮かんでいた。
「大好きに決まってんじゃん…」
頬に水滴が落ちてくる。
私の頬にも、涙が伝った。
「………やったぁ」
かぐやの顔に影が差す。
いや、違う。
上から雲が下りてきていた。
「ごめん、もう時間みたいだ」
「…かぐや」
「これが私のハッピーエンド」
「待ってよ…」
「店長と仲良くするんだよー」
「私も店長も一緒に連れてってくれるって……」
「じゃあね、彩葉」
かぐやが羽衣を着せられ
目から、光が消えた。
そのまま、月人たちに連れられていく。
「言ったじゃん……」
何度目を凝らしても、周りを見渡しても
そこには何もなかった。
ただ、光の粒子が少しばかり
その場で滞留しているのみだった。