かつての仕事部屋で
ひたすらキーボードを叩く。
…これ仕事終わります?
もう10年過ぎたんですけど…。
画面に並ぶ大量の書類を眺める。
どう考えても終わる気がしない。
…無理っすよね。
……逃げます?
隣に座る姫様と先輩に話しかける。
後ろから急に頭を掴まれた。
……冗談っすよ。
ボサツさん。
だから頭を掴まないでください。
で、何の用ですか?
もしかして仕事手伝ってくれます?
…けち。
…時間遡行機能ができたから大丈夫?
…時間のことは気にするな?
過去に行けんの?
すごいじゃん。
じゃあいくら社畜しても
問題ないってこと?
…いや、問題はあるよ。
何言ってんだボサツ。
あと、USBの中身の解析が終わった?
あざーす。
あのUSB何だったんですか?
渡しましたけど。
…月の技術の延長にあるもの?
物体でもあり、情報でもある?
何言ってんのか、分かんね。
…はい、すいません。
生意気言いました。
うっす。
で、中身は何だったんですか?
俺にやってほしいことと
義体の設計図?
…また仕事かぁ。
まぁしょうがないか。
義体って俺の新しい身体ですか?
別にこっちで作ろうと思ってたんで
いらないっちゃ、いらないんですけど…。
…え、結構凄い機能が設計されてる?
ほーん…。
しかも今の月の技術でも作るのが難しい?
へー…。
俺達の引継ぎができる頃に完成しそう?
なるほど…。
…うっす!
俺、仕事頑張るっす!
任せてください!
だから、俺の義体お願いします!
さ、かぐや、先輩、頑張りましょう!
ぱぱっと、終わらせて
バックでトゥなフューチャーで会いに行きましょう!
ふっふーん。
凄い機能かぁ……。
ビームかなぁ。
ビームだといいなぁ。
ビームかぁ…。
へへ。
◇
ようやく仕事が終わった。
地球時間はもうとっくに
100年は過ぎてる。
大遅刻だ。
でも、まぁ時間遡行機能があるから
問題はない。
ありがとう、月の技術。
てか凄い機能ってビームじゃなかった。
なんなら同じだったわ。
なんか難しい言葉で説明されたけど
使ってみたらほとんどいつもの
チートと変わんなかったわ。
はぁー期待するだけ損した。
仕事めっちゃ頑張ったのに。
かぐやロイド2の
制作も頑張ったのに。
騙された。
USBに入ってた指示も
なんか意味分かんなかったし。
サボろっかな。
義体への不満を思いながら
もと光るたけが準備されている
発射場に向かっていると
背後から姫様の声が聞こえた。
うす、おはようかぐや。
ようやくっすね。
歩く速度を落とし
姫様の隣を歩く。
手を握られるが、少し痛い。
あの…痛いっす。
置いていった罰?
いや、起こしましたよ。
俺も先輩も。
でも、かぐやがずっと寝てるから
諦めたんです。
言いましたよね?
明日は出発だから早めに寝ようって。
なのに、ずっと騒いで。
あと、寝るときに布団を
奪うのやめてください。
…できたらやる?
やらないやつじゃん。
てへぺろ、やめろ。
むかつく。
姫様がスキップで向かう。
手を繋がれているので
俺もそれに引っ張られる形で向かう。
……まぁいいか。
ようやく彩葉ちゃんやみんなに会えるんだ。
姫様も浮かれてるんだろう。
あ、そういえば先輩の義体は
かぐやが開発したんすよね?
俺まだ見てないっすよ。
秘密?
えぇ、気になる。
めっちゃ可愛い?
まじかよ。
どうしても無理?
…じゃあしょうがないか。
地球であったときの楽しみにしときます。
またみんなに会えたら何します?
彩葉ちゃんと暮らしたい?
パンケーキ食べたい?
いいっすね。
絶対叶えましょう。
俺も先輩も一緒?
…それはいいですね。
俺?
俺はまた喫茶店したいですね。
朝日君や真実ちゃんも
来てくれるみたいなんで
楽しみです。
真実ちゃんの彼氏会ったことあります?
あれまじでいい人ですよ。
しかもイケメンだし。
そのあとは普通に生きて
みんなの人生を見守りながら
余生を楽しみますよ。
…分かってますって。
ずっと一緒ですよね。
覚えてます、覚えてます。
まぁ、まずはちゃんと
地球に行きましょう。
かぐやはそのまま地球に行くルートですよね?
俺はなんか、一旦やることやってから
そっちに合流なんでよろしくっす。
いやぁ、それは言えないっす。
……えぇ、すいません。
でも、そんな大した用事じゃないですよ。
指示書にも
ボサツと俺だけに共有って
書いてたしな。
うーす。
そんじゃ、早速行きましょう。
ほら、先輩も犬DOGEも発射場で待ってますよ。
姫様が発射場の方へ目を向ける。
先輩はもう向こうで待っていた。
姫様は小さく手を振ると、
そちらへ走っていった。
はや。
二人が合流する姿を、
少し離れた場所から見送り
神様からのすべきことを思い返す。
………。
何度思い返しても
三つあるうちの二つの指示は分かるが
もう一つの指示は意味分かんないな。
これなんの意味があるんだ。
……まぁ、とりあえずやるか。
神様の最後の指示だし
発射場から姫様に呼ばれる。
視線を向けると
姫様と先輩が手を振ってくれている。
あ、もう出発ですか?
うす。
行きまーす。
発射場に向かう。
姫様と先輩が寄ってくる。
それじゃあまた地球で会いましょう。
目的地は俺の店の近くでお願いします。
自分の宇宙船に向おうとすると
後ろから首をかぐやに掴まれた。
力つよ。
ぐっ…。
なんすか急に。
…ありがとう?
……いいんですよ。
俺が会いたくて来ただけですから。
かぐやも先輩もよく頑張りました。
これでハッピーエンドです。
さ、乗り込みましょう。
地球での楽しい日々が待ってます。
かぐやはライバーとして
先輩は俺の店で働いてもらうんですから。
さっさと行きましょう。
姫様と先輩が自分の
宇宙船に乗り込む。
身体が情報として
圧縮されていく。
俺も自分の
もと光るたけに向かう。
近くにはボサツがいた。
ボサツの兄貴、ありがとうございます。
あれの用意できました?
ボサツからあのUSBを渡される。
【指示一つ目】
義体の設計図
俺のやるべきことを記録した
同型の新品USBを持っていくこと
同じものを持っていくって
何の意味があるんだろう?
…バックアップ的なことなんだろうか。
別にいらんのだが。
用意してくれてあざす。
…これから頑張れ?
え、何がですか。
もう頑張りませんよ。
仕事はしましたし。
あとはハッピーエンドが
あるだけです。
設定もできました?
ありがとうございます。
それじゃ、お願いします。
今までお世話になりました。
もと光るたけに乗り込む。
身体が圧縮されて
中に入る。
ほへー、こんな感じなんだ。
カウントダウンが聞こえた。
外からボサツの顔が少し見えた。
なんだか複雑そうな顔をしていた。
……ボサツもあんな顔するんだ。
3
2
1
0
そこからは景色が一気に塗り替わった。
三つのタケノコが地球に向かっていく。
姫様が先頭、先輩が次で、俺が最後だ。
そして俺のタケノコだけUターンをし
また月に向かって加速する。
俺は姫様たちのタケノコが地球方面に
向かったのを見送って
時間遡行機能で過去の月に向かった。
【指示2】
俺が月人から人間に戻った最終日に行き
過去の俺の手に白い花を出現させる。
過去の月に到着した俺は指示通り
あの日姫様に月で見せた手品のタイミングで
過去の俺の手にルーラで白い花を出現させた。
あの日しか手品ができなかったのは
こういうことだったらしい。
あの時も過去の俺が手伝ってくれたおかげで
手品は成功していたようだ。
…まぁ確かに自分でやったって感じしなかったもんな。
なんか出たわ、チートすげーって感じだったし。
さて、やることも終えたし
さっさと次の指示をこなそう。
えーと、姫様の宇宙船と同じルート、時間遡行を設定して
行けばいいんだよな?
【指示3】
かぐやと同じ時代に時間遡行をして
出来るだけかぐやの近くに行くこと。
ふむ、何度見ても意味が分からん。
別に地球行くんだから
地球って設定すればいいだけなのに。
なにがしたいんだ。
あの邪神は。
まぁ一応やるけど。
それじゃ、行くか。
久々の地球だなぁ。
みんな元気かね。
いや、みんなからしたら
10日かそこらなわけか。
ふむ、かっこつけて別れたのに
なんか恥ずかしいな。
……まぁしょうがない。
とりあえず、行くか。
俺はもと光るたけに乗り込む。
義体が圧縮される。
姫様と同じ時代に時間遡行を設定する。
浮かび上がり、月から発射される。
今度こそ地球へと加速していき
時間遡行が行われる。
…なんかエラーって出てるけど
これは大丈夫な奴か?
しばらくすると加速が終わり
かなり強い衝撃が加わった。
さっきはこうは
ならなかったんだけど
バグかな?
俺の身体が
宇宙船の外へ排出される。
水の中だった。
あいやぁ、なんで
なんで水の中?
あ、鼻の中に入った。
いたい。
とりあえず、たけのこを
担いで上がるか。
……。
ここどこ?
辺りを見渡しても
海と砂浜しかない。
…姫様たちと約束した合流地点は
俺の店だったはずだけど。
ここはどう見たって海だよな。
しかもめっちゃきれいだ。
いや、マジでどこ?
…ふーむ、たけのこも
うんともすんとも言わないな。
…え、壊れた?
まじで?
……どうしようか。
……とりあえず
姫様たちを探すか。
近くにいるはずだし。
ん、おおぉ。
でっかいウミウシだ。
なんて名前なんだろ。
若干見覚えがあるな。
……あれだ、FUSHIに似てるな。
…はは、間抜けな顔。
いってぇ!
噛むなよ。
あぁ、ごめんごめん。
間抜けな顔じゃないよ。
可愛い可愛い。
…え、喋った?
……姫様?
まじで?
■
お兄さんが消えた。
携帯もつながらない。
何度かけても、つながらない。
もしかしたら、もう会えないのかもしれない。
そんな考えが頭をよぎる。
手の中にある赤い薔薇を見る。
……また見せてくれるって言ったもんね。
だからとりあえずは信じて待つ。
それに確かめなければいけないこともある。
かぐやとヤチヨの関係だ。
でも、何度メールもメッセージも送っても
送信エラーが起きる。
「ツクヨミで探すか…」
スマコンを起動し、ログインする。
往来のモニターにはヤチヨの配信が映し出されており、何人かのアバターが立ち止まって眺めていた。笑っている人もあれは何人かいるけど、あれは再放送だ。
こんなこと初めてだ。
やっぱりヤチヨに何かあったんだ。
確かめようにも、メールもつながらな……
視界の端に白くて小さい何かが動いた。
「待てっ、なんでお前だけで」
とっさに追いかける。
こんなに早く動けたのか。それはちょこまかと動き回り、袋小路にたどり着いてようやく止まった。
「どこにいるか、教えて」
「……」
返事をするつもりはないようだ。
「もういい、自分で探す」
「ばかたれ、どこを探すって?」
「教えてくれないんなら、世界中」
「……目を開けてみろ」
ARモードで目を開くと、目の前にはFUSHIがいた。
「ついてこい」
FUSHIが駆け出していく。
「え、ちょ……少し待って!」
着替えて、FUSHIの後を追っていく。
「一人、合流する」
「合流?だれと?」
「会えばわかる」
電車に乗って、駅で降りる。
改札口で誰かが待っていた。
「はじめまして、彩葉さん」
「…え、セン……さん?」
ヤチヨのライブの演出担当のセンさんだった。
「えっと、少し前に活動休止したって…。というか、生センさん可愛い」
「いいからいくぞ」
事情を聴こうとするとFUSHIがまた駆け出す。
ろくに自己紹介できないまま二人で追いかける。
そしてマンションの一室にたどり着いた。
鍵は開いている。
扉をゆっくりと開ける。
「……なに、ここ?」
サーバールームというのだろうか。大量のPCとストレージ。
でたらめな散らかり方をしているが、どこか既視感があった。
…最近、掃除した部屋と少し似ていた。
「……水槽?」
水槽の中には謎の液体に浸かっているタケノコのような何かがあった。
「これが、ヤチヨ様です。……ここからツクヨミに入ってください」
センさんに促されるまま、ツクヨミに潜る。
初めて見る部屋だった。
無数の灯篭が鈍く光っており、居心地がいい部屋だ。
聞こえる風音がから高層階だと分かった。
今背を向けて座っている、誰かの部屋だ。
長い髪を床に広げた姿がかぐやに似ていた。
「……かぐや」
誰かが振り返る。
でもそれは
「ヤチヨ」
だった。
「…ヤチヨはかぐやなの?」
「変なことを言ってるのは分かってる。でも……」
「今は昔…」
ヤチヨが語り始める。
「月に帰って、バリバリ社畜していた、えらえらかぐや姫のところに歌が届きました。それはかぐや姫のために作られたかぐや姫だけの歌」
私たちの歌だ。
「かぐや姫は大喜び。それでもう一回、地球に行こーって思ってたらどこぞの魔法使いもやってきて、お仕事を一緒に片付けて引継ぎも完了。ただ、地球の時間では大遅刻。でも、安心。月の超テクノロジーは時間も越えられます。時を超えて地球に向かうかぐや姫と愉快なお友達二人」
お兄さんやっぱり、会いに行ったんだ。
「お友達の一人、魔法使いは別の用事を済ませてから地球に行くそうなので、黒髪キュートな先輩と先に地球に行くことになりました」
いつの間にか後ろにセンさんがいた。
先輩、かぐやから聞いた月でのお友達だ。
「でも、大変。行く途中で大きな石に当たっちゃったの」
……。
「なんとか先にぶつかって、先輩の船は守れたけど私の船は致命的なダメージを負って難破寸前」
ヤチヨは何でもないように明るく話す。
隣のセンさんが何かを握りしめる音が聞こえた。
「なんとかたどり着いたのは、ざっと八千年も前の地球でした」
その姿は寂しそうだった。
「まぁ、そのあとは壊れた船の力で同行してた犬DOGEだけウミウシの身体を得ました。かぐやはウミウシを通してだけ、世界と交流を持てました」
私は理解ができないまま、立ち尽くしていた。
座っているヤチヨと隣に立つセンさんの顔がよく見えない。
「時は経ち、人は見えないものを形にし、多くの人とつながり力を手に入れた。それは月の世界と少し似ていて、かぐやは初めて魂だけの自分が世界と関われる可能性を知りました。そして、仮想世界ツクヨミの歌姫として再び彩葉やみんなと出会うことができたのです」
「っつってぇー、これじゃあ手放しでめでたしめでたしとはならないか~、やっぱ♪」
おちゃらけた様子でヤチヨが笑って、私の手を取る。
「……私といたかぐやは?」
「今もまた、同じ輪廻をめぐってる」
「私たちはその輪から外れることはできない」
「ただのおとぎ、あんまり深く考えないで?とにかく今は再会をお祝いしましょ」
そのまま私とセンさんはヤチヨの手に引かれて、バルコニーへ連れ出される。
「ここからの眺めがヤチヨは本当に大好きなの」
ツクヨミが一望できた。
それを見るヤチヨの横顔が
綺麗だと純粋に思った。
「どうして…」
「ん?」
「どうして、ヤチヨはずっと笑っているの?」
だって私には泣いているように見えたから。
「それがヤチヨだから」
返事は早かった。
まるで、何度も自分に言い聞かせてきた言葉みたいだった。
「それにね……魔法使いさんがいつか幸せになれるからそれまで涙は取っとけって言うんだもん」
「でもね、ハッピーエンド連れて行くって約束したのに」
「彩葉たちの歌を聞いて、戻ってきたのに」
「みんなに助けられたのに」
「ごめん、ドジっちゃった」
声は震えていた。
「キラキラのかぐや姫は、もうおばあちゃんです」
それでもヤチヨは笑っていた。
「かぐや…」
「彩葉、もし知りたくなかったら、忘れてもいいよ。そういうこともFUSHIなら出来――」
「ヤチヨ!」
自分でも驚くほど大きな声が出た。
ヤチヨを見てて、いろんな感情が噴き出したからかもしれない。
ヤチヨもセンさんもこちらを見ている。
私は二人の手を引っ張って、部屋に戻る。
座敷に腰を下ろす。
「聞かせてよ」
「「え?」」
「二人のこれまでのこと、全部聞かせてよ」
「まずはヤチヨで、それからセンさんね」
センさんと向き合う。
「それと、私酒寄彩葉です。自己紹介が遅れて、ごめんなさい」
「あ…私はヤチヨ様とバグの…えっと魔法使いさんの先輩です」
手を差し出して握手をする。
「さ、まずは聞かせてよ八千年分。私寝ないから!」
「……無茶言ううねぇ」
ヤチヨが手を払うように動かすと、場所がいつもの喫茶店になった。
テーブルの上にはケーキとコーヒーが置いてあった。
ヤチヨの服装は黒のTシャツ。
私はパジャマ。
センさんは喫茶店の、月の帽子の制服を着ていた。
だけど、驚かない。
踏み込んだのは私だから。
八千年の昔話が始まった。
■
宇宙船が墜落してから、かなりの時間が過ぎた。
なんとかウミウシの身体で動けるけど、もと光るたけは壊れてる。
しかもまだだれとも会えてない。
先輩もいない、バグもいない。
元々設定してあった座標とは似ても似つかない。
砂浜を這って動いても、大きい虫や動物ばかり。
人の姿は見ていない。
立ち止まって考える。
…ここはどこなんだろう。
みんなはいるんだろうか。
私はもう一度会えるんだろうか。
最近は悪い方に考えることが増えてきてしまった。
振り払うように今日も砂浜を這って動く。
余計なことを考えないで済むように。
今日も這っていると、海に何かが落下した。
もしかしてと思い、這って行くが
身体が小さいせいで距離が遠い。
しばらくして、ようやく海に落ちたものの近くまで来た。
すると、聞き馴染みのある声が聞こえた。
動物の鳴き声とも自然の音とも違う。
「はな、痛」
「というか、タケノコ重いわ。…壊れてないよな?」
「うんともすんともいわん。…多分やばいよな」
「とりあえず、姫様探すか。近くにいるはずだし」
「……海はきれいだ」
身体が小さいせいかうまく見上げられない。
太陽がまぶしすぎる。
「うおっ!なんかでっかいウミウシいる」
持ち上げられる。
顔が影になって、ようやく顔が見えた。
喋ってなかったせいか思ったように声が出ない。
「あれだ、FUSHIに似てるな。…はは、間抜けな顔」
思わず手を噛む。
「いってぇ!」
「間抜けな顔ってなに!?」
「ごめんって、噛むなよ」
声が出た。
「ごめんごめん、可愛い可愛い」
「でしょ?魅惑のウミウシボデイでしょ?」
彼がこちらを見る。
「……え、喋った?」
「そうだよ、久しぶり。バグ」
「…………姫様?」
私の長い冒険パーティーに
魔法使いが加わった。