気が向いたので続編書いてみました。
覚えてる人いるのかしら……
左右を見れば、そびえ立つビルが崩壊していた。
下を見れば、道路は陥没しアスファルトは剥がれていた。
信号が倒れている。瓦礫やガラス片が散乱している。ボロ車が放置されている。
上を見れば、そんな街の惨状を映し出しているかのように、もうすぐ夜が明ける早朝の空を、厚い雨雲が覆い隠していて……
そんな、壊れた大都会のど真ん中に、集まっている集団があった。
マトモな人間ならこんな、インフラも物資も期待できず、どころかそれ以前に命さえ脅かされかねないこんな場所に好きこのんでやってこようと考えるわけがない。
それでも敢えてこんな場所へやってくる人間がいるとするなら……
行くアテもなく彷徨い歩いた末にたどり着き、迷い込んだ者か……
こういう場所にしか存在を見出せない、後ろ暗い連中か――
「久しぶりじゃないか
「……」
その集団は、一人の男――少年を取り囲んで、気色の悪い笑みを浮かべていた。
「おいおい、無視するなよ」
「……」
「俺がどれだけお前を殺したかったか……もっと俺の気持ちを想像し」
「邪魔」
集団の中心にいた男が、顔を高揚させながら……
刀袋を背負い、緑色のモサモサ頭、顔にはそばかすと暗いクマを浮かべた少年の前に立った瞬間。
何かを――少なくとも攻撃だろう――するより……動きや言葉に反応するよりはるかに早く、男は、立っていた場所から真横へ向かって、そこに立っていた他の男たちを巻き込みながら、飛んでいっていた。
「……誰だっけ?」
最初に蹴とばした男は、少年のことを知っていた様子ながら、とうの少年は、全く思い出すことができない。
その程度の存在だったんだろうと自身に言い聞かせ、雑念を消しつつ、男の後に襲ってきた連中を一人残らず蹴散らし終えたその身を……
男たちのいたはるか後ろ。ボロボロの服を着て、髪の毛が無い代わりに、半開きにしてヨダレまで垂らしている口から、長く、硬く、鋭い刃をいくつも伸ばしている、男へ向けた。
ダツゴク ムーンフィッシュ
個性『
「……あの時は、話ができる状況じゃなかった。それでも、お前にはどうしても、聞きたいことがあった――」
少年の言葉を遮るように、男――
それが次々、少年の身に降りかかるが……
「お前なんだろう? 順平のお母さんを殺したの」
ある女性の、腰から下が消え失せていた遺体の傷。そして、この男の『個性』を見た時から感じた確信――
「肉面~~~~~~~~~~~~~~!!」
もっとも、とうの本人は、そんな問いかけなど聞こえていないかのように、攻撃の手数を増やす。
実際に聞こえていないのか。それとも、聞こえたうえで無視しているか、認識すらしていないのか。
「まあ、どっちでもいいさ。どうせ覚えてないんだろう? 大勢殺した人たちの中の、一人のことなんて――」
怒り、というより、ただただ呆れて冷め切った感情の中。
硬さ、鋭さ、手数、全てがまるで、存在しないかのように平然と、男の目の前に近づいて――
「肉め――」
「『兎』・『跳躍』・『瞬発力』――」
――黒閃
男の伸ばした刃の全て、掠りもしない内に放たれた少年の蹴り。
黒い火花を散らすほどの強大な一撃は、男の凶器を粉砕、破壊し、ぶっ飛ばした先の建物さえ突き抜けて、何十メートルか先へぶっ飛ばした。
「ごめんね。ビックリした? ケガは無い?」
襲ってきた
声を掛けた先にある、瓦礫の陰から、小さな女の子がその身を現した。
「誰かと一緒? お父さんとお母さんは?」
「……分かんない」
そう答える女の子の身なり――ボロボロの服、靴。
傷と泥だらけの身体。疲れ切った顔……
「いっぱい歩いた?」
(……コクリ)
「そっか。がんばったね」
その時――
頬を赤らめる女の子に合わせてひざを曲げた、少年の後ろ。
最初に蹴り飛ばされた男を含む、恨みと憎しみに満ちた形相の男たち。
少年のすぐ後ろに迫っていたその男たちが――
フッと、姿を消し、ドカッと、音を鳴らした。
女の子が、そっちへ顔を向ける。見ずに済むよう、その目の前に手を置いた。
「ダメだよ、ネイカちゃん。やりすぎは」
女の子が見ないよう努めつつ、背中を向けたそのビルの中で……
更衣室に突っ込んだ男たちは全員、巨大なロッカーの下敷きになり、白目を剥いて積み重なっていた。
「ここに来るまでに、日本中に散らばった
「フンッ……雑魚どもの確保や国外での功績をいくら自慢されたところで、何の証明にもならん」
「なら首輪でも心臓に爆弾でも仕掛ければいい」
「どちらも簡単に解除できてしまうくせに」
「オールマイトの師匠の孫とか関係ないですよ……彼はミルコの腕を落としたんだ」
「
雄英高校ヒーロー科 1年A組
ヒーロー名:デク
個性:ネイカ
……
…………
………………
逃げ惑う人々。その中心には、倒されオチた敵一人と、立っている少女が一人。
ヒーローコスチュームから露出した腕と、短くなった髪の下の顔には、痛々しく醜い火傷が刻まれていた。
腕は、サポートアイテム、ミッドガントレットで包み、加えて大振りの刀――メリッサ・シールドの傑作、
背中には、あるヒーローから託されたマントと、『個性』である黒い鞭をユラユラと揺らして。
全身に広がる火傷を含めた傷だらけの上、血と泥にまみれたその姿は、とても『ヒーロー』には見えない。
「……お前ら、何しに来やがった?」
そんな、敵を片づけ民間人らを解放した直後の少女の前には、彼女と同年代であろう、ヒーローコスチュームに身を包んだ少年少女ら――雄英高校ヒーロー科1年生たちが立っていた。
「……心配だからだよ」
「それはどうもありがとう……私は見ての通り大丈夫だ」
「だから、さっさと帰れ!!」
雄英高校ヒーロー科 1年B組
ヒーロー名:マキ
個性:
真希さんのヒーローコスチュームは、渋谷事変後のあの服装と竜骨(サポートアイテム)です。
ミッドガントレットも一応着けてます。