短くなる分、圧縮して書かにゃならんの思ってたよりムズイこれ……
彼女は眩しかった。
彼女が僕と
僕と同じ、体質に合っていない個性。
コントロールが効かず、加減を間違えれば自分自身さえ傷つけてしまう。
それでも制御し、そのうえで強くなることを誰よりも望んでいる。ひたむきで真っすぐな、戦いの才能を持った美少女戦士☆
自分の理想と野望のために邁進することができる。そんな、僕と同じ、なのに僕とは全く違う彼女の姿が、僕には眩しかった。
僕だって本当は、自分のために生きたかった。
自分の夢のために。友達のために。仲間のために。
それなのに……
――雄英に入れなさい……
そもそも、僕がヒーローという夢を懐いたのは、単純な同調心理だ。
みんなと違うことは怖い。みんなと同じでいたい。
そう思っているうち、周りのみんなが同じように夢見ている、ヒーローという職業を同じように夢見た。それ以上の動機は無かったと思う。
幸いなことに、目指すことができる条件はそろっていた。
両親はいわゆる富裕層で、勉強その他必要な物をそろえることはできたし、勉強は得意とは言えなかったけれど、人並みの理解力と努力を継続する力は持ち合わせていた。
そうして努力を続けている内、こんな僕を育ててくれたパパンやママン、二人にとって大切な人たち、そして、僕にとっても大切な人たち。
そんな人たちの役に立ちたい。そんな人たちを守れる人間になりたい。
そんなふうに、時間は掛かったけれど、ようやくそれっぽい動機に変わっていったのさ☆
――クラスが孤立するタイミングを教えなさい……
そんな志と努力が実って、憧れの雄英高校に入ることができたけど、さすがは雄英、僕など足元にも及ばないバケモノ揃いの学び舎だった。
中でも特に、一際目立つバケモノが、僕と同じA組にいた。
緑谷出久君。
個性は、あらゆる個性をコピーする力を持った、
その個性と彼自身の力量でもって、雄英体育祭のエキシビションでオールマイトを下したことは今でも記憶に新しい。
そして他でもない、オール・フォー・ワンを倒してしまったことも……
けど僕が一番驚いたのは、彼が本当は、『無個性』だったということ。無個性でありながら、体質に合わないどころじゃない強力な個性を使いこなして、いくつもの試練を乗り越え、戦い抜いた。
個性であり、彼の最愛の
帰ってきた後もそうさ☆
僕たちヒーロー科1年で束になっても勝てなかった彼女を一人で引き止めて、日本を離れて今さら何だという自身への非難も受け止めながら、避難民たちの説得もしてのけた。
彼女を届けた後に彼が真っ先にやったのが、先の全面戦争でケガを負った人たちの治療だ。
彼いわく、物間寧香さんがいなくなったことで、コピーしてきた個性たちはリセットされてしまったけれど、そういう事態に備えて、特に有用だと感じた個性は再びコピーストックができるよう
具体的には、その人の髪とか、爪とか……
今思い出しても、僕らの個性をコピーするために、僕らから受け取った髪の毛をムシャムシャ食べる光景はシュールだったなぁ……
それはともかく、ストックした中でも筆頭の個性、『反転』。彼が唯一持つ、他人のケガも治せる個性であり、リカバリーガールの『治癒』よりはるかに強力な個性。
その個性を使って、ずっと病室で療養中だった相澤先生の治療も行った。
体のケガは完治して、彼が失っていた右目も元に戻っていた。視力も問題なかったらしいけど、ただ一つ。何度試しても、残念なことに先生の個性『抹消』は発動しなかった。
緑谷君はそのことを、壁を殴り砕くくらい悔しがっていたけど、相澤先生は諦めていた右目が戻っただけで御の字だって感謝していた。
他にも、避難民たちに言われた通り、自分が日本に残っていれば、ミッドナイト先生を死なせずに済んだかも知れないって嘆いていたっけ……
相澤先生以外にも、大勢のヒーローや、仲間たちのケガを治していた。
訓練では、彼の力を存分に使って、僕たちを追い込み、しごいてくれた。
そんな見える部分以外でも、彼はこの戦いに勝つために、先生やヒーローたちからの要請で色々なことをしているようだった。
――合宿先を教えなさい……
元『無個性』でありながら、個性に呪われ、傷つき、傷つけ、それでも大勢の人々を救うために戦い続け、AFOさえも倒してのけた、彼。
同じく、元『無個性』で、AFOと戦う重圧を背負っている、彼女。
そんな二人の存在を知って、僕は――
――雄英に戻った禪院真希が一人きりになるよう誘き出しなさい……
「なに考えて、教室にいたの!?」
「青山!! ウソだって言えよ!!?」
感情は様々だろうね。怒り、失望、悲しみ……
どれもこれも、僕が、僕自身に対して感じてきた感情だ。
ずっと僕は、僕自身に対して怒っていた。あまりに弱く、その弱さを言い訳に、巨悪の言われるがままに動くばかりの有様に。
失望していた。ヒーローを目指しておいて、敵に与する自分が。
悲しかった。そんな最低な人間のくせに、仲間たちと一緒に笑い合えてしまうことが。
絶望していた。
元『無個性』でありながら、様々な重圧を背負いながらも戦い続ける彼女らを知って、同じ元『無個性』の弱い自分の惨めさに。
無個性に生まれ、周りと違うことが怖いから、AFOから個性をもらった。
引き換えに、両親ともどもずっとAFOの命令に従って生きてきた。
そんな自分への絶望を……
彼や、彼女への心配よりも先に、自分への絶望を感じた自分に、絶望した。
元無個性……
AFOの内通者……
青山優雅は、性根の腐った、根っからの
「で? テメェはそれで満足か? そうやって自分を卑下して否定して、私らから、その通りだこの
両親ともども拘束された後。
しばらく僕らとは別行動を取っている緑谷君一人を除いた、ヒーロー科A組B組全員がそろった教室で、僕自身のことを話した時。
B組、禪院真希さん。全面戦争で、顔や両手にひどい火傷を負っていたけど、緑谷君のおかげで綺麗に治ってる。そんな彼女が、呆れたふうな口調でそう言い出した。
「もしそうして欲しいなら、これ以上は時間の無駄だ。警察やオールマイトに知ってる情報全部吐いて、一生うつむいて小さくなってろ。自称、『性根の腐った根っからの敵』にはお似合いの人生だ」
「おい! そんな言い方、青山だってなぁ――」
「
「無個性の辛さは私もよく知ってる。藁にもすがる気持ちで個性が欲しくなるのも分かる。私自身、そうやって個性を手に入れた口だ。ヒーローになって、どうしても成し遂げたいことがあったからな。それは今も変わらねぇ。ヒーローに対して憧れる気持ちはあったが、私は私がやりたいことやるために生きてる。ヒーローや個性やらはその手段でしかねぇよ」
ヒーロー志望にはあるまじき発言……
そんな彼女に、教室にいるみんなは注目した。
「オールマイトから個性を受け継いだ後、個性と一緒に、平和の象徴を継いでほしいとも言われた。当然、私も継ぐからにはその覚悟は持ってたが、オールマイトのためじゃねぇ。さっき言った通り、私は私の目的と、私のやりてーことするために個性を受け取った。私は私自身のために生きてる。テメーはどうだ?」
「……」
「私と同じで手段はどうあれ、元々無かった個性を手に入れて……テメェの性根が腐って敵になっちまったのは、AFOが怖かったからだろうな。それで、その他大勢の受験生どもを押し退けて雄英に入れたのは、AFOが怖かったからか? AFOが怖くて仕方ねぇから受験でも力が出せたってか? 雄英に入学したのも、ヒーローの仮免受かったのも、今日まで生きてきた目的の全部、そのために身につけた手段の全部が全部、AFOのためだったってか? テメー自身が積み上げてきた全部、AFOのもんだって言いてーのか?」
呆れ果てた彼女の口から発する言葉に、僕も、みんなも、引きつけられた。
「AFOが怖ぇってのは分かる。家族を守りてぇってのも、まあ分かる。だから強くなるしかなかったっていうのも理解はできる。けどな、気づいてるか?」
「なにが?」
「元無個性のテメーが、テメーの人生の言い訳にAFOを使う度、同じ元無個性で、そのAFOから生まれたOFAを受け継いだ、私のことまでバカにしてるってことをだよ?」
そんなことを言われて、僕も、聞いてたみんなも、絶句させられた。
「いや、私だけじゃねーな。テメーが雄英に入った代わりに、入れなかった受験生はゴマンといた。そいつらに対しても、テメーは自分を卑下するたびに、僕はAFOのおかげで雄英に入れてヒーロー目指せてますって言ってんのと同じなんだよ。テメーは、テメーと同じ境遇の私や、テメーより下にいた奴ら全員に言うつもりか? AFOは正しいです、みんなで従いましょう、そうすれば幸せになれます、ってよぉ」
「そんなこと……そんなバカなこと、言うわけ――!」
「私にはそう聞こえるんだよ? テメーと同じ、
顔をズイッと近づけてきた真希さんに、僕は何も言い返せなかった。
確かに、彼女の言う通りかもしれない。
ずっと後ろめたかった。やましい気持ちに溢れていた。だからバレてしまった瞬間、僕自身を責めて、卑下した。
そうしなければ耐えられないから。
自分から望んだことなんて一度もない。それでもみんなを裏切ってきた自分が許せなくて、受け入れたくなかったから。
AFOに従って生きてきた自分が……
AFOのために生かされてきた自分が……
AFOへの恐怖と、元無個性の後ろめたさを言い訳にする自分が……
「前に誰かに言われたよ。
「……」
「悔しくねーのか?」
「……」
「たかが個性一つで、AFOに良いように使われて、努力も何もかもアイツの好き勝手にされること、悔しくねーのか?」
「……ぃょ……」
「あぁん?」
「……悔しいよ……悔しいに! 決まってるじゃないか!!」
「だったらまずは私をたすけろ」
僕が初めて、AFOに対する反抗を口にした瞬間、真希さんはまた顔を近づけて言った。
「AFOも死柄木も、私がぶっ倒してやる。そのために手伝え。私や、仲間たちに申し訳ない気持ちがあるなら、今度はAFOじゃなくて、私らに利用されろ。私がAFOをぶっ倒した後で、ヒーロー目指すも敵に墜ちるも大人しく隠れるも、好きにしやがれ」
言い方はアレだけど……
それでも、彼女の言いたいことは、伝わった。
「私をたすけろ。私のために戦え、優雅」
全ては自分自身のため。
個性も力も、目的を遂げるための手段に過ぎず、救けることや倒すことは過程の一つに過ぎない。
ヒーローらしくない、傲慢で身勝手なそんなことを、胸を張って言ってのける。
そんな彼女の堂々とした姿が、僕にはとても、眩しかった。
その後は、同席していた警察の人たちや、先生たち、クラスメイトたちからも色々な意見が出て……
その後はずっと、留置場に隔離させられた。みんなのことは、面会に来てくれる相澤先生から聞かされた。打倒AFOのために、訓練を続けてるって。その上で、街にいる敵やダツゴクを捕まえるために外にも出ているって。
そして僕も、相澤先生に言われた。
真希さんに言われたのと同じ。
戦え。
分かっているんだ。勝つために、戦わなきゃいけないって。戦って勝たなきゃ、償いもなにもできないってことも。
それでも、どれだけ彼らが信じてくれても……彼女らが信じてくれるほど、僕は僕が信じられなくなる。いざ戦うと決意しても、AFOの前に立てば、また同じことをしてしまうかも。
それが怖い……
AFOのことが怖い……
僕は、彼らのように煌めけない。それが怖い。
そんな僕に、相澤先生は言った。
負い目を抱える生き方はさせない。惨めで情けなくても、手を伸ばしてくれた皆と生きていけ。俺たちが守るから。
そして、そのための道は、皆で歩く道だって……
数日後のことだ。
ヒーロー科の生徒たちは、避難民を巻き込まないよう雄英を出た。
そして僕は、彼らと同じように街に出て、人を待っている。
「……来てくれてありがとう。真希さん」
「私に何か用か? 優雅?」
そこで僕は、
日本で起きた大災害。それをキッカケに起きた様々な要因から発生する敵たちの一斉活性化。誰もが目先の安全を優先し争い合う。そうして世界が大混乱に陥っている中、たった一人、圧倒的な力を持つ個人がイニシアチブを取り、世界を掌握。
晴れて彼は、世界の魔王として君臨する。
「日本がこうなったことは一つの結果に過ぎない。日本に限らず、どこか一つ、均衡を崩せればなんでも良かったんだろうね」
「よくできた話だな……それを実現できちまう力を持ってるからタチが悪りぃ。私らが止めるけどな」
「そうだね。だからこれは、最後の詰めなんだ……ごめんね。やっぱり僕は、パパンとママンの安全を守りたい」
そう言った時、上から、気配を感じた。
今までは声を聞くだけだった。直に会ったのはこれが初めてだ。
だから分かる。この、圧倒的恐怖に体が包まれる感触……
「
「間違ってはおらんが……オール・フォー・ワンとは呼んでくれんのかな?」
「優雅、テメェ――」
「よくやってくれたの、青山優雅。辛かったなぁ、友を裏切るのは」
「ええ……辛いなんてもんじゃあ、なかっよ!
叫ぶと同時に、個性『ネビルレーザー』をAFOに向かって撃った。
真希さんと合流して、お互いの演技を称え合った。僕を『洗脳』してくれた、
怖すぎてオシッコ漏れてるんだけど……がんばった。真希さんはそう言ってくれた。
「ふぅむ……嘘はついていないように思っていたが、やはりAFOのようにはいかんかったかのぉ? まあいい。罠であれ、OFAが目の前にいる。ヒーローや仲間たちは散り散りじゃ。だから、数を連れてこれた」
AFOが言った瞬間、空間から黒い泥が溢れて、そこから、死柄木、
AFOは怖い。たとえ中身が別人でも怖いものは怖い。
それでも……
「今日、
これが緑谷君が皆とは別行動を取っていた理由。
敵連合の一人、
あらゆる個性をコピーし、使いこなしてきた彼と言えど、初めての個性を使いこなすためには訓練は必須。それなりの時間を要する。だから彼らは、僕らとの圧縮訓練や、ケガ人の治療と並行しながら、ずっと訓練してきた。今日、この瞬間のために。
「なんだ、禪院真希! せっかくお揃いにしてやったのに、治っちまったのかよ!?」
「あの時の借りを返してやりてーが、テメーの相手は私じゃねぇ!!」
荼毘の炎と、轟君の氷結がぶつかった。その次の瞬間、地面から黒い檻がいくつも現れた。
それが敵たちを捕らえたけど、予想通りというべきか、簡単に壊されてる。
それでも、足止めは3秒あればいい。その3秒の間に、緑谷君が開けてくれたワープゲートに押し込む。そうして戦力を分散させる。
上手くいった。
僕は役に立てている。後は今日、彼らを倒すだけだ!
そう決意した瞬間、真希さんが、予定とは別のゲートへ引っ張られるのが見えた。
それを見つけた『ネイカ』ちゃんが、慌ててその巨大な手を、彼女が消えたゲートに突っ込んだけれど……
引っ張り出されたのは真希さんじゃなくて、
こんな感じで、大筋変わらん代わりに色々とオリ展開入れていきます。
あと、アンケートの火傷は『治せ』が多かったので治しました(安堵)。
今さらながら解説。
『竜骨』
大振りの刀。メリッサ・シールドが真希のために作った傑作サポートアイテム。
OFAの力に反応、エネルギーを蓄え、蓄積したエネルギーを峰から噴出して威力を上げる。
加えて、刃には特殊な機構が備わっていて、刃を丸めて通常の打突武器としての使用も可能。
その機能とデザインから威力と頑丈さはピカイチだが、あくまで機械剣なこともあって、純粋な切れ味に関しては本物の刀よりも劣る。
見た目は元ネタのデザインを機械寄りにした感じ。
名前は見た目の第一印象から真希が命名。