『獅子と魔法動物学者の継承者たち ―スキャマンダー家の双子とホグワーツ―』   作:夜幻

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第2話 ホグワーツ特急――双子の旅立ち

汽笛が、キングス・クロス駅いっぱいに響き渡った。

 

「出発するぞ!」

 

 レオニダスが窓から身を乗り出しそうになる。

 

「お兄ちゃん、危ないよ!」

 

 レオナが慌てて服の裾を掴んだ。

 

「大丈夫だって!」

 

「大丈夫じゃない!」

 

「レオナ、そこは僕を信じて!」

 

「信じてるから止めてるの!」

 

 そんな二人のやり取りに、近くにいたローズが笑う。

 

「二人とも、ホグワーツに着く前からそれなの?」

 

「いつものことだよ」

 

 レオニダスは胸を張った。

 

「僕たち双子だから!」

 

「双子って便利な言葉ね」

 

 ローズが呆れたように言う。

 

「でも、本当に仲いいよね」

 

 レオナは嬉しそうに笑った。

 

「うん!」

 

「だろ?」

 

 レオニダスも頷く。

 

 列車がゆっくりと動き始める。

 

 窓の外で、両親たちが手を振っていた。

 

「お兄ちゃん!」

 

「うん!」

 

「お母さんたち、見て!」

 

 二人は並んで窓際に立つ。

 

 ハーマイオニーが大きく手を振っている。

 

 レオも笑いながら手を振っていた。

 

 その隣には、見送りに来たハリーやジニー、ロンたちの姿もある。

 

 レオニダスが両手を振る。

 

「行ってきまーす!」

 

 レオナも負けじと声を上げる。

 

「行ってきます!」

 

 列車が速度を上げる。

 

 少しずつ、駅が遠ざかっていく。

 

 レオナの目に、一瞬だけ寂しそうな色が浮かんだ。

 

「……行っちゃったね」

 

「ああ」

 

 レオニダスも窓の外を見る。

 

「でもさ」

 

「うん?」

 

「ホグワーツに行くんだぞ」

 

 レオニダスが振り返った。

 

「僕たちの学校生活が始まるんだ!」

 

「……そうだね!」

 

 レオナの顔にも笑顔が戻った。

 

「楽しもう!」

 

「もちろん!」

 

 二人は拳を軽くぶつけ合った。

 

「絶対楽しいよ!」

 

「絶対!」

 

 そこへ、コンパートメントの扉が開いた。

 

「ここ、空いてる?」

 

 声の主はローカンだった。

 

 その後ろにはライサンダーもいる。

 

「もちろん!」

 

 レオナが手招きする。

 

「入って!」

 

「ありがとう」

 

 ローカンとライサンダーが座る。

 

 すると、今度はアルバスが顔を覗かせた。

 

「ここ、みんな一緒?」

 

「そうだよ!」

 

 レオニダスが答える。

 

「アルバスも入れよ!」

 

「うん」

 

 アルバスが席についた。

 

 続いてスコーピウスも入ってくる。

 

「……僕もいいかな?」

 

「もちろん!」

 

 レオナが笑う。

 

 やがてコンパートメントには、子どもたちが集まっていた。

 

 小さい頃から顔を合わせてきた仲間たち。

 

 家族同士の付き合いが長かったから、改めて自己紹介をする必要もない。

 

「なんだか変な感じだな」

 

 ローカンが言った。

 

「何が?」

 

 レオニダスが尋ねる。

 

「いつも遊んでた僕たちが、今日からホグワーツの生徒なんだよ」

 

「ああ!」

 

 レオニダスが頷く。

 

「僕もそう思ってた!」

 

「昨日まで家で遊んでたのにね」

 

 レオナも笑う。

 

 少しの間、車内が静かになった。

 

 窓の外では、ロンドンの街並みが少しずつ遠ざかっている。

 

「ねえ」

 

 レオナがみんなを見る。

 

「ホグワーツって、どんなところかな?」

 

「魔法の授業がある」

 

 アルバスが答える。

 

「それは知ってるよ」

 

「じゃあ、何を知りたいの?」

 

「全部!」

 

 レオナが即答した。

 

 レオニダスも頷く。

 

「僕も!」

 

「二人とも本当に元気だな」

 

 ライサンダーが笑った。

 

「だって楽しみなんだもん!」

 

「そうそう!」

 

 レオニダスが立ち上がる。

 

「魔法薬も、呪文学も、飛行訓練も!」

 

「あと動物!」

 

 レオナが続ける。

 

「魔法動物も見たい!」

 

「それなら父さんたちの話を聞けば?」

 

 ローカンが言った。

 

「ああ、そうだった!」

 

 レオニダスが笑う。

 

 レオの弟であるロルフは魔法動物学者。

 

 その妻であるルーナも、魔法生物について詳しい。

 

 幼い頃から魔法動物の話を聞いてきた二人にとって、魔法動物は身近な存在だった。

 

「でも、学校では自分で見つけたい!」

 

 レオナが言う。

 

「それいいね!」

 

 レオニダスが頷く。

 

「僕たちで探そう!」

 

「うん!」

 

 二人はまた顔を見合わせた。

 

 同じことを考えていたらしい。

 

「また二人で何か始める気?」

 

 ローズが笑った。

 

「もちろん!」

 

 レオニダスは即答した。

 

「僕たちは双子だから!」

 

「はいはい」

 

 ローズが苦笑する。

 

 そのときだった。

 

 コンパートメントの外から、声が聞こえてきた。

 

「お菓子はいかが?」

 

 レオナの目が輝く。

 

「お兄ちゃん!」

 

「行こう!」

 

 二人はほとんど同時に立ち上がった。

 

「待って!」

 

 ローズが呼び止める。

 

「二人とも、お金は?」

 

「あ……」

 

「忘れた?」

 

「……ちょっとだけ」

 

 レオナが気まずそうに笑った。

 

「二人とも!」

 

 ローズが呆れる。

 

 するとアルバスが笑った。

 

「僕も買うから、一緒に買おうよ」

 

「本当?」

 

「うん」

 

「ありがとう!」

 

 レオナが嬉しそうに笑う。

 

 レオニダスも笑った。

 

 列車は、さらに速度を上げていく。

 

 窓の外には、広い草原が広がり始めていた。

 

 やがて夕方になる。

 

 子どもたちはお菓子を食べながら、これから始まる学校生活について話し続けた。

 

 どの授業が楽しみか。

 

 どんな先生がいるのか。

 

 寮はどこになるのか。

 

 そして――。

 

「みんな、同じ寮になれるかな?」

 

 レオナが尋ねた。

 

「それは分からないよ」

 

 アルバスが答える。

 

「組分け帽子が決めるから」

 

「じゃあ、もし別々になったら?」

 

 レオナが少し不安そうにする。

 

 レオニダスがすぐ隣に座った。

 

「大丈夫だよ」

 

「お兄ちゃん?」

 

「僕たちは双子だろ?」

 

 レオニダスは笑った。

 

「寮が違っても、僕たちは双子だ」

 

 レオナは一瞬きょとんとした。

 

 そして――。

 

「うん!」

 

 満面の笑顔になった。

 

「そうだね!」

 

 二人は手を握った。

 

 ホグワーツで、どんなことが待っているのかは分からない。

 

 同じ寮になるのか。

 

 別々になるのか。

 

 どんな友達ができるのか。

 

 どんな失敗をするのか。

 

 まだ何も分からない。

 

 ただ一つだけ、二人には分かっていた。

 

 どんな場所へ行っても。

 

 どんな出来事が起きても。

 

 自分たちは双子だということ。

 

 そして――。

 

 二人なら、きっと大丈夫だということ。

 

「レオナ」

 

「なに?」

 

「ホグワーツ、楽しもうな!」

 

「うん!」

 

 ホグワーツ特急は夜の闇へ向かって走り続ける。

 

 その先に待つのは、魔法の城。

 

 そして、二人の新しい物語だった。

 

 

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