『獅子と魔法動物学者の継承者たち ―スキャマンダー家の双子とホグワーツ―』   作:夜幻

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第3話 ホグワーツ――双子の組分け

「……着いた?」

 

 レオナが窓の外を覗き込む。

 

「たぶん!」

 

 レオニダスも立ち上がった。

 

 窓の向こうに見えるのは、暗い駅と、ぼんやりと灯るランタン。

 

 やがて列車が完全に停止した。

 

「ホグワーツだ!」

 

 レオニダスが声を上げる。

 

「本当に着いたんだ!」

 

 レオナも嬉しそうに笑った。

 

 車内が一気に騒がしくなる。

 

 生徒たちは荷物をまとめ、次々と列車から降りていく。

 

「レオニダス、レオナ、忘れ物はない?」

 

 ローズが確認する。

 

「ない!」

 

「私も!」

 

 二人は同時に答えた。

 

「本当に?」

 

「本当!」

 

 レオナが胸を張る。

 

 レオニダスはトランクを持ち上げた。

 

「じゃあ行こう!」

 

 二人は並んで列車を降りた。

 

 冷たい夜風が頬を撫でる。

 

「うわ……」

 

 レオナが目を丸くした。

 

「寒い!」

 

「でも、なんかすごい!」

 

 駅の向こう側には、巨大な影が広がっていた。

 

 湖。

 

 森。

 

 そして、その先にそびえ立つ――。

 

 ホグワーツ城。

 

 無数の窓から明かりが漏れ、夜空を背景に堂々と建っている。

 

「……あれがホグワーツ」

 

 レオニダスが呟いた。

 

 レオナも兄の隣に並ぶ。

 

「きれい……」

 

 二人はしばらく言葉を失った。

 

 これまで写真や話でしか知らなかった場所。

 

 それが今、自分たちの目の前にある。

 

「行くぞ!」

 

 レオニダスが笑う。

 

「うん!」

 

 二人は一緒に歩き出した。

 

 やがて新入生たちは大広間へと案内された。

 

 大きな扉が開く。

 

「わあ……!」

 

 レオナの口から声が漏れた。

 

 高い天井。

 

 無数の蝋燭。

 

 そして、魔法によって夜空のように見える天井。

 

「すごい……」

 

 レオニダスも目を輝かせる。

 

 大広間には、すでに上級生たちが並んで座っていた。

 

 その視線が、一斉に新入生へ向けられる。

 

「緊張するね」

 

 ローズが小声で言う。

 

「僕は全然!」

 

 レオニダスが答える。

 

「嘘」

 

 レオナが即座に言った。

 

「さっきから手が動いてるよ」

 

「え?」

 

 レオニダスが自分の手を見る。

 

 確かに、無意識に指を動かしていた。

 

「……ちょっとだけ緊張してる」

 

 レオナが笑う。

 

「私も」

 

「じゃあ一緒だな」

 

「うん」

 

 二人は顔を見合わせた。

 

 やがて、前方に置かれた椅子へと新入生たちが並んでいく。

 

 その上には、古びた組分け帽子が置かれていた。

 

 組分けが始まる。

 

 一人。

 

 また一人。

 

 帽子が名前を呼び、寮を決めていく。

 

「次――」

 

 教授が名簿を見る。

 

「レオニダス・スキャマンダー!」

 

 レオニダスの肩が跳ねた。

 

「僕だ!」

 

「頑張って、お兄ちゃん!」

 

「うん!」

 

 レオニダスは前へ歩いていく。

 

 椅子に座る。

 

 組分け帽子が頭に被せられた。

 

 少しの沈黙。

 

 やがて帽子が動いた。

 

「ふむ……」

 

 低い声が響く。

 

「勇気がある。好奇心も強い。何より――仲間を大切にする心が強いな」

 

 レオニダスはじっと黙っている。

 

「さて、どこにするべきか……」

 

 ほんの少しの間。

 

 そして――。

 

「グリフィンドール!」

 

 大広間が大きな拍手に包まれた。

 

「やった!」

 

 レオニダスが拳を握る。

 

 グリフィンドールのテーブルへ向かう途中、レオナと目が合った。

 

 レオニダスは笑顔で親指を立てる。

 

「グリフィンドール!」

 

 口の動きだけで伝える。

 

 レオナも笑った。

 

 次々と新入生の組分けが進む。

 

 そして――。

 

「レオナ・スキャマンダー!」

 

「……私!」

 

 レオナが一歩前へ出る。

 

 兄の座った椅子を見る。

 

 そして小さく息を吸った。

 

「行ってくるね」

 

 誰に言うでもなく呟く。

 

 椅子に座る。

 

 組分け帽子が頭に乗せられた。

 

「なるほど……」

 

 帽子が呟く。

 

「明るく活発。好奇心旺盛。そして――兄を大切に思っている」

 

 レオナの頬が少し赤くなる。

 

「でも、それだけではないな」

 

 帽子が続ける。

 

「自分自身の心もしっかり持っている。誰かの後ろについていくだけの子ではない」

 

 レオナは顔を上げた。

 

「ならば――」

 

 帽子が叫ぶ。

 

「グリフィンドール!」

 

 一瞬の静寂。

 

 次の瞬間。

 

「やったー!」

 

 レオナが立ち上がった。

 

 グリフィンドールのテーブルから、大きな拍手が起こる。

 

 レオニダスは誰よりも大きく手を叩いていた。

 

「レオナ!」

 

「お兄ちゃん!」

 

 二人は笑いながら互いに駆け寄る。

 

「一緒だ!」

 

「一緒だね!」

 

 二人は思わず手を取り合った。

 

「やっぱり私たち双子だね!」

 

「だろ!」

 

 周囲から笑い声が聞こえる。

 

 その様子を見ていたローズが微笑んだ。

 

「本当に二人らしいわね」

 

 アルバスは別の寮へ。

 

 スコーピウスもまた別の寮へ。

 

 仲間たちはそれぞれ違う場所へ進んでいく。

 

 それでも、レオニダスとレオナはグリフィンドールの同じテーブルに並んで座った。

 

「これから学校生活が始まるんだね」

 

 レオナが言う。

 

「ああ」

 

 レオニダスは目の前に並ぶ料理を見る。

 

「まずは――」

 

「まずは?」

 

「食べよう!」

 

「ふふっ!」

 

 二人は笑った。

 

 大広間には、魔法の灯りが輝いている。

 

 目の前には、これから始まる新しい生活。

 

 親たちが歩んできた道とは違う。

 

 レオニダスとレオナ。

 

 二人の双子が、自分たち自身の物語を始める。

 

 その第一歩が、今、踏み出された。

 

 

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