原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
タグ:残酷な描写 クロスオーバー ベル・クラネル ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー スーパー戦隊シリーズ ゴジュウウルフ 指輪の契約内容変更 オリジナル設定
―――数ヶ月前。とある時空の果て、無数に横たわるロボットの中心にそれは立っていた。
かつて黄金に輝いていたその姿は、見る影もないほどに破損し、もはや立っていることすら奇跡とは言えない状態でそこにいた。
「テガソード……これで僕達も終わりかな」
『そうだな、ベル・クラネル……。』
そのロボ―――『テガソード』とコックピットに乗った乗り手の青年は疲労と安堵の混じった声で最後の会話を始める。
「これで、ようやく……皆のもとに行ける……。」
青年は指一本動かすのが苦しい中、右の掌を開きそのなかにある四つの指輪を見つめる。青、黄色、緑、黒の四つの指輪、そして自分の左手の人さし指にはめられた赤い指輪を見る。
―――この指輪の本来の持ち主たちの顔を思い浮かべ、青年は重くなる瞼をゆっくり閉じようとする。
『―――そう、私はここで終わりだ……。』
「えっ?」
だが、テガソードの言葉に薄れゆく意識が僅かに覚醒する。
「テガソード、今のはどういう」
青年が問いかけるよりも先にコックピット内が強い光に包まれ、次の瞬間には真っ白な空間に立ち、眼の前には自分と同じサイズになったテガソードが立っていた。
同時にさっきまで消えかかっていた体の感覚が戻ってきたことに気づく。
「テガソード……何を……。」
『私の心臓ともいえるコアリングをお前の体に埋め込んだ。これで消えかかっていたお前の命は私の力と命を薪にしてもう一度燃え上がる』
青年が胸に手を当てると、確かに先ほどまで徐々に弱くなり始めていた心臓の鼓動が、音を立てて蘇っていくのを感じる。同時にその事実に気づくのに比例してその鼓動は早く大きくなっていく。
「なに……言ってんだよ……。
戦うときは最後まで付き合うって言ったじゃないか! なのに……なのに……アンタまで僕を置いていくのか!?」
『ベル・クラネル。私はお前に数え切れない、非礼を重ねてきた
幼かったお前を厄災との戦いに巻き込み、仲間を失う苦しみを与え、勝者の願いを叶えるという約束を果たせず、そして最後には願いすら薪にさせてしまった……。』
「それはもう納得したって言ったろ!? 今更、僕一人に生きろっていうのか!? 願いすらなくした僕に!?」
『すまないとおもっている……それでも、私はお前に生きていてほしい。これが私の、最後の願いだ』
「テガ……ソード……。」
段々と輪郭がボヤケていくテガソードの姿に青年の言葉も弱くなっていく。そして、一瞬の後には消えてしまっておかしくなるほど姿が薄くなっていくテガソードが最後の言葉を青年に贈る。
『―――どうか、お前がもう一度願いを見つけられることを願っている』
―――――――――――――――――――
―――現在、ダンジョン。
「……ついてないな……。」
「フゥゥゥゥ……!」
白髪の青年は目の前で自分を睨みつけている牛頭の二足歩行のモンスター、『ミノタウロス』を見ながら自身の不運をぼやいた。
「―――いたっ……!」
そこへ遅れるように、そのミノタウロスを追いかけてきた【ロキ・ファミリア】の冒険者アイズ・ヴァレンシュタインが辿り着き、傍から見れば今まさに襲われそうになっている青年の間に入ろうとして立ち止まる。
―――青年の風貌に一瞬気を取られたのだ。
少し伸ばし気味な白髪に、前髪の隙間から僅かに漏れる紅い瞳の光、見慣れないが動きやすそうな服、だが、おかしいのは冒険者らしい装備がどこにも見つからない。
武器もなければ防具もない、あまりにも軽装が過ぎる。
しかし、その疑問は次に青年が取った行動で解消された。
―――彼は左手の人さし指から黒い指輪を取り外す。
「エンゲージ……。」
青年は左手の指輪を外すと同時に現れた、刃のついた真紅の手鋼の凹みに外した指輪を嵌め込む。
『クラップユアハンズ!!』
聞き慣れない第三者の声がダンジョンに響くと同時に、軽快な音楽が鳴り響く。
「ブモオォォォォォォ!!」
「………。」
籠手からの声が戦闘開始の合図と受け取ったのか、ミノタウロスは真っ直ぐに青年に突っ込んでいく。
対して青年はまるで路傍の石を見るように興味なさげに一瞥すると、ゆったりとした足取りでミノタウロスに歩み寄る。
「ブモオォォォォォォ!!!」
『パンッ!』
振り下ろされるミノタウロスの拳を風に流される木の葉のように軽やかに、そして確実に避ける。
『パンパンッ!』
ただ当の青年は逃げる素振りはなく、攻撃をさけるたびに軽く手拍子をうつだけ。そのたびに籠手が紅い輝きを放っている。
「………。」
「ブモォォォォォォ!!」
「っ!? 危ない……!」
突然足を止めた青年にミノタウロスは渾身の拳を振り下ろした、突然立ち止まった青年の行動に反応できなかったアイズはダンジョンに舞う砂塵に立ち尽くす。
『ウォーオオッオー!オー!』
「……また、あの声?」
再び聞こえてきた謎の声に砂ぼこりに目を凝らすと、そこには人影があった、ミノタウロスの巨腕を左手の籠手のみで受け止めている人影が。
『ゴジュウ・ウルフ!』
「………フゥーー」
砂埃が晴れ、顕になった姿は先ほどの無防備な青年ではなく、全身を黒い装甲でまとい、肩周りから胸にかけて金色の装飾、そして、狼を見立てたマスクを被った戦士がそこにはいた。
「姿が、変わった……?」
(魔導具……? それともさっきのは魔法の詠唱だった?)
「ッーーーー!」
「ブモォッ……!」
困惑するアイズをよそに黒い狼の戦士は、一瞬でミノタウロスの眼前に肉薄し、頭部を無造作に掴むとその巨体を地面に叩きつけたのだ。
(全く、見えなかった……。)
先程の静かな青年の動きからとは思えない動きに、目が追いつかなかったのは認める。しかし、それでも初動からミノタウロスが地面に叩きつけられるまでの一連の流れ全てがわからないほどアイズは自身の能力を低く見積もってはいない。
(風を纏った私より……いや、加速したベートさんより速かった……。)
「……お前じゃ、僕を終わらせられないよ」
『フィニッシュフィンガー!』
『ウルフ!』
ミノタウロスの体を見下ろしながら、狼の戦士は紅く輝く籠手の刃でミノタウロスを切り裂いた。
その一撃がミノタウロスの核である魔石を傷つけたのか、ミノタウロスの体が灰となって消え始め、戦士も元の青年の姿に戻る。
青年は消え残ったドロップアイテムであるミノタウロスの角を拾い上げると、それを懐にしまって来た方向に体を向ける。
「……帰るか」
まるで何事もなかったかのように、あるいは心底どうでもいいと言いたげにその場をあとにする。
(誰かいたみたいだけど……まぁ、どうでもいいか)
―――戦いの一部始終を見守っていたアイズをその場に残して。
「あっ、ミノタウロスのこと謝りそびれちゃった……。」
因みにベルくんの年齢は原作通り、何故育っているかは……タグを見ていただければわかるはず。因みに年齢操作ではありません。