人類滅亡攻略ノート   作:花露あかね

36 / 38
魔女よりヤバいもの

翌朝。

 

 

「…………」

 

 

学校を休んだ。

別に初めてじゃないけど、遊びに行くわけでもないのに普通に学校を休んでいることに、ちょっとだけ変な感じがする。

 

 

「コトハっち、こっち」

 

 

「あ、はい!」

 

 

カレン先輩に呼ばれて、イチカと一緒に後を追った。

今日の目的は地上だけど、その前に寄る場所がある。

 

 

◇◇

 

 

「……おお」

 

 

中に入った瞬間、思わず声が出た。

 

 

「何?」

 

 

「いや……すごいなって」

 

 

武器を作ったり、修理したりするための施設。

 

 

存在自体は知っていたけど、中に入るのは初めてだった。

 

 

壁には剣や槍、斧、大きなハンマー、鎌、杖みたいな形のものまで、いくつもの武器が並んでいる。盾もある。奥からは金属を叩く音が絶えず聞こえていて、作業着を着た人たちが何人も行き来していた。

 

 

「武器によって作る人違うからね」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

「そ。刀とハンマーじゃ全然違うっしょ」

 

 

「確かに……」

 

 

ちょっと楽しい。

 

 

昨日までは自分の武器なんて考えたこともなかったのに、一度意識すると並んでいるもの全部が気になってくる。

 

 

隣を見ると、イチカは私ほど興味がないらしく、壁の武器より奥で作業している人たちを眺めていた。

 

 

「イチカは武器、興味ないの?」

 

 

「まだ一年だし」

 

 

「私も一年だけど」

 

 

「コトハは昨日カレンに乗せられたからでしょ」

 

 

「乗せられた……?」

 

 

「乗せてないし。勧めただけだし」

 

 

カレン先輩が受付に声をかける。

 

 

「すみませーん。これ直してほしいんだけど」

 

 

持ってきた刀を渡した。昨日聞いた通り、二年生になってから本格的に使っているカレン先輩の個人武器だ。

 

 

「どれ」

 

 

受け取った人が刀を抜き、刃を確認する。

 

 

「刃こぼれしてるね。こっちもちょっと歪んでる」

 

 

「今日使いたいんだけど」

 

 

「急だな」

 

 

「無理?」

 

 

「これくらいならできるよ。少し待ってて」

 

 

「ありがと」

 

 

刀が奥へ運ばれていく。

 

 

「じゃ、待つか」

 

 

「…………」

 

 

もう一度、壁を見る。剣、槍、ハンマー。昨日カレン先輩に自分の武器も作ってみたらと言われたけど、いざ選ぶとなると迷う。

 

 

「作るんでしょ?」

 

 

「……作ってみたいです」

 

 

「じゃ聞いてきたら?」

 

 

「うん」

 

 

イチカまで普通に勧めてくる。

 

 

受付の人に声をかけた。

 

 

「あの、武器作りたいんですけど」

 

 

「新規?」

 

 

「はい」

 

 

「何年?」

 

 

「一年です」

 

 

「ああ。一年でも申請はできるよ。使うのは基本二年からだけど。何作る?」

 

 

「…………」

 

 

そこなんだよな。

 

 

並んでいる武器を見る。剣なら魔女を斬る。槍なら刺す。ハンマーなら殴る。

 

 

「…………」

 

 

昨日までなら、多分何とも思わなかった。魔女を倒すための武器なんだから、当たり前。

 

 

でも今は、あれが元々人間だったと知っている。

 

 

「どうしたの?」

 

 

イチカに聞かれた。

 

 

「……何でもない」

 

 

「そう?」

 

 

視線を動かしていくと、少し離れたところに別のものがあった。

 

 

「これも武器なんですか?」

 

 

「ん?」

 

 

指したのは、盾。

 

 

「盾?」

 

 

「はい」

 

 

「武器として使うならね。受けるだけじゃなくて、殴ったり相手を押し返したりもできる」

 

 

「…………」

 

 

盾。

 

 

「それにします」

 

 

「決めるの早いね」

 

 

後ろで見ていたカレン先輩が笑った。

 

 

「盾にすんの?」

 

 

「はい」

 

 

「珍しくない?」

 

 

「剣とか槍よりは少ないかな」

 

 

「なんで盾?」

 

 

「…………これが一番、死ななそうなので」

 

 

「そこ?」

 

 

「大事ですよ」

 

 

「まあ、それは大事だね」

 

 

イチカだけ普通に納得した。

 

 

「イチカ分かってる!」

 

 

「いや、普通に死なない方がいいでしょ」

 

 

「そうだけどさ」

 

 

カレン先輩が笑っている。

 

 

でも私にとっては、前よりずっと大事になった。

 

 

あと七回。

 

 

今までは、死んでも戻れると思っていた。

実際に何度も死んで、そのたびに次を試してきたけど、もう同じ感覚ではいられない。

 

 

職員の人に別の場所へ案内され、そこからは大きさや重さを決めていった。

 

 

飛んでいる時に邪魔にならず、それでも小さすぎて身体を守れないことがない程度。

片手で扱える重さにして、腕にも固定できるようにする。

 

 

「こんな感じかな」

 

 

「はい」

 

 

「完成は一週間くらい」

 

 

「……今日欲しいです」

 

 

「無茶言わないで」

 

 

「ですよね……」

 

 

「一週間ならすぐじゃん」

 

 

イチカは簡単に言うけど、今日使いたかった。

 

 

残念。

でも一週間後には、私の武器ができる。

 

 

「…………」

 

 

ちょっと楽しみかも。

 

 

◇◇

 

 

カレン先輩の刀を待っていると、奥の扉が開いた。

 

 

「…………?」

 

 

一瞬、何か違和感があった。作業員が刀を持ってその奥へ入っていく。

 

 

「そこから先、入らないでね」

 

 

「え?」

 

 

「灰入るから」

 

 

「灰?」

 

 

「精密加工する時に混ざると困るんだよ」

 

 

扉が閉まる。横には中が見えるガラスがあったので、何となく覗いてみた。

 

 

「何見てるの?」

 

 

イチカも横から覗く。

 

 

「なんか……違わない?」

 

 

「何が?」

 

 

「分かんない」

 

 

二人でしばらく見て。

 

 

「あ」

 

 

「?」

 

 

気づいた。

 

 

「灰」

 

 

「……ああ」

 

 

イチカも分かったらしい。

 

 

地下なら、目立たないだけで空気中にはいつも細かい灰が漂っている。でも、あの部屋にはほとんど見えなかった。

 

 

「あそこ、灰ないんですか?」

 

 

「ないよ。加工中だけ除いてる」

 

 

「どうやって?」

 

 

「設備で空気から抜いてる」

 

 

「へえ……」

 

 

そんなことできるんだ。

ガラスに少し近づいて見ても、やっぱり灰はほとんど見えない。

 

 

「抜いた灰ってどこに行くんですか?」

 

 

素朴な疑問を抱いた。

 

 

「ああ、回収したやつ? 処理設備」

 

 

「処理?」

 

 

「そのまま溜めとくわけにもいかないからね。集めた灰を分解して、無害な状態にする」

 

 

「…………」

 

 

今、結構すごいこと言わなかった?

隣を見ると、イチカも少し驚いた顔をしている。

 

 

「灰って、なくせるんですか?」

 

 

「できるよ。ものすごく効率悪いけど」

 

 

「効率?」

 

 

「灰を空気から集めて、それを浄化するのにかなりエネルギー使うんだよ。だから、こんな特殊な加工室くらいでしか使わない」

 

 

そこへ別の職員が通りかかった。

 

 

「まだ除灰回してる?」

 

 

「刀終わるまで」

 

 

「今日もう使用量結構いってるよ」

 

 

「仕方ないだろ。途中で止められないし」

 

 

「…………」

 

 

そんなに使うんだ。

もう一度、ガラスの向こうを見る。灰のない部屋。

 

 

これをもっと大きくできたら。

 

 

「…………」

 

 

地上の集落。ミカゲ。リオ。灰を吸わないようにしていた人たち。

 

 

これを地上でいっぱい使えたら、灰を空気から除いて、集めた灰までなくせるなら、地上の人たちは灰で苦しまなくて済む?

 

 

「コトハ」

 

 

「何?」

 

 

「多分、今考えてること無理だよ」

 

 

「…………まだ何も言ってないんだけど」

 

 

「顔見れば何となく分かる」

 

 

「そんなに?」

 

 

「うん」

 

 

イチカがガラスの向こうを見る。

 

 

「こんな小さい部屋だけで、あれだけエネルギー使うんでしょ?」

 

 

「……うん」

 

 

「地上全部でやったら、どれだけ必要なんだろうね」

 

 

「…………」

 

 

同じこと考えてた。

 

 

それに、地下はこれからも灰を使う。

 

 

地上にある灰を減らせたとしても、地下で使っている灰そのものがなくなるわけじゃない。地下が使い続ける限りまた増えるなら、これだけで戦争を止めるのは難しい。

 

 

「……やっぱ無理か」

 

 

「今のままじゃね」

 

 

「そっか……」

 

 

使えそうだと思ったんだけどな。

 

 

「カレンさん、終わったよ」

 

 

「お」

 

 

刀が戻ってきた。

 

 

カレン先輩が鞘から抜いて刃を確認し、周りに何もないのを見てから何度か軽く振る。

 

 

「おー、綺麗。うん、大丈夫そう」

 

 

「じゃ、気をつけて」

 

 

「ありがとー」

 

 

これで準備は終わり。

 

 

「じゃ、行こっか」

 

 

◇◇

 

 

「……こっち」

 

 

前の時間、ミカゲと一緒に通った道。正規の地上門とは全然違う場所にある。

 

 

「本当にこっち?」

 

 

イチカが周囲を見ながら聞く。

 

 

「多分」

 

 

「多分なんだ」

 

 

「一回しか通ってないので……」

 

 

「コトハっち、大丈夫?」

 

 

「多分……」

 

 

「二人とも不安になること言うのやめて」

 

 

「大丈夫!」

 

 

「今の大丈夫も怪しいけど」

 

 

イチカまで疑ってる。

 

 

でも、覚えてる。

ここを曲がって、次は狭いところ。その先。

 

 

「…………あ」

 

 

「何?」

 

 

「ここ!」

 

 

見つけた。

 

 

「本当にあった」

 

 

「だから言ったじゃないですか!」

 

 

「多分って言ってたじゃん」

 

 

道を進む。前はミカゲについていっただけだったけど、今度は私が二人を連れていく。

 

 

少し不安だったものの、道は思ったより覚えていた。

そして、地上へ出る。

 

 

「…………」

 

 

空。

 

 

久しぶり。

前の時間では、ここで地上人類のふりをして生活した。でも今回は違う。

 

 

「で、どっち?」

 

 

イチカが周囲を見る。

 

 

「カレン先輩」

 

 

「んー……あっちかな」

 

 

「かなって曖昧な......」

 

 

「だって前来たの結構前だし」

 

 

「大丈夫ですか……?」

 

 

「行けば分かるって」

 

 

◇◇

 

 

分からなかった。

 

 

「この辺だったと思うんだけど」

 

 

「いないですね」

 

 

「そりゃずっと同じ場所にいるとは限らないでしょ」

 

 

「それはそうだけど……」

 

 

「そもそも生き物なら移動するでしょ」

 

 

イチカが地面を見ながら言う。

 

 

「前にいた場所を探すより、何か痕跡探した方がよくない?」

 

 

「痕跡?」

 

 

「足跡とか。カレンが言うほど大きいなら、何か残ってそう」

 

 

「あー、確かに」

 

 

それからは三人で周辺を調べた。

地面。壊れた建物。草。何かが通った跡。

 

 

でも、どれがあの化け物のものなのか分からない。

 

 

「…………」

 

 

しばらくして。

 

 

「コトハ」

 

 

「何?」

 

 

少し離れたところにいたイチカが、地面を指していた。

 

 

「ここ、灰多くない?」

 

 

「…………あ」

 

 

周りより、明らかに粉が積もってる。

カレン先輩も寄ってきてしゃがみ込む。

 

 

「ほんとだ。前見た時も、あいつの周りこんな感じだった」

 

 

「じゃあ、近くにいる?」

 

 

「少なくとも、ここ通った可能性はあるんじゃない?」

 

 

「追ってみよ」

 

 

そこからは、灰が多い場所を探して進んだ。

 

 

途中で途切れると三人で周囲に散り、また白く積もった場所を見つける。最初は本当にこれで合っているのか不安だったけど、奥へ進むほど灰の量は少しずつ増えていった。

 

 

「……多くなってるよね」

 

 

「うん」

 

 

「近いかも」

 

 

自然と声が小さくなる。

 

 

風が吹いた。

灰が舞う。

 

 

その向こうに。

 

 

何かがいる。

 

 

「…………あ」

 

 

カレン先輩が止まった。

 

 

「何ですか?」

 

 

返事がない。

イチカも同じ方向を見て、動きを止めた。

 

 

私も視線を向ける。

 

 

「…………」

 

 

大きい。

 

 

最初は、それしか思えなかった。

魔女よりずっと大きい。六メートル、いや七メートルくらいあるかもしれない。

 

 

身体は黒く、灰色の装甲がある。そこだけなら魔女に似ている。

 

 

でも、違う。

 

 

灰色の部分が多すぎる。大きすぎる。

 

 

装甲が身体を覆っているというより、肥大化した灰色の塊が、黒い身体の輪郭そのものを歪ませていた。

 

 

「……あれ」

 

 

カレン先輩が小さく言う。

 

 

「前に見たやつ」

 

 

「…………あれが?」

 

 

イチカも、前に聞いた話から想像していたものとは違ったのか、しばらく黙って見ていた。

 

 

そして。

 

 

灰。

 

 

あの身体から、ずっと出ている。

歩くたびに灰が落ちて舞い上がり、周囲を白くしていた。

 

 

「…………すご」

 

 

「近づかない方がいい」

 

 

イチカが言うと、カレン先輩も珍しくすぐ頷いた。

 

 

「うん。とりあえず見るだけ。あーしも前はそれで帰ったし」

 

 

距離を取ったまま観察する。

 

 

「何してるんだろ」

 

 

「歩いてるだけに見える」

 

 

イチカは化け物だけでなく、その周囲にも視線を動かしていた。

 

 

「近くに他のはいなさそう。でも……灰、身体から出てる?」

 

 

「多分」

 

 

巨大な身体が一歩動く。そのたびに、肥大化した灰色の装甲から細かな灰がこぼれ落ち、足元から舞い上がっていた。

 

 

「…………」

 

 

なんで、あんなに出るんだろう。

あれが地上の灰と関係ある?

 

 

もう少しよく見ようとした、その時。

 

 

「……風」

 

 

イチカが言った。

 

 

風向きが変わり、大量の灰がこちらへ流れてくる。三人とも咄嗟に顔を覆った。

 

 

「口閉じて」

 

 

「んっ」

 

 

灰が通り過ぎる。

 

 

「あれ?」

 

 

「何?」

 

 

「止まってる」

 

 

見ると、さっきまで歩いていた巨大な何かが動きを止めていた。

ゆっくりと身体の向きを変える。

 

 

こっちへ。

 

 

「……見つかった?」

 

 

カレン先輩が刀へ手をかけた。

次の瞬間、地面が揺れた。

 

 

「来る!」

 

 

あの巨体からは想像できない速さで、一気に距離が縮まる。

魔女でもこんなに早くない。

 

 

「二人とも下がって!」

 

 

カレン先輩が刀を抜いて前へ出た。私とイチカは翼を出し、後ろへ飛ぶ。

 

 

直後。

 

 

ガンッ!!

 

 

刀と巨大な腕がぶつかり、カレン先輩の身体が弾かれた。

 

 

「カレン!」

 

 

「平気!」

 

 

すぐに立て直して、今度は灰色の装甲を斬る。

 

 

でも。

 

 

「硬っ……!」

 

 

刃が入らない。

 

 

「カレン、右!」

 

 

イチカの声でカレン先輩が飛び退く。直後、巨大な腕が地面を抉った。

 

 

「カレン先輩、もう戻って!」

 

 

「今戻る!」

 

 

カレン先輩がこちらへ走り出す。

その時。

 

 

「……待って」

 

 

イチカが化け物を見る。

 

 

灰色の装甲が、不自然に膨らんでいた。

 

 

「カレン! そこ離れて!」

 

 

「え?」

 

 

ブワッ!!

 

 

一瞬で、視界が灰色に染まった。

 

 

「カレン!」

 

 

「カレン先輩!」

 

 

何も見えない。

 

 

「コトハ、翼!」

 

 

「あ!」

 

 

二人で翼を動かして風を起こす。何度か繰り返すと、少しずつ灰が流れていった。

 

 

「……最悪」

 

 

「!」

 

 

灰の向こうから、全身真っ白になったカレン先輩が出てくる。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

「平気。口入ったけど」

 

 

何度か咳をしている。でも、普通に立ってる。

よかった。

 

 

「あれ以上調べるのは無理。戻ろ」

 

 

イチカが言う。

 

 

「賛成。場所も分かったし、今日はもう十分っしょ」

 

 

三人でその場を離れる。

 

 

十秒。

 

 

二十秒。

 

 

「……カレン?」

 

 

イチカが止まった。

 

 

少し前を歩いていたカレン先輩が、自分の手を見ている。

 

 

「何か……変」

 

 

「え?」

 

 

手の甲に、灰色の何かが浮き出ていた。

 

 

「まだ灰付いてるんじゃない?」

 

 

「……取れない」

 

 

擦っても落ちない。

 

 

灰じゃない。

皮膚そのものから、灰色の何かが盛り上がっている。

 

 

「何、それ……」

 

 

「分かんない。っ……!」

 

 

カレン先輩が腕を押さえた。

 

 

「カレン!」

 

 

「痛っ……何これ……」

 

 

灰色の部分が、一気に腕へ広がっていく。

 

 

「…………」

 

 

見たことがある。

さっきの化け物と同じ。灰色の装甲。

 

 

「え……」

 

 

「なんで……?」

 

 

「っ、あ……!」

 

 

カレン先輩の身体が大きく揺れた。

 

 

「待って、何これ……っ!」

 

 

「カレン!」

 

 

「来ないで!」

 

 

駆け寄ろうとしたイチカが止まる。

 

 

「でも!」

 

 

「何か分かんないから! 来ないで!」

 

 

灰色の装甲が腕から肩へ、身体中へと広がりながら肥大化していく。それと一緒に、カレン先輩の身体まで大きくなっていった。

 

 

「何これ……何、これ……」

 

 

「カレン……」

 

 

イチカの声が震える。

カレン先輩が何か答えようとした。でも、もう声にならなかった。

 

 

黒い身体。

 

 

肥大化した灰色の装甲。

 

 

身体の輪郭そのものが歪んでいく。

 

 

「…………」

 

 

さっき見た。

 

 

六メートルも、七メートルもあった。

 

 

あれ。

 

 

「……嘘」

 

 

数十秒。

 

 

それだけだった。

 

 

そこに、カレン先輩はいなかった。

 

 

代わりに立っていたのは、さっきまで遠くから観察していたものと同じ、巨大な灰色の化け物。

 

 

「…………」

 

 

理解できない。

 

 

ほんの少し前まで、普通に話していた。

 

 

「…………は?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。