黒ウサギ「変わりません!!」
十六夜「変わります!」
黒ウサギ「変・わ・り・ま・せ・ん!!!」
踏みしめた足が大地を砕く。第三宇宙速度に匹敵する速度で駆けた十六夜の拳は縁へと向けられていた。対する縁は空気の壁を突き破る拳を平手で迎え撃つ。ぶつかり合う両者の力は周囲へと拡散し、発生した衝撃波は周囲を吹き飛ばし、大気を震わす。
そして十六夜は森林へと吹き飛ばされ、縁は大河へと突っ込んだ。
(どういう……ことだ!?)
河に突っ込んだ縁にダメージは無い。だが愕然とした。
これまで縁は自身の《力》に抗い、打ち破るほどの存在を見た事が無かった。そもそも、人間の腕力で突破されるようなものでもない。だが現に、十六夜は縁が生み出した《力》をその身一つで突き破り、この身を吹き飛ばして見せた。これは縁にとって未知の経験である。
(あらゆる修羅神仏が集う世界……成程、あの馬鹿ウサギもトンでもねー所に連れてきてくれたもんだ!!)
この時、縁の思考から手加減という言葉が消えた。
『既に気付いていらっしゃるでしょうが、皆様は普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵でございます!』
そんなことを言っていた黒ウサギの言葉を思い返す。つまり残りの女子2人を含め、目の前の青年も尋常ならざる《力》を持つ怪物だという事だ。その詳細は一切不明だが、己の《力》を押し返したのは紛れもなくギフトによるものだろう。全力で迎え撃たなければ、やられるのは自分だ。
―――獅子尾縁はまだ死ぬわけにはいかない。
大河に流れる数千トンもの膨大な水が縁の頭上、何も無い様に見える空間に吸い上げられる。押し固められ、小さな惑星のように肥大化した水球は薙ぎ倒された木々の先―――十六夜に向けて弾きだされた。
「ク……ククク……!ハハハハ……!」
その一方、逆廻十六夜は笑っていた。口角を上げ、抑えきらない歓喜が口から漏れ出していた。吹き飛ばされ、木々を圧し折りながらブレーキがかかったため、服は泥と木片で汚れているというのに。
「良いぜ……やるじゃねぇか、最高だ!!俺はこういう展開を待ってたんだよ!!」
獣のようにギラギラと光る瞳で立ち上がる。
『この世界は……面白いか?』
十六夜は黒ウサギに聞いた
『YES!『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪』
黒ウサギはそう保障した。それは決して間違いではなかったと確信する。こんなにも早く、己の退屈な日常を満たすに相応しい好敵手と出会えたのだから。
木々を吹き飛ばしながら襲い掛かる水球を見やる。数千トンもの水を押し固めて弾きだされた巨大な水の砲弾が十六夜に襲いかかる。それを見た十六夜は歯を剝き出しにして笑い―――
「しゃらくせぇぇぇっ!!!」
殴った。何の捻りも無い殴打が激流を逆に呑みこむ。十六夜は回避も防御も取らず、人智を遥かに超えた力を持って真正面から水球を捻じ伏せた。爆散し、ただの水流と化したのを見て笑みを浮かべる十六夜。すかさず縁に向かって跳躍しようとする。
「なっ!?」
だがそれは叶わなかった。
真上から圧し掛かる圧倒的な重量……否、どちらかと言えば十六夜の体が途方もない力で地面へと吸い寄せられていて、足を地面から離す事が出来ない。
その《力》の影響を受けているのは十六夜だけではない。周囲の木々は押し潰され、地面は深く陥没している。全身がメシメシと音を立て、全身の血液が下へ下へと集まっていくのが分かる。少しでも踏ん張る力を緩めれば十六夜は地面に触れ伏し、周囲の木々と同じ運命を辿るだろう。
―――それでも
「―――オォラァッッ!!!」
逆廻十六夜は止まらない。獰猛な笑みを浮かべ、力任せに力場から飛び出した。
「嘘だろっ!!?」
今度は縁が驚く番だった。捉えていた筈の十六夜は視界から消えた。力場から飛び出した十六夜は地面を踏み割り、かつてないほどの速度で駆けだした。第三宇宙速度に匹敵する速度で距離を詰めた十六夜は、縁が動き出す前に彼の腹部を蹴り飛ばした。
「ごばっ!!?」
途方もない力で蹴り飛ばされ、後方へと吹き飛ばされる縁。だがその体は地面と接触する前に、何も無い中空で急停止する。血の一滴も吐きださず、難なく体勢を整えた縁を見て、十六夜は短く口笛を吹いた。
「オイオイ……今のは結構本気だったんだけどな。ヤハハ、ピンピンしてらぁ」
「冗談キツイっての、こちとらメチャクチャ痛いってのに」
そう言いながら、さして苦しそうにもしていない縁を見て、十六夜はより嬉しそうに破顔した。元居た世界で自分の蹴りを耐えた―――否、自分の攻撃を防御したものなどいなかった。
「そいつは悪かった。……ところで、さっきの手応えが妙だったんだが――――――お前、蹴り飛ばされる直前に
「―――――」
縁は何も答えない。十六夜は笑みを浮かべる。
「沈黙は是なりだぜ?……なるほど、今までお前が見せたギフトは重力操作に、引力と斥力の制御ってところか。〝箱庭〟風に例えるなら、地球の恩恵ってところか?」
ものの見事に言い当てられた。やはり十六夜は唯者ではない、たったあれだけのやり取りで冷静に分析して見せた。先ほどの十六夜の蹴りも、その重みに浮力を与えて極限まで軽くしたのだ。でなければ、縁の上半身は消し飛んでいただろう。他にも、水球は引力と斥力を駆使し、森林や大地を押し潰した力は重力によるものだ。
「それが分かって、お前が勝つ理由にはならねーけどな」
「ククク、そりゃそうだ。にしてもトンでもねーギフトだな、ペシャンコになるかと思ったぜ!」
「いや、お前が言えた事じゃねーからな?その力を力任せにぶち破るとか、人間に出来る事じゃねーからな?」
「お互い様ってか?」
世間話でもしているようだが、2人の間に充満しているモノは純然たる殺意。それこそ、森の幻獣たちが恐れて逃げ出してしまうほどの。会い見えた強敵を前にして、2人は周囲に対する考慮を忘れた。
灼熱した思考回路が導く答えは、『相手を完膚なきまで破壊する』こと。十六夜は拳を握りしめ、縁は意識を集中させる。
「くたばれ、逆廻十六夜」
「死にやがれ、獅子尾縁」
戦いの決着、2人の問題児がぶつかり合おうとした瞬間――――
「御二人とも―――――!!お止め下さ――――――――いっ!!!」
ふと、そんな声が森林に木霊する。振り返ったその先には、淡い緋色の髪の黒ウサギが力一杯叫んでいた。
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「御二人はお馬鹿ですか!?いいえ、お馬鹿です!!」
「ヤハハ」
「馬鹿って言うな。次言ったらシバくからな?」
「いいえ!!今回ばかりは黒ウサギの堪忍袋の緒も切れました!!」
激戦の最中、急いで駆け付けてきた黒ウサギに止められ、十六夜と縁は現在進行形でお説教を受けていた。尤も、当の本人たちには反省の色は無く、縁にいたってはちょっと逆ギレしてくる始末なのだが、頭に血の上った黒ウサギは止まらない。
「だいたい、何をどうすればここまで自然破壊をなせるのですか! 道中ではユニコーンが木々の下敷きになっていて、森の賢者様方からは『助けてくれ、化け物が出た』と泣きつかれて、急いで来てみれば蛇神様は伸びていて、更に御二人様は周囲の事などお構い無しでお暴れになられて! 何がありましたらこんな災害地になるのですか!!」
「蛇を蹴り飛ばしたのは十六夜だぞ?」
「自然破壊は縁だぜ?」
「黙らっしゃい!!」
バシンッ!!と、何処からか取り出したハリセンが2人の頭に炸裂する。十六夜は笑って流し、縁もまたやり過ぎたと思ったので甘んじてそれを受けた。ツッコミで息を切らしながら、黒ウサギは内心では感動していた。
(これはどうやら一癖どころか十癖ぐらいある問題児様のようですが……実力は本物のようですね。人類最高クラスのギフト保持者……もしかしたら、私達のコミュニティ再建も、夢じゃなくなるかもしれません!)
二人の実力はまだ見ていないが、大地が抉れたような爪痕を残すほどの力。きっととてつもないギフトに違いない。後は、縁を説得してこの世界に残るようにしなければ。
「おい、どうした?あんまりボーっとしてると胸とか脚とか揉むぞ?」
「え、きゃあ!?」
背後に移動した十六夜は黒ウサギの豊満な胸に、ミニスカートとガーターベルトの間の内股に手を伸ばしていた。押しのけて飛び退く黒ウサギは感動も忘れて叫ぶ。
「貴方はお馬鹿です!?二百年守ってきた黒ウサギの貞操に傷をつけるつもりですか!?」
「二百年って……お前若作りにも程があるだろ?見た目若くても中身婆さんかよ。その格好も年齢考えた方が良いんじゃね?」
「ひ、酷い!?心外です!!月のウサギの寿命は人間よりずっと長いので、黒ウサギの肉体年齢も精神年齢も縁さんとさして変わりません!」
〝箱庭〟におけるウサギという種は総じて容姿端麗、天真爛漫で献身的に加えて不老長寿とどこかの誰かの願望を詰め込んだ生物である。そんな彼女を狙う賊は腐るほど居たし、褒め称える人々は掃いて捨てるほど居た。だが生まれてきて二百年、ここまで露骨に胸や足に接触しようとする変態は居なかったし、ここまでメッタクソに言ってくる男も居なかった。もはや月のウサギのプライドはズタボロである。
だが何時までも落ち込んでいても仕方がない、黒ウサギは気を取り直して話を進める。
「まぁいいです。経緯はどうであれ、こーんな大きな水樹の苗を手に入れられたのですから♪」
上機嫌に苗を抱える黒ウサギ。元は十六夜が蹴り飛ばした蛇神のギフトで、十六夜が体よく脅し取ったのだ。縁はよく分からなかったがその苗はこの世界で水源にもなる貴重な物らしい。だが水源が手に入ったと言って、それほど喜ぶものなのだろうか?水が豊かな日本育ちである縁には理解しきれない感覚であった。
「さぁ御二人様、そろそろ黒ウサギ達のコミュニティへと」
「待てよ」
何気なく2人をコミュニティへと導こうとした黒ウサギの前に十六夜が立ち塞がる。
「……な、なんでしょうか十六夜さん。怖い顔をされていますが、何か気に障る事ことでも?
「まだるっこしいのは止めだ、いい加減隠し事は無しだぜ黒ウサギ。お前、そもそも何で俺達を呼び出す必要があったんだ?」
空気が固まった。
十六夜の表情が何時もの飄々とした物でなく、真剣な眼差しとなったことが、更にそれを実感させる。黒ウサギは思わず顔を引き攣らせ、縁は状況が呑み込めなかったが、雰囲気を察して黙していた。
「それは……先ほども言いました通り、十六夜さん達にオモシロオカシク過ごしてもらおうと」
「あぁ、そうだな。俺は大絶賛〝暇〟を大安売りしてたわけだし、他の2人も異論が上がらなかったってことは箱庭に来る理由があったんだろうよ」
『でもなぁ』と、十六夜は視線を縁へと向ける。
「だったらなんでコイツは呼ばれたんだ?察するに、コイツにはこの世界に来る理由は無かったみたいじゃねぇか。もしお前が言う事が本当なら、さっさと帰してやればいいだろ。お前の言うオモシロオカシイ事に用が無いってんならな」
「……で、ですから」
「だというのにそれらしい動きは全部後回し。ひょっとして有耶無耶にしようって魂胆なんじゃないのか?そして何より、俺には黒ウサギが必死に見える」
必死に反撃の糸口を探していた彼女の口が苦しそうに閉ざされ、心苦しそうに縁へと視線を向けた。その先で彼が眉間に皺を寄せて、険しい顔をしているのが分かると、より一層身を縮こまらせた。その様子が十六夜の推測を確固たるものとした。
「これは俺の勘だが、お前たちのコミュニティは弱小のコミュニティか、酷く衰退した組織なんじゃないのか?だから俺達は組織を強化するために呼ばれた。そう考えれば今までの行動も合点がいく。――――どうよこの推理。100点満点だろ?」
黒ウサギは内心で猛烈に舌打ちした。この時点でそれを知られてしまうのは余りに手痛い。しかも、自分が騙していた縁の前でばらすことによって、逃げ道を塞がれてしまった。これ以上2人の心境を悪化させては、苦労してまで呼び寄せた2人の大戦力をみすみす手放す事となる。
「……真実を話せば、協力していただけますか?」
「まぁ、俺は面白ければなんだっていい。コイツはどうか知らんが」
「…………」
さきほどから何も言わず、厳しい視線で黒ウサギを見るばかり。恐らくは話すか話さないかで今後を判断するのかもしれない。
「……分かりました。それではこの黒ウサギ、お腹を括って精々オモシロオカシク我々のコミュニティの現状を語らせて頂きます」
要約すると、こういう事だ。
黒ウサギが所属するコミュニティには、呼ぶべき〝名〟が存在しない。
加えてコミュニティの領地を示す〝旗印〟も存在せず、かつて盛況だった頃に中核を成していたメンバーは誰一人としておらず、現在残されているのは123人の子供、ギフトゲームに参加できるギフトを持っているのは黒ウサギと、11歳の少年であるリーダーのジン=ラッセルという者だけだという。そんな子供がリーダーを務める時点で相当危うい状況であるという事が理解できる。このような窮地に陥り、さらにゲームに参加できる者も少ないことから、彼らは侮蔑をこめて〝ノーネーム〟と呼ばれている。
「で、どうしてそうなったんだ?黒ウサギのコミュニティは託児所でもやってるのか?」
「いいえ、彼らも親を奪われたのです。箱庭を襲う天災――――――魔王によって」
黒ウサギの話によれば、魔王とは〝主催者権限〟という特権を持った修羅神仏で、ギフトゲームを挑まれたが最後、絶対に断ることができないのだという。その魔王に強制参加させられた彼女達は、仲間も、誇りも、コミュニティとして活動していくために必要な全てを奪われたのだ。
「……けど名前も旗印も無いんじゃ不便な話だな。いっそのこと潰して新しく作っちまえばいいんじゃねえのか?」
「そ、それはそうですが…………ですがそれでは駄目なのです!改名するということは、以前あったコミュニティを完全に解散することを意味しています。私達は何よりも、仲間が帰ってくる場所を守りたいのです……!」
それは黒ウサギが縁達に初めて口にした掛け値の無い正真正銘の気持ち。魔王とのゲームで奪われた仲間が帰ってくる場所を守るため、彼女は周囲に蔑まれようとも、初対面の異界の住人を騙す事になろうとも、歯を食いしばって必死に生きてきた。
「茨の道であること……自己満足だということは分かっています。でも私達は、いつか帰ってくる仲間の居場所を守りつつ、コミュニティを再建し……何時の日かコミュニティの名前と旗印を魔王から取り戻したいのです!その為には御二人の様な強大な力を持つプレイヤーに頼る他ありません!どうかその力、我々のコミュニティの為にお貸しして戴けないでしょうか……!?」
必至に頭を下げて懇願する。そんな黒ウサギの心中は気が気でなかった。
(ここで断られたら……私達のコミュニティはもう――――――!)
こんな事になるのなら、初めから素直に話しておけばよかった。2人のたった一言で運命が決まる。断られたら、自分を信じて待っているジンや子供達になんと詫びればいいのだろうか。
「――――いいな、ソレ」
芳しい返事を得られた。
その喜びに、思わず黒ウサギは顔を上げる。
「本当ですか!?」
「ああ、俺は構わねえよ。そんなに強い奴らと闘えるってんだから。だが、そいつからの返答は貰ってないぜ?」
縁を親指で指す。黒ウサギの話をしてから、険しい顔じっと黙ったままだった。十六夜という強大な戦力を確保できたことに思わず喜んでしまったが、まだ関門を突破したわけではない。黒ウサギは固唾を呑んで、改めて問うた。
「……縁さん、如何でしょうか?」
不安に揺れる声。縁はハァと、息を吐いた。
「つまり、初めから帰す気どころか帰す算段も無く、俺を騙す形でお前が言った通りの自己満足の駒にしようとした、と」
投げかけられた言葉は、槍のように黒ウサギの良心を抉った。それほど衰退しているのなら、元の世界に送る当てもないのだろう。何も言い返しようのない事実に、俯いて震える事しかできない。
「無理矢理この世界に連れてきておいて、事情を説明するどころか騙しておいて、今更協力してくれなんて虫が良すぎやしねぇか?」
こちらの事情を考慮せず、帰る方法も用意しなかった黒ウサギのしたことは不義理極まりないことだ。おまけに事情も説明せず、それらを有耶無耶にして協力させようとしたのだから尚更だ。伝わってくる拒絶の意志。縁の言葉を噛み締めながら、黒ウサギは苦しみながらもう一度深く頭を下げた。
「これまでの非礼の数々、お詫びもうしまず。私の事をどうしてくれても構いません、ですからどうかお願いします……!」
ふと、かつて見た誰かの姿が黒ウサギの姿と被って見えた。その必死に誰かの縁を繋ごうとしている姿を、必死に誰かに手を伸ばすその姿が縁の胸中に懐かしさと共に去来する。
―――あの時伸ばした手は、ものの見事に弾かれてしまった。
どういう訳か、腹立たしいことに縁は黒ウサギの想いを理解してしまった。どんな事をしてもコミュニティを守りたい。その想いは確かに届いていた。
「だったらさっさと案内しろよ、そのコミュニティに。魔王とやらを倒す算段は用意してんだろうな?」
「……へ?」
黒ウサギは自身のウサミミを疑った。呆然と立ち尽くす彼女に縁は頭を掻きながら面倒臭そうに言い捨てた。
「勘違いすんじゃねーぞ?正直に言って、俺も無理矢理元の世界に戻ってまでやることが無いから、仕方なく、仕方なくお前らに協力して飯と寝床を確保しようてだけだからな?別にお前等の為に、魔王討伐に協力する訳じゃないんだからな?」
顔を背け、プルプルと震えながら『ツンデレ……!』と声を殺しながら笑う十六夜と、ツーンという擬音が聞こえてきそうなほどに、ぶっきらぼうに顔を背ける縁。その頬は若干赤くなっているようにも見えた。
「ただし、箱庭の方が元の世界より格段に面白いってんなら、お前が俺を満足させてみろ。それが条件だ」
「え……え?つまり縁さんは……黒ウサギのコミュニティに入ってくださるのですか!?」
「さっき言った事さえ守ればな」
「――――」
黒ウサギはしばらくの間、ブルブルと身体を震わせて、
「ありがとうございます――――――っ!!!」
突如、縁に正面から抱き付いた。
「どわっ!?」
が、ここでまたしても要らない
「って、きゃああああっ!?え、縁さん!!しっかりしてください!!」
ドクドクと頭から血を流す縁の体を必死に揺さぶる黒ウサギ。その願いが届いたのか、縁はムクリと上半身を起こし――――
グワシ、と黒ウサギの素敵耳を根っこから鷲掴みにした。
今再び蘇る
「いい加減にしろ、この駄目ウサギがあああああああああああああああああ!!!!」
「ご、ごめんなさ――――い!!!」
縁の怒号と黒ウサギの悲鳴が周囲に木霊する。その後、縁の手によって黒ウサギのウサミミが小一時間引っ張り回されるのであった。
感想お待ちしております。オリ主のギフトへの冷静なツッコミは無しの方向でお願いします。