東方幻想譚 〜上条当麻の冒険〜   作:ぴょんぴょん

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お久しぶりです。
投稿が遅れた件については深くお詫び申しあげます。


束の間の休息。

 上条が幻想郷にやってくる少し前。

ステファン=マグヌスは考えていた。

(なんとか脱獄したのはいいけれど…。本当にこんな場所に〝アレ〟はあるのかしら?)

彼女は今、日本のとある山にある神社に張り巡らされた結界を破り、幻想郷に入った所だ。

(でもまぁ、紫ったら、こんな所に魔術師でさえも感知出来ない結界を作るなんて…。アレイスターに聞いていなければ分からなかったわね。…そんなことより、早く探し出さないと。とりあえず、人が多い所で…。)

 

 

(お楽しみの時間と……行きましょうか!)

彼女は不気味な笑みを浮かべながら、人里へと足を進めた。

 

 

 

 

 「じゃあ、私はそろそろ帰るとするか!」

魔理沙はそう言って、玄関で靴を履き始める。

「私たちも帰るか…。」

「里を片付けないといけませんしね…。」

「それなら私も手伝うよ。」

魔理沙に続き、他の三人も靴を履き始める。

「四人とも、また明日な!」

俺は四人を玄関まで見送る。霊夢はお茶の片付けをすると言って、中に残ったままだ。。

「あぁ、また明日な。」

魔理沙が言い、四人は各々の場所へと帰って行った。

 さて…。世話になるんだ、夕食くらい作らないとな…。丁度さっき買ったカレーの具材があるからな…、それで作ろう。そう思い、俺は台所がありそうな場所へ行く。

多分ここだろう。霊夢がお茶を出してきたのは、多分この辺りのはずだ。

「おーい、霊夢…飯作るの手伝…」

俺は最後まで言うことができなかった。俺が入ったのは、明らかに台所ではなかった。霊夢が服を脱ぎ、上半身サラシ姿になって着替えようとしていた事から、おそらく霊夢の部屋なんだろう…。

俺は今までの経験から、とっさに身構える。こういう状況なら、確実に電撃や噛み付き、頭つきが飛んでくるからだ。

「アンタ…何勝手にはいってんのよ?」

「ごめんなさい!夕飯作るのを手伝おうと思って台所を探していたんだよ!だから勘弁、痛いのは…!」

俺は目をつぶりながら言う。

「はぁ?なんで私がそんな事するのよ?」

「いやだって、着替え中だったろ?」

「はぁ…。……そんな事で、私がいちいち怒ると思う?減るもんじゃないし…。面倒くさいだけじゃない…。台所はこの部屋の向かいにあるわ。」

霊夢が呆れながら言う。

どうやら霊夢はかなりの面倒くさがりらしい。

本当に、ここの人たちは変わってるな…。と、思いながら俺は言う。

「あ、あぁ、分かったよ。ありがとう。」

そして、さっさと襖を締める。

良かったような、なんか拍子抜けしたような…

ま、それは置いておいて…俺は夕食作りに専念するか…,。

と、霊夢に言われた通り、向かいの部屋に入る。

 入ってびっくりしたのは、炊飯器やトースターなどがなくて、代わりに釜戸があるということだ。冷蔵庫も、氷で冷やすタイプの、ずいぶん昔の物だ?

「釜戸って…。いつの時代だよ…。ま、なんとかやってみるか。」

 

とりあえず、自分が買って、霊夢がしっかりと保存しておいてくれた野菜や、レジ袋に入れっぱなしになっていたカレー粉、冷蔵庫から肉を取り出す。

そして棚からまな板と包丁、鍋取り出し、野菜や肉を食べやすい大きさに刻み、鍋に入れていく。

「へぇ…手慣れたものね。」

 俺が切り終わったタイミングで、すぐ後ろから霊夢が突然声をかけてくる。

「…!霊夢か…驚かすなよな…。」

いきなり声をかけてきたので、少し驚いて言う。

「悪かったわね。……で、何作ってるのよ?」

「カレーだ。後は米を炊いてこれを火にかけるだけなんだが…薪と米はどこにあるんだ?」

「かれぇ?何よそれ?」

霊夢が不思議そうに尋ねる。

そうか、この世界ではカレーと言うものはないのか。

「カレーってのはな、俺のいるところでは割と定番の料理なんだが…スパイスが程よく効いていてそれが野菜やお肉と良く合って美味いんだ!」

「へぇ…それは楽しみね…」

想像したのか、霊夢の口元にヨダレが…。

「霊夢さん?ヨダレ…垂れてますよ?」

「はっ!…いっ、今のは見なかったことにしなさいよね!?」

霊夢は我に帰り言う。

やれやれ、裸は良くてヨダレはダメなのか…

俺は苦笑しながら再び尋ねる。

「で、薪と米はどこなんだ?」

「お米はその棚にあるわ。薪は…取ってきてあげるわ。」

霊夢は流しの下の棚を指差しながら、外へ薪を取りに行った。

「米は…これか?精米はしてあるのか…するとあとはあらうだけ…と。」

俺はとりあえず三合炊くことにし、カップで計量し、土鍋に入れた。

それから流しで何度か洗っては流して…を繰り返していると、霊夢が薪を持ってやってきた。

「いつもこれくらいでやってるけれど…足りるかしら?」

正直俺に聞かれても分からないのだが…まぁ、足りなければまた取ってくるか。

「あぁ、霊夢、ありがとう。後は…火をつけて米とカレーを作るか。」

と言い、俺はなんとか薪に火を付け、カレーとご飯を作り始める。炊飯器と違い、よくみとかないと焦げてしまうから大変だ。因みに霊夢は、皿などを出して自分の仕事は終わったとばかりに伸びをして、縁側でお茶をすすっている。

「そろそろルーを入れるか。」

今日のルーはいつもと違い、粉末状の少し上等なやつだ。

いつもより気合が入る。

 

 シューー。

土鍋から音がする。土鍋で米を炊くのは久しぶりだったが、うまく行ったみたいだ。

カレーの方も、いつにもまして上出来だ。

「今日の上条さんはついてますな〜。」

と、ついつい口にしてしまう。

こんな所に来ている時点で、相当不幸なんだが…今の彼にはそのことは頭に無かった。

「霊夢〜。出来たぞ〜。」

縁側でくつろぐ霊夢に声をかける。

「やっと出来たの?」

どうやら、待ちきれなさからお茶を飲んでごまかしていたらしい。さっきまで結構あったお茶が、ほとんどなくなっている。

「よいしょっ…と。」

俺は米の入った土鍋を持ちながら鍋敷きを敷いてもらおうと声をかけようとすると、

「はいこれ!」

と、霊夢が俺が言おうとする前に鍋敷きを二つ用意してくれる。やはり、かなり察しの良い性格らしい。

ウチの居候とは大違いだ、とか思いながら、思わず苦笑してしまう。

と、そんなことより、今は飯だ。

明日からは何があるか分からないのだから、しっかり腹ごしらえはしておかないとな。

とか考えてると、霊夢が目を輝かせてこっちを見ている。

早く蓋を開けろ、ということだろう。

「はいはい、今開けますよっ…と。」

俺がカレーの蓋をあけると、霊夢がすかさず中をのぞく。

「これが…かれぇ…美味しそうね!早く食べましょ!」

「あぁ、そうだな。」

さすがに今日は色々あって、俺も腹が減ったからな…。

「霊夢、皿を貸してくれ。俺が寄そうよ。」

 

 「ありがとっ! さ、いっただっきまーす!」

「いただきます!」

俺たちは手を合わせながらそう言って、一口目を口に運ぶ。

「んっ…これ、程よくスパイスが効いていて…ご飯とよく合うわね!」

霊夢がそう言う。

「だろっ!俺たちのいるところじゃ、嫌いな人はほとんどいないんだ。」

「へぇ…そうなの…。あっ、おかわりちょうだい!」

「もう食ったのか!?もう少しよく噛んで食えよ…。」

霊夢を見ていると、御坂やインデックスの事を思い出すな…本当に…。そんなことを思いながら、俺は霊夢が差し出したさらにご飯とカレーを盛る。

「んっ、ありがとう…。でも本当に美味しいわね。」

そう言っている間にも、霊夢の皿の中身はどんどん減っている。

全く、どれだけ食べるつもりなんだか…。

 

 「ふう…もうお腹いっぱい…。」

「だろうな…ってか、さすがに食べすぎだろ?」

鍋の中を見ると、たくさん作ったはずが、すっかり空っぽ減っている。

「そうね…さすがに…。あ、そうだ、当麻、私は少し休んでるから、お風呂沸かしてくれない?」

「あ、あぁ、分かった。」

「じゃ、よろしく頼むわね。おやすみ〜。」

そう言うと霊夢は座布団を枕にして横になってしまった。

 「さてと…風呂は…こっちか?」

俺は適当に当てをつけて、まだ入ってない部屋を順番に探す。

最後に入った部屋で、ようやく見つけた。

「これって…五右衛門風呂じゃないか!?」

釜戸があったり、昔の冷蔵庫があったりしたことから、少し予想してはいたが…。

「とりあえず、水を淹れて沸かすか…。」

俺は蛇口をひねりある程度の量の水を淹れ、外から持ってきた薪を焼べる。

そこらにあった団扇で風を起こし、火の量を調節する。

 

 しばらくしてやっと沸いた頃には、上条は汗だくになっていた。

「ふぅ…大変すぎだろ…これは…」

さすがに今日の疲れ切った体には重労働が過ぎたか…。

そんなことを考えながら、俺は先ほどカレーを食べた茶の間へ、霊夢を起こしに行った。

 

 「おーい、霊夢、風呂沸いたぞー!」

大きな声で呼んだつもりが、全く起きる気配がない。

仕方なく霊夢に近づき、軽く揺り動かしながら俺は言う。

「霊夢!風呂沸いたから!」

「ん…何よ…うるさいわね…。」

どうやら寝ぼけているようだ。なんとなく嫌な予感がするんだが…。

と、思った瞬間、霊夢の右手の拳が上条の頬を思い切りぶん殴る。

「ふぁぁ……。よく寝た。あ、当麻、どうしたの?」

痛みでうずくまる上条に、霊夢が声をかける。

「どうしたって…。お前なぁ…。」

俺は身を起こしながらそう言って、今起こった事を説明した。

「…あら?私ったら、そんなことしちゃったの?悪かったわねぇ…。」

と、霊夢がそう言う。少したりとも悪いとは思ってなさそうだが。

「で、お風呂は湧いたのかしら?」

その話は終わった、と言わんばかりに霊夢が尋ねる。

「あぁ、その事で起こしにきたんだ。」

「そう、ご苦労様。ちゃっちゃと入ってくるから、ちょっと待ってなさい。あ、言っておくけど、さっきみたいに覗かないでよね。」

と、上条を見つめながら言う。

「のぞかねぇよ!ってか、さっきのは事故だろ事故!」

「冗談よ、冗談。じゃ、ちょっと行ってくるわね〜。」

やれやれ…。自由な奴だ。インデックスと御坂の奴を足して2で割ったら霊夢ができるだろうな、と、くだらないことを考えながら、本日何度目か分からない苦笑を浮かべる。

 

 

 「ふ〜、さっぱりした〜!」

そう言いながら霊夢が風呂から上がってくる。彼女が風呂に入ってからまだ30分ぐらいしかたってないので、女子にしてはかなり早い方なのではないか。

「じゃ、俺も入らせてもらうか…。」

「ええ。ゆっくり入って来なさい。それと…これ。少し小さいかもだけど、我慢してきてくれるかしら?」

そう言いながら霊夢が白い浴衣を差し出す。おそらく寝るとき用の服…パジャマと言った所か。

「あぁ、悪いな。ありがとう。」

俺は礼を行って、風呂へと向かった。

 

 

 「いやぁ〜、久しぶりにゆっくり風呂に入れたよ。」

いつもは不幸な出来事に巻き込まれているし、そうでなくてもインデックスの面倒を見たりしなければならず、こんなにゆっくり風呂に入ることはできないのだ。

「そう。それは良かったわ。さ、冷たいお茶でもどう?」

そう言って霊夢がよく冷えたお茶を茶碗に汲んでくれる。

「おっ、ありがとう。……ふう〜、風呂上がりの冷たいお茶はやっぱり美味いな!」

「そうね…。ねぇ、当麻?」

突然霊夢が真剣な表情で俺を呼ぶ。

「?なんだ?」

「あなた、本当にここに残ってよかったのかしら?やっぱり帰ったほうがいいんじゃ…。後のことは私たちでなんとかしておくわよ?」

「……。いや、さっきも言ったけど、俺はここに残るよ。それがどんなに危険な事かもわかってるつもりだ。だけどやっぱり、見過ごすことなんて、俺にはできない。」

「……そ。ならいいわ……。 さ…てと、そろそろ寝るとしましょうか。あんたはここの奥の部屋、使いなさい。布団は押入れに入ってるから、適当に敷いて使ってちょうだいね。じゃ、おやすみ。」

「あぁ、ありがとうな。おやすみ。」

そう言って霊夢が部屋から出て行ったので、上条は言われた通りに部屋を移動し、布団を敷いて、ゴロンと寝転がる。

 

 上条は布団の中で、今日の出来事について彼なりに考えていた。

なぜステイルの妹はこんなところまできたのか。

ここには科学や魔術といったモノは存在しなさそうだが、なぜ彼女はわざわざ結界に穴を開けてまでこの場所を訪れたんだ?俺が触っても完全に消滅しなかった結界を壊すにはかなりの手間がかかるだろう……。とりあえず明日、もう少しこの場所について調査しないとな。

そのようなことを考えていると、だんだんと目が冴えて来て、眠れなくなってきた。

考えすぎて眠れなくなってしまったな。仕方がない、外の風にでもあたるか。

彼はそう思い、静かに縁側に通じているであろう引き戸を開けた。

 

 

 

 ふう…

まったく、最近異変がなかったから楽できてたのに…。久々の異変が外の人間絡みとはね…。はぁ…面倒だわ…。

霊夢は布団の中で、ため息をついた。

しかし一体、彼=上条当麻はいったい何者なのかしら?特殊な能力を持った人間なら、前にも紛れ込んだ事はあるけれど…。なんていうか、彼は…。彼女たちとは少し違う気がするわね。

うーん、これ以上考えても仕方がないわね。そろそろ寝ましょうか。

霊夢がそう思っていると、引き戸を開ける音がした。

あら、当麻ったら、まだ起きてるのかしら? 起きてるんなら、少し話をしに行こうかしら…。

そう思い、体温で少し温まった布団から抜け出し、当麻に充てた寝室へと歩いて行った。

 

 

 

 ふう…やっぱり外の風は気持ちいいなぁ…。そう思いながら、俺は縁側から月を眺める。

すると、部屋のドアをノックする音がする。

「当麻?起きてるの?ちょっと入るわよ。」

そう言って霊夢がはいってくる。

「あぁ、霊夢か、起こしちまったか?悪いな。」

「いえ、今日のことを考えていて、私も寝付けなかったから…。」

「そうか。俺も、自分なりに色々と考えていたんだ。」

「そう。で、何か分かった?」

「いいや、正直言ってさっぱりだ。だから、明日もう少し幻想郷を調べて回ろうと思うんだ。」

「そう、まぁ、好きなようにしなさい。私は色々と、過去の書物とかを調べてみるわ。何かヒントになるようなこと、書かれているかもしれないし。」

「あぁ、頼むよ。」

 

 「ねぇ、当麻?」

しばらくして、霊夢が口を開く。

「ん?なんだ?」

「当麻って、一体どこから来たのかしら?日本のどこかよね?」

どうやら霊夢は、俺がどこから来たのか気になるらしい。外の世界のことをほとんど知らないからなのか、そう聞いた霊夢の顔は、心なしか好奇心に満ち溢れている気がする。

「そうだな、俺は東京にある学生の街、学園都市ってところだ。そこは外部より数十年進んだ最先端技術が研究・運用されていて、人為的な超能力開発が実用化されているんだ。」

俺はそのことを誇らしげに話す。

「ふうん、その、超能力ってのは?あなたの右手もそれなのかしら?」

と、霊夢が聞く。

「そうだな、学園都市では、さっきも言った通り、超能力_簡単に言えば、霊夢たちの能力を人間の力で使えるようにするようなもの_の開発が行われているんだ。しかもその能力は、誰もが持てるわけじゃないんだ。俺もよく知らないんだけど、パーソナル…何とかが重要とかなんとか…。で、すごく才能のある奴はLEVEL5・4、その次が3、2、1、そして最後に何も能力を持たないLEVEL0ってランク分けされているんだ。ちなもに俺はそのLEVEL0っていう一番下のランクにいるんだ。」

「ってことは…あなたの能力はその、超能力ってやつじゃないってことね?」

やはり、霊夢は察しが良くて助かる。

「ああ、そうなんだ。俺の右手には生まれたころからどんな異能の力も打ち消してしまう"幻想殺し"という力が宿っているんだ。」

「なるほどね…つまりその能力のせいであなたが生まれたすぐ後から、あなたのご両親の周りで不幸なことが立て続けに起こり、どうしようか散々迷った末、一縷の望みを託し、当麻のご両親はあなたを科学の総本山である学園都市に預けた…。でもやっぱり、どこへ行ってもあなたの不幸体質は変わらなかった…さしずめそんなところかしら?」

そう言われ、俺はしばらく言葉を返すことができなかった。今まさに霊夢が言った通りだったからだ。

 

 しばらく沈黙が続いた後、俺はようやく霊夢に尋ねた。。

「…どうしてそのことがわかるんだ?」

そういうと、霊夢があっけらかんとしていった。

「こう見えても私は巫女よ?あなたの右手が神のご加護とか、そういった類の能力を打ち消しているのは見ればわかるし、それが先天性のものなら、あなたのご両親の身の周りでどういうことが起こったのか、どういう考えであなたを学園都市みたいなところへ預けたのかなんか容易に想像がつくわ。それに、その後のことも…ね。まあ、あなたの性格だし、自分から巻き込まれに行ってることも少なくはないでしょうけど。」

そういって月を眺める霊夢。流石…というべきだろうか?彼女の話を聞けば、なるほど、と思えることばかりだった。

やはり、霊夢の頭の良さは相当なものらしい。

 

 

 

 先のやり取りから何分か経った後、おもむろに霊夢が口を開く。

「ねえ当麻?あなた、学園都市ではどんな不幸な目にあっているのかしら?せっかくだしちょっと聞かせなさいよ。」霊夢が目をキラキラさせながら言う。

 やれやれ、と少しあきれながら俺はこう言った。「そうだな…まずは…あいつとの出会いから話すとするか。」

 

 それから俺は朝になるまで、今まで俺がしてきた不幸でもあり、楽しくもある学園都市での経験を話続けたのだった。

 

 

 

トントントン……。と歯切れのいい包丁の音で霊夢は目を覚ます。当麻の話を聞きながら、いつの間にか眠ってしまったらしい。肩に毛布が掛けられていた。当麻が掛けてくれたのだろう。

 

 「当麻…おはよう。」と霊夢があくびを噛み殺しながら眠そうに言う。

「あ、霊夢、起きたか。おはよう。もうすぐ朝ごはんができるから座って待っていてくれ。」当麻は後ろを振り返って言う。

「わかったわ。その前に顔、洗ってくるわね…。」そう言って霊夢はおぼつかない足取りで洗面所のほうへ向かう。

 

 霊夢が洗面所から帰ってくると、ちょうど当麻が食器を並べていた。今日は卵焼きとみそ汁、サラダらしい。

「お、ちょうどいまできたところだ。さ、早く食べようぜ。」

「ええ、そうね。いただきます!」

「いただきます!」

 

 「当麻、今日は本当に調査に行くのよね?」朝食を食べてる最中霊夢が俺に聞く。

「ああ、そのつもりだが?」当然俺はこう答える。

「そっか、わかったわ。今回のことは、私も私なりに調べてみるわ。それとこれをもっていきなさい。」そう言いながら霊夢が懐から巾着袋を出し、それを投げて寄越した。中にはお金が入っているらしい。

 「ありがとう。でもいいのか?」この世界の貨幣事情はよくわからないが、結構な額が入っていそうな重さがある。

「いいのよ。この異変を解決したらそれの数倍は稼げる予定だから。」霊夢が自信ありげにそう言う。

「昨日行った人里を北に越えたところに、香霖堂っていう店があるの。そこで服とか携帯食料とか買っていくといいわ。」続けて霊夢がそういう。

「分かったよ。ありがとう。ほかに何か注意することはあるか?」

「そうね…あなたの能力なら大抵の妖怪ならなんてことはないでしょうけど…。風見幽香…緑の髪の毛に赤い目、そして四六時中傘を携えてる妖怪なんだけど…。彼女には近づかないほうがいいわ。なにをしてくるかわかったもんじゃないから。出会ったら刺激しないよう上手くあしらってその場から離れなさい。」

「分かったよ。気を付ける。」そう言いながら、俺は最後の一口を口へ運んだ。

 

 

 

 「じゃ、そろそろ出かけるか!」朝ごはんの片づけをひとしきり終え、霊夢の入れてくれたお茶を飲み干して俺は言った。

「そうね、何が起こるかわからない以上、早めに出たほうがいいと思うわ。」

そうして俺は博麗神社を後にしたのだった。

 

 

 

 神社を出てすぐ、昨日見つけた地図を取り出す。一本道なので確認する必要もないのだか、大まかな位置関係を把握しておきたかったからだ。道なりに行くと人里と迷いの竹林という場所の中間あたりに出るらしい。他にも色々と興味深い名前の場所があるがとりあえず人里によってから香林堂で買い物をしてから考えよう。と考えていると、背後からただならぬ気配を感じ(これが殺気というものなのだろうか?)、思わず振り返る。

 そこにいたのは、傘を携えた緑の髪の毛の女性が立っていた。

 

 to be continued…

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