ゲヘナ線区はド畜生。   作:UMC OGASOU

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10.現場の洗礼と救護室の悲鳴

 

「イオリまで返り討ちに遭うなんて、あの暴走集団は一体どういう神経をしているの!?」

 

早朝のゲヘナ学園風紀委員会・行政官室。

デスクの上には、前日イオリたちが提出した(あるいは提出させられた)「公務員による不当な速度増加指示に関する顛末書」が、虚しく鎮座している。

 

「落ち着いて、アコ。イオリは重度の列車酔いと、着地失敗による全身の打撲で全治二日です。命に別状はありません。現在は救護室で安静にされています」

 

モニターの傍らに立ち、静かに報告を行っているのは、風紀委員会救護担当の1年生・火宮チナツであった。彼女の落ち着いた透明感のある声は、荒れ狂うアコの興奮を幾分か宥めるように響く。

 

「命に別状がないのはいいんです。問題はあのハイランダーゲヘナ線区の『無法ぶり』です!」

 

アコは指先でデスクを激しく叩いた。

 

「手続きの過剰遵守で業務を麻痺させ、スピード違反を取り締まろうとすればGで叩きのめし、挙句の果てに過失を突いて論破する……。あんな野蛮な連中に『法規』というものが通用しないのはよく分かりました!」

 

「……今回の監査は一度保留にするんですか?」

 

「いいえ! 諦めるわけがありません!」

 

アコは身を乗り出し、レンズの奥の瞳を鋭く光らせた。

 

「現場の暴走を止めるには、彼らの『足元』を崩すのが一番。チナツ、貴女に風紀委員会救護担当および特別監察班を率いさせ、ハイランダーゲヘナ線区の【保線作業現場】に対する完全監査を命じます!」

 

「保線現場の……監査?」

 

「ええ。彼らは日頃、無認可の爆薬使用、無届の突貫工事、危険な資材の不法設置を『緊急保線』の名のもとに繰り返しているという報告が入っています。本日より、現場での保線作業にはすべて『事前書面提出』と『風紀委員会の着工許可』を義務付けます! 許可のない作業はすべて違法行為として即時停止させせる!」

 

チナツは少しだけ困惑したように眉をひそめた。

 

「アコ。保線作業は線路の安全維持や、脱線事故の防止に直結する重要業務です。過度な書面手続きを強制すると、作業の遅延を招いて、かえって列車運行の安全を損なう危険性があるかと思うのだけど……」

 

「甘い、チナツ! 彼らの言う『緊急性』など、ただの手抜きと勝手な運用の言い訳に過ぎません!」

 

アコは胸を張り、一歩も引かない姿勢を崩さなかった。

 

「いいですか? 現場の安全が本当に守られているのか、それとも危険な違法工事が行われているのか……貴女のその目で確かめ、少しでも規定違反があれば即座に作業を止めさせる。救護班の同行も許可します。怪我人が出た際の処置も兼ねて、厳しく監視してきて!」

 

「……分かりました。監察および救護体制を整えて向かいます」

 

チナツは深く一礼すると、救護鞄を手にして行政官室をあとにした。

 

---

 

午前9時00分。南ゲヘナ駅・保線基地。

 

カン! カン! カン! と、重厚な金属音が敷地内に響き渡っていた。

 

太陽はすでに昇り切り、赤茶けた荒野からはモワモワと熱気が立ち上っている。気温はすでに38度を超え、置かれたレール表面は目視で触れれば火傷するほどの熱を帯びていた。

 

その中央で、汗だくのタンクトップ姿で大型保線トラック(通称:怪力ダンプ)の点検を行っていたのは、ゲヘナ線区のベテラン保線員・澤田トシである。その腕には無数の擦り傷と火傷の痕があり、手に握られた巨大なスレッジハンマーが異様な存在感を放っていた。

 

「よし、エンジンの圧縮比よし、油圧圧着機よし、急速硬化セメントのストックも満載だ。今日もKP14地点の歪みが酷ぇからな。さっさと直して17時までに帰るぞ!」

 

「お待ちください、澤田さん」

 

静かだが、しっかりと通る声が静寂を破った。

 

トシが振り返ると、そこには救護鞄を肩から下げた火宮チナツと、腕章を巻いた数名の風紀委員監察班が整然と立ち並んでいた。

 

「あぁ? 風紀委員の……救護担当のお嬢ちゃんか。今度は何の用だ」

 

トシが不機嫌そうに額の汗を拭う。

 

チナツは丁寧にお辞儀をした。

 

「風紀委員会救護担当の火宮チナツと申します。本日、羽沼アコ行政官の指示により、貴線区における保線作業の特別監察ならびに救護同行を実施いたします」

 

「監察だぁ? 俺たちはこれから線路の修復に行くんだよ。邪魔すんじゃねぇ」

 

「お気持ちは察しますが、命令でして…」

 

チナツは手元のバインダーを開き、ボールペンを構えた。

 

「本日の作業を開始する前に、こちらの『保線作業計画書』『環境影響評価書』『使用工具および危険物事前申請書』の提出をお願いいたします。風紀委員会の承認が降りるまで、現場での一切の工事着手を禁止します」

 

「はぁぁぁぁぁ!?」

 

トシの怒号が保線基地全体に響き渡った。鳥が一斉に飛び立つ。

 

「書類だぁ!? お嬢ちゃん、目ぇ開けて周り見てみろ! KP14地点は昨夜の地熱上昇と、どっかのバカが仕掛けた地雷のせイドでレールがグニャグニャに曲がってんだぞ! 昼便のガスタービン列車が通るまでにあと3時間しかねぇんだ! 書類なんか書いてる暇があるかよ!」

 

しかし、チナツは表情ひとつ変えず、冷静に言い返した。

 

「どれほど緊急であろうと、手続きを無視した突貫工事は二次災害の元です。過去に無認可の爆薬を使用して周囲の地形を崩落させた記録も残っています。安全な作業手順が確認できるまで、許可は出せません」

 

「アコ……あの女、どこまで俺たちの邪魔をすれば気が済むんだ!」

 

トシがハンマーを地面に叩きつけようとしたその時、背後から足音が近づいてきた。

 

「トシ。落ち着け。」

 

現れたのは、制服を隙なく着こなした治安維持長・士方リョウであった。

 

「維持長! でもよ、こんな書類書いてたら昼便の通過に間に合わねぇぜ! 遅延確定だ!」

 

「分かっている。」

 

リョウは静かにチナツを見つめた。

 

「火宮チナツさん。行政官の指示に従うのは貴女の立場上、当然のことだ。……だが、現場の状況は刻一刻と変化する。あなたたち監察班をトラックの荷台に乗せて、現場までの移動時間で書類を作成し、現地で提出する。それでよろしいですね?」

 

チナツは少し考えた後、うなずいた。

 

「……わかりました。」

 

「フン、物好きな奴らだ。荒野の現場(KP14)は生半可な場所じゃねぇぞ。途中で泣いて帰りたくなっても知らんからな!」

 

トシは吐き捨てるように言うと、大型トラックのエンジンをかけた。

 

---

 

午前10時15分。最悪の難所・KP14地点。

 

トラックが目的地に到着し、ドアが開いた瞬間——。

 

ガアァァァッ……!!

 

車内に飛び込んできたのは、まるで熱風オーブンの中に顔を突っ込んだかのような、殺人的な熱気と焦げ臭い土の臭いであった。

 

「くっ……! 気温、41.5度……!? 地面からの照り返しで、体感温度は50度近くあります……!」

 

トラックから降りた風紀委員の部下たちが、早くも汗だくになりながら悲鳴を上げた。

 

「おい、ぐずぐずすんな! 道具を降ろすぞ!」

 

トシは平然とした顔で、数十キロもある鉄製のレール補強材とスレッジハンマーを軽々と担ぎ出し、ゆらゆらと立ち上る陽炎の中へ歩み出た。

 

目の前の線路は見事に波打ち、接合部のボルトは吹き飛び、周辺の赤土には黒焦げのクレーターがいくつも穿たれていた。

 

チナツはバインダーを構え、ペンを握る。

 

「では、まず現場の損壊状況の記録と、使用する補強材の型番チェックを……」

 

ドッカァァァァンッッ!!!!

 

「きゃぁぁぁっ!?」

 

突如、チナツたちの数十メートル先で、激しい爆炎と黒煙が上がった!

 

「な、何事ですか!? 敵襲!?」

 

チナツが咄嗟に救護鞄をかばいながら、ハンドガンを構える。

 

トシはハンマーを地面に突き立て、呆れたように吐き捨てた。

 

「敵襲じゃねぇよ! 地雷だ地雷! 地熱で温められた旧式の対戦車地雷が、勝手に自然発火して破裂したんだよ! ここら一帯には、温泉開発部やらならず者が残していった地雷が数百個は埋まってんだ!」

 

「じ……地雷が自然発火……!? そんな危険極まりない場所で保線作業をしているのですか!?」

 

「当たり前だろ! 地雷を取り除いて、凹んだ穴にセメント流し込んで、レール叩き直さねぇと、電車が通った瞬間に大爆発して脱線すんだよ!」

 

トシは叫びながら、作業着の袖を捲り上げた。

 

「おい風紀委員! 書類なんか書いてる暇があったら、そこら転がってる地雷の不発弾を拾い集めろ! あと40分で定期便が通過するんだぞ!」

 

「くっ……! チナツ班長、どうしますか!?」

 

部下の風紀委員たちが青ざめた顔でチナツを見る。

 

チナツは冷や汗を流しながらも、冷静に状況を分析しようとした。しかし、現実は甘くなかった。

 

作業開始からわずか15分。

 

ヒュゥゥゥゥ……ボコンッ!

 

「あぐっ!?」

 

上空から、先ほどの地雷爆破によって吹き飛んだ巨岩の破片が降ってきた。風紀委員の一人が間一髪でかわしたものの、その直後——。

 

「はぁ……はぁ……頭が……割れるように……痛い……」

「水……水が……」

 

過酷な灼熱環境、地熱、さらにはいつ爆発するかわからない地雷の恐怖による極度の緊張とストレスが、風紀委員たちの体力を一瞬で奪い去った。

バタバタと、監察班の生徒たちが熱中症と脱水症状で膝から崩れ落ちていく。

 

「みんな! しっかりしてください!」

 

チナツは救護鞄から経口補水液と冷却シートを取り出し、倒れた部下たちのもとへ駆け寄った。

 

「体温の上昇が危険域……! 日陰へ移動させないと……! でも、この周辺には遮蔽物が何もない……!」

 

チナツ自身も、汗が目に入って視界が滲み、荒い息を吐いていた。

1年生でありながら現場の指揮と救護を一人で背負い、部下たちを守ろうと必死に動き回る。だが、過酷すぎる環境の前に、持ち込んだ簡易的な救護装備など焼石に水であった。

 

「ちッ……だらしねぇな、風紀委員のひよっこどもが!」

 

怒鳴り声とともに、大きな影が差し込んだ。

 

トシであった。

 

トシは倒れた風紀委員の襟首を掴むと、軽々と二人まとめて両脇に抱え上げた。

 

「な……澤田さん!?」

 

「黙ってついてきな! トラックの荷台の後ろが影になってる! 冷却スプレーと氷缶はトラックのクーラーボックスに入ってっから全部使え!」

 

トシは倒れた風紀委員たちをトラックの日陰へ放り込むと、クーラーボックスから作業用の大型冷却パッチと冷えたスポーツドリンクを取り出し、チナツの手に押し付けた。

 

「おい、お前も顔色が真っ青だぞ! 水飲んで冷やせ!」

 

「あ……ありがとうございます……。ですが、貴方たちの作業は……」

 

チナツが目を見開いて線路の方を見ると、そこでは信じられない光景が繰り広げられていた。

 

トシ以外の保線員たちが、猛暑と地雷の危険の中で、声を掛け合いながら超人的な手際で作業を進めていたのだ。

 

「セメント注入完了! 固化促進剤投入!」

「レール引き伸ばし! ゲージ調整コンマ5ミリ以内!」

「トシ! ハンマー叩き入れ頼むぞ!」

 

「おうよぉぉぉっ!!」

 

トシは咆哮とともに、数十キロのスレッジハンマーを振り上げた。

 

*ガンッ! ガンッ! ガンッ!

 

正確無比な打撃。熱で歪んだ厚い鋼鉄のレールが、トシの圧倒的な腕力と精密な打撃によって、みるみるうちに本来の直線を取り戻していく。

 

そこには、書類も、定規も、複雑な申請書もない。

あるのは、長年の経験と、己の肉体だけを頼りにした、「命がけの超・突貫保線」であった。

 

「すごい……」

 

チナツは、言葉を失ってその光景に見入っていた。

 

事前の書面提出? 環境評価?

そんなものは、この「一秒の遅れが脱線事故につながる」地獄の現場においては、ただの無意味な紙くずに過ぎない。

彼らはルールを破りたくて破っているのではない。

この異常な環境の中で、乗客の命を守り、列車を走らせ続けるために、この方法でしか線路を守ることができないのだ。

 

「……私は……なんて表面的なことしか見ていなかったのでしょうか……」

 

チナツはギュッと拳を握りしめた。

 

風紀委員会のアコ行政官は「規律とルール」を盾に彼らを非難した。

自分もまた、それに従って「手続き」を強制しようとした。

だが、現場で血と汗を流し、猛暑と爆煙の中で線路に這いつくばっているのは、他ならぬハイランダーの保線員たちなのだ。

 

「チナツ班長……うぅ……すみません……私たちが脚を引っ張って……」

 

倒れていた風紀委員が、申し訳なさそうに声を漏らした。

 

チナツは優しく部下の肩を抱き、首を振った。

 

「いいえ……謝る必要はありません。悪いのは……現場の実情を知りもせず、無理な指示を出した私です。」

 

チナツは自らも眩暈に耐えながら、部下たちに冷却シートを貼り、水分を補給させ、懸命に介介抱を続けた。

 

そして、時刻は16時30分。

 

ガコンッ!!

 

「よし! KP14地点、全線路修復完了だぁぁぁっ!」

 

トシが汗をぬぐい、大声で叫んだ。

 

見事に修復された線路の上を、テスト走行の無人貨物車両がスムーズに走り抜けていく。

 

「はぁ……はぁ……終わったぞ……。おい、お嬢ちゃん、風紀委員の具合はどうだ?」

 

トシがトラックの日陰へ歩み寄ってくる。

 

チナツは立ち上がり、深々と頭を下げた。

 

「手厚い応急処置、本当にありがとうございました。……おかげで、部下たち全員の容体は安定しました。ですが……自力での歩行は困難な状態です」

 

「そうか。じゃあ全員南ゲヘナ駅の救護室まで送ってやる!」

 

「え……? ですが、それでは作業の撤収手順が……」

 

「バカ言え!」

 

トシは自分の腕時計をチナツの目の前に突きつけた。

 

時刻は【 16時42分 】。

 

「あと18分で17時だぞ!? 17時までに南ゲヘナ駅へ戻ってタイムカードを押さねぇと、俺たちの定時退勤が消滅すんだよ! 撤収作業なんか5分で終わらせる! 乗れッ!」

 

「あ……はいっ!」

 

「野郎ども! 爆走するぞ! 振り落とされるなよッ!」

 

トシが運転席に飛び乗り、V8ディーゼルエンジンを爆音とともに吹かせた。

 

ブゥゥゥゥォォォォンッッ!!!!

 

---

 

16時50分。荒野の直線道路。

 

大型保線トラックは、まるで特攻車のような猛スピードで赤茶けた大地を駆け抜けていた。

 

荷台の上で、チナツは風紀委員たちを支えながら、風を切って走るトラックの振動に耐えていた。

 

その時、チナツの通信機が激しいノイズとともに鳴り響いた。

 

『チナツ! 聞こえてる!?』

 

アコの声であった。

 

「……はい、アコ。聞こえてる。」

 

『報告はどうなっているの!? KP14地点の監察結果は!? ハイランダーの無認可工事の証拠は掴めた!?』

 

アコの高圧的な声が、スピーカー越しにガンガンと響く。

 

チナツは一瞬、言葉を詰まらせた。

手元には、書きかけのバインダーがある。そこには「手続き未提出」「無許可工事」と書くべき項目が並んでいた。

 

しかし。

 

チナツは、目の前でトラックのハンドルを握り、必死の形相でメーターを見つめるトシの背中を見た。

知識やルールだけでは押し測れない、命がけの誇りがそこにはあった。

 

「……アコ。」

 

チナツの声は、いつになく静かで、けれど確かな意志を宿していた。

 

『な、何?』

 

「……KP14地点におけるハイランダーの保線作業に、不当な違法性および過失は見られませんでした」

 

『な……なんですってぇぇぇっ!?』

 

アコの悲鳴のような声が響く。

 

「現場の環境は、私たちの想定を遥かに超える過酷なものでした。地雷の自然発火、50度を超える地熱、突発的な飛来物……。あのような現場において、事前の書面提出や無駄な手続きを強制することは、作業員の命を危険に晒し、列車の安全運行を著しく害する行為です」

 

『チ……チナツ!? 貴女、自分が何を言っているのか分かっていますの!? ハイランダーの味方をするというのですか!?』

 

「味方をしているのではありません。事実を報告しているのです」

 

チナツはまっすぐに前を見つめた。

 

「彼らは……ルールを軽視しているのではありません。乗客の命を守り、列車を定時で走らせるために、命がけで現場を守っているのです。……これ以上の過度な手続きの強制は、風紀委員会としての妥当性を欠くと判断します。本件に関する詳細な報告書は、帰庁後、私から提出いたします」

 

『そんな……チナツまで……チナツまであいつらに毒されてしまうなんてぇぇぇっ!』

 

アコの頭を抱えて悶絶する声を聞きながら、チナツは静かに通信を切った。

 

トラックの運転席から、トシがバックミラー越しにチラリとチナツを見た。

 

「……おいお嬢ちゃん。そんなこと言って、後でそのアコって女に怒られないのか?」

 

チナツは、少しだけ口元を緩め、穏やかな微笑みを浮かべた。

 

「大丈夫です。風紀委員会の救護担当として、現場の真実を報告するのは私の義務ですから。……それに、間違っているのは私の方でした。申し訳ありませんでした、澤田さん」

 

「……へっ」

 

トシは照れくさそうに鼻をかくと、アクセルを踏み込んだ。

 

「気に入ったぜ、お嬢ちゃん! 腹くくった風紀委員なら大歓迎だ! 揺れるぞ、掴まってな!」

 

---

 

16時58分00秒。

 

南ゲヘナ駅の第1ホーム横の保線用引き込み線に、猛烈なブレーキ音とともに大型トラックが滑り込んだ。

 

キィィィィィッッ!!

 

「到着だぁぁぁっ! 16時58分!」

 

トシが叫ぶと同時に、駅務室から士方リョウと野上ヒヨコが飛び出してきた。

 

「トシ! 無事だったか!」

 

「おう! 保線完了、怪我人なし! ただし風紀委員のひよっこどもが熱中症で全滅だ! 救護室へ運ぶぞ!」

 

リョウはトラックの荷台へ駆け寄ると、倒れている風紀委員たちと、疲れ果てたチナツの姿を確認した。

 

「火宮チナツさん……無事でなにより。」

 

「はい……士方治安維持長。ご迷惑をおかけしました……」

 

「現場の厳しさを理解してもらったこと、感謝する。……ヒヨコ、直ちに風紀委員の皆さんをエアコンの効いた駅務室救護ベッドへ搬送しろ! 冷却パックと点滴の準備だ!」

 

「了解です〜! 救護班、急いで〜!」

 

ヒヨコと保線員たちが手際よく風紀委員たちを担ぎ出し、涼しい駅務室へと運び込んでいく。

 

チナツもリョウの手を借りてトラックから降りると、深々と頭を下げた。

 

「本当に……ありがとうございました。ハイランダーの皆さんの努力と苦労、身をもって理解いたしました……」

 

「お気になさらず。これが私たちの『日常』ですから」

 

リョウは静かに時計に目をやった。

 

デジタル表示の数字が刻々と変わっていく。

 

16:59:45……16:59:50……

 

「さあ、トシ。急ぐぞ。17時になる!!」

 

「おうよッ!」

 

トシは汗を拭いながら、改札口のタイムレコーダーへとダッシュした。

 

リョウもまた、ポケットからタイムカードを取り出し、スッと機械へ挿入する。

 

ピピッ、ピピッ。

 

ガチャンッ!!

 

【 16:59:59 打刻 】

 

「ふぅ……」

 

リョウとトシは、同時に深い溜息を吐き、互いに顔を見合わせてニッと笑った。

 

「本日も……定時退勤、完了!!」

 

夕暮れの心地よい風が、南ゲヘナ駅のホームを吹き抜けていく。

 

救護室のベッドで涼しい風を受けながら、水分補給をして息を吹き返した風紀委員たちが、窓の外の夕空を見上げていた。

 

「はぁ……助かった……」

「ハイランダーの人たち……めちゃくちゃ怖かったけど……すごく優しかったね……」

 

チナツは、冷えた緑茶のペットボトルを手に、バルコニーで静かに夕日を眺めるリョウとトシの背中を見つめていた。

 

(風紀委員会の規律と、現場の現実……。どちらも正義なのかもしれない。けれど……彼らが守ろうとしている『定時退勤』という小さな日常は、こんなにも尊い汗と血の上に乗っているんだ……)

 

チナツの心の中に、ハイランダーの彼らに対する深い尊敬と、ほのかな同情の念が芽生えていた。

 

 






AIにプロットとかを送信してAIに大体の話を書いてもらい、私が修正などするんですが、

口調がわかんねぇ!!!

改善点とかあれば感想、メッセージでも送ってくださいな。

この作品はとりあえずアコが悪役ですよと。
(お決まりの展開が今度あるはず。)

リクエストあればこちらへ↓
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=345737&uid=485160
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