我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい   作:名無しのなな

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第14話 もう一つの再会

「黒子。久しぶりだな・・・」

「え?荻原くん?!」

休日の部活帰りに誠凛高校付近に現れた荻原に黒子は驚いていた。

2人はかつてバスケに熱中していてお互い別の学校に進学した後にも連絡を取り合っていてお互いスタメンになって試合で戦おうと約束していた仲だった。

しかし、中3の全中の決勝戦での帝光中のキセキの世代が相手が弱すぎるのが悪いと言う傲慢さから起こしたスコアを自殺点を入れてまで111-11のぞろ目にした事件で心が折られた荻原は黒子に何も言わずに連絡も経ってバスケを辞めていた。

そんな荻原だったが名前と関わったことで色々あって今はぞろ目事件の発案者の疑いのある黄瀬がいる海常のバスケ部の一員として活動していた。

黒子も荻原のことは黄瀬から聞いていたので知っている。

二人は歩きながら話をすることになった。

その間いろいろな話をした。

昔一緒に遊んだことや小学生の時の思い出話など様々な話題が出た。

「荻原くんはどうして海常に編入してバスケ部に入部することになったんでしょうか?」

「少し色々あって・・・」

荻原は自身が通っている源光男子高校が来年度から共学になるにあたって来年廃校になる予定の東京女子高校の生徒を受け入れることになったこと。

それでお試し編入制度でお互いの学校から数人、男女が入れ替わる形で編入することとなり自分は東京女子高校にお試し編入で通っていたこと。

同じ予備校に通っていた東京女子高校の生徒にいじめられていた七海菜々を助けたいと思ったが上手く行かず東京女子高校にも源光男子高校にもいるのが危険な状態になってしまったときに海常の武内監督に見いだされて海常のバスケ部にスポーツ推薦編入という形でいま海常にいて黄瀬と同じバスケ部にいることなどを黒子は知ることとなった。

「そうだったんですか・・・。荻原くんは・・・その・・・海常高校でバスケをしていて楽しいですか?」

「そうだな・・・最初はあんなに酷いことがあって信用ならなかったんだけどやっぱりバスケしてる時だけは楽しいと思ってるかな」

荻原は優しく微笑みながら答えた。

その顔はどこか晴れやかで憑きものが落ちたような表情をしていた。

それを見て安心したようにホッと息をつく黒子。

彼は前に進んでいるのだと改めて実感することができた。

その事実に安堵を覚えずにはいられなかった。

 

「それでさ、実は今、海常の学校内で全中決勝戦のときの試合でスコアがぞろ目にしようって発案した主犯がキセキの世代の、いま海常バスケ部にいる黄瀬くんだって噂が流れてて黄瀬くんが悪者扱いされていて・・・」

「えっ!?」

黒子は初めて聞かされた内容に目を白黒させていた。

当然の反応と言えば当然だが何故そのような事態に陥っているのか理解が及ばないようである。

「どうしてそのようなことに?」

「俺にもどうしてそんな噂が流れているのかよくわからなくて・・・・。でも俺はあの時、全中の決勝戦で黄瀬くんと戦ってスコアをぞろ目にされたときにあの場にいたから今は何も言われていないけど今後、黄瀬くんの噂を流したと疑われ出すのも時間の問題だと思う」

荻原は黒子にとって恩人だ。

そんな彼を見捨てるなんてことはできない。

今度こそ、絶対に助けるつもりだった。

今の荻原と黄瀬ならきっと誤解が生まれても和解できるから大丈夫だと思うがもしもということもある。

何もしないでこのまま放置したら大変なことになると確信した二人は今後の作戦を考えることにしたのだった。

 

**

「ね~、荻原くんって明光中学のバスケ部だったんだよね?」

クラスの女子に話しかけられて荻原は今、海常に流れている噂について探られるのではないかと内心ハラハラしていたがポーカーフェイスを装って肯定の言葉を返した。

「ああ。そうだけどどうかしたの?」

するとその女子生徒は少し興奮した様子で食い気味に言ってきた。

「去年の全中の決勝戦で黄瀬くんがいる帝光中学のバスケ部の子達と試合したんでしょ?!その時に何かなかった?!」

どうやら黄瀬が所属していた帝光中学バスケ部が全中の決勝戦で彼らがスコアをわざとぞろ目にした事件の真相を知りたいようだった。

しかし、それが事実あったことを肯定してしまうと今流れている噂を流した主犯なのではないかど疑われてしまう可能性が大いにあるので当たり障りのない返事をすることしかできなかった。

万が一にでもそんなことを認めてしまえば大変なことになることくらいは誰にでも理解できることだろう。

だからこそどう対応すればいいのかわからないのだ。

下手なことを言ってしまうと取り返しがつかないことになるのだから慎重になるしかない。

下手に口を滑らせたらまず間違いなく面倒なことになるだろう。

それだけは絶対に避けたかった。特に菜々を巻き込みたくなかったからこそ何とか誤魔化したいという気持ちが芽生えていたのである。

「あ~、荻原くん」

そこへ菜々が現れた。片手になぜかゴキブリを1匹掴んだまま1年生の教室に現れたものだから教室中に悲鳴が上がった。

1-A組の教室に激震が走った瞬間であった。

しかも平然とした顔で普通に近づいてくる始末。これは心臓に良くないだろうと思ったのは言うまでもないことである。

「ちょっ!?あんたなんでそんなもん持ってるのよ!!!」

「何事!!!??」

「きゃああああ!!!!!???」

周りは慌てて逃げ惑うなか名前は言う。

「あなたの背中についてたんだよ~」

菜々は先ほど、荻原に根掘り葉掘りと噂の真相を聞こうとしていた女子生徒の方を見る。

「ゴキブリって案外、背中とか鞄にひっついてきちゃうんだよね~」

菜々はそういうと、窓まで行ってゴキブリを外に投げて逃がす。

手をぱんぱんと払うようにしていると荻原と目が合って微笑んだ。

「手ぇ洗ってくるね~。荻原くん手洗い場までつきあって~」

そう言って菜々は荻原を教室の外に連れ出していった。

 

**

荻原は菜々が意図してあのようなことをしたのか、それともただの偶然だったのか

未だに分からないままだった。

(なんか不思議な人だよなぁ......)

そう思いながらため息をつく荻原。

「あのね~。今流れてる黄瀬くんが起こした中学時代の試合でのぞろ目事件の噂の主犯はね~、私と同じく東京女子高からお試し編入で来てる長谷川さんなんだよね~」

菜々がのんびりと世間話するかのようにいう。そして菜々は続ける。

「荻原くんが編入してきたとき、私が2人の女子に喚き散らされてるの見たでしょ~。喚き散らしてるショートカットの女子をなだめながら私を悪者扱いしてきてたウェーブヘアの美人さんが長谷川でね~。長谷川さんは黄瀬くんが自分の思い通りに動いてくれなかったからそれで黄瀬くんへの逆恨みの復讐+わるもの扱いされて弱っている黄瀬くんの味方をすることで人心掌握して自分の株上げして、さらに気にくわない私にすべての罪をなすりつけて学校から消そうって魂胆なんだよ~」

「マジかよ......」

驚きすぎて開いた口が塞がらなかった。

「長谷川さんは美人で人気者で長谷川さんの為なら人生投げ出してもいいっていう人がいっぱいいてね~。傾国の美女っていうのを地でいってるんだよ~」

それを聞いて納得するしか無かった。

確かに彼女はかなり美人だったような気がする。

あんな美人だったら誰でも虜になるだろうと思うくらいだ。

実際彼女に魅了されてしまった人たちは多いと思う。

熱狂的なファンもいるということは容易に想像がついた。

しかしこのままではいずれ大勢の人間が被害を被ることになるだろう。

その前に止めなければならないということを再認識させられたような気がした。

菜々は言葉を続ける。

「おそらくね~、長谷川さんは海常のミスコンに出ると思うんだよね~。事前投票制で当日結果発表するんだけど当日、自分が目立つために東京女子高から手下が来るように仕向けてるからね~。その手下をやっつけなきゃだから私、文化祭実行委員会になって当日見回り業務することにしたんだ~。荻原くんが東京女子高に共学化のためのお試し編入で来てた時に2年生の普通科の教室に立ち寄った際に荻原くんを襲おうとした乗山さんと美間さんも来るかもだから用心したほうがいいっていうのを伝えようとさっき荻原くんのクラスに来たんだよ~」

「そうだったんですね・・・でもそこまでのことになっていたなんて・・・」

荻原は菜々と会話していて名前の情報網と行動力は侮れないものだと感心させられるばかりである。

流石としかいいようがない。

こうして話しているだけでも只者じゃないということがひしひし伝わってくるほどであった。

荻原と菜々が会話していると遠くから誰かが走ってきてこちらに向かってきていた。

「はぁ・・・はぁっ・・・」

息を切らしているのは早川だった。

「あれ~?早川くん、どうしたの?」

「くい(り)はあ(ら)!文化祭委員なってどうしたべー?んぬやらかいねーふぐめはいひんぶぁすあぉろぅぃじょびゃあぴぺぽばぁっ!?」

いきなりわけのわからない言語を発した早川であったが菜々は特に気にしていないようだ。

というより気づいていない感じである。

ちなみに先程の説明だと早川の言っていることが全く理解できないだろうが実際は全然理解できていない訳ではないのだと言っておくことにする。なぜなら菜々は彼の言いたいことを理解したうえであえて適当に返事をしているのだからである。早川自身もそれをわかっている様子だし何より細かいことなど気にしない器量のデカさを持っているようで全く気にしていない様子なので問題はないと思われる。

「あ~、ほら!長谷川さんとその愉快な仲間たちが文化祭で色々やらかす可能性あるからそれ止めなきゃなんだよ~」

「そうなのか!!!頑張るぞ!!!」

元気よく言う早川をみて菜々は微笑ましい気分になる

「早川くんは声が大きくて注目されやすいから長谷川さんの手下の悪たちにとっては天敵になりうるだろうからね。それに野生的な勘の鋭さでやばい人間見分けるの得意みたいで長谷川さんに対して初期からなにか感じてたみたいだし」

菜々は苦笑いをしてそういった。

その言葉に早川は嬉しそうな顔をしてガッツポーズをとった。

早川は見た目通りのわんぱく坊主という感じであるが意外と鋭いところもあったりする。

2年B組の長谷川と同じクラスにもし早川がいなかったら今よりももっと陰鬱なクラスに変化していてどうなっていたかはわからない。そういう意味では感謝すべきなのかもしれない。

 

「文化祭実行委員会のグルチャに私が知るうちの文化祭に来てやらかしそうな東京女子高の要注意人物で長谷川さんの愉快な仲間たちの情報を送っておいたから見てみてね。似顔絵も描いたから~」

 

菜々はスマホを操作して作った書類を文化祭実行委員会のグループチャットに送る。

そこにはわざと顔の特徴的なパーツを誇張した似顔絵付きで海常高校の文化祭に来る可能性が高い東京女子高の問題児たちの氏名と学年と過去の所業が合わせて書かれていた。

彼らの氏名や顔がわかれば警察沙汰になっても調べやすいだろうと思って送ったものだ。これが功を成すかどうかはわからないけれどやらないよりはいいと考えるべきだろう。何せ相手は狡猾なあくどいやり方を使う輩なのだから。こういった工作も必要だろうし何よりも安全を確保しないといつ襲われるか分かったものではないからな。自分の身を守るためならばそれくらいやった方がいいに決まっているわけだし別にこれぐらいしても問題ないだろうと思うところだ。

 

「あとはミスコンで長谷川さん以外の出場者の女子たちの方が目立って優勝かっさらってくれればいいかな~。その時に仮面が外れるだろうからね~」

 

菜々はそう言いながら複垢で長谷川以外の海常のミスコン出場者のSNSの投稿にせっせといいねとリポストを繰り返したりしている最中だったりする。長谷川以外が票を取るための工作を開始しているらしい。正直そこまでしなくても良さそうだけれど念のためといった感じのようだ。

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