我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい 作:名無しのなな
「近隣の高校の文化祭で他校生や外部の人間が無断でSNSでのバズ目的で文化祭当日の校内を撮影した映像や写真をSNSにあげる盗撮犯が発生しています。スマホやカメラ片手に無断で撮影や配信をしている人間を見つけた場合はすぐに教員や警備員にご報告下さい。くれぐれもお願い致します」
朝のHRの時間を使って校長先生直々による注意喚起が行われた。
(美間さんと乗山さんがやりそうだな~。あとはそれに成ちゃんも加担して危険そう~)
菜々は海常の文化祭に来たら乗山と美間と明枝がやりそうだなと予測を立てた上で監視するための準備を始めようと思った。
乗山と美間はSNSのアカウントを作成しては問題を起こしては消すことを繰り返しているが、毎回、Vチューバ―をしている同じ漫研の明枝のアカウントと繋がっているので見つけることは容易なことでもあった。
彼女達は自分のしたことを棚に上げて人を貶めることばかりするので、いくら反省しろと言っても聞く耳を持たないどころか逆ギレされたり暴力を振るわれたりと散々であったため嫌気がさして関わることを避けるようになったのを思い出す。
とはいえまた関わらざるを得ない状況になってきている以上、事前に阻止することは大事である。その為の準備は必要だからだ。
――
文化祭実行委員会の活動のため帰宅時間がおそくなる日々を過ごしていた名前はある日、土曜日に学校に来ていた際に下校しようと学校を出ると校門の前で何者かとぶつかった。
「わ、すいません・・・」
慌てて謝る菜々が顔をあげるとそこにいたのは水色の髪色の少年だった。
(わ・・・この人、なんか存在感とか薄いっていうか影が薄いっていうか・・・いたのに全然、気づかなかった)
そう思っていると少年は菜々を見るとハッとした顔をした後お辞儀をした。
彼は礼儀正しいタイプの人間のようだ。そう思った矢先のことだった。
「お~い、黒子!」
「あれ?荻原くん」
菜々は声をかけられた水色の髪色の少年よりも先に荻原の姿と声に反応する。
荻原が現れて荻原は名前と今ぶつかってしまった水色の髪色の男子に親し気に手を振って声をかけた。どうやら知り合いらしいことがわかった。
荻原は黒子と菜々が向かい合っていたことに驚きながらも二人のそばに近づいた。
「荻原くん、この子と知り合いなの?」
「あぁ、そうだよ。こいつは黒子って言うんだ」
荻原は答える。
その言葉を聞いて菜々は納得した様子を見せる。
「はじめまして。黒子テツヤといいます」
「は、はじめまして!私は七海菜々です!」
菜々は自己紹介されるとは思わなかったので慌てつつも挨拶をした。
菜々も自己紹介しながら頭を下げた。黒子と名乗った少年はとても紳士的で誠実そうに感じると同時に何処か浮世離れしているような印象を受ける節もあった。
「黄瀬くんには僕が今日の話し合いのために指定した駅前のマジバに来るように伝えてますので先に行きましょう。本当なら一緒に行った方が早いんですが気まずいでしょうし」
「え?黒子くん、黄瀬くんとも知り合いなの?それに話し合いってもしかして今の黄瀬くんの学校での現状のこと・・・・?」
黄瀬の名が黒子の出てきたことに驚いた様子の菜々を見て静かに頷いて同意を示した黒子の顔を見て確信した。間違いないと確信した瞬間でもあった。
「あの、その話し合いに私も参加してもいい?バスケ部の関係者じゃないけど黄瀬くんを噂を流して追い詰めた主犯の子について知っててどうしてこうなったのか色々情報提供できるし、私が荻原くんが海常に来なきゃいけない状況になったきっかけは私が作ったようなものだし」
菜々は恐る恐るといった具合で言った。
菜々はこの状況下で黙っていることは出来なくて、必死の形相になっていて、菜々の様子にびっくりした黒子は目を丸くしたもののコクリと頷いた。
こうして菜々は荻原と黒子とともに黄瀬との話し合いと今後の対策に向けて動き出したのである。
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***
「黒子っち~。お待たせっす~」
黄瀬は黒子に待ち合わせ場所に指定されたマジバに来店した途端、既に到着していた黒子を見つけるなり駆け寄って来た。その様子はまるで主人を待ち侘びていた忠犬のようで飼い主に甘える犬のように見えた。その様子を見た黒子は再びシェイクを飲みながらため息をついた。
「お久しぶりです。黄瀬くん」
相変わらず影が薄いが声量が小さいわけではないからかきちんと聞こえるぐらいの音量で言う黒子の声に反応したかのように反応を返す黄瀬の声はとても弾んで嬉しそうだった。本当に喜んでいるのがわかるくらいに感情がこもっているのがよくわかるものであった。
「ところで俺に話って何なんスか?それに荻原くんはわかるんスけどなんでこの人もいるんスか?」
黄瀬は急遽参加することになった菜々の姿を見て不思議そうな顔をしながら訊ねた。そんな疑問を持った黄瀬の問いかけに答えようとした黒子を制して菜々は言った。
「今、黄瀬くんについて流れてる噂と長谷川さん対策とかついて私も情報提供や協力をしたいと思って」
そう言うと菜々はまず、順を追って今回の経緯について説明することになった。
①菜々自身は以前に東京女子高に通っていて長谷川佐保にとその仲間たちにいじめられていた。
②東京女子高の廃校が早まって東京女子高廃校後の生徒の受け入れを検討しているうちの3つの学校(丘の上女子高校、源光男子高校、海常高校)にお試し編入できる制度があってそれを利用して菜々は海常高校にいじめから逃げるためにお試し編入制度の試験を受けて編入してきた。
③しかし、お試し編入で来た海常高校にはいじめの主犯の長谷川佐保もいて菜々は海常高校内では新たにできた長谷川佐保の手下たちに呼びだされたり、元々いた東京女子高のいじめっ子に加担する残党にも外で攻撃されていた。
④同じ予備校に通っていた荻原シゲヒロに事情を話すと荻原は東京女子高にお試し編入で共学になる予定の源光男子高校に行く生徒が男子生徒に慣れるための交換編入のような形で来ていた源光男子高校の生徒であった。正義感が強くてお人好しな荻原は菜々の所属していた東京女子高の2年生の普通科に行って真実を知ろうとしたら名前をいじめていた人間の中でも質の悪い美間と乗山に捕まって襲われそうになる。
⑤間一髪のところで助かった荻原だったがこのまま東京女子高にお試し編入でいても、源光男子高校に戻ったとしても、美間と乗山が来年度に東京女子高の生徒を受け入れて共学化する予定の源光男子高校に編入して来る可能性もあるという状況だった。
⑥そんな時に海常バスケ部の監督の武内が荻原が昨年の全中の決勝戦で準優勝したチームにスタメンで試合に出ていた選手だと知ってその実力を買ってスポーツ推薦で海常に編入しないかと勧誘する。
⑦渡りに船と海常に編入してきた荻原はそこでお試し編入で東京女子高から来ていた名前と再会する。
⑧そんな時に、長谷川佐保は黄瀬が自分の思い通りに動かないことにイラついていた時に帝光中学に通っていた時に一部で流れていた全中での決勝戦での試合でキセキの世代が相手が弱すぎるのが悪いという理由でわざと自殺点を入れてまで点数をぞろ目にしたと言う事件の噂を思い出して海常内に全中の試合の時にわざとスコアをぞろ目にしようと発案したのは黄瀬だと言う噂を流す。さらにその噂を流した罪を大嫌いな菜々になすりつけて噂で孤立した黄瀬に自分だけは味方だと言って人心掌握して従わせようとする計画を考える。
⑨最初は何も疑わずに騙される感じで信じ切っていた黄瀬だったが内心疑っており、もしかしたら違うのではと思い菜々自身と話をすると自分が長谷川佐保に騙されて利用されそうになっていたことを理解する。
⑩黄瀬は菜々からのアドバイスで長谷川佐保は話し合いがまともに成立しない人間だから距離を置けと言われてその通りにしていること。菜々が海常の文化祭実行委員会に入って長谷川とその手下の暴走を食い止めようとしていること。
菜々はなんとか短く簡潔に今までの長い経緯と簡単な説明を補足する形で語った。
「まぁ、こんな感じで荻原くんが海常に来るきっかけを間接的に作ったのは私で、それには私をいじめていた長谷川さんも絡んでいて無関係ではないって感じでね~」
一同は菜々の話の内容を聞きながら今までの流れを整理していく。
話を聞いて把握していくうちに次第に黒子と黄瀬と荻原の顔色が悪くなっていくのがわかったのか、苦笑いを浮かべながら話す菜々の姿に思わず同情してしまったほどだ。
それほどまでに酷い扱いを受けていたのだと思うと気の毒で仕方がないといったところだろうか。
話を聞き終えた一行はそれぞれ思うところがあったようだった。そんな中口を開いたのはやはり黒子だった。
「荻原くんがどうして海常に編入して来たのか疑問だったんですがそのような経緯があったんですね。それにしても七海さんが以前いた東京女子高は随分と治安が悪いみたいですね」
呆れたようにいう黒子の言葉に同意するようにして口を開く荻原の表情は苦々しいものとなっていた。
「俺がお試し編入で来ていた時に所属していた1年の特進科はそうでもなかったんだけど、普通科はどの学年も荒れていたみたいで特に七海さんの所属していた普通科の2年では、2クラスの3分の2が集まっていじめられる環境から脱出するために海常に編入した七海さんを許せなくて七海菜々を潰す会みたいなものを作っていたくらいで俺もこれほどまでひどいと思ってなくて七海さんが普通科の2年の教室や生徒には近づいたりしたらダメだって言ってたのはこういう理由だったんだなって・・・・」
荻原は菜々から忠告されていたにも関わらず自分の目で真実を確かめるために東京女子高の普通科の2年の教室に近づいてしまったせいで、菜々を逆恨みして一致団結する女生徒たちの姿や外見は地味だが言動がチンピラ風情の女生徒の乗山と美間に襲われそうになったことを思い出したのか青ざめた顔をしながらそう言った。
「でも私、荻原くんが海常に来てくれてよかったし私のことを信じてくれたのうれしかったよ。海常内でも長谷川さんの手下に言いがかりつけられて喚き散らされて悪人にされそうになった時に現れたときとかヒーローみたいだったし」
菜々は嬉しそうに笑う表情を見せた。
その表情はどこか照れているような感じがした。
きっと菜々にとって荻原は大きな救いになっているにのだろうと黒子は二人の様子を見て思う。
そんなやり取りを見ながら黄瀬は小さくため息をつくような動作をすると溜息混じりに言った。
「それで話を元に戻すと俺はどうしたら良いんだろうって思ったッス。今更だけど」
やはり黄瀬としてはどうしたらいいのかわからない状態になってしまっているということで不安を感じているらしかった。
その気持ちもわからないわけではないがだからと言って何もしないわけにはいかないことは重々承知の上だろうから余計に困っているのではないだろうかと思っているのではないかと推測できた。
「黄瀬くん。今日ここに荻原くんと黄瀬くんに来てもらったのはこれから誤解が生まれないように話し合いをするためなんです」
「え?荻原くんって黒子っちの友達っすよね?俺となんか過去に関わりあったんすか?」
黒子の口から出て来た意外な単語に思わずキョトンとした顔をする黄瀬に対して黒子は首を左右に振りながら否定の意志を示す仕草を見せつつ言葉を続けた。
「黄瀬くんは覚えていないかもしれませんが荻原くんは昨年の全中の決勝戦で僕たち帝光バスケ部と戦った明光中学バスケ部の部員であの決勝戦の試合に出ていたんですよ」
「え?そうなんスか?!じゃあ、今流れてる俺についての噂の出所ってもしかして荻原くんなんスか?!全中での試合で俺らがわざとスコアぞろ目にしたときのこと恨んで仕返しのために長谷川さんと一緒にこんな噂流したんスか?!」
信じられないと言わんばかりの表情を浮かべている黄瀬であったがその一方で戸惑いを覚えているような表情にも見えた。
まさか噂の原因が目の前にいる荻原だと思いたくなかったという気持ちもあるのだろうがそれ以上に混乱しているのだということが見て取れたような気がしたのは間違いではないだろうと思うほどだった。
しかし当の荻原の方はと言うと困ったような表情で困ったように苦笑いをして首を横に振って否定した。
「俺は疑われても仕方ない立ち位置だけど俺は黄瀬くんが全中の決勝戦でスコアをぞろ目にしたっていう噂を流したりしてないよ。長谷川さんともほとんど話したことがないし。それに、俺はあの時、ただ茫然としていて帝光中のメンバーの中でぞろ目にしようとか誰が言い出しただとか考える余裕なんてなかったからそんなことを思いつくわけがないしね」
きっぱりと言い切るその言葉に偽りがないことを示すかのように真剣な眼差しを向けてきていることからも信じても良いように思えた。
(知らなかった・・・荻原くん、過去に自分を傷つけた人と同じチームでバスケするなんて辛くないのかな?)
ふと菜々がそんなことを思い浮かべていると黒子が言った。
「でもどうして、長谷川さんという方は黄瀬くんに執着してここまでのことをしているんでしょうか?」
「あ~、それは長谷川さんがあんまり有名じゃないけどインフルエンサーでモデル活動もしてるからじゃないかな?その知名度上げに黄瀬くんに協力してほしかったけどしてもらえなかったからこんなことしたのかもね~」
菜々は黒子の疑問に対して返答するとうーんと考え込むように腕を組んだ状態で首を傾げながら言った。
「ほら、これが長谷川さんのインスタだよ」
そう言いながら名前は黒子に長谷川のインスタのアカウントを見せる。すると長谷川の自撮り写真を見た黒子が何かに気付いたような顔になりながらつぶやいた。
「あれ・・・この人・・・昔、黄瀬くんと付き合っていた人じゃないですか?」
「え?!そうなの?!黄瀬くん、長谷川さんと昔、付き合ってたの?!」
菜々と荻原は衝撃の新事実に驚いて目を見開いて驚いている様子で訊ねてきたのでそれに対して答える形で黒子は答えた。
「僕は当時、長谷川さんのことは存じていませんでしたが確かに黄瀬くんはこの人と付き合っていましたね。長谷川佐保さんという方だったんですね」
「へ~。長谷川さんはまぁ、一学年上だと知らなくてもしょうがないしチームメイトの元カノのことなんていちいち詮索しないだろうからね~」
冷静に昔の記憶を思い起こすように呟く黒子に対し菜々は相槌するように言った。
当の黄瀬は今回の騒動の元凶である長谷川佐保と付き合ってた過去を知られて何とも言えない気持ちになっているようで複雑そうな顔をしながら黙りこくったまま何も言わなかった。
その様子を見ていた荻原は思わず苦笑してしまった。
「そういえば、私のところに忠告しに来た灰崎祥吾くんって子も長谷川さんと中学時代に付き合ってたって言ってたな~」
「え?七海さんは灰崎くんともお知り合いだったんですか?」
黒子は菜々の口から元チームメイトの灰崎の菜々が出て来たことに対して驚いたように言うと菜々は苦笑しながら答えた。
「灰崎くんは長谷川さんから久しぶりに連絡が来てその内容が、私が今の黄瀬くんの本命彼女で最低女だから適当に弄んで捨ててくれっていう依頼だったみたいで・・・。灰崎くんは長谷川さんの性格を知ってるから自分を利用して気にくわない奴を潰そうとしてるんだろうなってすぐにわかったみたいでターゲットにされた私に忠告しに来てくれたんだよ。その時に黄瀬くんが長谷川さんから聞いた黄瀬くんの本命彼女らしい私を置いて黄瀬くんが俺関係ないから~みたいな態度ですたこらさっさと逃げた様子を見て灰崎くんは自分は長谷川さんに嘘でいいように利用されそうなっていたことに気が付いたみたいでそれから結構仲良くなってね~」
菜々はしみじみと灰崎と関わって仲良くなったときのことを思い出を語るように言う。
どうやら今回の件に関して言えば発端となったのは長谷川らしいことがわかったのでこれに関してはもう大丈夫だろうと考えられるだろうとは思うのだが・・・問題はここからどうやって挽回するのかという点であるということだ。
「長谷川さんに関しては今度の文化祭のミスコンで優勝してほしくない。これ以上増長してほしくないから。私は情報収集しつつ長谷川さん以外のミスコンの候補者のSNSに複垢でいいねとリポストしてるんだけどこれでうまくいくかはわからなんいだけど」
(この人はやると決めたらとことんやるのか・・・・でも、やりすぎるとそれはそれでまずいんじゃないか?大丈夫なのか・・・・というかどこまで考えての行動なんだ?)
長谷川と徹底抗戦に挑むため動くする荻原は心の中でそんな風に思っていたりしが、本人はそんなことは気にしていない様子だった。
だけど菜々が動くことで事態が変わるというのならそれを期待するしかないだろうなと思って菜々の好きなようにさせることにしたのだった。