我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい   作:名無しのなな

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第23話 暴走

「あの、菜々さんって呼んでもいいですか?」

「え?」

(な、なんでだろう?)

「い、いいけど…」

菜々は荻原から下の名前呼びする許可を求められて戸惑うものの受け入れる。

「あの…菜々さん」

「は、はい」

菜々は荻原から下の名前で呼ばれてドキっとする。

(な、なんだろう?こそばゆい~)

菜々は男子から下の呼びをされることが今まであまり無かったのでソワソワするような気持ちになる。

だけど、それは不快なものではなく心地よいものだった。

しかし、菜々はふと思い出す。

 

(あれ?なんか忘れてるような気がする)

菜々は自身を脅かす存在として認識していたゆゆを断罪したことで気が抜けていたが、今回の海常の文化祭には東京女子高時代に名前をいじめていた美間と乗山まだ校内にいて、さらにはいじめグループのボスの長谷川が出場するミスコンで一騒動起きる可能性を危惧して事前に動いていたのに菜々はそのことが頭から抜けていた。

 

「なんであたしがこんな目に遭うんだよっ!おかしいだろ!あたしが一番の被害者じゃねぇか!」

今まで騒動の最中で火神に取り押さえられてからは、しばらくは騒動の傍観者として大人しくしていた北村が突如、そう叫びながら北村は菜々めがけて猪のように突進してくる。

「てめぇ(菜々)が食田さんと喧嘩なんてしなきゃあたしはこんな恥かかずに済んだのに!元はといえば、おめぇが食田さんを怒らせたから起こったことだろうが!あたしに恥かかせやがって!全部てめぇが悪いんだ!」

菜々は北村にそう叫びながら突進された。

「あぶねぇ!」

早川が叫ぶと菜々が身を翻して突進してくる北村を避ける。

北村はそのまま壁に激突して頭を押さえるがまだ元気なようで頭から血を流しながら菜々を睨みつける。

その姿を見た体育館にいる人間は恐怖で動けなくなる。

すると、そこに黒子と荻原がやってきて黒子が言う。

「北村さん!どうして食田さんではなく七海さんに恨みをぶつけるんですか?!」

「そうだ!食田さんがすべての元凶だってわかったのにどうして同じく巻き込まれて東京女子高から海常高校に編入するところまで追い詰められていた菜々さんに恨みをぶつけるんだよ!」

荻原がそう言うと北村は叫ぶ。

「うるせぇぇぇぇぇぇ!私が被害者なんだ!あたしは悪くない!すべての元凶は七海さんが食田さんと喧嘩したことからだろうが!あたしは巻き込まれただけだし!七海さんが東京女子高に入学さえしてこなきゃ・・・・七海さんが海常高校に編入なんて生意気なことしなきゃあたしが騙されたことが周囲にバラされて恥かくこともなかったんだよ!全部、七海さんのせいじゃん!」

北村は自身の思い込みから菜々を恨んでいたことや勘違いしていたことや食田ゆゆにだまされて菜々を攻撃するための特攻兵として使われていたことが恥ずかしくてそのことがゆゆが断罪される際に観衆の前で説明の際にばらされて恥をかいたことが許せなかった。

この期に及んで北村はゆゆ同様に自分の社会的評価のことしか頭になく自身の勘違いや思い込みから暴走していたことを正されたことが一生の不覚のように感じていた。

 

北村は精神的に未熟で思い込みが激しく自分を客観視することができないので食田ゆゆの断罪の際に自分がゆゆに菜々を攻撃するための駒として利用されていた事を思い知らされたことや、真実を知らずに菜々に批判して嫌って菜々の話を聞かなかったことで黄瀬やその他のかっこいい男子の前でその態度や自身の思い込みの件を晒されてしまうきっかけとなったのはすべて菜々のせいだと筋違いの恨みを七海に向けていたのだ。

北村はゆゆに騙されて利用されていた被害者なのだがなりすまされてやってもいない悪事をでっち上げられて追い詰められていた菜々の方が一番の被害者なのだが、北村にとって、菜々はかっこいい男の子たちの前でその思い込みから暴走していた自身の勘違いを晒した悪人なのでどういっても菜々が悪いという認識である。

北村の思い込みは根深かかった。

 

「ぷぷぷぷ~♪菜々ちゃんってば香耶ちゃんに恨まれてやんの~♪おもしろ~い♪ぷぷ~♪」

明枝成実は菜々が北村に筋違いの恨みで暴行されそうになっている名前の様子をスマホで撮影しながら笑っていた。

「香耶ちゃんってばね~、中学時代にいた教育実習の女の先生に勉強教えてもらってた時にちょこぉっと答え間違ってるの軽く指摘されただけで怒っちゃって女の先生こと突き飛ばして怪我させたんだよぉ~☆まじでやばいよぉ~☆猛獣だもぉ~ん☆キャハ」

 

成美は笑いながら北村の過去を暴露する。

それを聞いた菜々と黒子と荻原は愕然とする。

北村の暴走を目の当たりにして菜々は思う。

(なにこのカオス・・・)

そして、明枝成美は笑いながら言う。

「香耶ちゃんはバスケの才能あるからってことで大したお咎めなくて学校内の事故ってことで処理されたけどぉ~。でもやばやばだよぉ~☆菜々ちゃんも香耶ちゃんにボコられちゃえばぁ~?」

成美の言葉に菜々は怒りに震える。

「はぁ?成(なる)ちゃん・・・いま、ピンチの私によくそんなこと言えるね!」

「だぁってぇ~、菜々ちゃんてば生意気なんだもぉ~ん☆ずぅっ~と東京女子高で普通科のみんなから嫌われてバカにされ続けて不幸なままでいたら面白かったのにお試し編入試験受けて海常高校に編入しちゃうんだもん☆もう少しわきまえて生きたほうがいいよぉ?ふふ☆菜々ちゃんなんか香耶ちゃんに殴られて身体不自由になっちゃえ☆」

成美は笑いながら言う。

「ふ~ん。それが、成ちゃんの本音だったんだ~」

菜々は成美に冷めたトーンで言う。

「え~☆本音だなんて~。私はぁ、みんなが思ってることを説明してあげた、だ・け・だ・よぉ?」

成美はそう言いながら笑う。

そして、黒子と荻原は明枝成美の本性にドン引きする。

明枝成美はおっとりした不思議ちゃんに見せて承認欲求が強くて目立つためなら手段を選ばない人間なのである。

ゆゆとは違い明確に承認欲求があるが、自分の思っていることを明確に言葉にすることを避けて他人に言わせようとしたりして自分だけが安全圏にいて安全な場所から他人を攻撃・批判することで自分の承認欲求を満たしている。

菜々が北村から逆恨みで殴られそうになっている今の状況も憐れみながらも面白いエンタメのように思い菜々の不幸を面白がっているのである。

「成ちゃん、どうして自分だけは北村さんに攻撃されないって思えるの?」

「え~?だって私は香耶ちゃんとは幼馴染で昔からあぁやって香耶ちゃんが暴れて周りから孤立した時も優しくしてあげてたからぁ~。猛獣のライオンも小さい頃から一緒の猫には攻撃しないのと一緒でぇ~。香耶ちゃんは私にだけは攻撃してこないのぉ~☆」

成美は笑いながら言う。

「ふ~ん」

「なによぉ!その反応!私は菜々ちゃんとは違って偉くてすごい人間なんだぞぉ☆そういう態度良くないぞぉ☆」

菜々は成美の態度に呆れて思わずそう反応すると成美は菜々を馬鹿にしたように言う。

 

「はぁ・・・もうだめだ。東京女子高にいた子は大体はどいつもこいつも自己評価ばっかり高くて承認欲求が強くてわがままお姫様で自分の思い通りにならなきゃ暴れて喚き散らして・・・中身女子小学生というよりも幼稚園・・・身体だけ大きい赤ちゃんじゃん」

菜々は思わずそう呟くと黒子は言う。

「それは言いすぎじゃありませんか?」

「あ~。うん、思わずなんか出たわ。忘れてくれ」

菜々はさすがに今出た言葉が決め付けが強くて偏見に満ちた言葉だったことを自覚してそう言う。

 

「え~☆みんなぁ~~~!今の菜々ちゃんの言ったこと聞こえたぁ~?!菜々ちゃんってば東京女子高の子が全員、わがままで屑だって言ったんだよぉ~☆みんなぁ~、菜々ちゃんってば最低だよね~!」

 

成美はわざとらしく驚いたような表情でそう言いながら菜々が他人から恨みを買ってもしょうがないような人間であるかのように言う。

成美は他人の不幸や醜聞を喜ぶ性格なので菜々の発言を切り取って拡散していじめのネタになるように騒ぎになればいい、なんなら菜々の発した今の東京女子高へのヘイト発言をきっかけに菜々が断罪されて嫌われて自身は菜々の本性を暴いた正義の味方としてもてはやされればいいという下心でわざと騒ぎ立てる。

しかし、黒子と荻原はそんな成美の本性を見抜いているため呆れた表情で言う。

 

「明枝さん・・・あなた、最低ですね」

「ほんとに最低です」

黒子と荻原の辛辣な言葉に成美は笑いながら言う。

 

「えぇ~?なんでぇ~?私は事実を言っただけだしぃ~。それに今、菜々ちゃんが東京女子高の子達の悪口言ったのあなたたちも聞いてたよね~?菜々ちゃんってば自分だけが特別で性格良くて、他人のこと下げること言うから嫌われていじめられるんだよぉ~?私は菜々ちゃんの言ったことをどうかなって思っただけだしぃ~。なんならそういうこと言うからいじめられるんだよってわからせてあげただけだもん☆」

成美は笑いながら言う。

しかし、黒子と荻原は呆れて何も言えない。

「あっ…成ちゃん…うしろ…!」

「へ?」

菜々に言われて背後を振り返るとそこには拳を振り下ろそうとする北村の姿があった。

そして北村は振り上げた拳で成美の頭を北村は強打した。

成美はそのまま体育館の床に倒れて動かなくなる。

成美は気絶していた。

「ごちゃごちゃうるせぇんだよ・・・・どいつもこいつも!」

「あ~北村さん、成ちゃんの「自分だけは香耶ちゃんに殴られない」とか「ライオンが子供の時から一緒に育った猫を攻撃しないのと一緒で~」の例えた時に自分をかわいい猫側に設定した成ちゃんの狡猾さというか女としてのずるさが気にくわなかったんだろうね~」

菜々は北村が成美を殴ったことをそう評する。

 

「北村!やめなさい!」

北村の暴行を見た女子バスケ部の顧問の小西敦子が慌てて止めに入る。

しかし無情にも小西は北村に顔面を殴打されて気絶してしまう。

その現場を見た体育館にいる人間たちは恐怖で動けなくなる。

そして北村は逆恨みしていた菜々の元に身体を揺らしながら近づいてきた。

北村は、自分は被害者で、悪くないとそう思わなければならないほどに精神的に追い詰められて正気を失っていた。

 

「う~ん、これは三十六計逃げるに如かずだね!」

菜々はそう言うと体育館の外に駆け出す。

北村はそのまま菜々を追いかけて行った。

その光景を見ていた黒子は荻原に言う。

「荻原くん、僕らも追いかけましょう!」

「あぁ」

黒子と荻原が菜々と菜々を追いかけて行った暴君となった北村を追いかけて体育館を出て行った。

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