我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい   作:名無しのなな

25 / 26
汚い暴言の応酬をするシーンがあります。苦手な方はご注意ください。


第25話 広がる世界

「うっわ!菜々ちゃんってば男連れとか生意気なんですけど~w」

「うるぁぁぁ!成敗してやるぅ~!」

乗山が菜々を見てそういうと美間が菜々に笑いながら大きく振りかぶって殴りかかろうとしてくる。

だが、美間の拳が菜々に届くことはなかった。

なぜなら荻原が美間の腕を掴んで止めたからだった。

「てめぇ!何止めてんだよ!空気読めよ!」

美間は荻原が自身の腕を掴んで菜々に殴りかかろうとしたことを阻止されたことにキレながら言う。

すると菜々が言う。

「荻原く・・・シゲヒロくん、ありがとう。あのさ、私、美間さんと乗山さんのノリとかわかんないから。だからもう話しかけてこないで」

「ハァぁ?!てめぇ、誰に向かって口きいてんだ!あぁん!」

乗山は菜々に近づくとにらみつけながらそう言って菜々の胸ぐらを掴んでくる。

「生意気な態度とってんじゃねぇよ!底辺!底辺!底辺!底辺!底辺!底辺!」

「そうだよぉ~!て~いへん!て~いへん!て~いへん!て~いへん!生きてる価値な~し!」

乗山と美間は大声で菜々に対してまくしたてるように罵る。

すると黒子は乗山に言う。

「七海さんを侮辱するのはやめてください」

「はぁ?何こいつ、マジうぜぇんだけど」

乗山は黒子に腕を掴まれたことにイラつきながら言う。

荻原が美間と乗山を菜々から引き離そうとする。

「あんたら…東京女子高にいた暴れてた二人組…菜々さんに失礼だぞ!やめろよ!」

荻原は美間と乗山が交換編入で東京女子高にいたときに普通科2年の教室前に行ったときに遭遇してその際に自身を襲ってきた女子二人組だったことに気づく。

「底辺!底辺!底辺!底辺!底辺!底辺!底辺!くず!くず!くず!くず!くず!くず!カス!カス!カス!カス!カス!カス!」

乗山はボタンを連打するように大声で菜々に対して「底辺」「くず 「カス」を連呼してきた。

「ねぇ~!のり~!あの歌うたおうよ~!菜々ちゃんにぴったりの歌~!」

美間は乗山が暴言の単語を言い切ったタイミングで乗山に持ちかける。

「いいね~!じゃあ…」

乗山がそう言うと

「「いっせーの…!」」

 

「「なんで生きてんの~?なんでここにいるの~♪」」

 

美間と乗山は二人で顔を見合わせてかけ声にあわせて歌い出した。

 

「ぎゃははははは!この歌の通り菜々ちゃんってば何しに生まれて来たんだって感じだよねぇ!!!世の為、人のために早く紐無しバンジーしろよなぁ!ぎゃはははは!」

乗山は菜々に対して大声でふざけながら大声で言う。

元の歌自体には悪意は含まれているものではなくて、今までの流れを知らない人から何か言われても「ただ歌っていただけ」「受け取り方の問題」と一蹴されてしまうような巧妙なやり口だった。

だけど、美間と乗山が歌った歌にも確実に菜々を傷つけたいという思惑がはっきりとあった。

事情を知らない人から見たら、美間と乗山は海常の文化祭でテンションが上がっている普通の女子高生二人組にしか見えない。

だけど、美間と乗山の言動はおふざけやいじりやからかいの範疇を越えている。

(なにそれ…どうしてこんなに言われないといけないの?!)

(それに…美間さんも乗山さんも…こんなに他人に暴言吐きまくってくるなんて異常だよ!それに、こんなに大声で他人に暴言を吐く人を元気な高校生として受け流して放置して好き勝手させてた周りの人たちも…おかしいよ!)

菜々は美間と乗山の異常さや、美間と乗山の異常さを見て見ぬふりをして放置していた周囲や環境や今の状況に怒りや悲しみが沸き上がっていた。

しかし、菜々は今までの経験から美間と乗山には何を言っても通じないことを知っていた。

菜々は俯いて何も言えなくなっていた。

すると黒子が言う。

「七海さんに謝ってください」

荻原が美間と乗山に言う。

「はぁ?なんで?意味わっかんねーし!菜々ちゃんが底辺なのは事実じゃん!頭も悪くてキモくって嫌われ者のだっせー女!」

乗山は意に返さずに言う。

するとそこに海常高校バスケ部の早川充洋が現れる。

「お前あ(ら)!何してんだ!」

早川はそう言いながら菜々たちの元に近づいてくる。

すると黒子が早川に向かって言う。

「この人たちが七海さんに向かって至近距離で喧嘩腰で好き勝手暴言を吐いてくるんです」

そして、早川の後ろから笠松や森山や小堀や中村などの海常高校バスケ部のメンバーが現れる。

(えぇ~なんで勢ぞろい~?助かるけど~。あ、海常バスケ部の部員のシゲヒロくんがいるからか~!)

菜々は笠松と森山と小堀や中村などの海常高校バスケ部のメンバーを見て思った。

菜々は美間と乗山に暴言を吐かれて何も言い返せない情けない姿を海常高校でできた顔見知りたちに見られたことが恥ずかしくてたまらなかった。

すると海常高校バスケ部のメンバーたちが美間と乗山に言う。

「お前ら、なにやってんだ!」

笠松がそう言うと海常高校バスケ部のメンバーたちも美間と乗山に険しい表情を向けていた。

美間はすぐにひるんで大人しくなるが乗山は耳の穴に小指を入れてだるそうにしながら言う。

「はぁ?お前らなに?菜々ちゃんの知り合い?こんな、かっこいいリア充系の体育会系男子たちが?!プッ!やめときなって~!菜々ちゃん、毎回テストの点数低くてオタクでキモくて嫌われて当然の人間でぇ~。これだけ言わないとわかんねぇんすわ!あたしたちにとってのコミュニケーションっていうかそんなかんじなんで!な!菜々ちゃん!」

乗山はそう言って菜々に同意を求める。

「はぁ!嫌なんだけど!美間さんも乗山さんも大っ嫌いだから!私、他人に暴言吐く人も他人をいじめて気持ちよさそうにしてる人とか大っ嫌いだから!」

菜々は乗山が事態をなぁなぁにするために一転して不自然なくらいにフレンドリーな態度でになって近いてきたことに嫌悪感をあらわにしながら言う。

菜々の言葉に乗山は顔をぴくぴくさせながら言う。

「はぁ!てめぇ、ナマ言ってんじゃねぇよ!」

そう言いながら乗山が菜々の腕を掴んで殴りかかろうとしたとき、何者かが乗山の拳を掴んで止めた。

乗山の拳を受け止めたのは久しく会っていなかった灰崎祥吾だった。

「灰崎くん?!」

菜々は驚きながら言う。

長身のドレッドヘアの明らかに不良の灰崎に腕を掴まれて乗山はひるみ、美間はぶるぶるふるえている。

早川は美間と乗山に言う。

「おまえ(ら)あ!なんで生きてんだ~!なんでこ~こにいう(る)んだぁ~?!」

早川は美間と乗山に向かって(先ほどの替え歌を真似るように)叫んだ。

先ほど、乗山と美間が菜々をバカにするために歌った替え歌のフレーズで暗に菜々に「生きる価値無いから死ね」という意味でやっていたそれをアレンジして引用してそれを真似して美間と乗山を罵倒する。

「てんめぇ!あたしの菜々ちゃんにしていたいじめネタぱくってんじゃねぇぞ!ケツの穴に指突っ込んで奥ガタガタ言わせてやんぞごるぁ!エンコつめんぞおるぁ!」

乗山はそう言って早川に怒鳴りつける。

「へぇ、おもしれぇじゃねぇか。やれるもんなんらやってみろよ、ほら」

「いだいいだいいだいいだい!腕折れる!腕折れる~!」

灰崎は喧嘩慣れしいるからなのか乗山の威嚇にも暴言にも怯まずに余裕の笑みで暴れる乗山の腕をひねり上げながら言う。

「のりぃぃぃぃぃ!もう、やめなよぉ!その人(灰崎)、本物の不良だよぉ?!」

美間は自身を陰キャだと自認しつつも、陰キャ扱いされるのが嫌で悪ぶっている小心者なので見るからに不良の灰崎に怯えていた。

しかし、拘束された乗山は灰崎に怯むことなく言う。

「うるせぇ!あたしは全知全能の神なんだぞ!てめえら底辺になんか負けねえんだよ!」

乗山は灰崎に腕を掴まれながら言う。

すると黒子が美間と乗山の2人に向かって言う。

「あなたたち、七海さんに謝ってください」

「謝るわけねーだろ!バァァァァカ!」

乗山は威勢よく大声で灰崎に掴まれている状態から抜け出そうとする。

だが、黒子は無表情で乗山を見て言う。

「あなた、さっき、七海さんに向かって大声で暴言を吐いていましたよね」

黒子は無表情で乗山に言う。

すると灰崎が美間に言う。

「そうなのか?」

灰崎は美間と乗山をにらみつけるようにして見る。

「えっ?暴言っていうか・・・その、ちょっとした冗談?っていうか?」

美間は灰崎に怯えながら目を逸らして言う。

「あの、その・・・ちょっとした遊びっていうか冗談だから!悪気はないの!あたしらちょっとお茶目でおふざけが過ぎるだけっていうか!だから、その・・・」

美間は灰崎にビビりながら言う。

(そんなのでごまかせるわけないでしょう・・・)

菜々は美間と乗山の態度にあきれながら思った。

すると暴れた乗山の着ていた制服のスカートのポケットから何かがはみ出て落ちたのが見えた。

(なにこれ・・・?)

菜々は乗山の落とした注射器や謎のカラフルな錠剤や白い粉がぎっしり入った小袋を拾う。すると乗山がそれを見て発狂する。

「てめぇ!それいくらすると思ってんだぁ!低賃金底辺人生のてめぇが一生かかっても買えねぇ代物だぞぉ!」

「え?これが・・・てか、なにこれ?もしかして危ないお薬とか・・・そういうもの?」

菜々は怯えながら言う。

すると黒子は無表情で言う。

「おそらくそうです」

黒子は無表情で言う。

「えぇっ?!」

菜々は乗山がポケットから落としたの違法薬物らしきものであることを認識して驚く。

すると灰崎が美間に言う。

「おまえら、ヤクやってんのかよ・・・だからこんなラリってたのかよ」

灰崎は不良だが、さすがに違法薬物を所持していた美間と乗山にドン引きする。

すると黒子は無表情で言う。

「あなたたちは七海さんをいじめていただけではなく違法薬物にも手を出していたんですね」

黒子は無表情で言う。

すると乗山は吠えるように言う。

「ちげーし!あたしらはヤク運んだだけだし!ヤクは動かしてもやんねーのが鉄則だし!あたしら頭いいし!」

乗山は吠える。

「いや、違法薬物の運び人も犯罪だし・・・」

菜々は絞るように言う。

「あたしら、賢く稼いでただけだし!底辺とはちげーから!」

乗山は高笑いしながら言う。

乗山が笑いながら自信満々に犯罪自慢をする様子を見て周囲にいた人間たちはドン引きする。

「のりぃ・・・もうやめなって・・・」

美間がオロオロしていると灰崎に取り押さえいた乗山が

「ごぶぁ!」

突然、泡を吹いて倒れる。

「なんだなんだ!たおえ(れ)たぞ!」

早川が突然苦しみだした乗山の姿を見て言う。

すると乗山が叫ぶ。

「うぶぁぁぁぁぁぁ!」

その叫びは校庭中に響き渡って海常高校バスケ部のメンバーも驚く。

そして、突然、美間も苦しみだしたかと思うと口から泡を吹いて倒れてしまう。

さらに乗山は倒れたまま動かないでいる。

「え・・・なになに?!どういうこと?」

菜々が慌てていると

「おそらくあの二人は薬物の運び屋もやりながら自身も薬物をやっていたんだろうね」

突然現れた黒髪に片目が隠れた髪型のイケメンが突然現れて言う。

「えぇっ?!誰?!」

菜々は突然現れた乗山と美間の様子を見て解説してくれた男に驚く。

「おい!辰也!なにしてんだ!そいつらに迂闊に近寄ったらあぶないだろ!」

菜々が驚いているとそこへ火神が走ってくる。

そして、火神は菜々に言う。

「火神くん、この人は・・・」

「こいつは氷室辰也。俺がアメリカにいた頃に仲良くしてた、なんていうか友達だ」

「はじめまして、陽泉高校2年の氷室辰也です」

氷室辰也は火神に紹介されて礼儀正しく菜々と初対面の挨拶をする。

「は、はじめまして・・・・海常高校2年の七海菜々です・・・・」

すると早川が驚いたように言う。

「なんでお前、あいつあ(ら)が薬物やってんのわかったんだぁ?!」

「え?ああ。アメリカに住んでいた頃に街中で薬物中毒者が暴れて警察沙汰になる事件が何度もあったからね。」

氷室は淡々とした様子で答える。

「あははは・・・そうなんだ~」

菜々は氷室の話を聞いて苦笑いしながらも納得する。

乗山と美間はそのまま担架で運ばれて行った。

「はぁ~・・・なんか大変だった~」

菜々は美間と乗山が運ばれていく様子を見て呟く。

おそらく乗山と美間は東京女子高校を退学になるだろうし二人と仲良くしていた人間たちも調査されるだろう。

(私は東京女子高校の生徒じゃないし、薬物もやってないし・・・・まぁ、この場にいた目撃者だし関わり合ったからある程度は警察に聞かれるかもだけど潔白だし)

東京女子高校にいた頃は、毎日、美間と乗山に怒鳴りつけられて暴言を吐かれていたときは恐くて頭が真っ白になって何も言えずにただ黙って耐えていた。

しかし、今は違う。

菜々には新しい環境で築いた新しい人間関係ができていた。

それは、最初にいじめっ子の長谷川のことがきっかけで森山と出会って、それから海常のバスケ部の彼らやその関係者と関わるうちに様々な人と出会って広い世界を知れたことで人間関係が再構築できたことに要因があったのかもしれない。

東京女子高校には心強い味方も友人もいるし居場所がないわけではなかった。

しかし、彼女らはあくまでも同じ学校の生徒同士でありそれ以上でもそれ以下でもなかったのである。

環境が変わった今で冷静に過去を振り返るとその時には自覚していなかっただけで苦しかったのだろう。

本当は弱虫で泣き虫な自分を閉じ込めて蓋をして、強い自分を演じていた。でももうそれは必要ない。

 

「それにして灰崎くんも来てたんだね。助けてくれてありがとうね」

菜々は乗山を捕獲してくれていた灰崎に礼を言う。

すると灰崎が答える。

「ああ、気にすんな」

灰崎は菜々に言う。

そんなやりとりをしているとドスドスと足音を立てながら自業自得なのに菜々に筋違い逆恨みしてキレて気にくわない人間を片っ端からぶん殴るバーサーカーと化した北村が走ってくる。

「うわっ…北村さんが来ちゃったよ~。まだ怒ってる…!」

それを見た菜々は青ざめるが、灰崎と氷室は事情を知らないので平然としていた。

「あいつ男子か?あ、女子か」

灰崎は東京女子高校女子バスケ部の規則に沿ってベリーショートにしている178㎝の高身長で力も強そうな北村を見て言う。

氷室は口を開く。

「スカートを履いているし・・・女性だろうね」

灰崎は氷室の言葉に同意する。

「まずいまずい・・・ちょっと逃げなきゃ!」

菜々は北村に逆恨みから追いかけられていてピンチだったことを思い出してその場から逃げるためにミスコンのステージ発表の特設会場の裏手に行く。

既にミスコンにエントリーした各学年各クラスの代表者たちの自己PRや特技発表などが終わって今はグランプリの発表を控えている。

ステージ発表の特設会場の裏手では、黄瀬が鼻歌を歌いながら待っていた。

「あれ?!なんで黄瀬くんがここにいるの?!」

「あ、菜々さん!俺、今日の女子のミスコングランプリの子に花束渡す係をすることになってたから、ここで待ってるんすよ」

黄瀬は笑顔で言う。

「え?あ!本当だ!」

菜々は裏手にも貼ってあったミスコンのポスターを見る。

ミスコンの募集ポスターには黄瀬の顔写真とともに表記されていた「グランプリは今回の海常ミスコンのアンバサダーの黄瀬涼太(キセリョ)から花束贈呈!」という文言を見て驚く。

「え~・・・黄瀬くん。大丈夫なの?長谷川さんがグランプリになっちゃったら長谷川さんに花束贈呈しなきゃだけど・・・まぁ、ステージ上だけの関わりなら大丈夫だろうし長谷川さんがグランプリになるとはまだ確定してないし・・・大丈夫か」

菜々は黄瀬があの長谷川佐保と関わりがあるのかと不安になるが、黄瀬はそんな菜々の心配をよそに係の人に言われてステージ上に登壇する。

「それでは今回の海常ミスコンのアンバサダーの黄瀬涼太くんです!」

黄瀬が校庭にある特設ステージに登壇すると校庭中に黄色い悲鳴が上がる。

黄瀬は笑顔で歓声に手を振って応えながら司会者とトークしている。

「このままここに身を隠していれば北村さんに見つからないで済むか・・・」

菜々は特設ステージの裏手で係の人間たちに紛れて、ステージ係の生徒に許可をもらってそこに置いてあったスタッフ用のウォータージャグの水を紙コップに注いで水分補給をしてミスコンのグランプリ発表をやり過ごす。

この時、菜々はミスコンの特設ステージからギリギリ見えない場所にいるとはいえ近くにいて隠れていることが北村にバレてしまうとは思いもしていなかった。

そして、そのミスコンのグランプリ発表でさらにとんでもないことが起きるとも知らずに・・・。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。