我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい 作:名無しのなな
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「はえあるグランプリは・・・・3年C組のクリスティーン春菜さんです!」
海常ミスコンのグランプリは3年生のハーフの女子だった。
「よっしゃぁぁ!長谷川さんじゃなかったぁ!!」
菜々は長谷川佐保がグランプリにならなかったことを裏手で喜ぶ。
ステージの上にいた長谷川は呆然と黄瀬がグランプリのクリスティーン春菜に花束を贈呈している様子を呆然と見ていたが、グランプリのクリスティーン春菜が出場者の並びに戻ってくると憎悪の目で睨みつける。
(長谷川さんも鼻っ柱が折られたんだからこれから少しでも大人しくなってくれたり成長してくれれば・・・)
菜々は穏やかにミスコンが終わることやこのミスコンでの負けをきっかけに傲慢なわがまま女王様の長谷川佐保が成長して意識が変われば・・・と淡い期待をしていた。
しかし、菜々の希望は打ち砕かれる。
「ブー!ブー!」
「こんなんおかしいぞ~!」
「なんで佐保がグランプリじゃねぇんだよ!なんか不正したんじゃねぇのか!」
東京女子高校の制服を着た女生徒たちが元クラスメイトで崇め奉っていた長谷川佐保がグランプリでないことに怒り狂いながら特設ステージに向かって吠えていた。
女子の集団がブーイングを始めたことに会場にいた人間たちがざわつき始める。
その様子を見ていた黄瀬は困った顔をして言う。
「え?なんかめっちゃブーイングされてるんスけど・・・」
黄瀬はステージ上で困惑した様子でおろおろしていた。
「え~・・当ミスコンは事前投票での得票数で既に決まっているもので・・・」
ブーイングをする東京女子高校の女生徒の集団に司会者もミスコンの実行委員の生徒たちも困惑してどうしたらいいのかわからずにいた。
菜々はオロオロする司会者からマイクを奪っていう。
「グランプリは文化祭の一週間前に行われた校内投票の集計で既に決まっていました。みなさんたくさんのご声援ありがとうございました~」
菜々はにっこり笑顔でブーイングをしている東京女子高校の生徒たちに言う。
すると東京女子高校の生徒たちは菜々の笑顔に一瞬見惚れるがすぐにブーイングを再開する。
「てめぇ(菜々)がなんかしたんだろうが!」
「ぜってぇそうだ!てめえ(菜々)、オタクでキモいから機械とか使えそうだし!」
しかし、菜々はそんなブーイングも気にせずにきょとんとした顔で言う。
「どうして私がそんなことをしなければならないのですか?」
「てめぇしかいねぇだろうが!佐保から嫌われてあたしらにいじめられてたんだから!」
長谷川佐保の取り巻きが意気揚々と発言したがすぐに墓穴を掘ってしまったという顔になる。
それもそうだろう。
自分たちがクラスの女王である長谷川佐保が菜々を一方的に嫌っているからという理由でやっていた菜々へのいじめを大勢の前で暴露してしまったのだから。
菜々は長谷川佐保が自分を嫌っているのを知っていたしそのことで自分がいじめられていることも知っていた。
しかし、どこかで長谷川佐保がこわくて逆らえずにいじめに加担している者が多いと思っていたからそこまで大事にしないようにしていたのだ。
だが、長谷川佐保の取り巻き立ちは盲目的に長谷川佐保に心酔していて菜々へのいじめも自分の意思で楽しい遊びとしてやっていたことがこれではっきりした。
菜々は今まで長谷川佐保に逆らわずに従っていた東京女子高校の生徒たちに失望すると同時にうんざりしていた。
「あ~あ。私への一方的な攻撃やヘイトを楽しく集団でやってたこと認めちゃったね~」
菜々は呆れたように言う。
「てめぇ!図ったな!七海のくせに生意気なんだよ!てめぇなんか存在しなきゃよかったんだよ!学校辞めていなくなれよ!」
長谷川佐保の取り巻きは菜々に吠える。
「もうそっちの学校(東京女子高校)には私はいないじゃないですか~?編入先の海常に来てまでいわれても~。それにそんなひどいこというのやめてくださ~い」
菜々はわざとらしくぷいっと顔をそむける素振りをしながら言う。
「てめぇが佐保がグランプリになれないように裏工作したんだろうが!とっとと認めろよ!お前、佐保の美しさに嫉妬してこんなことしたんだろ!早く認めろ!ブス!」
「は?見当違いのこというのやめてくれませんか~?私は長谷川さんの美しさとか興味ないんですけど」
菜々は長谷川の取り巻きたちを哀れなものを見ながら言う。
「はぁ?!女は誰だって、全人類、佐保みたいな美人なりたがるもんだろ!お前、佐保の顔になりたくないとか強がっても無駄!無駄!ブス!」
「はぁ…しんど…」
菜々は東京女子高校の生徒たちの暴言にうんざりしていた。
すると、海常高校バスケ部の主将の笠松幸男がテージ上に登壇してきた。
「笠松先輩?」
菜々はステージに上がって来た笠松の姿に驚く。
笠松は長谷川佐保をいじめていた東京女子高校の生徒たちに向かって言う。
「おい!お前ら、いい加減にしろよ!」
そして、今度は菜々のほうを向いて言う。
「お前もこんな奴らに構ってねぇでさっさとステージから降りろ!」
「え?私は別に大丈夫ですよ?この人たちと初めて正々堂々と言い合いできて気持ちいくらいですし。今までサイレントで嫌っているけどはっきり言葉にされずに陰湿に聞こえるように悪口とかくすくすひそひそみたいな攻撃ばっかりで反抗しようにも機会を与えられていなかったからいま、前にいた東京女子高校のいじめっ子集団たちと衆人監視の下で直接対決できてすっごく気持ちいいですよ!」
菜々は笠松に向かってにっこり笑いながら言う。
「お前なぁ・・・・とにかくステージから降りろ!このまま暴動でも起きたりでもしたらどうするんだよ!」
笠松は菜々の笑顔にたじろぎながらステージを降りるように言う。
しかし、菜々はステージから降りようとしない。
「あなたたちが言う長谷川佐保さんの外見は私の好みではないんですよ。私はもっとこう、堀北マイとか篠崎あきみたいな外見の子が好きなんだよね~」
菜々は細身の美人系のモデル体型の長谷川佐保ではなく、グラビア中心に活躍する男性人気が高い堀北マイや篠崎あきのような外見が好きでどちらかというとなれるならそっちのほうがいいと本気で思っていた。
しかし、そんな菜々の発言に東京女子高校の生徒たちが怒り出す。
「んだよ!それ!テメェ、女のくせに男に媚売る女が好きとか頭おかしいんじゃねーのか!」
「そうだ!そうだ!男の為に生きてるような水着で媚売るだっせー女が好きとか男ウケ意識しててもずれてっから!ブス!」
「そっか~。私が好きな彼女たちはそう言う認識なんだぁ~。でも今は多様性の時代だよ?細身の美人モデル体型が好きな女もグラビアアイドル系美人が好きな女もいてもいいじゃな~い?多様性の時代だよ~?」
菜々は東京女子高校の元クラスメイトのいじめっ子達に何を言われても怒るどころか楽しそうだった。
長谷川佐保はステージ上で菜々が余裕綽々でいじめっ子たちとレスバしている様子をイライラしながら見ていた。
それは菜々がしぶとく戦っていることに対してでもあり、今、自分よりもステージ上で目立っている菜々が気にくわないという感情からだった。
菜々の様子を横で見ていた笠松は呆れるしかなかった。
笠松は呆れながらも、菜々が巻き込まれないようにステージからどう下ろそうかと考えていた時、そこへ菜々へ筋違いの恨みを抱えて殴り殺そうとしていた北村香耶がステージ上に登壇して来た。
「おい!七海!北村がきたぞ!」
「え?」
菜々は笠松に言われて笠松が指差した方向を見る。
そこには北村香耶がいた。
北村は下を向きながらこぶしを握り締めて野生動物のような出で立ちで菜々に殴りかかろうとステージ上を一歩ずつゆっくり歩く。
「うっわ・・・来ちゃったね~!北村さ~ん!ステージには黄瀬くんもいるけど暴れるの~?」
菜々は、内面は乙女の北村はイケメンの黄瀬には嫌われたくないだろうからこう言えばステージから降りてくれるだろうと考えていた。
しかし、菜々の考え通りにはいかず北村はステージに向かって来る。
そんな光景を目の当たりにした黄瀬は真っ青になって叫ぶ。
「北村さん!何やってるんスか!!ダメっす!!」
黄瀬の叫びもむなしく北村はステージ上の菜々に殴りかかって来た。
しかし、菜々は身を翻して拳をよける。
そして北村の拳はステージ上にいたミスコン出場者や野外ステージ担当の生徒たちが混乱している最中、ちょうど逃げようとしていた長谷川に当たって長谷川はそのままステージから落ちた。
「うわぁっ!長谷川さんっ!大丈夫?!」
菜々はステージから落ちた長谷川に声をかける。
マイクがONになっていて、菜々が長谷川声掛けしたために長谷川に注目が集まる。
「うわぁ!長谷川さん!鼻からなんか出てるよ!白いやつ!もしかして骨?!」
菜々は顔面を強打した長谷川の鼻から出た骨にしては不自然なくらい白いものを指しながら長谷川に言う。
「ねぇ、あれってプロテーゼじゃない?」
「えっ?!プロテーゼって整形するときに入れるっていうアレのこと?」
「長谷川さんって整形してたの?」
会場内にいた人間たちがざわめきだす。
長谷川はやっと鼻から血が出ていることに気づき慌てて鼻を手で拭うとステージ上に登壇して来た北村香耶を睨み付ける。
だが、北村の殺気にたじろいだように一歩後ずさる。
「てんめぇ・・・なにしてくれんだ!お前のせいで大恥かいたじゃねぇか!」
「はぁ?テメェの整形とか知ったこっちゃねーし!てか整形バレとかヤバッw」
北村は罵倒してくる長谷川に笑いながら言う。
今の長谷川にはかつての無慈悲な教室の女王のような威厳はなくただ情けなく顔面強打の怪我でプロテーゼが出たため、整形がバレた鼻を隠そうと必死に手で隠そうとしていた。
長谷川のプロテーゼが露見したことによって会場内にいる人間たちはざわつき始める。
しかし、菜々だけは楽しそうに笑っていた。
「長谷川さん・・・どうして整形なんて・・・元から美人だったじゃない?」
菜々は邪悪な笑顔を切り替えて心配するようように長谷川に質問する。
菜々は長谷川をいじめてられていたが、長谷川の整形には気づかなかった。なぜなら、長谷川は東京女子高入学当初から美人で有名でSNSに載せていた幼い頃の写真も美人な子供のものだったからだ。
だけど、菜々は美人だと東京女子高校内の菜々のクラスで羨望の眼差しで見られていた長谷川が整形したことが、自分をいじめていたことと何か関係あるのではと勘繰っていた。
「うっせ。お前には関係ねぇし」
「あ、ふ~ん」
菜々は長谷川の返答にそれ以上突っ込まずただ信じられないという表情で長谷川を見る。
そんな時、特設ステージに黄瀬涼太が登壇してマイクをONにする。
「あの~、長谷川さんは整形してたみたいッスけど中学時代から整形しなくても美人だったッスよね。俺、同じ帝光中だったし、祥吾くんも覚えてるっスよね?長谷川さんのこと」
黄瀬は観客席にいた灰崎に声をかける。
灰崎は面倒くさそうにしていたのに黄瀬から声をかけられると嫌々ながら頷く。
どうやら黄瀬なりにこれ以上整形バレして菜々に対して何をしでかすかわからない長谷川の機嫌をとろうとしているようだ。
「整形しなくても美人だったスけど・・・まぁ、長谷川さんにしかわからない何かしらのこだわりとか、譲れないものがあったんスよね?でも、整形するくらいコンプレックスがあったんスか?」
「・・・・別にそんなんじゃねーし!」
長谷川は黄瀬に対してそれだけ言うと野外ステージから降りようと立ち上がる。
「ねぇ、佐保が整形したのってあれのせいじゃない?」
「あれって?」
「ほら、老け顔コンプ!」
観客席にいた長谷川の取り巻きたちが長谷川を見て笑う。
長谷川は取り巻きたちの会話を聞いて顔を赤くする。
「…っちげーし!そんなんじゃねーし!」
「あ~、童顔マウントとられた!とか同じ事務所の人気モデルの子の「また中学生に間違えられちゃった~ぴえ~ん」みたいなSNSの投稿見る度に機嫌悪そうにしてたもんね~」
「七海のこといじめてたのも、七海がよく教室内で「また小学生に間違われた~」とか同じ陰キャ仲間に言ってたの聞いてそれで八つ当たり的な感じで七海のこといじめてただけなんじゃないの~?」
長谷川の取り巻きたちが長谷川をからかう。
長谷川は図星をつかれて顔を真っ赤にする。
しかし、菜々がステージに上がって来てからというもの、長谷川の悪事が暴かれてしまったので会場内の空気は一変していた。
(私はあんな人にそんなくだらない理由(童顔)でいじめられてたのか・・・・)