【完結】我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい 作:名無しのなな
「はぁ?!何?!てか、誰だよ!お前ら!」
長谷川は突然現れた黒子と火神に自分の考えを否定されて激高する。
菜々は長谷川佐保の言動に呆れたように言う。
「え~?上とか下とか・・・勝ちとか負けとかそういうのって誰が決めるの?世の中は成績とかテストの点数とかスポーツの勝ち負けとか数字ではっきり勝ち負けが決まる勝負ばっかりじゃないんだよ?それにその理論で言うなら今回のミスコンで優勝できなかった長谷川さんは負けたことになるけどそれはいいの?」
「はぁ?!あたしは負けてないし!ぜんっぜん負けてないし!あたしのほうがグランプリのただのパンピーのあいつ(クリスティーン春菜)よりもフォロワー数も多いしモデル事務所に所属してるし!それに、あたしの言うこと何でも聞く奴もたくさんいるし!それに比べてお前は・・・」
長谷川は菜々の質問に答えずに喚く。そして、長谷川は菜々を指差して言う。
「お前なんか、あたしに負けてる底辺のくせに身分不相応なことばっかりしやがって!社会の底辺を這いずり回るような人間なんだから一生日陰で生きてろよ!」
長谷川は菜々に向かって叫ぶ。
「え~?長谷川さんってそういうこと本気で言う人なの?」
「あ?当たり前でしょ!どんだけ強かろうと負けたら終わりなんだから!」
「うわぁ…本当に自分が世界の中心で正しいと思ってるんだ~」
(長谷川さん、本気が世界の中心だと思ってるよ~)
菜々は長谷川の言動に呆れていた。
「あぁ、そういうことだっんスか」
菜々と長谷川が言い合っているのを横で見ていた黄瀬が呟く。
「中学時代に俺が1on1で祥吾くんに負けた時に俺から祥吾くんに乗り換えたのも負けた人間が嫌いだから、祥吾くんに乗り換えたんスね」
「はぁ?!そんなの当たり前でしょ!だってあたしは勝ち組なんだから常に勝ち続けてる男こそふさわしいんだから!負けても負けても食らいついてくるとかそんなの負け犬のすることだし!あたし、負け犬とか大嫌いだし!そんな男と付き合うとかありえないから!」
長谷川は黄瀬に向かって言う。
黄瀬は長谷川の言葉を聞いて呆然とする。
「へぇ~。俺は勝ちも負けもどっちも味わってそれからこそ強くなれると思うんだけど・・・長谷川さんは違うんスね」
黄瀬は長谷川に言う。
「は?あたしは勝者だから常に上にいなきゃいけないんだよ!勝者のあたしに相応しいのは常に勝ってる男なんだよ!」
長谷川は黄瀬に向かって叫ぶ。
「そんでお前は、俺が黄瀬に勝った時は俺の女になったんだよな。そんで、俺がバスケ部辞めた途端に俺のことフったよな」
すると灰崎も会話に入ってくる。
「え?そうなの?」
菜々は長谷川が中学時代に黄瀬と灰崎と付き合っていたことは知っていたが、その詳細については知らなかったので中学時代に長谷川が灰崎との1on1で黄瀬が負けた際に、黄瀬から灰崎に乗り換えたという話を聞いて驚く。
「はぁ?!それの何が悪いわけ?!」
長谷川は灰崎に向かって叫ぶ。
「へぇ~。長谷川さんはそういうタイプなんスね。わかったス」
黄瀬は長谷川に向かって言う。
「あ?何がだよ!」
長谷川は黄瀬に向かって怒鳴る。
「長谷川さんは勝ち負けだけを見て人と付き合う人なんスね」
黄瀬は長谷川に向かって言う。
「この世は弱肉強食なんだよ!あたしは負け組にならないように勉強だってSNS活動だって外見磨きだって手を抜いたことなんてない!こんなに頑張ってるあたしにふさわしいのは同じように勝ち組の男だから負け組の男から勝ち組の男に乗り換えて何が悪いの!?それに、勝ち組のあたしが負け組をどんな風に扱おうとも勝ち組の特権でしょ!」
長谷川佐保はステージ下からそう叫ぶ。
するとその様子を見ていた紫原敦が言う。
「うわ~。きっしょ~。俺、無理~」
紫原は長谷川が吠えるように捲し立てる様子を見ながら言う。
長谷川は紫原の言葉に激昂する。
「はぁ?!うっせーんだよ!誰だよ!お前!誰がそんなこと決めたんだよ!あたしは正しいんだよ!」
「うるさいし自己中だし~」
紫原は長谷川に向かって言う。
「まぁ、それくらいにしなよ。敦」
そんな紫原の肩を叩いたのは氷室だった。
氷室は紫原を落ち着かせるように言う。
「とりあえず、一旦ここから少し離れようか」
氷室は紫原の肩を叩きながら言う。
「うん、わかった~」
紫原はそう言ってその場から離れて行く。
「ふん!あんたなんかに嫌われてもどーでもいいし!あたしには黄瀬くんでも祥吾でもなくて赤司征十郎くんみたいな男がふさわしいの!あんな風に常に勝ってて負けない人と一緒になる権利があたしにはあるんだから!」
長谷川は紫原の後ろ姿に向かって叫ぶ。
紫原は振り返ると長谷川に向かって言う。
「あのさ~、俺、お前のこと嫌い~。それと、あんた、赤ちんのこと何も知らない癖に知ったようなこと言ってるけど赤ちんに失礼じゃね?」
紫原は長谷川に向かって言う。
「はぁ?!なんなんだよ!お前!」
長谷川は紫原に向かって叫ぶ。
「うわぁ……すごいなぁ~。でも、これはこれで面白いかも」
菜々はステージの上からステージ下に降りて来て紫原と長谷川の言い争う姿を見ながら呟く。
「てかさ、あんた、自分が世界で一番偉いみたいに言っててキモいんだけど~。自分で自覚ある?キモイって」
紫原は長谷川に向かって言う。
「はぁ?!うっせーんだよ!誰だよ!お前!」
長谷川は紫原に向かって怒鳴る。
「え~、なにその態度~?」
紫原は長谷川に向かって言う。
「はぁ?!何なんだよ!お前!」
長谷川は紫原に向かって叫ぶ。
「まぁ、いいや。とりあえず、あんた、うるさいから黙って」
紫原は長谷川に向かって言う。
「はぁ?!何言ってんだよ!お前!」
長谷川は紫原に向かって叫ぶ。
(なんか、すごい戦いになってきたな~)
「負けたから終わりではありません。負けを認めて前に進める人のほうが強いです」
長谷川と紫原が言い合いしているところに黒子と荻原と火神がやってくる。
黒子は長谷川に近づき声をかける。
長谷川は黒子に向かって叫ぶ。
「長谷川さんは、本当に今まで負けことがないんですか?」
黒子は長谷川に問う。
「はぁ?!誰だよ!お前!」
長谷川は黒子に向かって叫ぶ。
「長谷川さんは、負けたことがあるのに負けを認めていないんですね」
黒子は長谷川に言う。
そして黄瀬が言う。
「長谷川さんは、負けてるって気付いてないだけじゃないッスか?負けを認めないから、いつまで経っても成長できないんじゃないっスかね?」
「はぁ?!何言ってんだよ!てめぇら!」
「俺は中学時代に祥吾くんに1on1で負けたときすげー悔しかったス。帝光バスケ部のスタメンの中でバスケ始めるの遅くてキセキの世代の中で一番最弱とか言われたりしてたし・・・・高校に入ってからは黒子っちと火神っちがいる誠凛に練習試合で負けて、他の学校も強いところばっかりで勝つのは簡単じゃないってわかったッス。でも、それでも、負けて悔しかったけど負けを認めて次の勝負に繋がるものだって思えて、勝てるようになっていく自分が楽しかったス」
「だからなんだって言うんだよ!」
「長谷川さんも、一度、負けを認めてみたらどうッスか?」
「はぁ?!うぜーんだよ!」
長谷川は黄瀬に向かって叫ぶ。
「そうだよな。何回負けても立ち上がるから強くなるんだよ。それに、すぐに勝てたらつまんねぇじゃねーか」
火神も長谷川に向かって言う。
「俺は負けた人間に価値がないなんて思わない。それに俺も負けた時に負けを認められるからこそ強くなれると思うよ」
荻原は長谷川に向かって言う。
「はぁ・・・?負けを認める?このあたしが?なんで?意味わかんねぇし!なんで勝ち組のあたしが負けを認めなきゃならねぇんだよ!」
「勝敗だけで人を図るとは浅はかなのだよ。勝っても負けても何か得るものは必ずあるのだよ。それを無碍にするとは愚かなのだよ」
緑間が眼鏡をクイッと上げながら長谷川に言う。
「はぁ?!てめぇ!なんだよ!説教かよ!」
長谷川は緑間に向かって叫ぶ。
「いい加減黙るのだよ」
緑間は長谷川に向かって言う。
「君は常に勝ち続けているというが今回は君の負けだ」
「あ、赤司くん?!」
長谷川の目の前に現れたのはキセキの世代のキャプテンである赤司征十郎だった。
「初めまして、赤司征十郎だ」
赤司は長谷川に向かって自己紹介をする。
「あ、うん・・・えっと、長谷川佐保です」
長谷川は突然現れた憧れのキセキの世代のキャプテンである赤司に驚きつつも自己紹介をする。
「さて、長谷川佐保さん。君は、自分が勝ち続けなければならない人間だと自負しているようだが、それは間違っている」
赤司は長谷川に向かって言う。
長谷川は赤司に向かって叫ぶ。
「はぁ?!意味わかんねぇ!何言ってんだよ!あたしが負けることなんかねぇんだよ!あたしは常に勝ち組なんだよ!」
「いや、君はもうすでに負けている。なぜなら、君は今、負けを認められていないからだ。君は負けを認めれば、次は勝てるかもしれない。だが、負けを認めない限り、君が勝てる日は来ない」
「はぁ?!どういう意味よ!」
「君は、負けを認めたくないが故に、勝利を掴めずにいる。君は、まだ本当の勝負をしていない」
赤司は長谷川に向かって言う。
「そんなことない!あたしはこいつには何もかも勝ってるし!だからあたしは負けてない!」
「え?!私?!」
長谷川佐保は菜々を指さして言う。
「長谷川さんは七海さんに勝ってると思っているんですね」
黒子は長谷川に向かって言う。
「当たり前でしょ!あたしはこいつよりも頭が良くて顔も可愛くてスタイルも良いし!人気も人望も何もかも格上なんだから!」
「そうでしょうか?長谷川さんが言う勝ち負けというのは全て曖昧な定義のものばかりです。人によっては勝ったという人もいれば負けたという人もいるでしょう」
黒子は長谷川に言う。
「今のあなた(長谷川)はミスコンで優勝を逃して、それを七海さんが裏で工作したせいだと勝手に思い込んでいて、しかも顔面を強打した際に鼻を整形していたことがバレて、元彼の黄瀬くんからも灰崎くんからも見限られて、僕らにも呆れられて、自分のことを慕ってくれた周りにいた人々全員からも白い目で見られて蔑まれて嘲笑されていて、その状況であなたは勝てているのでしょうか?あなたは何を得ているのですか?」
黒子は長谷川に問う。
「はぁ?!あたしは何も間違ってないし!」
長谷川佐保は頭を抱えてしゃがみ込む。
そんな長谷川佐保の姿を見た菜々は言う。
「長谷川さん・・・私は長谷川さんが外見のことだけ褒められてそれしか取り柄がないって言われないように勉強も運動も容姿の評価に見合うように努力してたの知ってたよ」
「はぁ?!てめぇ・・・なんのつもりだよ!」
菜々は長谷川に近づき、膝をついて視線を合わせる。
「私は長谷川さんから見たら負け組なんだと思う。だからって私は長谷川さんから見たら負け組の自分が長谷川さんに踏みつけられて当然の存在とまでは思っていない。でも、そんな私の態度が長谷川さんにとっては馬鹿にしているとか常識知らずみたいに思えたんだよね?」
「あたしは、ただ、お前にあたしのほうが上でお前は一生負け組だってことわからせてやろうと思っただけだし!てか、お前、何様だよ!って!あたしの下にいる人間のくせに!」
長谷川は菜々の言葉に叫ぶように言う。
すると赤司が言う。
「長谷川さん。僕は君の考え方や価値観は僕に近いものがあると感じる。しかし、それらが正しいとは限らない。君は僕と同じように自分自身に絶対的な自信を持っているのだろう。それは素晴らしいことだ」
「だが、その自信の裏には、常に敗北の恐怖と不安が隠れているのではないかと思うんだ。勝利することだけが全てではないということを理解することで、本当の強さを見つけ出せるのではないだろうか」
赤司は長谷川に向かって言う。
長谷川は黙り込む。
菜々は長谷川に向かって言う。
「長谷川さんは、本当は自分に自信がないんだよね。東京女子高内では美人で有名でモデル事務所に所属してインフルエンサー活動もしていて勝ち組に見えるけどその界隈にはさらに格上の美人がたくさんいて比べられるから。美人な上に高学歴とか、美人な上にスポーツ万能とか。あとは美人な上にお金持ちとか性格いいとかトークが面白いとか。しかもインフルエンサーとか芸能界には、人気や知名度がものをいう世界は美人なだけじゃ簡単に人気者になれないからそういう現実の壁にぶち当たった」
「その壁を壊すことができなくてその鬱憤をはらすために私をいじめてたんじゃないの?」
菜々は長谷川に言う。
「はぁ?!何言ってんだよ!お前は!」
「それに美貌は年を取っていくほど目減りしていく資産で、下の世代からもどんどん新しい美人の若い子が出てくるからそんな場所で勝負してたら余裕無くなるよね。東京女子高でもクラスの担任の先生に「ババア」って言って怒られたときに島倉さんに「あんたもいつかババアになるんだからやめなよ」って言われたら「そうなる現実と向き合うのが嫌だから言ってんだよ」って返してたし」
菜々は長谷川に向かって言う。
「うるせぇ!あたしはまだ若いし!これからもっと綺麗になってもっと輝いてもっともっと上に行くんだよ!」
長谷川は菜々に向かって叫ぶ。
「長谷川さん。君がいくら自分の見た目や能力が優れているとしても、それだけで全てを解決することはできない。君は人を見下すことで、自分の立場を守ろうとしているように見える」
「だが、それは間違いだ。他人を見下し続けることは、自分自身を卑しめることになる。君はもっと、自分の可能性を信じるべきだ」
赤司は長谷川に向かって言う。
「違う!違う!違う!」
長谷川は頭を抱える。
「長谷川さん、あなたはきっと自分の価値観に固執しすぎているのではないですか?人はそれぞれ、異なる価値観を持っているからこそ、様々な考え方や生き方があるはずです。他人を見下すような考え方は、決して良いものではありません。あなたが本当に大切にしたいものは何なのか、もう一度考えてみてはどうですか?」
黒子は長谷川に言う。
「うるせぇ!」
長谷川は頭を抱える。
「長谷川さん。私は勝ち負けにこだわるとか競争心とかあんまりなくて、外見やおしゃれも勉強も馬鹿にされたくないとかいじめられたくないとかそういう動機で頑張りだしたんだよね。私は高校で外見とか勉強のことでいじめられて辛かったけど長谷川さんは小さい頃から美人で常に周囲から注目されてたから私よりも期待とプレッシャーを受けていて気が抜けなかったんだと思う」
「上を目指したり理想の自分になろうとしたり、周囲の期待の応えたいとか自分が納得できないからとか頑張る理由って色々あると思う。私は長谷川さんが勝ち組になりたいから常に勝ち続けて勝ち組の男と付き合いたいとかいう考えは否定しない。
だけど、上を目指すの時に格下認定した自分以外の人が上に上がってこないように踏みつけるのは違うと思うよ」
菜々は長谷川に言う。
「違う!・・・あたしは・・・」
長谷川は頭を抱えてしゃがみ込んでしまう。
「長谷川さん。君は自分の容姿や能力に自信を持つのは素晴らしいことだ。しかし、その自信が君の心を蝕んでいく。そして、その心の傷を他人に向けることで、自分を正当化しようとする。だがそれは間違っている」
赤司はしゃがみ込んだ長谷川に向かって言う。
長谷川は立ち上がり那奈に向かって言う。
「あたしはお前らとは違う!あたしは勝ち組なんだよ!あたしは常に正しいんだ!」
長谷川はそう叫ぶとそのままどこかへ行ってしまった。
「あれ?長谷川さんどうしたんだろう?」
菜々は長谷川がどこかに行ってしまったので不思議に思っていると黒子が言う。
「彼女はきっと、自分の価値観や考え方をここまで真正面から否定されたり疑問をぶつけられたり諭されたことが今までなかったんだと思います。彼女のような人間は少なくありません。他人を傷つけることでしか自分を守れない人間は、とても哀れだと思いませんか?長谷川さんも、本当は自分の弱さに気付いているのかもしれません。」
「だからこそ、他人を傷つけることで自分を守ろうとするのではないでしょうか。彼女のような人間を変えることはできません。ですから、放っておくしかないでしょうね」
「そうか。彼女のような人間は、周りの人間が何を言っても無駄なのだろうな」
赤司は言う。
「はい。残念ながらそうだと思います」
黒子は赤司に同意するように言う。
「そっか~。長谷川さんとせっかく話せて良かったけど…やっぱりわかり合うとか難しかったかな」
「そうですね」
菜々は走り去る長谷川の後ろ姿を見ながら言う。
(なんか、もっとこう、わかりあえる方法があったら良かったけど…)
(私と長谷川さんは色々と違いが多すぎるから、難しいんだろうな)