我が道を往くいじめられっ子は人生を変えたい 作:名無しのなな
元ネタとなった作品のネタバレが苦手な方やパロディが苦手な方はご注意ください。
荻原が編入してきてから荻原に懐いていた菜々だったが次第に荻原に懐いた菜々の姿を見たことで周囲の人間は菜々に取っつきやすいイメージができて菜々は関わる人が増えて荻原への引っ付き具合は軽減されていき今はほどよい距離感で付き合っていた。
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ある日の昼休み、中庭にあるベンチで菜々と荻原はお昼ご飯を食べながら話をしていた。
今日は天気が良く日差しが強いので屋内にいるより外の空気が吸いたくなった。菜々はサンドイッチを食べながらふと頭に浮かんだ疑問を荻原に投げ掛けた。
「荻原くん、東京女子高にお試し編入してたときって何かあった?」
菜々は荻原が海常に来たのは閉校する予定の東京女子高が源光男子高校に吸収合併されるに当たって実施されたお試し編入で東京女子高で何か学校にいたくなくなるような出来事があったからではないかとふんでいた。
荻原は困ったような表情を浮かべたがすぐに答えてくれた。
「実は七海さんに止められてたのに俺、東京女子高の普通科の2年生の人たちがいる教室に行ってしまって・・・」
「えぇ・・・」
荻原の発言に菜々は絶句する。荻原は気まずそうに俯いている。
「教室をのぞいて見たら普通科の2クラスで合同で集まってて教室の黒板には『七海菜々を潰す会』って書いてあって・・・」
「えぇ・・・」
どうやら菜々が海常にお試し編入でいなくなったことでさらにいじめっ子集団が激昂してしまい菜々がいた東京女子高の普通科の2年生の3分の2が一致団結して海常に編入した菜々を追い詰めようと動いていたらしい。
「七海さんと同じく海常に編入した長谷川さんと東京女子高にいた七海さんをいじめていた人たちが一緒に組んで七海さんを海常からも追い出す作戦を考えていたみたいで驚いてどうしようかと思ってたらチンピラしゃべりの女子二人に見つかっちゃって・・・」
「あ~・・・多分それは美間さんと乗山さんだね~」
七海は二人のことを思い浮かべて苦笑いを浮かべる。
「それで、その二人から襲われそうになって・・・」
「えぇ・・・?!」
荻原の話を聞いた菜々はドン引きした。そして、菜々はいじめのリーダー的存在でもあった長谷川と一緒に行動を共にすることが多かった美間と乗山がいじめだけではなく、まさかそんなことをするほど野性的というか人間社会から逸脱したことをするようなタイプだったとは思わなかったからだ。
女子が男子を襲うだなんてどちらにせよ物騒でとんでもない話だ。
「間一髪のところで先生が来て助かったけど、これからのことを考えたら東京女子高にお試し編入し続けるのも危険な気がするし、源光男子高校に戻っても七海さんをいじめていた東京女子高の人たちがいるかもしれないから行くのは危険だと思って・・・そうしたら海常の武内監督が俺が中学時代に全中で準優勝したチームでスタメンで試合に出てた実績を評価してくれて・・・。どちらにももう戻りたくないし、それにもう一度バスケがしたかったから海常にバスケ部推薦で編入することにしたんだ」
荻原はそう言って苦笑した。
どうやら武内監督は荻原のバスケの実力を認めてくれて、武内監督の推薦で高校に編入できることは大変ありがたい事でもあると思ったので武内監督の提案を受け入れたらしい。
そして、海常なら男子と女子が半々で、生徒の多くが部活熱心で東京女子高にいたような暇をもて余した陰湿なトラブルメーカーのような生徒は少ないから安心だろうと思い海常に来たのだという。
武内監督の判断は正しいと菜々は思った。
「そっか・・・なんか私と関わったばっかりに荻原くんの人生が変わってしまったような気がする・・・ごめん」
菜々は申し訳なさそうに眉を下げるとしょんぼりとする。
正直申し訳なくてしょうがない。ただでさえ東京女子高の生徒がここまで荒れ果てるほど酷いことになっているとは思わなかったのだ。
もしも、自分が東京女子高に通い続けていれば、お試し交換編入で東京女子高に来ていた荻原が危険な目に遭ったとしても自分自身が身代わりになれば荻原を守れたのではないかと考えて胸が痛む。だけど、なんにせよ荻原が菜々の元いたクラスに近づいたのは自分と知り合って菜々が抱える事情を知ったからなので菜々は荻原が自分と出会ったことで荻原がしなくてもいい選択をしたのではないかと考えてしまう。
しかし、荻原は朗らかに笑う。
「大丈夫だよ。俺が勝手にやったことだし。後悔してないから。それに俺は海常に転校してきてよかったと思ってるよ」
菜々は荻原の顔をまじまじと見る。相変わらず優しそうな雰囲気を持っている。
そこに邪気は一切感じられない。
むしろ好青年という言葉がぴったりな人物だと思う。
だからこそ菜々は荻原に好感を抱いたのかもしれない。
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ある日の放課後、菜々は長谷川に盲目的に惚れ込んでいる男たちに中庭に呼びだされていた。
「だからさ~、七海さんは東京女子高に帰りなよ~?そうしたほうがいいって~」
「そうそう。こんな俺らみたいな屈強な野郎がたくさんいる学校よりも女子だけの環境の方がいいでしょ?ていうか、七海さんってさぁ・・・・・見た目と中身は全然違くて幻滅しちゃったんだよね~」
彼らの目は血走っており焦点が定まっていないように見える。
彼らは口々に東京女子高に戻れと言い始める。
しかし、彼らに言われる筋合いなどないはずなのだ。
「そうですか~?でも、それ却下で~す!」
菜々は笑顔で腕をクロスさせてバツ印を作った。そしてすぐさま続けた。
まるで友達と接するかのように気軽に話をしていく。
「どうするかは私が決めるんで~、あなたたちも自分のことだけ考えて生きたほうがいいですよ~」
菜々は彼らの様子を観察してそう言い放つ。
彼らの目には狂気じみたものがあったが彼らの眼中には無いと言った風だ。
彼らの瞳に映っているのは自分たちが望む都合のいい解釈だけだ。菜々はそのことに気づいていないフリをしていたが内心はかなり引いている。
何故こうも執着するのか理解ができない。
本当にわからない。
菜々の本心としてはどうでもいいと思っていることだ。
菜々にとっては好き勝手に批評して暴言を吐いてくる人間なんて心底興味がない。どうでもいい存在であると認識していた。
例えるなら道端ですれ違うだけの通行人Aである。
名前も知らない人にいちいち感情移入するなんて時間の無駄でしかない。
他人に対して深読みしても疲れるだけで無意味だと知っている。
だから、こうやって平気で相手を馬鹿にするような発言ができるのだ。
(この武器、必要かな~?)
菜々は制服の下に隠し持っていた一本鞭を出すべきか迷い始めていた。
もしもの時のために持ってきてはいるがこれを出すべきか否か迷う。
相手は三人であり大柄な体格をしており、とてもじゃないが力で勝てるとは思えない。
格闘技をやっているわけでもないし、喧嘩慣れしているわけでもない自分はきっと逃げるべきなのだろうけど、逃げるということはすなわち相手の思うつぼのような気もする。
下手に逃げるくらいならここで戦って逃げた方がマシかもしれないとも思えた。
(だってどう考えても不利だもん!)
そんなことを考えていた菜々はいきなり肩を掴まれ引っ張られた。
そのままバランスを崩し倒れこんでしまった。
「わっ!」
菜々は地面に身体を強くぶつける。
上を見上げると目の前に男が立っていることに気づいた。
「お前のせいで佐保は東京女子高にいられなくなったんだぞ!クソビッチ!」
男は菜々を睨み付ける。菜々はこの男に見覚えがなかった。
菜々を聞こうと思ったがその前に拳を振りかぶってきたので反射的に避けることが出来たが背後にあった植え込みに突っ込んでしまいその勢いで砂埃が立ち込める。
幸いケガは無かったものの髪に土がついているのを見て不快感を覚える。
髪を触ると指先に汚れがついてしまった。
せっかくセットしていたツインテールが崩れてしまった上に制服にまで泥が付いている。
「・・・それはずいぶんな、愛・・・・だね」
菜々は目の前の男の言葉に対し率直な感想を述べた。
目の前の男はその言葉に反応することはなく怒りに任せて怒鳴り続ける。
「お前はどれだけ他人を傷つければ気が済むんだよ!お前がいると学校のイメージダウンにもなるし良いこと無いんだよ!さっさとうちの学校辞めろよ!」
菜々は黙って聞いていた。
――
この男は何を言っているんだろう?この人は何を怒っているんだろう?
全く理解できない。
この人は私を通して別の誰かを見ている。
長谷川さんから聞いた一方的な私のイメージ像を、勝手に頭で作り上げた私という人間像に当て嵌めているのだろう。
私に恨みはないみたいだけど私に対する憎しみは募っている様子は伝わってきた。
それにしてもこの男の人達が言っていることがよくわからない。
なんでこの人達は私に対してこんなに怒っているのだろうか。
私は別に悪いことをしたわけではないんだけどな。
それとも、ただ単に私という存在自体が気に食わないのかな。
どっちにしろ、こんなことはよくある事だ。
今まで、何度も似たような経験をしてきたからね。
――
「そっか~。長谷川さんへの愛・・・そして母校愛・・・友人愛・・・・クラス愛・・・環境愛・・・あなたはたくさんの愛を持っているのね」
菜々はそういうとゆらりと立ち上がる。
そして泣き始める。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・もう二度としません・・だから・・・許してください・・・」
菜々は涙を流したまま下を向いて謝る。
男は涙を流す菜々を見て一瞬ポカンとしたがすぐにニヤケ出す。
「へへっ・・・・・わかってくれたらいいんだよ。わかればいいんだ。」
男は下卑た笑いを浮かべながら尋ねる。
菜々はその男の態度を見てやはりこの人は変わらないんだろうなと思う。
(こういう人は昔から嫌いだ。自分の思い通りにならないと気が済まないタイプで我儘で傲慢で自分勝手なところがある)
(こいつら本当に汚い。反吐が出る)
菜々は心の中でため息をつく。
そして地面に伏したまま移動して男の股間付近の近くまで行って
「チンチンにホッチキスしてごめんなさい」
そういうと男の男性器をズボンの上からホッチキスの針でパチンパチンと挟んだ。
突然の不意打ちに男は驚き悲鳴をあげる。
「いっ・・・・・!痛ぇええええええ!!!!」
悲鳴を聞きつけた先生たちが駆け付けて来た。
「なんだなんだ?!どうしたんだ?!」
男達は教員たちに取り押さえられて連行されていった。
「あ、大丈夫かなぁ・・・?まぁいいか。あんな奴の遺伝子入ったチンチンなんてどうなろうと・・・」
そう言いながら菜々はスカートに付いた砂を払う。
そして立ち上がると空を見上げてぽつりとつぶやいた。
「あ~あ。この東京女子高の制服、気に入ってたのに・・・・」
空に輝く太陽は明るく輝き青空が広がっていた。