「なぁロノヴァ?もう少し小さくなれないのか?」
「…?」
スネージナヤの宿から出発し、最初の目的地であるナタに向かう途中、左後ろでフワフワ浮いているロノヴァに話しかける
ロノヴァはその必要があるのかと言わんばかりの顔で首を傾げる
「いや、なんか視界の端でデカイのがフワフワと浮いてるのがちょっと気になってな…」
「君から誘ったのに次は邪魔だと言いたいのか?」
少しむくれるロノヴァ
だが、少ししてから黒く光り、小さくなったロノヴァが現れる
「…これで十分か?」
背丈はパイモンと同程度になり、服装も黒い外套を被っているような服装に変わっている
そのままカナメの頭の上に腹這いで着地する
「……なんで浮くのを辞めたんだ?」
「…この姿だと浮くのだけでも疲れるんだ」
「…そういうことにしとくか…」
頭の上にずっしりとした重量を感じながらナタに入る
カナメが最初に目指すのはナタの談義室
談義室にいるであろうマーヴィカの元だ
「それにしても…随分と発展したものだな…」
「あんまり地上は見てなかったのか?」
頭の上にいるロノヴァはしみじみとそう呟く
数百年以上見てきたからこその感想なのだろうか
「…私にも色々仕事があった。それに…上から見るだけじゃ分からないことが沢山ある」
今は時間に余裕が無いのでのんびりとは歩けないが、道中の竜を見ては話し始めるロノヴァは少し楽しそうだった
そして闘技場前の吊り橋の横に、前に少し見た明るいオレンジ色の髪を持つ神が立っていた
「やぁ来る頃だと思っていたよ」
「お久しぶりです。炎神様」
「ハハ…やはり君にそう呼ばれるのは違和感があるな」
少し表情に影を落としたマーヴィカ
だがすぐにいつも通りの快活な表情に戻る
「要件は…釘のことだろう?」
「ええ。女皇陛下からその件について話し合いたいとの伝言を持ってきてました」
女皇陛下から渡された文書をマーヴィカに手渡しする
マーヴィカはその文書に一通り目を通したあと、頷く
「了解した。すぐに向かおう」
「なら、俺はこれで…「その前に1つ聞いていいか?」……はい」
すぐに次のスメールへと移動しようとする前にマーヴィカに引き止められる
なるべくナタは全速力で駆け抜けたかったが、腕を掴まれてはどうにもできない
マーヴィカの視線はカナメの頭上…ロノヴァに向けられている
「その…君の頭上に乗っているのは…ロノヴァか?」
「まぁ…そうだ。女皇にも極秘でお伝えして、好きにしろと言われてる。特にこいつにも人を傷つける気もなさそうだし…」
「…それは本当にそう言い切れるのか?」
ナタではロノヴァとの因縁が初代炎神から続いている
初代炎神ならまだ友好的だっただろうが、今の炎神であるマーヴィカとロノヴァの仲は良くない
だからこそ伝えることだけ伝えて出発したかったのだが…
「……もう既に私から死の権能は剥奪され、天理からの束縛も消え失せた…私が天理に従う道理は無いし、新たな主を愛することもできる」
ロノヴァがフワリと浮かび上がり、マーヴィカの前に躍り出る
前の等身大ロノヴァなら威圧感があっただろうが、どうしてもパイモンサイズのロノヴァが凄んでも可愛さが拭いきれない
「フフッ…どうしてもパイモンを思い出してしまうな」
「なっ…あんな天空の島の創造物と一緒にしないでくれ」
パイモンのように地団駄は踏まないが、頬を膨らませて意思表示をしてくる
マーヴィカも笑顔になり、カナメも場が収まってホッとする
「はぁ…引き止めてすまないな。この後も他の国を周るんだろう?」
「はい。じゃあこれで失礼します」
ナタはファデュイという身分を隠さずに共闘したから話もスムーズに進んだ
次はスメールだ